ええっと、とっても悔しいです。
ハルウララの奴め、私より先にメイクデビューしやがって。圧倒的1位で。
仲間の躍進という意味じゃ、嬉しいんですけどね。
けど彼女の脚質って、追い込みや差しであって、逃げじゃあないでしょうに。
前方に、ポツンとひとり、ハルウララ・・・字余り。
メイクデビューで、まじでやらかしやがったんですわ。作戦ガン無視して。
『いいじゃないか。一体誰の影響受けたんだろーな?』
ゴルシさん、おちょくって来ないでくださいよ。
こんな力押し、メイクデビューでは通じても重賞じゃあ絶対通じない。
『まあ、走るのが楽しすぎて羽目をはずしたんだろ』
あのー、ハルウララは沖野T担当のウマ娘ですよ?
もう少し真面目に考えないと、途中で大コケすることになりますが。
コケて強くなれとは申しますが、明らかな地雷は避けるべきでしょう。
「沖野トレーナー、彼女の適正見てあげて下さい。
ウララはターボやスズカみたいな逃げウマとは全然違うんです!!」
『そう言うなら走ってみようか。
レギュレーションは、ダートの1600。マイルだね』
「わかりました。けれどハルウララ、
これでダメなら追い込み走法に切り替えてくださいね?
向かない走法で無理したら、ケガして引退コース待ったなしですから。
前にも言いましたが、ウマ娘には生まれ持っての脚質があります。
どーしてもって言うんなら、魔改造する手もありますが、かなり難しいです」
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という訳で模擬レース開始。
出走メンバーは、私とハルウララだけですが。
けど野次馬が結構いたりします。
サトノダイヤモンドにキタサンブラック。
そして・・・グラスワンダー。
生涯の宿敵の前で流石にハジはかけない。
という訳でスタート!!
ロケットスタート成功。逃げウマらしくリードを稼ぐ。
・・・ちょっと待て。ハルウララいつの間にかこんなスピードを!?
真後ろから迫ってくるのまじで怖いんですが。
カーブに差し掛かる前に、若干減速してから、無駄のないコーナリング。
そして再度加速。マイルだしムチャしてもスタミナには余裕がある。
という訳で、全身全霊で爆走プラン実行!!
ウララの奴は・・・私から6バ身差でゴール。
こりゃあ、テクニックの差で勝ったようなもんだね。
戦いの年季の差を見せたといえば、聞こえがいいけど。
『BB2世、やっぱり速いねー』
ああくそ、これだからナチュラルボーン・フィジカルモンスターは。
こいつ、ターボと似たようなタイプだ。好きこそモノの上手なれとは言いますが。
「これ・・・ヘタしたら負けてましたね。まだ負けてやる気はありませんが。
けれどハルウララ・・・恐るべきヤツ!!」
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『おかしいと思いましたが、
やはり貴女は、生徒というよりは指導者だったのですね?
それならトレーナーが務まるのも納得です』
ははは、飛び出して来やがったよグラスワンダー!!
戦意むき出しの獰猛な笑みで。怖いよ怖いよ。
『敢えて名乗りましょう。
私はグラスワンダー・・・いいえ、マルゼンスキー2世と』
『岸波立香・・・ボトムブラック。
いいえ、BB2世とでもお呼びしましょうか。
生涯の宿敵として、全力であたらせて頂きます』
「出来るもんならやってみやがれ。
差しとかいう汚い忍者技は、黄金の鉄の塊には通用せんことを思い知れ」
何か意図しない言葉が出てくるんですが、血の宿命ってやつかねえ。
マルゼンスキーと先代BBは、最強の逃げウマの地位を全力で争いましたが。
技巧派の先代BBに、馬力で勝負のマルゼンスキー。
スーパーカーの渾名は伊達ではないというか。
えっと、野次馬さん頼むからこっち見ない。
そして何で気配を消して後ろにいるの、マルゼンスキーさんは!?
『うちのグラスは強いわよ?』
『馬鹿娘、たんぽぽイーターに負けたらおしおきだからね?』
マルゼンスキーとメンチを切り合う、先代BB。
ほんっと勘弁してほしいです。
あ、次回私もメイクデビュー出ます。
###なれーしょん###
ハルウララの脚質が、逃げに変更されました。
『一体誰に似たんだろーね』
こんな所にまで突っ込んでこないでください、ゴルシさん?