【完結】劇場版 ヴァールハイト・プリキュア もう一つの未来!?王〈レクス〉と青翼の花嫁〈コルーリ〉!   作:32期

15 / 19
ごきげんよう、32期です。今回はシードVSレクスを中心にお送りしていきます。キュアシードの新しい姿をご覧あれ!では、お楽しみください!

オールスターズFにキボウノチカラの最新情報も結構出て来て、今年は豊作ですね~!それから、7月16日がキュアプリズムこと”虹ヶ丘ましろ”ちゃんの誕生日でした!優しい事で、誰かに寄り添える……素敵な子です!私は今回の推しキュアに彼女を選びました!これからの戦いも頑張ってね!お誕生日おめでとう!


チャプター12:シードVSレクス!銀河の種 ギャラクシード、爆誕!

side:種

 

 私は——時生 駆を誰よりも知っている。

 

クアライト『コルーリは……カイザーンとの戦いで死んだクア。キュアシード、君もクア』

 

 アカシック王国でクアライト博士からそう聞いた時から、頭の中で考えていた。もしもこんな事になれば——《”時生 駆”ならどうするのだろう?》って。正直、考えるまでもない事だ。そんな事は——聞いた瞬間に答えが出る事だ。それくらい私は時生 駆を理解している。でも、”もしも”があるかもしれないから考えた。

 

レクス「悪いけど、”僕”……お前は後だ!」

 

 しかし、その言葉を聞いて確信になった。レクス——未来の駆は、やはり”時生 駆”なんだ。私の思った通りだった。駆は全てを救おうとする。自分以外の全てを救おうとする——それは分かりきっている。私を駆から分断して、私と直接話し合おうとする——だから、私は身体の主導権を奪い抵抗しなかった。だけど、駆の身体についたままにしてはいけない装備を外して、一応の準備をする。

 

種「……やっぱりこうなったね。大事な物を外して正解だったよ」

 

駆「種っ!種っ!!種っ!!!」

 

種「タネ、また嘘をついちゃった。一緒に戦おうって約束……守らなくてごめんね、駆。でも、安心して。タネの嘘は……これが最後だから」

 

駆「種っ!!!!種っ!!!!!」

 

ガンガンガンッ!!!!!

 

種「大丈夫!タネがぜ〜んぶ終わらせて来るから……そこで待っててよ」

 

 嘘をつくのは嫌だった——でも、これを最後の嘘にする。私は外した装備を身につけると後ろで拘束された駆に謝罪をしてレクスに向き直る。一歩ずつ前へ進み、レクスの前に立つ。

 

レクス「流石だよ、種。俺がしたい事……分かったんだ」

 

種「全部じゃないよ。私に用があるって事しか分からない。でも、私と話をする為にお兄ちゃんと私を分離するかもとは思った。……で、私に何の用があるの?タネとしては、さっさとコルーリを返してもらって、さっさとカイザーンの奴を倒しに行きたい訳なんだよね」

 

 私は嘘偽りない感想を伝えると、レクスの次の言葉を待つ。

 

レクス「分かった、手短に行こう。まずは……俺の提案について、お前の意見が聞きたい」

 

種「……提案?」

 

レクス「種、もう戦うのはやめて……"新しい人生"を送りたくないか?」

 

種「新しい……人生?」

 

レクス「そうだ。当たり前に生きていれば味わえる"普通の一生"がおくれる……新しい人生だ」

 

 ああ——やはりそうなんだ。優しい駆——貴方は、救えなかった《貴方を愛した私》を目の前にいる私に重ねているんだ。

 

レクス「強大な敵と戦う事がない。お前を愛してくれる両親の元に生まれて、学校に通って、友達ができて、お前を愛してくれる男性に出会って……結婚して、子供が出来て、その子供にも子供が出来て、最後は……皆に見守られて一生を終える。その間に嬉しい事も、辛い事もあるけど……そんな当たり前をおくれる人生だ」

 

 プリキュアとして戦うと言う"非日常"は存在しない——普通な人生。生きていく中で生じる幸福も不幸もある当たり前の人生。それは今の私には遠い思い出で、叶えられない夢で、既に終わらせてしまった事。憧れがないかと言われれば嘘になる。

 

レクス「種、お前は……もう十分に傷ついた。命を落としたあの時に……お前は一生分、傷ついたんだよ。それなのに、お前はまだ傷ついている。俺《時生 駆》と一つになったせいで戦いに巻き込まれて、傷つかなくていいのに傷つき続けてるんだ。なあ、だからもうやめよう?後の辛い事は全部俺が引き受けるから……お前は幸せになるだけでいいんだ。俺がカイザーンを倒してやる。それで終わりになる。戦う意味なんてない……全部、俺に任せて楽になっていいんだ」

