【完結】劇場版 ヴァールハイト・プリキュア もう一つの未来!?王〈レクス〉と青翼の花嫁〈コルーリ〉!   作:32期

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ごきげんよう、32期です!今回はエクスVSレクスの決着!エクストリームとなった駆は、未来の自分を越えるのか!?では、お楽しみ下さい!

ひろプリの最終回前に投稿で来たぜ!しかし、私は今日も日勤だからリアタイ出来ない!来週からは”わんだふるぷりきゅあ”が放送するし、オールスターズFの復活上映もある!私は2月4日のライブビューイング対応の劇場で観るよ!


チャプター15:決着 エクスVSレクス!虹色の光の果てに

side:コルーリ

 

コルーリ「エクス……トリーム!」

 

 理由は分からないが、カケルの身体から溢れた七色の光と共に突如として現れたプリキュア達。そんな彼女達の力を借り、カケルは崩壊した身体を癒して立ち上がり、そして今、彼は全てのプリキュアと一つになった新たな姿——"究極"の名を持つプリキュア 【エクストリーム】へと至った。

 

コルーリ「奇跡です……!奇跡が起きたんです!」

 

種「当たり前でしょ!お兄ちゃんに起こせない奇跡は……ないんだから!」

 

 奇跡だ——奇跡としか言い様がない。消えてしまったはずのプリキュア達が現れた事、崩壊したら治るはずが無い欠損が癒えた事、そして——固定化したアイテムを身体に取り込むなんて、有り得ない事しか起こっていない。これを奇跡と呼ばないでなんと呼ぶのだ。

 

レクス「プリキュアのアイテムを取り込んだ強化とは……なるほど。そいつは俺に対しての皮肉のつもりか?」

 

 レクスは、エクスに対して心底嫌そうな顔で尋ねる。エクスのプリキュア達のアイテムを取り込んだ強化が、自身がカイザーンと戦った際の出来事に対しての皮肉なのか?——と。自分は同じことをしてもプリキュア達を消してしまったのに対して、お前は違うのか?——と。そんなレクスの問い掛けに、エクスは首を横に振って否定する。

 

エクストリーム「皮肉のつもりはないよ。これが僕と……プリキュアさん達の全てを合わせて手に入れた姿だ。皮肉でこの姿になったんじゃない」

 

レクス「そうかよ。しかし、奇しくも同じ姿なんだな……俺達。違うのは纏っている力くらいか?俺はAqライトで……」

 

エクストリーム「僕は……プリキュアさん達の力」

 

レクス「一人で完成した【強さ】を持つ”俺”と、多くの人々に支えられていなければいられない【弱さ】を強さと言う”僕”。どちらが真に正しいのかを、俺達の纏うコートの色の通りに……白黒はっきりつけようぜっ!!!!!」

 

エクストリーム「上等っ!!!!!」

 

——カチッ!《1》

 

 エクスの胸にある懐中時計の長針が1分の時を刻んだ瞬間、睨み合った2人は同時に——目の前の相手に向かって行く。エクスとレクス、2人の決着の時が——幕を開ける。

 

 

side:エクス

 

エクストリーム「だりゃあああっ!!!!!」

レクス「でぇえええっ!!!!!」

 

——ダンッ!!!!!

 

 お互いが放ったのは右拳によるパンチ。2人の動きは全くの同じ——寸分の狂いもない。ぶつかり合う拳と拳の衝撃が空気を振るわせる。

 

レクス「何の躊躇もなく殴って来るか!腕が消滅させられた事も何とも思ってないらしい!」

 

エクストリーム「ぐっ!!」

 

レクス「しかし、何だ?拍子抜けだ。消滅しないのは驚いたが、思っていたより……威力はないなっ!!!」

 

エクストリーム「うわっ!?」

 

——ザッサーーーーーッ!!!!!

