また嫌われ薬ですか。冗談じゃねーぞ全く。
そんで引っかかったのは、私じゃあ無くてT後輩。
駆け出しだけど、そこそこ才能あるらしくて担当が3人います。
今まで出てきた嫌われ薬には、タキオンは解毒剤作ってるんだけど、
それが通用しなかったってことは、また新しい亜種ですか。
それの効果としては、
ウマ娘のヘイトを一気に引き寄せるフェロモンを出すってとこか。
『BB2世、お前俺のこと嫌いにならないのか!?』
まー、私は厳密にはウマ娘ではなく、ゲッターロボですからね。
幸いなことに、亜種の嫌われ薬で正気を失うことはないみたい。
ってことは、ウマソウルを持ってる純正のウマ娘だとやばいのか。
全く、厄介な亜種を作りやがって!!
「まー、オゴリだからと言って、
無遠慮に料理頼みまくるのは自重しろとは思いますが、
この程度のヘイト感情で正気を失ったりはしません」
『すまん、まだトレーナーデビューしたばっかだから厳しくて』
「この程度で怒るほど狭量ではないですが、
極力控えてくださいね。男を下げますよ?」
ウマ娘で味方はいませんね。
ゲッターチームもウマ娘である以上は、暴走の危険性が有る。
今タキオンが亜種の解毒剤を急ピッチで開発してるけど、
今逃げ切らないと、全く意味がありません。
担当ウマ娘達の様子を見ると、最悪実家に避難しても追ってきそう。
トレーナー室に引き篭って鍵をかけても、ウマ娘からしたら簡単に蹴破れますし。
トレセンでウマ娘に会わずに逃げるとかリームーだしねえ。
そうなってくると、先に犯人をシメ上げたほうが早いってもんだ。
とりあえず、理事長室で監視カメラ見せてもらおう。
これで嫌われ薬を盛った下手人の洗い出しが出来るはず。
******
『何でゴミムシがここにいるの?』
厄介なのに出くわしてしまいました。開幕でトウカイテイオーとかまじカンベン。
こいつ、めっちゃ速いんですわ。明らかに目のハイライトオフで殺る気マンマン。
「まー、後輩ですし先輩の私が助けても不思議じゃないでしょう?」
『暴力事件で皐月賞逃したでしょう?
ボクに叩きのめされたら、ジャパンダートダービーも夢のまた夢だね。
逃げるんなら今のうちだよ。私の獲物はこのゴミムシだから』
これ、カンッペキに暴走してるわ。嫌われ薬じゃなくて暴走薬かよ!?
『この程度で正気を失うアホにBB2世が遅れを取るとかあり得ない。
柔軟性にあぐらをかいたヘナチョコステップで、
また関節の蓄積ダメージで、骨折して泣くといいでしょう』
「野郎、ぶっ殺してやる!!」
あらまあ、トラウマ抉っちゃったみたいね。言葉も崩壊してらっしゃいます。
理性が仕事してたら、こんなの受け流せるはずなんですが。
左腕で後輩を掴むと、ワイヤーアンカー発射。
コレ、屋根に登ったりするのに便利なんですよね。
『あばよ、とっつぁん!!』
屋根を伝って理事長室までダッシュ。
男一人をお姫様ダッコして走れるって、ウマ娘ってやっぱ凄いわ。
いくらトウカイテイオーでも、パルクールまでは履修してないでしょう。
窓から侵入。理事長室にゴーだと思ってたんだけど、
テイオーのヤツ、先回りしてやがんの。
こうなったら、格闘戦で対応するしか無いですかねえ。
けれど不幸は重なるもんで、敵増援にシンボリルドルフまで来やがったよ。
さすがに二人は厳しいと思ったんだけど、お互い睨み合ってる様子。
『そいつは私の獲物だ』
『カイチョーでも譲れないなー。急に出てきて』
あー、これアカン奴だ。まじで殺る気の目だ。
・・・よーし。テイオーは眼力に負けて退散しましたね。
けどシンボリルドルフは、テイオーより強敵なんですが。
けどマジメにやってたら、助けっていうのは現れるものです。
G(ゴルシ)先輩、こんなとこで何やってんの!?
『だいたい事情はわかったぜ、BB2世?』
「ゴルシ先輩、退却してください。今回の嫌われはガチです!!」
『こんなのに惑わされるほどヒヨワなゴルシちゃんじゃねーぞっと』
ちょっと待て。ホントにゴルシは嫌われの影響無いっぽいぞ!!
『予防接種頑張ったあと、
トレーナーにいい子いい子してもらってたルナちゃ~ん』
・・・・これは酷い。黒歴史ブッパかよ!?
そして、メッチャ動揺してるルドルフさん。
『トレーナーが幼名で呼んでくれなくて、顔を膨らませたルナちゃ~ん」
笑っちゃダメだけどヒデェ!!