 

 あなたは自分を犠牲にする選択を選ぶ——それも知ってる。背負わなくていいものを無理やり背負い、自分を苦しめて、誰かを助けようとし続ける。

 

種「新しい人生か。それは……とっても素敵な提案だね」

 

レクス「ッ!?……そうだろ!」

 

種「……ねえ、質問して良い?」

 

レクス「勿論、何でも聞いてくれ」

 

 私は誰より——時生 駆を知っている。

 

種「新しい人生ってどうやって用意するの?」

 

レクス「Aqライトで新しい”世界”を生み出すんだ。カイザーンが創造した2019年の世界みたいにな。俺の力はカイザーンほど万能ではないから……俺の持つ全てのAqライトを使っても1回しか作れないかもしれない。でも、お前の為ならそれでもいい。お前の幸せの為なら……全てを引き換えにしたって構わない」

 

 あなたが優しくて、誰かのために何かが出来る事——。

 

種「そっか。それじゃあ最後に……私にとって一番大事な事を教えて」

 

レクス「ああ、構わないよ」

 

種「その新しく生み出す世界に……”時生 駆”は存在するの?」

 

 そして、誰よりも自分《時生 駆》という存在が——大嫌いな事を。

 

レクス「……”時生 駆”はその世界に存在しない。必要がないからな」

 

 レクスは真顔になると、真っ直ぐに私へ鋭い視線を向けて、私の問いに答えを提示する。先程までどこか嬉しそうだった表情とは違う——まるで仮面でも被ったみたいな無表情で、彼の瞳にあった輝きが無くなる。

 

レクス「種、時生 駆って存在は……例えるなら、世界にとっての”癌細胞”だ。存在するだけで人を不幸にする。そのせいでプリキュアさんが、コルーリが……お前が消えた。種、この世界の有り様を見せただろう?それも全て時生 駆のせいだ。時生 駆が存在すれば……全てを不幸にする。お前が生まれ変わる世界に、そんなものは必要ない。だから、存在しない……いや、存在させない」

 

 そう——あなたはそうすると思った。その答えが返ってきたなら——。

 

種「そうなんだ。それじゃあ……」

 

 私の答えは——もう決まってる。

 

種「私、そんな人生なら……いらないよ」

 

レクス「……どうしてだ?時生 駆がいたら……また今と同じになるかもしれないんだぞ?また、命を落とす痛みを味わうかもしれない。それによく考えてみろ。世界の人口は2019年で約77億人だ。その半分が男なんだぞ?お前を幸せにしてくれる男なんていくらでもいる。時生 駆にこだわる必要なんてないんだよ。お前は……まだ子供だから分からないだけだ。大人になったら理解できる。だから、今は俺の言う事を聞くんだ」

 

種「タネにとって、駆は全てだから。私の幸せは……駆がいないと絶対にあり得ない。そんな人生なら……ないほうがマシ。それにね、”お兄ちゃん”は……私と”ずっと一緒に居よう”って言ってくれたの。自分の人生が終わってしまう時までずっとって約束してくれた。タネの一番欲しかった言葉をくれた。タネにとって……それが全てなの」

 

レクス「はぁ~……我儘を言うなよ、種。お兄ちゃんの言う事が聞けないのか?」

 

種「あなたは……お兄ちゃん《私の愛する駆》じゃない」

 

 私からの拒絶を受けたレクスは、今まで向けたままだった顔を下げる。そして、小さく下唇を噛んで数秒——彼は再び私に視線を向ける。圧倒的な絶望を纏った”敵意の視線”を。

 

レクス「全く……この分からず屋のバカ妹が。俺がずっと甘かったせいだな。仕方ない……俺も兄として、お前に灸をすえるとしよう」

 

種「何度も言わせないで!アンタは……お兄ちゃんじゃないっての!」

 

種『プリキュアプリケーション!インストール!!!』〈タップ〉

 

 私はプリキュアに変身、レクスも身体から溢れ出るAqライトをコート状にして纏い、私達は臨戦態勢をとる。しかし、私にはこのまま戦えば負けると言う確信がある。ここで使うしかない——私はしまっておいたミラクルヴァールライトを取り出す。

 

シード「……おばあちゃん、種に力を貸して」ボソッ

 

 空いた左手でおばあちゃんのマフラーを撫でて、自分にしか聞こえないくらいの小さな声で呟くと、覚悟を決めた私はミラクルヴァ―ルライトの一段階目までダイヤルを捻り、ボタンを押す。この後どうするのか——それがなんとなく分かる。

