ウマ娘 CCCダービー   作:トリムマウ

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ツインターボ実装はよ


第6走目 ツインターボ

一着のウマ娘をスカウトするのは難しいと申します。

沖野Tの言葉なんですが、それは百聞は一見に如かずということで。

今現在体感してることであります。みょん。

 

選抜の場となる模擬レースって、スカウトの優先権は主催者にあるんです。

当然1着になるような優秀なのは、取れない訳で。

とか言って、チームスピカは規模が不足してて模擬レース開催とか無理な訳。

そうすると、余り物を狙うかしか無い訳なんですよ。

ウチの門を真正面から叩く物好きさんがいれば別ですがね?

 

その上、レースで5着くらいまでの娘は、

他のトレーナーが近寄って声をかけているところが散見されます。

その場でスカウトが成立している様子はあまり見られなかったですが。

まー、大御所と言われるリギル加入を目標としてここに来てるんだから、

他のところだと即決とまではいかなかったんでしょうが。

はい、申し忘れましたが、模擬レースの主催者は東条ハナさんとなっております。

 

リギルが各距離の模擬レースで無事スカウトを終えると、

参加していたウマ娘の皆さんは落ち込んだ表情を浮かべながら帰ったり、

あるいは他のチームの模擬レースに向かいました。

特に、一着を獲ったウマ娘がスカウトを断った時に一緒に走っていた娘たちは、

表情に影を落としている。かな~り厳しいんだけど、

コレが才能の世界というやつか。

 

ええっとね。持論ですが、

ウマ娘が大成できるかどうかは、持ってる才能ではありません。

自分の才能を100パーセント近く発揮できるかどうかだと考えます。

質の悪いトレーナーに当たって散った新星は多数ありまして。

チームリギルが人気なのは、

トレーナーの質が保証されてるからってのもあるでしょう。

おハナさんの管理に耐えられればですが。

我の強いのにはリームーだと思います。私を筆頭に。

 

誰にも従わない者は、指導者にならざるを得ないというのが、

何処かのエライ人の言葉でして。

私の望むのがどういうのかと申しますと、ぶっ飛んだバカです。

サイレンススズカは優等生すぎまして。

 

******

 

「居たよバカが」

 

模擬レースに片っ端から参加して、全部玉砕したおバカさん。

けれどそのおバカパワーが大事な訳で。

結果を叩き出すヤツっていうのは、だいたいそういうバカばっかりです。

まあ私も含まれるんですけどね。

トレーナー限定の、スペシャル馬鹿決定戦で入着できるんじゃなかろうか?

 

「なぁ、ちょっと良いか?」

 

『ハァッ……ハァッ……なにぃ?』

 

レース場から外に繋がる芝の坂。

大の字で息を荒げるウマ娘に声をかければ、どう見てもマトモな様子じゃなかった。

そりゃそうだ、この数時間で何キロ走ったんだって話。

 

「無理はいけません。休んでて下さい。

 これを飲めば、少しづつは回復するでしょう」

 

返事を待たずに、人参ジュースを取り出す。

糖度15オーバーのフルーツ人参を絞ったものに、調整成分を入れた特注品。

これが、ウマ娘基準で栄養補給には最適な訳で。

私にとっては、罰ゲームドリンク以外の何者でもありませんが。

 

(だからウマ娘の皆さんは何でこんなのおいしいって言って飲むんだ?)

 

『もう、ハァッ……のどっ、カラカラ』

 

あー、起き上がる元気まで走りに費やしてしまってるのか。

こりゃあホンマモンのバカだ。

 

「身体起こします。焦らず飲んで下さい」

 

******

 

「今更だが名前、聞いても良いか?」

 

『ターボはターボだよ! ツインターボ!!』

 

「ツインターボ、貴女は逃げが好きですか?」

 

『最初から最後まで一番で走り切るのが気持ち良いもん!!』

 

「チームスピカのサブトレーナ、岸波立香がツインターボをスカウトします。

 けれど、逃げにしたって最初から全力疾走することはないでしょう?

 二番手との距離を考え、温存して最後にスパートをかけるとか作戦はある筈だ」

 

『ターボは最初から全力が良い!』

 

うん。清々しいまでのバカだ。けれどそれがいい。

そこまで突っ切ったバカでないと、レースには勝てないですから。

うちのカーチャンとか!!

 

「宜しい。それなら嫌というほど全力疾走させてやる」

 

ツインターボは馬鹿だ。最初から全力疾走とか作戦も糞も無いと言っていい。

だがしかし、コレは逆から見ればとんでもない強さになる。

どんな時も周りを気にせず全力を出せる。これはとんでもないアドバンテージだ。

他のウマは作戦とか色々寄り道して、それが裏目って失敗することもあろう。

けれどツインターボにはそれが無い。

 

「勝てば英雄、負ければバカ。話は簡単に分かりやすく。

 どうせ全力疾走するなら、勝ちたくないですか?

 傲慢チキな奴らを、圧倒的なスピードで”ごぼうぬき”にしてやる!!」

 

うーん、公の場でこういうこと言っちゃうと、目線が冷たいです。

 

「貴女の強さは、レースに出たら絶対に全力を出せるということです。

 他のウマ娘が仕掛けどころを探ったり、

 スタミナを温存するか早めに前に出るかとかを考えて、

 実力を発揮出来ないこともある中で。」

 

「BB2世が言います。私がやれって言ったことは全部やれ。

 やるなと言ったことは絶対にやるな。その代わり私は一着を取らせてあげます」

 

BB2世・・・周りにとってはとんでもないパワーワードみたいですね。

先代BBが色々やらかしたお陰なんですが。

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