※今回は新たな展開への布石として、赤馬目線よりお送りします。
遊介たちが海馬ランドでドゥンケルハイトと戦っている最中、赤馬零児は海馬コーポレーションに来ていた。次元を超越したこの世界を解明するべく、あるプロモーションを考えていた。
そのためにも、レオコーポレーションの社長として粗相は許されない。
いつも冷静な赤馬だったが、会議室での待ち時間中は緊張、そして高揚感という二重の感情を抱いていた。
それもそうである。今から会話するのは、海馬コーポレーション社長海馬瀬人当人だからである。
1人の黒服の男が、パソコンを持って赤馬のいる会議室に入ってきた。
「瀬人様は、現在宇宙におられますのでリモート会議となります」
「無論、承知しております。短いながら、お時間をいただきありがとうございます」
「構わん、要点を聞こう」
低くたくましい声だけが会議室に響く。
「この世界は、歪な者によって改変された形跡が見られました。私はこの改変された世界を元に戻すため、ここへ来ました」
赤馬は自分のノートパソコンを開き、これまで遊介たちがデュエルをしていた合間に取っていたデータを取り出した。そこには、阿久津遊介の情報や彼のデュエル。そして、幽霊のように現れる少女の映像を提出した。
「......。確かに海馬コーポレーションでも、貴様のいう阿久津とかいうデュエリストの存在は認知していた。それに、データにないモンスターカードの出現など不可思議としか言いようのないデータが感知されていた。それは、貴様のいう"別世界から来た誰か”によるものだというのか?」
「はい。ですので、私もそれに対抗するべくプランを用意しております。海馬社長にはその承諾をいただきたく」
赤馬は、さらにパソコンからあるものを取り出した。それは、デュエル大会の資料だった。それも、アクションデュエルの大会だ。多くのデュエリストの参加によるゲームの勝敗だけでないポイント制の変則デュエルの方式だった。
「面白いデュエルだ。だが、この大会と対抗策に何の関係がある?」
「一つは、次元をまたぐデュエルに耐えうるデュエリストを見つけること。もう一つは、敵に潜り込ませ逆にこちら側の情報を拡大させること」
「そううまく敵が寄ってくると断言できるのか?」
「敵とはいれ、デュエリストの端くれ。どんな大会だろうと、混乱に陥れようとするはずです」
海馬が少し沈黙した。少しの間が空き、海馬は指をパチリと鳴らした。すると、会議室に長髪の男が入ってきた。男は、コントローラー付属のVRゴーグルを赤馬に手渡した。
「これは?」
「それは別の次元、別の領域にいる人間とデュエルができるようプログラムしたVRゴーグルとコントローラーだ。貴様のペンデュラム召喚というもの、この目で見たい」
「つまり、私とのデュエルで承諾を決すると」
「呑み込みの早い男だ。ふらふらさせておくには惜しい。さあ、貴様の腕前みせてもらう!」
「承知しました」
赤馬はすぐにゴーグルをつけた。そうすると、目の前の景色が変わり、会議室から宇宙空間へと変貌した。そして、眼前に立つ白衣を着た青年、海馬瀬人がニタリと笑って、デュエルディスクを装着する。赤馬もまた、ディスクをゴーグルに付属していたコントローラーを握ると、ディスクが出現した。
「貴様のカードはすべてデータ化しておいた。俺のフィールドにはブルーアイズ三体と伏せカード2枚。 この布陣を、このターンでオレを倒してみせろ!」
海馬のライフは当然4000。 詰めデュエル形式とはいえ、大型モンスター3体を目の前に赤馬は息をのんだ。それは、できないという緊張からではなく、美しい白き龍三体を目の前に感動していたからだ。赤馬は喜び勇むように、カードをドローした。
「私のターン! ドロー! これで、私のプランは決まった。 私はDDスワラル・スライムの効果を使用し、手札のこのカードとDD魔導賢者ニュートンで融合魔法カードなしで融合を行う! 自在に形を変える神秘の渦よ、引力に導かれし賢者よ! 今一つとなりて真なる王を生み出さん! 融合召喚! 降臨せよ、レベル8 DDD烈火大王エグゼクティブ・テムジン!」
「ほう、融合か。だが、恐るるに足らんな」
「まだだ! 私はスケール1のDD魔導賢者ガリレイとスケール10のDD魔導賢者ケプラーでペンデュラムスケールをセッティング! 我が魂を揺らす大いなる力よ。この身に宿りて、闇を引き裂く新たな光となれ!ペンデュラム召喚! レベル8 DD魔導賢者トーマス! レベル3 DDナイト・ハウリング! ここで、エグゼクティブ・テムジンのモンスター効果により、墓地より蘇れ! DD魔導賢者ニュートン! そして、DD魔導賢者トーマスの効果! ペンデュラムゾーンのDD魔導賢者ケプラーを破壊し、デッキよりレベル8【DDD】モンスターを特殊召喚! 私はDDD死偉王ヘル・アーマゲドンを特殊召喚! 出でよ、ヘルアーマゲドン!」