 

シード「はぁ~……とりゃっ!!!」

 

 私は赤い光を放つミラクルライトを——Qaウォッチにかざす。

 

Qaライト:〈Overflow〉

 

レクス「ほお……いきなり”切り札”を切るのか」

 

シード「本気でやらないと、あなたは倒せないから……ねっ!」

 

Qaフォーン:マスターセーフティー【Shutdown】、Qaフォーン”001”……リンケージ!〈スーパープリキュアップデート!〉

 

 展開したQaフォーンSのピンク側の背面をスキャンすると、今までになったことない音声がQaウォッチから流れ——変身用プリキュアプリのアイコンが変化する。

 

シード『プリキュアプリケーション!マスターアップ!!』

 

スーパーQaライト:フルアクティベーション……〈Ready?〉

 

シード『インストーーーーール!!!』〈タップ〉

 

 変化したアイコンをタップした瞬間、私の中にあるスーパーQaライトが全身から噴き出す。噴き出したスーパーQaライトが全身を包み込み、私を新しい姿に変えていく。そして、全てが生まれ変わると、私を包んでいた光が花弁の様に花開いていき——新しい私《シード》が露わになる。大きな星と真っ赤なリボンでまとめたサイドテール、首に巻かれた黄色のマフラー、アストラル・シードから更に星の意匠が増えたが、あの時よりもスカートのフリルは減り——どちらかと言えば華やかさよりも機動性を重視したワンピース、左手首にはいつもの赤いリボンがあるのだが——右腕はスーパーQaライトが常に炎の様に溢れてしまっている。

 

シード?「これじゃ……ダメだ。んっしょ……おばあちゃん、お願い!」

 

 何ともない左手でマフラーを外すとそれを空中に向かって投げ、それに右腕をかざす。すると、マフラーは無数の糸に戻り、私の右腕に絡みついていく。糸は私から溢れるスーパーQaライトを飲み込むように纏われていき、右腕全体を守る鎧となり、右の肩甲骨の辺りに球状のパーツを生み出す。

 

シード?「これで……も、足りないか」

 

 しかし、それでも私のスーパーQaライトが右手の甲から漏れている。おばあちゃんの糸が足りなかったのか、"懐中時計1個分"の穴が出来ている。これではまだダメ——そうだ!良い事を思い付いた!

 

シード?「ピッタリな"懐中時計……持ってるじゃん!おじいちゃん、おじいちゃんも手伝って!それっ!!」

 

 取り出したおじいちゃんの形見の懐中時計を、私は右手の穴にはめる。すると、見事にシンデレラフィット——完璧に穴を埋めたのだ。

 

シード?「これで……完璧!」

 

レクス「……それでOKなのか?だったら、そろそろ名乗ってくれるか?名乗ってくれないと"画面の前の方々"が退屈するし、俺も祝ってやれないからさ」

 

シード?「五月蝿いな〜!言われなくても名乗るわよ!おほんっ!さあ、心して聞きなさい!」

 

 そうだ——これで完成だ。これが——本当の新しい私《シード》だ!

 

ギャラクシード「輝く種から花開け!宇宙《そら》に花咲く銀河の種!キュア ギャラクシード!」

 

レクス「祝え!星をその身に、銀河を背に、想いを拳に込め、時の王者を討ち取らんとする光の乙女!イル・サルバトーレ!その名もキュア ギャラクシード!さあ、その拳は……俺《時の王者》を討つ事が出来るかな?」

 

——パチンッ!

 

 私に祝いの言葉を告げ終えると、レクスは指を鳴らす。すると、大聖堂が眩い光に包まれる。私は咄嗟に目を瞑り、光が収まるのを待つ——そして、ようやく光が収まり目を開くと、そこは私とレクスしか居らず、障害物も何もない空間に変わっていた。

 

ギャラクシード「……ッ!?こ、ここは!?」

 

レクス「お前の身体から溢れ出る力は、なんとなく感じるよ。それを遠慮なく振るわれると式場が跡形もなくなりそうだからな……場所替えだ。さあ、ここなら遠慮はいらない!掛かって来い、種……キュアシードッ!!!」

 

ギャラクシード「だったら……遠慮なくっ!!!!!」

 

 踏み込む足に全霊の力を込めて、私はレクスへと飛び込む。私の——大切な人を守るための戦いが幕を開けた。

 

 

side:シード

 

ギャラクシード「だりゃーーーーーっ!!!!!」

 

レクス「真っ直ぐストレートか……良いぞ!受け止めてや……」

 

 右腕を振りかぶり、レクスに飛び掛かるシード。レクスは余りにも単調な攻撃である為、自分との力量差を分らせようと左腕を伸ばして受け止める選択をする——が。

 

ゴンッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!

