ロンドンの一角に建築された新王立寺院。
本日、戦勝祈願式典が行われるその場所では多くの王族や諸侯らが参列するその場所に明らかに場違いな雰囲気の一行が到着する。
牛車だ。
産業革命を迎え、多数の近代的な設備が整っている中でも異様な様相のその一行から降りてくる凹凸の少ない一人の四角い顔が特徴的な男、堀川公である。
「東方の瀛州より先の太政大臣にして特命全権大使堀川昌康公。貴国の戦勝祈願式にご臨席賜りたく候」
それを読み上げるは牛車の脇に控えて護衛を務めるちせ。
王国側は日本の用意した時代後れとも言える牛舎の登場に驚きつつも、相手は我が国と条約を結んでいる国家である。
国家の代表として訪れている以上、丁重に迎える必要があり。おまけに自分らの敬愛する女王陛下の招待状もあれば通さない理由も無く、堀川公等は簡単な手続きを済ませた後に新王立寺院に入って行った。
その頃、クイーンズ・メイフェア校では。
「さてと」
茂みに隠れて校舎を見るマリアは横でかがむアンジェを見る。
「いかがなさいますか?」
「まずはプリンセスの居場所を知りたい」
「なるほど…」
糸目で顎に手を当てて軽く頷くマリアにアンジェは真剣な目で少し睨んで返す。
「知っているの?」
「いえ、流石に私でも分かりかねます。彼女は私の因子を持っておりませんので」
「…」
魔女と言う生き物はつくづくよく分からない。
人であるのだろうが、魔法を見た事がないので本当にそんなものがあるのかと聞きたくなる。
ただ、心臓を撃っても死なない彼女の人ではない何かなのはすでに見た後なので魔女と言われればそれで済むのだろう。
「使えないわね」
「申し訳ありません」
割と本気で気を落とすマリアにアンジェは少し引きながら軽くため息を吐いた。
「とりあえず私は行くわ」
「えぇ、畏まりました」
そんなアンジェを見送るマリア。その手には見た事の無い装飾の施された杖を握っており、それを見たアンジェは
「魔女の杖?」
と疑問を呈していた。
そして校舎に移動したのを見送ったマリアは軽くため息を吐いた。
「やれやれ、頑固なのも困りものだ」
そして次に耳に手を当てると、口を開く。
「そっちの状況は?」
すると彼女の耳にはクラウスの声が聞こえる。
『異常はありません。予定通り行事は進んでおります』
新王立寺院の上層、片手に特製のコルダイトを使用した50口径の改造マルティニ・ヘンリー銃を持つクラウスは耳に手を当ててマリアに答える。
下では会場に入ってくる各国首脳陣の姿が確認され、その中には日本の使節団の姿もあった。
「女王陛下は容体も兼ねて最後に御登板される予定です」
クラウスはそう話すと、マリアも短く頷いた。
『了解、私も今からそっちに行くわ』
「はっ」
そこで通信を切ると、そこでクラウスは立ち上がるとそこで彼は反対で待機していた黒い影にハンドサインを送るとその影は軽く頷いた後にその場から消えていった。
王国兵の武器はリー・メトフォードと仮定します。