「ふむ・・・寮生活ですか。
慣れんけど、やってのけなけりゃならんのがツライところ。
門限突破とかすると、ヒシアマ姐さんに殺られますし」
『独り言が多いですよ、ボトムブラック』
独り言に対して、ルームメイトのツッコミが尖すぎます。
精神あんまし強くないんだから、あんま苛烈なのは勘弁してほしいとこと。
因みにこのイクノディクタスっていうひと、
かなり真面目できっちりしている、秘書タイプのウマ娘になります。
特に自己管理とかしっかりしてて、
管理主義のチームリギルでもやっていけそうだと思う。
本人的には、ノリのいいカノープスが性に合ってるらしいけど。
きちんと自己管理できるのは好みです。
不摂生っていうのは、積み重なって、
いざという時に全力で足を引っ張るものですし。
『然し貴女、普通のウマ娘とは違いますね』
「ここに来る以上、みんな”普通のウマ娘”じゃあないでしょうに。
ターフの上で真剣勝負をする、競争バを育てる学園ですよ?」
『その物言い、生徒と言うには大人び過ぎていませんか?』
まー、鋭いひとから見れば違和感マシマシですわなあ。
このボトムブラック、中身は生徒ではなく、弟子を持つ指導者ですから。
まだ若輩ではありますけど、超絶狭き門のトレーナー試験通ってるんですよ?
カーチャンのウマ目線での拷問から逃げる為、全身全霊でやりました。
「ウマ娘のなかには、そういうのも居るんじゃないですか?
私は、他のみたいにキャピキャピした雰囲気が苦手なだけで」
『ダイワスカーレットやウオッカにも、
少しは静かにしてほしいものです』
おや。チームカノープスも割と騒がしい環境なようで。
うちもゴールドシップとかいうハジケリストが居るので、
全くヒト(ウマ?)のこと言えませんが。アレは行動力おかしい。
ダジタルはデジタルで、よく尊死してるしね。
というか、沖野T。
並走トレーニング全部私にやらせるの勘弁してほしいんですが。
いい加減、私も過労死しちゃいますよ?
「よーし。ダメージコントロール良好。
今日のトレーニングはもうちょっと攻めてみますか。
来月メイクデビューとくれば、あまりウカウカはしてられん」
『攻めると言っても、フェンス蹴りはどうかと思いますが』
「ルール違反ではありません。
あれは、あの配置で進路妨害するマック院が大問題です。
あいつは競バ場で必ず死なす」
コースのフェンスを蹴って軌道修正する、所謂壁蹴り。
スピードに乗りすぎてカーブ曲がれなかったんで、
蹴って軌道を修正しましたが、文句ありますか?
そーいえばカーチャンもよく壁蹴りするウマでしたね。
『貴女、時々トレーナーのような目線で話しますね。
こんなウマ娘は初めてです』
はい。元人間男のトレーナー(見習い)ですからねえ。
こんなウマ娘は殆どいないでしょう。
元々ウマ娘っていうのは、感情制御がヘタクソで、
トレーナー出来るの中々いないんですから。
しっかしイクノディクタス、ほんっと見習うところ沢山あります。
徹底した自己管理にフィジカル強化。鉄の女の名前は伊達ではありません。
昔走れなかったことが、今の自分に結びついているみたいですが。
さーて。少し時間がありますし、デッシー二人のメンテ方法考えないと。
ターボはオーバーワークするだろうから、劣化ゲッター線ドリンクの刑が確実。
あとは疲労ぎみの脚もほぐさなきゃ、屈腱炎まっしぐら。
メイクデビュー?
今の私の戦力だと、多分何とかなるでしょう。
それより、本当の勝負はGⅢ以上の重賞に向けて。
無論、メイクデビューもれっきとした勝負なので、
なめてかかるような無礼は一切致しません。
話を戻しますと、GⅢ以上からが本当の戦いで、
フィジカルの伴わない技術だけでは、一切通用しなくなると思います。
BB2世のカラダも作り直す必要がありますか。
「さてさて、それじゃあBB2世出撃です」
やるべきことは山積みです。GⅠを制覇して弟子も一人前にする。
大変だけどやらなきゃいけないのが、指導者のツライとことですね。
クソッタレ女神さん、ほんっと怨みます。
フツーなら沖野Tの元で、サブトレとして地道にキャリア積んでたのに。
どうしてこうなった!!
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『どうやら、近いうちに決着をつけることになりそうですね。
それではいつかの戦場で』
グラスワンダー、頼むからこの鋭い目線は勘弁して下さい。
なんかナギナタ持ってるような幻影が浮かんでますよ?