「な、なんなんだ! このモンスターたちは!?」
「私の知恵であり、力の象徴です。私はレベル8のヘル・アーマゲドンとトーマスでオーバーレイ! 二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚! DDD超死偉王 ダークネス・ヘルアーマゲドン! さらに、ダークネス・ヘル・アーマゲドンの効果! オーバーレイユニットを一つ使い、自分フィールドのペンデュラムモンスターの数だけ相手のモンスターを破壊する。私のフィールドには二体のモンスターがいる。よって、二体のブルーアイズ・ホワイトドラゴンを破壊させてもらう!」
彼の発動宣言時、海馬はニヤリと笑った。
「伏せカードオープン! 速攻魔法『
「そうはさせない! アルティメット・ドラゴンは封じさせてもらう! エグゼクティブ・テムジンの効果発動! このカードが存し、相手が魔法・罠カードを発動したとき、その発動を無効にする!」
一瞬で、静けさが際立った。海馬は下を向いていた。哀しみではない。策略にハマった赤馬に対して、笑いをこらえていたのである。だが、それは爆発した。
「フフフフ......。 アハハハハハハ! 読んでいたわ! そんなもの! さらにリバースカードオープン! 交差する魂!! 3体のブルーアイズを生贄に、俺は
「なに!? 神の召喚、だと!?」
「貴様に神を拝ませてやる。 オベリスクの巨神兵!」
三体のブルーアイズが生贄とされ、暗雲が立ち込めだした。これもVRの演出かと、顔を変えずに心躍りだす赤馬であったがそのワクワクさえも恐怖に変える神の化身が姿を現した。青き巨神、オベリスクであった。
「あれが、オベリスク......。 相手にとって不足なし! むしろ、光栄といえよう。私は今、始めて壁を目の当たりにした。だからこそ、この壁を打ち砕く! 私はDD魔導賢者ニュートンに、DDナイト・ハウリングでチューニング! 出でよ、DDD疾風大王エグゼクティブ・アレクサンダー!」
「何度も王を出しても変わらん! 王は神に勝てない!」
「それはどうかな。 エグゼクティブ・アレクサンダーのモンスター効果! このモンスターは自分を含む『DDD』モンスターが3体以上いる場合、攻撃が倍になる!」
「攻撃力、6000だと!? 王が神に抗うか!」
「バトル! エグゼクティブ・アレクサンダーで、神に攻撃!」
オベリスクは崩れ去り、さらに続けて赤馬はダークネス・ヘル・アーマゲドンで攻撃し勝利を得た。
VRの映像がプツリと消え、海馬の声だけが赤馬の元に聞こえる。
「貴様の好きにするがいい......」
赤馬がゴーグルを外すと、先ほどの長髪の男がゴーグルを回収した。
「さすがは、プロデュエリスト。というべきか」
「あなたは?」
「クリストファー・アークライト。クリスでいい。ここで異世界の研究をしている。私の研究は、君の役にたてるはずだ。ぜひ、協力したい」
長髪の男、クリスはゼアル世界にて遊馬たちと戦ったトロン3兄妹の長男、V当人である。
「強力ですか。監視の間違いでは?」
「これは手厳しい。ですが、私も興味があるのです。この記憶の世界について、そして別世界について。その鍵は、阿久津少年そして」
「九十九、遊馬の皇の鍵......。でしょうか」
「彼の鍵には記憶に関わるカギがある。アストラルというマスターピースが」
「そうです。だからこそ、彼らのデュエルは重要なのです」
「そういうと思っていた。見てくれ、海馬ランドの映像だ」
そこには遊馬とシャークが向かい合っている姿が映されていた。
「九十九遊馬と、神代凌牙ですね。どうやら、神代凌牙の方がカギを持っているようですね」
「......! 彼の元に、槍の戦士たちを」
「阿久津遊介たちをですか?」
「何かが変わる。 そんな気がする。 集まる槍が、次元を穿つ大きな槍へと変わる。その変調が」
「わかりました」
クリスと赤馬は急いで海馬ランドへと向かうのだった。
遊介は目を覚まし、自分の至らなさを痛感する。
強い力を、守る力をと焦るあまりまわりが見えなくなっていってしまう。その中で、赤馬零児から連絡が入る。
遊馬とシャークのデュエルを見ろと
彼らの闘いの儀は、この世界に新たな変化をもたらす。
次回 遊戯王ARC-if「記憶のカギ」
登場するオリカの召喚口上で良いと思ったものを教えてください。
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