彼が次に気が付いた時は保健室のベッドの上だった。
「知らない天井?」
気づくとそこはベッドの上だった。横には、南禅寺るこが心配そうに見つめていた。
俺は確か、宇陀とデュエルして、確か勝ったんだよな?
「気づいた? 遊介くん、大丈夫? 倒れたところ私たちが運んだんだよ? 覚えてる?」
そういうと、彼女ともう一人が後ろに立っていた。それは、まぎれもなく赤馬零児だった。
「赤馬零児が? どうして」
「君のデュエルを間近で見ていたのだが、そこにいる南禅寺るこも円谷も病人への処置がなっていなかったため私が運び出した」
「あ、ありがとう。まさかあなたが助けてくれるなんて」
でも一番近くにいたはずの廉次郎がいない。どこにいったんだろう。
赤馬は赤いマフラーを撫でながら椅子に座った。
「病明けで悪いが、君には話さなければならないことがある」
「話さないといけないこと?」
そう聞くと、赤馬は南禅寺さんの方を向く。
「すまないが、二人にしてくれないか? 君にこの話は不要だ」
「なんでそんなこと言うの! オベリスクブルーのエリートだからといって調子に乗らないでよね!」
「......円谷、そこにいるのだろう? はやく彼女を連れだしてくれ」
赤馬がドアの方を向くと、廉次郎がゆらりと姿を現したかと思うとズカズカと保健室に入る。
「指図するな......。いくぞ、るこ」
「でも」と残ろうとする彼女をよそに、ため息交じりに彼女を連れて行った。やけに強引だな。
それを見届けた後、赤馬は話始めた。
「例の世界が融合しかかっているという件だが」
「ああ、なんか進捗あった?」
「海馬コーポレーションと交渉し、デュエリストカーニバルを開催することにした。そこで敵組織と戦うため屈強なデュエリストを探す」
なるほど、赤馬のやりそうなことだ。確かにそれが手っ取り早いだろう。
「それが、ランサーズ? でも、敵も乱入してくるかもよ?」
きっと、これも織り込み済みだろうが聞いておいた方がよさそうだな。
そういう大会こそ、敵がやってくる可能性が高い。
「敵の正体がわからない限り、参入も考えられるがその時は利用するまでだ。それもランサーズ計画の目的でもある。おそらく、別次元の私もそう考えていたのだろう」
「やっぱり、ランサーズの話は自身の記憶じゃなくて誰かから教えてもらったんだね。でも誰から?」
「オレだよ」
突然、窓の外から黄色のライダースーツを着た男が体を乗り出してきた。
そして彼はサングラスを外し、保健室に乗り込んできた。
「あなたは......」
そういうと、おもむろにライダースーツのジッパーを下すと、そこにはデッキか8つも収められていた。この光景どこかで見たことあるような......。デッキが8つ?
「俺の本当の名は、三沢大地。異世界から帰還した男だ」
三沢大地! こいつは、たしかユベル戦の後から異世界に残ると言って行方が分からなかった人だ。まさか、Dホイーラーの真似事をしてるなんて思わなかった。
「十代も危機を察していたが、俺も異世界の守護者として見逃すわけにはいかない。世界は広い。美しい世界を守るため、ようやく完成した8番目のデッキと共にこの異常事態を回避する。君も元の世界に戻るため強力してくれるかい?」
当然、回答は「YES」と言いたい。だが、俺の今の実力で世界なんて救えるのだろうか。これまで負けることはほとんどなかった。でもそれはマグレかもしれない。
「はい、と言いたいところですがまだ自信はありません」
そういうと、赤馬はメガネを直して
「君のタクティクスは評価に値する。だが、君のフィジカルが問題だ。闇のゲームでもないのにデュエルの負荷やDゲイザー酔いしていたら話にならない」
「え、俺酔って倒れたの?」
俺、ださっ......。
「医者の見解に間違いはない。君は、Dゲイザーシステムの短期間集中の使用によるソリッドヴィジョン酔いだ。その虚弱体質を直さない限り、デュエルは難しいだろうな」
「はぁ。やっぱりデュエルマッスルってのは、鍛えねえといかんのか」