 

レクス「るっっっっっ!?!?!?」

 

 拳が接触した瞬間、レクスは腕に予想以上の衝撃が掛かった事に驚愕する。受けた途端に骨が呆気なき砕かれた。高密度のAqライトを纏っていなければ、即座に骨折を書き換えていなければ——一撃で腕が消し飛んでいた。

 

レクス「ぐぅぅぅぅぅっ!!!!!は……ははっ!や、やるじゃないか」

 

ギャラクシード「ふ〜ん、"普通のパンチ"だと……こんなもんか」

 

レクス「……普通?今のが?」

 

 レクスはシードの発言に疑問を浮かべる。受け止めた後も威力が落ちず、足で地面を抑えながらも身体が後ろに押し出された。自分が戦ったカイザーンのパンチよりも重い。その一撃を受けたレクスの感想は、"惑星で殴られたみたい"と考えていた。それが"普通"なのか——と。

 

ギャラクシード「うん、普通だよ。ただ力を込めて殴るだけ。でも……ここからは"愛情"を込めて殴るよ」

 

レクス「愛……情?」

 

ギャラクシード「私のありったけの愛情を込めて……あなたを殴る。愛する駆を守る為に。あなたの為に消えた……あなたを愛した私の為に。だから、覚悟して」

 

カチッ——ガキンッ!

 

ギャラクシード「私の愛情は、地球より大きいからっ!!!」

 

 再び拳を構えるシード。彼女の右手に嵌った懐中時計の秒針が反時計回りに一周すると、右肩甲骨に出来た球状の部分から音が響く。そこには30センチくらいの赤く輝く"花弁"の様なものが一枚出来上がる。

 

ガシャンッ!!!!!

 

 そして、その花弁が肩の球体に勢いよく差し込まれた瞬間——。

 

レクス「ッ!?」

 

球体は赤い光を噴き出し、シードをレクスの目の前へ——一瞬の間に移動させる。並外れたレクスの眼をもってしても捉える事が出来ない程の加速力にレクスは再び驚愕する。

 

ギャラクシード「だ〜〜〜〜〜……」

 

 ——が、それだけでは終わらない。シードは移動に使った加速の勢いを消さない様に、身体を回転させていたのだ。シードの持つ惑星を思わせる程のパンチ力、スーパーQaライトによる加速力、その2つが合わさった時——。

 

ギャラクシード「りゃっ!!!!!」

 

 その拳を、もう止める事は出来ない。

 

レクス「ぎっ!?!?!?」(ダメだ!圧縮したAqライトの防御を超えてくる!回避を優先しないと!だが……!)

 

ギャラクシード「だりゃーーーーーっ!!!!!」

 

レクス(早すぎる!距離が離せない上に、見切りきれない!)

 

ギャラクシード「まだまだーーーーー!!!!!」

 

カチッ、カチッ——ガキンガキンッ!

 

レクス「2枚……だと!?」

 

 シードの声に応える様に懐中時計は再び針を戻し、肩の球体に花弁を作り出す。しかし、花弁は1枚では無い。作り出された2枚の花弁——その内の1枚が先程と同じ様に球体に差し込まれ、シードは再び加速する。

 

ギャラクシード「もっと……重く!!!」

 

レクス「ッ!?」(まだ見切れない!避けられない!)

 

ギャラクシード「だりゃ!!!!!」

 

レクス「がはっっっっっ!?!?!?」

 

 アッパーで鳩尾に決まるシードの拳。Aqライトのコートにより貫通はしなかったが、胸骨や肋骨、内臓は間違いなくタダでは済まない——が、レクスはこう考えていた。

 

レクス(Aqライトで書き換えれば問題ない!寧ろ、当てた瞬間こそ油断する!その隙に……!)

 

——キランッ

 

レクス「……えっ?」

 

レクスの視界に、何かが入り込んだ。赤く輝く"何か"——それが何であるかはすぐに分かった。シードの背中にあるはずの"赤い花弁"が空中に浮いていたのだ。それがシードの右腕に落ちると、次の瞬間——。

 

カチャ ——ボウッ!!!!!