「ゴルシ先輩、何で知ってんの!?」
『野郎、ブッ殺してやるぁ!!』
『さーて、全力で拡散してやろ~か』
テイオーと同じセリフで追いかけていく。因果を感じざるを得ない。
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で、理事長室前に最大の難敵。グラスワンダーとエルコンドルパサー。
これ無理ゲーじゃねえか!?
確かグラスワンダーは、まっとうな武術が使えたはず。
エルコンドルパサーはプロレスっぽいけど。
いや、何とかなるかもしれませんね。
ゴルシ先輩がシンボリルドルフを挑発したとき、
ルドルフは、T後輩ではなくゴルシ先輩にターゲットを変更した。
さーて、グラスワンダーのNGワードは何でしょうか?
って、間に入ったのは・・・・ハルウララ!?
『タンポポばっかり食べてて、自己管理できないデブウマだから、
日本ダービーで、BB2世に負けるんだよ。
やっぱりタンポポ食ってると、脳みそが退化するんだね~
それに、納豆にデスソースぶちこむお馬鹿と組んでちゃあ、
勝てるものも勝てないよ』
ウララ、ひでぇ!!
多分本心じゃあないと思うけど、えっぐい札を切るなあ。
『伝統を足でふみつけるような真似を!!
エル、覚悟しなさい!!』
よーし、ターゲット変更してくれた。今のうちに理事長室へゴーだ。
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「着いた…」
理事長室で出迎えてくれたのは、緑の悪魔T。
『ボロボロですがどうしたんですか?』
「また懲りずに嫌われ薬だ!!」
Tの目つきが鋭くなった。Tが暴走したらオワタだぞ?
『私は人間ですから、暴走なんてしませんよ』
あー、正体バラしたら蹴るっていう意思表示ですか。
監視カメラの映像を照会してみると、犯人めっけ。
・・・その手があったか。
頑強な金庫に封印された嫌われ薬の原本。
要は、金庫ごと持ち去れば、安全な場所で開ければいいだけだしね。
しっかし、亜種に改悪するのはどこでやったんでしょうか。
『とりあえず、ウマ娘もここまでは来られません。
T後輩さんも、地下室でほとぼりが冷めるまで耐えれば大丈夫です。
どういう訳か、ウマ娘の皆さんは私の怒りを恐るようで』
あーTの正体はトキノミノルですし、役者が違いすぎる。
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後日、無事解毒剤が完成してT後輩は助かりました。
数日間、シンボリルドルフはトラウマのせいで引きこもってたらしいけど。
結果はベターと言ってもいいでしょう。
ゴルシ先輩と、ウララにはガチで造ったにんじんぷりんを差し入れました。
ケガが無くてよかったと思う。
そして嫌われ薬の効果を精神力で抑え込んだことに敬意を表します。
当たり前のことをしただけらしいんですが、コレが一番難しい。
で、問題の下手人ですが、粛清された悪質トレーナーの子供らしい。
やっぱ自業自得でもウラミって発生するんですね。
それで、私がT後輩を連れて逃げられた理由ですが、
ゴルシ先輩とハルウララを筆頭に、追跡を妨害してくれた味方がいたらしい。
スーパークリーク、タマモクロス、オグリキャップ、キングヘイロー。
そしてツインターボ。
彼女らにも、にんじんぷりんを差し入れましょう。オグリが怖いけど。
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それで、また後日。
『おいこらテメェ、わりゃあタイキックじゃヴォケ!!』
鈍い音とともに、男の絶叫が響き渡ります。
ぶちきれたTからの、タイキックの刑。まだ大晦日には早いんですが。
気絶するギリギリの威力に抑えたキックは流石です。
その後、警察屋さんに出荷されて、法の裁きを受けるんですが。
で、私はというとアグネスタキオンと科学的なお話をしてます。
『素晴らしい。ランクダウンさせたとはいえ、
このトレーニングが一般化すればケガはもっと減るだろう。
ふむ、これは私もうかうかしている場合じゃないね』
『ところでだよ。私が解毒剤も作らず、
嫌われ薬をバラ撒いたとしたらどうするかね?』
「真っ当な科学者であるタキオンさんならまずやらないと思いますが。
やったらまじで蹴飛ばします。全力で。
人間とウマ娘・・・人バ一体にヒビを入れる嫌われ薬であれば、
その存在は許してはなりません」
『そうだよねぇ。
けどこれで嫌われ薬のオリジナルも消失した訳だ。
結果だけで言えば、処分に成功したと言えるだろう。
こんなものを造ってしまったのは、私のハジな訳だが』
「どうかね。タキオンさんの非凡さは認めます。
けれど貴女が作れたなら、他が作れないはずはないとも言えます。
嫌われ薬のグダグダはこれっきりにしてほしいですが」
『亜種の解毒剤が必要なら、いくらでも解析してから作るさ。
BB2世の言う通り。こんなものの存在を許してはならない』