「今日はゆっくり休むがいい。 私は計画を進めておく。大会が開かれる前に、鍛えておくんだな」
赤馬が保健室にいなくなると、三沢は腕を組みながらベッドの横にある椅子に座り始めた。
「どうやら君、相当見込まれてるみたいだね」
「俺はどうして、こんなところにきたんでしょうか。何か変えられるのか?」
「確かに君が体験していることは興味深い。俺も君と同じ世界を旅したことがある。そこでは、俺たちがテレビの前でデュエルをしていた。不思議な感覚だったよ。そこじゃ俺も何もできやしない。画面の中の出来事を変えることなどできない」
「......」
「でも、君はここにいる。君がそのモンスターに選ばれたことと、ここにいることそれらが運命ならきっと変えられる力があるはずさ。じゃあね、君の活躍を期待してる」
そういって、三沢も保健室を出ていった。それと入れ違いに南禅寺るこが入ってきた。
「なんだか不思議な人たち......。大丈夫? 遊介くん」
「うん......。ねぇ、Dゲイザーで酔ったことある?」
「え? うーん、あまりないかな。最新のやつだと酔いにくいって聞いたことがるけど......。そういう時は海馬コーポレーション開発のブレインズでの訓練がおすすめだって」
「ブレインズ? それって、リンクブレインズのこと?」
「うーん、いや? 海馬ランドで体感できるVR空間なんだけど、行ってみる?」
ブレインズ、どんな場所なんだろう......。そこで受ける訓練ってどんなんなんだ?
その話を聞いて少し元気になった俺はベッドから起きて次の授業のために歩きはじめる。だけど、まだフラフラする。
「まだ駄目だよ、起きちゃ」
「いや、俺もデュエリストである前にこの学校の生徒なんだ。勉強もしないと単位が......」
「そりゃあ、そうだけどさあ」
二人で言い合いをしていると、また一人女の子に抱えられてケガだらけの男が保健室にやってきた。
「もう、しっかりしなさいよね!」
「大丈夫?」
南禅寺さんは女の子とともに男の子をベッドに運んだ。
男の子の方の髪型、どこかで見たような気がする......。
「ええ、体育でボールに当たっちゃって......。もう、男なんだからしっかりしなさい! ユウマ!」
ゆ、ゆうま? もしかして、九十九遊馬なのか?
そういえば、抱えてる女の子もどことなく小鳥に似ているような......。
「君、大丈夫? 意識は?」
るこが心配するように近づくとその腕を振るって
「めだ......。もう、放っておいてくれよ小鳥」
「ちょっと、心配してる人に失礼じゃない! ごめんなさい......」
「いや、別にいいんだけど。どうしてそんな落ち込んでるの?」
「彼、元々はなんにでもチャレンジする活発な子だったんです。でも、自分の大切なものを無くしてからこの調子で......」
「小鳥、もう皇の鍵の話はいいって。僕はもう諦めたんだ」
少し起き上がってみてみると、確かに彼の首元には金色に輝く皇の鍵はない。無くしたのか?それとも、誰かに奪われたのか?
「その落ち込みようは、ただ失くしたってわけじゃなさそうだね。よかったら手伝おうか?」
「あんたには無理だ! 相手は神代凌牙だぞ!? 街のごろつきデュエリストに勝てるわけがない」
「そんなのやってみなくちゃわからない。そうやって壁をぶち破ってきた君が好きだったんだけどな。わかった、俺が取り返してくる」
俺はベッドから飛び起きて、まだふわつく足を地面に叩き落とした。
「無茶だよ! 遊介くん! 今の君は安静にしなきゃ」
「寝ててもデュエルがうまくなるわけでもねえだろ。俺はこの足がこの地にある限り立ち上がってみるよ。ありがとう、遊馬。力をくれて」
南禅寺るこの心配をよそに俺は、保健室を後にして一人廊下を歩きはじめる。
唐突な出会いに不思議と力が湧いてきた遊介。
彼はデュエリストとして誰かのために立ち上がる男なのかもしれない。
登場するオリカの召喚口上で良いと思ったものを教えてください。
-
幼獣ベーゼ
-
グレート・フォース
-
アルカトラズ・デストピア・デーモン
-
グレートVX
-
アーク・トライブ・マジシャン