 

ギャラクシード「飛べーーーーーっ!!!!!」

 

レクス「ぐあぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 シードの右肘から破裂音に似た轟音が響くと、まるで"ブースター"の様にスーパーQaライトが噴き出す。シードは攻撃を当てた後も油断などしていなかった。寧ろ、追撃を考えて、それを実行した。それにより、レクスは回復する事も出来ず、更なる追撃により大きな痛手を負ってしまう。

 

レクス「ぐっ!……ふぅ〜。よっと!危ない危ない!流石に意識が飛ぶかと思ったよ!それにしても、どんな運用したらそんなスペックとQaライト出力を実現出来るんだ?明らかにお前のQaフィール……Qaライトの最大使用限度を逸脱してる。アストラル・シードの様なQaライトの圧縮も、エクシードの様な強大なQaフィールもない状況で。どんなカラクリだ?」

 

 吹き飛ばされて床に倒れ伏すこと数秒、レクスは傷の書き換えを終えて立ち上がる。そして、これまでの状況を整理して生まれた疑問をシードに問う。

 

ギャラクシード「……愛情パワーだよ」

 

レクス「いや、そう言うんじゃなくてさ……」

 

ギャラクシード「私に聞かなくても、ある程度は分かってるんでしょ?」

 

レクス「……本当にお前は察しがいいな」

 

 レクスは疑問に対して、頭の中である程度の仮説を立てていたが、それをシードは察していた。それが分かったレクスは、自分が立てた仮説を口にし出す。

 

レクス「Qaフィールの最大使用限度に従ってたら、その出力は出せない。シード、お前は"Qaフィールを通さずにQaライトを使用"してるんだろ?おばあちゃんの"繋ぐ"力がある糸をパイプ替わりにして、直接放出する事でな」

 

ギャラクシード「……正解。Qaフィールは変身の維持に全部回して、それ以外はおばあちゃんの糸を通してQaフィールを無視して使ってるの。そこまで分かるなら、Qaライトの消費が激しいのに直ぐに回復する理由も分かってるよね?」

 

レクス「Qaクリスタルの共鳴現象によるQaライトの過剰発生と女性特性の"膨張"……かな。過剰発生のスピードだけだとシード1人分のQaライトは賄えない。膨張の特性を合わせて、"Qaライトが半永久的に増える状態"を生み出したんだ。1のエネルギーが100になり続けるって具合に」

 

ギャラクシード「う〜ん……それじゃあ、70点の解答だね」

 

レクス「……まだ何かあると?」

 

 レクスは自分の仮説に付けられた点数を聞いて、シードの並外れたエネルギー効率にまだ秘密があると察する。それを尋ねられたシードは、残り30点分の解答を話し出す。

 

ギャラクシード「おばあちゃんの糸から、放出したQaライトをすぐに取り込み直してるの。あなたに分かり易く言うなら……ウィザードのインフィニティスタイルみたいな感じ。しかも現在量からさらに増える上位互換」

 

レクス「はぁ〜……面倒な事になってるな、それは」

 

ギャラクシード「"面倒"なだけ……なんだ。ふ〜ん、じゃあ……あなたの固有能力も分かったよ」

 

レクス「ッ!?……種、流石に察しが良すぎない?」

 

ギャラクシード「知らないの?私、時生 駆の事ならなんでも分かるんだよ」ニコッ

 

レクス「それも……そうだったな」ニコッ

 

 お前以上に自分を理解できる存在はいない。確かに分かりきっていた事だ——と。満面の笑みで返されたレクスは、呆れた様な笑顔をシードに返した。

 

レクス「だったら、どうやって俺を倒す?」

 

ギャラクシード「簡単!"破壊"しきれない質量をぶつけてワンパン!!これで決まりだよ」

 

レクス「本当にお前は末恐ろしいよ……種」ニコッ

 

 シードの言葉から自分の固有能力が看破された事を理解し、レクスは笑う。

 

ギャラクシード「能力を使ったら私は消滅するかもしれない。だから本気を出せないでしょ?でも、私は本気でぶん殴れる!あなたの目を覚ましてみせる!!覚めなかったら……後で後悔しなさい!!!」

 

カチッ!カチッ!カチッ!カチッ!カチッ!——今までと違い凄まじい速度でシードの右手背にある懐中時計の秒針が、反時計回りに時を刻む。秒針が一周する度に出来上がる"赤い花弁"が肩の球体を中心に次々と増えていき、"大輪の花"の様な形になる——が、その規模は半端なものでは無い。レクスの作り出した空間を埋め尽くす赤い輝きがゆっくりと反時計回りするその様は——。

 

レクス「赤い……銀河《ギャラクシー》」

 

ギャラクシード「すぅ〜……はぁ〜!いっけーーーーーっ!!!!!!!!!!」

 

ドンッッッッッ!!!!!

