アルビオン王国屈指の港 サウザンプトン
この日、港に到着した客船から特徴的な服装をした一団が降りてきた。
「日本人?」
「日本って……チョンマゲ、ワフク、ハラキリ……とか?」
そう言って客船から降りて来たのは条約改正のために日本からやってきた堀川公であった。今回、プリンセスは堀川公の出迎えに来ていた。
「極東の島国相手なら、ウチらの空気姫で十分って事か……」
「リスクも考えた上でしょうね、おそらく暗殺者の件は王室の耳にも入っているでしょうから」
そう言ってプリンセスの後ろに控えているアンジェとドロシーがそう口をこぼすと堀川公がプリンセスに挨拶をした。
「初めまして堀川公。ようこそ、アルビオン王国へ」
「プリンセス自らの出迎え。誠に恐縮です」
そう言って堀川公は頭を軽く下げた。
プリンセスは堀川公が来る前に日本について詳しかったマリアに色々と日本について聞いていた。
「ねえ、マリア」
「何かございましょうか、姫様」
「確かメアリは日本について詳しかったわよね」
「ええ、まぁ……私の祖父がオランダ人に化けて日本の出島に行って居ましたから。家には日本から持って帰ったものとかがありますよ」
そう言うとプリンセスはぜひ見たいと言うことでメアリは後日、家から日本に関する物を持って来た。
「姫様、まずこれがワフクと呼ばれる日本人の着ている服です」
「まあ、こんな綺麗な物なのね」
そう言ってプリンセスはメアリの持ってきた和服を見て少しはしゃいでいた。珍しいものにアンジェ達も興味津々で見て居た。
「こんなにたくさんの柄が入った服なのか」
「すごいです。メアリさんがこんな物を持って居たなんて」
「日本という国は派手好きなのかしら」
そう言って着物に書かれた鶴の柄を見ながらそう言った。するとマリアは日本という国について詳しく話し始めた。
「日本という国は極東にある島国で、全員が礼儀正しいとか。それに最大限の感謝の証として両膝を地につけて頭を下げる。えっと……確か土下座とかいうものだと……」
「不思議な文化を持っているのですね」
「なに、世界にはいろんな文化がある。アルビオンやフランスにだって違う文化だろう?」
ドロシーがそう言うと全員が納得をした。そして、用意した王族専用列車に集団で土下座をされた時、知って居たのにも関わらずその光景に困惑してしまった。
「(
そう言ってメアリは心の中でそう思った。そして改めてメアリはプリンセスが重要視されて居ないことに気づいた。外国の要人とは言え容易く案内人にしたり、別に衛兵がいるとは言え実質的に護衛なのは自分とベアトリスしかいないからだ
「(
そう言うとメアリは列車に乗り込んだ。アンジェ、ドロシー、ベアトリスの三人はメイドとして乗り込んだ。
走り始めた列車は数時間経ち、列車は田園地帯を走り抜けていた。その間、プリンセスは堀川公と紅茶を飲み合っていた
「なるほど……堀川公の熱意は伝わりました。私には何お決定権も御座いませんが……必ずお婆さまにお引き合わせると、約束しましょう」
「「おぉ……!!」」
堀川公が声を上げると再び土下座をした。引き攣った表情をしたプリンセスに横からメアリは補足説明をした。
「姫様……土下座と言うものは日本では最大の礼です。そんなに顔を引き攣らせれば、かえって気まずい雰囲気になるますわ」
「そ、そうね。……マリア、紅茶のおかわりをお願いできるかしら?」
「畏まりました」
そう言って紅茶を注いだ時だった、マリアは客車の上に誰かが降り立った感覚があった。
「姫様、上に誰かが来た様です」
「え?」
今は走行中の列車である、屋根の上に人がいる事態おかしい事だったが、次の瞬間。
ドォオーーーン!!
と言う銃声が聞こえた。そして次に聞こえたのは……
『うぉぉぉぉぉぉぉおおお!!』
と言うドロシーの声であった。
「……」
「これはもう……言い逃れできないですね、姫様……」
そう言ってマリアとプリンセスの二人はお互いに顔を見合わせてしまった。