プリンセス化けたアンジェに誘われて一緒に踊っている頃、本物のプリンセスは……。
「……ねえベアト」
「何でしょう姫様?」
「悪魔と天使、嘘をつくなら何方だと思う?」
プリンセスの問いにベアトリスは。
「それは、悪魔じゃないですか?天使は神の使いですから真実しか言いません……」
と答えると。
「じゃあ、私は悪魔の方と手を繋ぎたいわ……」
と言った意味深な発言をした。
その頃会場では。
「光栄です、プリンセスと踊れるとは」
「すみません、奥様の前で」
「え?あ、彼女は違うますよ」
「そうなのですか、お若い奥様かと……」
と言って先程一緒にいた女性をモーガンの妻だと思っていたことをモーガンは訂正した。
「妻は同い年です、幼馴染でした」
「ふふっ、逞しい奥様ですのね」
「妻にはよく怒られました。貴方は慎重なんではなく臆病なんだと……」
「委員はもう一度家族と暮らしたくて、亡命を選んだのですね」
とプリンセスの発言にモーガンは動揺した。
「な、なんのことです。私は……」
と言うとプリンセスは転ぶ振りをしてモーガンの胸に耳を当てる。
「左右の呼吸音が違います、右の肺を病んでいますね」
「え?」
「最後くらい家族と過ごしたい。違いますか?」
と言うプリンセスの考えにモーガーンはまた動揺した。
「委員はウェストカントリーのご出身でしたよね」
「何故それを」
「先程、炭鉱をバルと呼ばれていました、コンウォールの言葉です」
「人は少ないが美しい場所です」
「余生はそちらで過ごされるのが最良でしょう。私が奥様をコンウォールからそちらへ亡命させたいと思いますわ」
「それは……」
プリンセスの考えにモーガンは驚いた。
「貸金庫の鍵はどうかそのままお持ち帰り下さい」
「…それは無理です、私の周りにはノルマンディー公の部下が……」
と言って無理だと話す。するとプリンセスは提案を持ちかけた。
「では、鍵は私がお預かりします。持っていなければ奪えないでしょう」
「んん……」
「鍵は後ほど奥様と一緒にお送りいたします」
「……プリンセス、貴方が計画書を悪用しないと言う保証は?」
と言って安全性を聞く。
「ノルマンディー公に保証があると?」
「ん……」
と言ってモーガンが少し考える。
「どうせ縋るなら、女神の方にしませんか?」
と言われるとモーガンは決めたような顔で、
「プリンセス、今日のことは一生の思い出となります」
と言ってプリンセスに鍵を渡すことを決めた。
「こちらこそ」
と言ってプリンセスにこっそり鍵を渡した。
そして使ったドレスをそのまま着替えた上でプリンセスの居る部屋に渡しに行った。
「凄いわアンジェ、ワインのシミが完璧に消えてる!」
と言ってアンジェにドレスのことを誉める。
「田舎でこう言う仕事を手伝っていたことがあって……」
と言ってアンジェは適当な理由をつけて返答をし、一行は再び会場へと戻っていった。
会場に入った一行はプリンセスから聞かれた。
「ねえ、アンジェ。そろそろ教えてもらっていいかしら」
「ん?」
「西側のスパイが私に何のごようかしら?」
「!!」
「え!」
とドロシーとベアトリスは驚いた様子で見た。
「そんな!私みたいな田舎者を揶揄わないでください!」
「叔父のノルマンディー公が間も無く到着するわ。知っているでしょ、この国のスパイの総元締めよ」
と言うと諦めた表情でアンジェは眼鏡を外し、
「要件は何?」
と言って先ほどとは違った声色で話しかけた。
「え!まさか本当に!」
と言ってベアトリスは大きな声を出してしまったがプリンセスが抑える。
「目的は?」
「女王になりたいの」
「姫様!」
「貴方の王位継承順位は第四位……」
「貴方達が手を貸してくれれば一位になれると思うの」
プリンセスの言葉にベアトリスが。
「国を売るおつもりですか!?」
「ごめんなさいベアト。私、悪い女だったの」
と言うとベアトリスが困惑しているとドロシーが、
「話が大きすぎる、わたしたちの一存では決められない」
と言うととプリンセスは……。
「では、決められる人に伝えてください。私と手を組みましょ、回答がYES以外の回答だったらこの場で貴方達二人の正体をバラします」
と言ってプリンセスは二人に選択を迫った。その頃パーティー会場の出口近くでは……。
「ノルマンディー公の到着までお待ちください!」
「今日は体調がすぐれん、公には後日ご挨拶申し上げる」
「っ…!!そんな勝手があるか!!」
と言った女性と揉めていると反対側から一人の男が車から降りてきた
「これはモーガン委員、どうかされたかな?」
「ノ、ノルマンディー公……」
すると女性が、
「長官が、体調がすぐれずお帰りになりたいと……」
と言って事情を説明するとノルマンディー公は。
「おお、それは行けませんな。今日のところは大使館に戻られてゆっくりされるといいでしょう」
と言って近づいたすきにモーガンの腹部に指輪のようなものを押し込むとものままモーガン委員は倒れてしまった。それを見たノルマンディー公は、
「狙撃だ!委員が狙撃されたぞ!内務卿の権限を持って周囲の道路を封鎖、会場内すべての王国民に対しボディーチェックを行え!」
と言って近づいて兵士に指示を出した。
「殿下!?」
と言って女性は倒れたモーガンについてノルマンディー公に聞く。
「急所は外してある」
と言って体を触ると……。
「やはりな……館をしらみつぶしに探せ。会場の誰かが鍵を持っている」
と言ってノルマンディー公も中に入っていった。