 

 シードは今までで一番の力を込めてレクスに突撃を仕掛ける。踏み込んだ地面が砕け、普通ならそんな事では響かないであろう破裂音が轟き、シードが進む周囲には"ソニックブーム"が発生している。超音速に近い速度を、シードはレクスへと——アッパーで叩き込む。

 

レクス「ぐっ!?!?はっ!今度は見切ったぞ!Aqライトを更に一箇所に凝縮して防御した!ダメージはかなり……っ!?」

 

 空中に打ち上げられながらも何とか防御を成功したレクスだったが、シードは次の攻撃に入ろうとしていた。背に見えていた大量のスーパーQaライト全てを球体に取り込み——。

 

ギャラクシード『プリキュア ・ストライク・ギャラクシードッ!!!!!』

 

 それは——放たれた。

 

レクス(あれはまずい!"破壊"するしか無い!!!)「でぇぇぇぇぇいっ!!!!!」

 

 その一撃に秘められた威力を危険視したレクスは、シードが放った直径2メートル程の光球を受け止める。ただ受け止めるだけでは無い。自身の"破壊"の力を使い、触れた瞬間にシードの一撃を完全に消滅させるつもりでいる。しかし、"既に"有り得ない状況が起こっている事を——レクスは分かっていた。

 

レクス(なんで俺は……この一撃を"受け止めている?"触れたら消滅するだけの"破壊"を行なっているのに……何故?)

 

グィンッ!!!!!

 

レクス「ッ!?光球が大きく!?まさか……"膨張"か!」

 

 凄まじい速度で大きくなる光球を見て、レクスは何故この一撃を破壊出来ないのかを理解する。この一撃は破壊されないのではなく、破壊されているのに"凄まじい速度で膨張し続けている"のだ。レクスの破壊よりも早い速度で、破壊を上回る事で。

 

レクス(だが、これでは決定打にならない。まだ何か来るはず……ん?)

 

 膨張し続ける光球を受け止めながら、レクスはシードの打つであろう次の手を考える。受け止めてから約10秒——既に大型ガスタンク程にまで巨大になった光球に小さな影が現れる。

 

ギャラクシード「うおーーーーーっ!!!!!」

 

レクス「シードッ!?」

 

シードは凄まじい速度で光球を駆け上がり、レクスへと近づいて来る。レクスは目前、このまま追撃かと思ったレクスだったが——。

 

ギャラクシード「てぇーーーーーいっ!!!!!」

 

 シードは——飛んだ。光球を踏み台にレクスよりも上へ。空中で浮遊する状態になったシードは、ミラクルヴァールライトを取り出すとQaウォッチにスキャンする。

 

スーパーQaライト:〈ギャラクシー・チャージ!〉

 

 流れた音声を確認して、シードは続け様にQaフォーンSを展開、ピンク側の背面をスキャン——。

 

ギャラクシード『プリキュアプリ!マスターアップ!!』

 

 すると、浄化技用プリキュアプリのアイコンが変換し——。

 

ギャラクシード『インストーーーーールッ!!!』

 

 シードは——迷わずそれをタップする。

 

ギャラクシード「一撃……必愛っ!!!!!」

 

 空に掲げた右腕が拳を握った瞬間、金色だった鎧は、シードのスーパーQaライトの"赤"に染まる。そして、身体を空中で反転させ、自分の真下にいるレクスを目で捉えると、空中で静止し——拳を構える。その背に再び——真っ赤な"銀河《ギャラクシー》"を背負って。

 

ギャラクシード『プリキュア ・ギャラクシード……!!!』

 

 何も無い筈の空中を蹴り、最大級の"愛"を込めた一撃と共に、シードは真下にいるレクスへと落下を始める。

 

レクス「種……!!!シーーードーーーーーッ!!!!!」

 

 今尚、膨張を続ける光球を押さえながら、何とか頭上のシードに向かって叫ぶレクス。しかし、その叫びでシードは止まらない。それはレクスを滅ぼす一撃ではなく——。

 

ギャラクシード『ビックバンッッッッッ!!!!!』

 

 彼を救う為の——愛の一撃なのだから。

 

レクス「があぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

 レクスの左頬に叩き込まれるシードの拳。そして、受け止めていた光球に押し込まれる形でレクスは光に飲み込まれ、拳と光球がぶつかった瞬間——光が弾け、彼が作り出した空間全体へ広がる様に、シードのスーパーQaライトが周囲を赤一色に染め上げる。やっとレクスを"終わらせてあげられた"——それを感じたシードは目を瞑り、心の中で想いに耽る。

 

ギャラクシード(レクス……可哀想な駆……こんな方法しか出来なかったけど、終わりにしてあげられたよ)

 

 シードは——後悔を感じている。

 

ギャラクシード(握った拳じゃなくて……開いた拳を差し出してあげたかった。でも、目一杯苦しんだから……こっちの方が良かったんだ。貴方が愛したコルーリにも……きっと会えてるよね)

 

 シードは——達成感を感じている。

 

ギャラクシード(これで……これで"1番嫌な事態"も防げた。レクスも、コルーリも……救われたはず。うん……すっごく上手くいった!まるで……)

 

 "まるで夢を見ている様だ"——シードは全てが上手くいった事を喜んでいる。

 

ギャラクシード(まるで……"夢"を見てるみたい)

 

 しかし、残念だ。何故なら夢は——。

 

良い"夢"は見れたか……種?

 

ギャラクシード「……えっ?」

 

 ——覚めてしまう物なのだから。

 

ギャラクシード「レ……クス?」

 

 シードは耳元から聞こえた声に反応して、瞑っていた目を開く。すると、そこにはレクスがいた。自分を抱きしめ、寝ている子を起こさない様にするみたいに優しく頭を撫でている。それだけではない——場所もレクスと戦う前の大聖堂で、戦闘の痕跡が何も無い。そんな状況に目を丸くしているシードに、レクスは妹をあやす様に——優しく語り掛ける。

 

レクス「お前が俺の提案を断る事は分かっていたよ。お前は自分よりも……時生 駆を優先する。"お兄ちゃん"だからな……俺だってお前の事を誰よりも知っていると自負してるつもりだよ」

 

ギャラクシード「な、なんで?私……貴方を浄化したはず!」

 

レクス「そう言う夢が見れたのか。まあ、夢が覚めたって事は……満足出来たって事だ。さあ、終わりにしよう。お前を傷つけるのは忍びないからな……一撃だ。一撃だけで終わらせてやる」

 

ギャラクシード「ッ!!」

 

レクス「ごめんな……種」

 

バチバチバチッッッッッ!!!!!

 

ギャラクシード「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

 シードを抱き締めながらレクスの黒い電撃が、シードの防御を超えて流し込まれる。それになす術なくシードは変身が解除され、床へと崩れ落ちる。

 

 

side:駆

 

——パチンッ!

 

駆「ッ!?……えっ?」

 

ギャラクシード「……」

 

レクス「……ふぅ〜。戦う訳ないだろう……大事な妹を傷つけたい兄貴なんているかよ」

 

 レクスが指を鳴らした瞬間、構えていたシードは急に脱力した状態になる。立ってはいるが腕は垂れ下がった様になっている。レクスはシードに何をした?理解出来ない状況だが、レクスは説明などせずシードに歩み寄り——シードを抱き締める。

 

レクス「生まれ変わる前の最後の時間だ。ただ楽しい夢を見て、満足すればいい……目が覚めたら、最後の痛みが待っている。その痛みで最後にする……だから、今はただ夢に身を任せるんだ」

 

 ”これが最後だ”——と、シードの頭を優しく撫でながらレクスは呟く。妹をあやす様な、別れを惜しむ家族の様な——そんな雰囲気でレクスはシードを抱き締めている。すると、シードの指がピクッと小さく反応を示した。それを見たレクスは——シードの耳元でささやく。

 

レクス「良い夢は見れたか……種?」

 

ギャラクシード「……えっ?」

 

 レクスのささやきによって目を覚ましたシード。状況がつかめないのだろう——レクスの僅かな言葉にも動揺が現れている。そんなシードを横目に、レクスはシードを更に強く抱きしめると——。

 

レクス「ごめんな……種」

 

バチバチバチッッッッッ!!!!!

 

ギャラクシード「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

駆「ッ!!シードッ!!くっ!!!種っ!!!!種っ!!!!!」

 

ガンッ!!!!!ガンッ!!!!!

 

 迸るAqライトの電撃が流され、それによって絶叫するシード。変身は解け、力尽きたように床へと倒れ込む。直ぐに助けようと自分を包む結界を殴りつけ、種の名を叫ぶ——そんな僕を見たレクスは、僕を軽蔑する様に見つめていた。

 

レクス「無様だよ、”僕”……お前は本当に何も守れない。弱いから何も救えない。存在する価値もない・・…虫けら以下の”塵芥”ってところか?……ん?」

 

種「な・・・・・・なんで?なんで・・・・・・倒したのに?」

 

レクス「種明かしが欲しいのか?簡単だよ、種。俺は……お前がどれだけ否定したって”時生 駆”なんだ。だったら、俺はお前と繋がれるんだよ……”リンク”でな。お前とリンクを繋いで、そこから直接Aqライトを流し込んで……お前の認識を書き換えたんだ。時間軸が違くても、未来の存在であっても……俺の胸には”種の心臓”があるからな。繋がれて当然だろ?」

 

種「い・・・・・・何時から?」

 

レクス「過去の俺の身体から分離させた時からだ。お前が繋がってると思っていたリンクは俺と繋がっていた。それで俺が指を鳴らした瞬間に、お前にAqライトを流した」

 

種「戦う前から・・・・・・負けてたって・・・事?」

 

————————ぽろっ

 

 種とレクスの戦いは——戦う前から終わっていた。この一戦に全てを賭けていた種は、その事実に涙を流す。流れる一筋の涙が——。

 

駆「うおおおおおぉぉぉぉぉっ!!!!!」

 

 僕のレクスへの怒りに——火をつけた。身体から溢れ始めるAqライトで結界の内部を満たしていく。

 

——ビキッ!——ビキビキッ!!!

 

 隙間なく満たしても尚、溢れるAqライトは流れ出す事を止めず——。

 

駆「壊れろおおおおおぉぉぉぉぉっ!!!!!」

 

——バッキーーーーーーンッ!!!!!

 

 内側から溢れ出したAqライトは、一枚目の結界を皮切りに、二枚、三枚——と、食い破る様に”破壊”していき、そして——僕を隔離する全ての結界を消し去った。それが分かると僕はすぐさま種の元へと走る。レクスはそれを邪魔することはなく、僕は床に倒れる種の元へとたどり着いた。

 

駆「種っ!!!!!」

 

種「お、お兄ちゃん……っ!ごめんなさい……タネ、ダメだったよぉ……!」

 

 駆け寄った僕を見て、安心と後悔の感情が溢れてしまったのだろう——僕を見つめる目からさらに涙が溢れてくる。

 

駆「そんな事ない。それに僕も……種に嘘をついたから。僕も……一人で戦おうとした」

 

種「ごめんね、お兄ちゃん。タネ……これからお兄ちゃんに……一番痛い思いをさせちゃう」

 

駆「いいんだよ、種。こうなるって……分かってたから。ここからは……僕の番だ」

 

 種が身に着けたQaフォーンS、Qaウォッチ、マフラー、ミラクルヴァ―ルライトを外し——レクスに視線を向ける。

 

レクス「もういいんだな?それじゃあ……」

 

種「……お兄ちゃん」

 

駆「大丈夫。絶対に助ける……コルーリと一緒に取り戻すからな」

 

レクス「すまない、コルーリ……種を頼む」

 

 種の身体を浮かせると、レクスはコルーリを閉じ込めた結界へ向かって種を投げ入れる。

 

コル―リ「きゃあっ!?た、タネ、しっかりして下さい!」

 

レクス「さて、待たせて悪かったな……”僕”。さっきの口ぶりだと……もう分かってるんだな?」

 

駆「ああ……」

 

————シュンッ!

 

エクス「分かってる」

 

 僕はノーモーションでキュアエクスに変身すると、それを見たレクスは答え合わせでもするように語り出す。

 

レクス「俺達……”時生 駆”と言う存在は死ぬことが許されない。世界によって決められた”因果”によって、絶対に生きる事を強要される。それはカイザーンや、さっきの種の力であっても……ほぼ全てで起きる事象だ。しかし、そこに”例外”が存在する」

 

エクス「同じ世界のルールである〈同じ時代に”同一個体”が存在する場合、接触した時点から存在が不安定になり、どちらかの存在が消えるまでその状態が続き、場合によっては”消滅”を引き起こす〉と言うもの。同じ時間に”時生 駆”が2人存在する場合こそ……その例外に当たる」

 

レクス「同一存在の接触によって存在が不安定になっているこの状態でのみ……俺達にかかる世界の”因果”は意味をなさない。つまり、”今の状況”がそれだ」

 

 レクスの言葉で——僕の頭の中にあった仮説は立証された。その言葉を聞きたかった。これで答えが出た——ならば!

 

エクス「お前を止められるのは……ただ一人!」

 

レクス「そうだ……俺を止められるのはただ一人……!」

 

エクス・レクス「「僕(お前)だ!」」

 

 同時に踏み込むエクス《僕》とレクス《俺》。守りたいものを取り戻すため——僕は未来に向かって飛び出した。

 

 

To the Next chapter……




いかがだったでしょうか?シードの強化フォームのコンセプトが”一撃必殺”、一人で全プリキュアを凌駕出来る”を考えて作ったので、描写がちょっと大げさだったでしょうか?設定は夜勤が明けたら設定の方に追加しますので、お楽しみに。

次回は、エクスVSレクス!一歩間違えれば消滅する危険な勝負の中、一瞬の隙をつきエクスの一撃が!?乞うご期待ください!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。