 

 レクスの力に押し負けて、後方へ吹き飛ばされるエクス。何とか足を地面につけて食いしばり、完全に吹き飛ばされる事は凌いだが、力は完全に押し負けてしまう。

 

レクス「お前、どうして消滅しない?何か”タネ”があるのか?」

 

エクストリーム「あなたと一緒だよ、”俺”。あなたが僕に隠してやってた……【Aqライトをフィルム代わりにする方法】とね」

 

レクス「お~!やっと気づいたか!そうだ……お前がやった【サークルを使った間接的な接触】の応用。一番簡単でシンプルだからな。それで、お前はプリキュアの力をフィルム代わりにしてると……しかし、消滅しないだけで、出力も威力も中の下だぞ」

 

エクストリーム「チッ!」

 

レクス「はぁ~……それが切り札とはな。まあ、俺と張り合う事なんてお前には……っ!?キュ、キュアエールッ!?」

 

 エクスへ自身の力の無さを指摘しようと目線を向けたレクスの目に、先程のミラクルライトの時の様にキュアエールが現れていた。エクスの右手を包むように両手で握っているエールに対して、エクスは申し訳なさそうに語り掛ける。

 

エクストリーム「申し訳ないです、エール。あいつに追い付くには……まだ足りないみたいだ」

 

エール【そうだね。でも、まだまだこれからだよ!フレフレ!エクス!】

 

エクストリーム「はい!もう少しギアを上げますよ」

 

——カチッ!カチッ!カチッ!カチッ!《5》

 

エクストリーム「一人でダメなら!」

 

HUGっと!プリキュア【【【【【みんなでやろう!(なのです!)】】】】】

 

 エクスの懐中時計の長針が——針を進める。1から5へと進んだ長針に合わせ、エールの1人から、更にアンジュ、エトワール、マシェリ、アムールの4人が現れ、エクストリームの右手にその手を重ねる。HUGっと!プリキュアの5人の姿が消えたのを確認すると、エクスは姿勢を低くしながら、左足に力を込めて——地面を蹴る。

 

——シュンッ!!!!!

 

レクス「ッ!?」

 

 その速度は——先程よりも早い。2倍などと生易しい強化じゃない——10倍、20倍と表現すべき強化であると、レクスは判断する。

 

エクストリーム「はぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

レクス「チッ!でぇっ!!!」

 

——ガキンッ!!!

 

 エクスが打ち込んだ左ストレートを右前腕部で受け流し、すかさず体勢を崩すためのキックを足へと放つレクス。しかし、その攻撃は——エクスの首に巻いたAqライトのマフラーのたなびく部分が盾となった事で防御される。

 

レクス「このっ!だが、このまま蹴り抜いてやるよっ!!!」

 

エクストリーム「ふっ!!!」

 

レクス「ぐっ!!こ、こいつっ!!!」

 

 防御されたまま蹴り抜こうとしたレクスだが、エクスはそれを利用する。盾に加わった勢いで身体が浮いた瞬間に、レクスの顔面に向かって空中回し蹴りを接近した状態、僅かな可動範囲の中で叩き込む。

 

レクス「ちょこまかするんじゃねえっ!!!!!」

 

エクストリーム「知った事じゃないっ!!!!!」

 

——ダンッ!!!!!

 

エクストリーム「うわっ!?とっ!と~……ダメだ。まだ追いつけないか」

 

 レクスは、空中に浮いたエクスに再びパンチを放つと、それをまた同じ技で返すエクス。しかし、エクスの力はまだレクスに追い付いておらず、再び吹き飛ばされる。先程よりは吹き飛ばされてはいない——が、マフラーの両端を腕の様に使い、着地を成功させていなかったら大怪我をしていただろう。

 

レクス「異常な身体能力の強化……そいつがエクストリームの能力か?いや、その一端と言ったところか」

 

エクストリーム「ああ。僕の本来の身体能力に、呼び出したプリキュアさんのパワーをかける。そのパワーも彼女達の"思い"よって大きくなれば、それだけ大きくなる。プリキュアさん達の”思い”を重ねれば重ねる程……僕は無限に強くなる!」

 

レクス「だが、今言った様にそれは本来のエクストリームの能力の一端。全てのプリキュアのアイテムを取り込んだお前は、全てのプリキュアの能力だって使える筈だ。しかし、カイザーンが行ったプリキュアの"忘却"によって光を失ったアイテムを取り込んだ程度では……それが限界か」

 

エクストリーム「くっ!」

 

レクス「それに、お前の胸にある懐中時計……それ、呼び出したプリキュアの人数と長針が連動してるんだろ?だったら、最大でも"55人"で打ち止めだ。俺を倒すのに……それだけで足りるかな?試してやる……よっ!!!」

 

エクストリーム「舐めるなっ!!!」

 

——カチチチチチッ!!《27》

 

 エクストリームの能力を看破したレクスは、それを正面から打ち砕こうと向かってくる。しかし、エクスもただ迎え打つ事はしない。先程よりも凄まじい速度で長針が、その時を"27"まで進める。HUGっと!プリキュアからドキドキ!プリキュアまでの27名を呼び出し——エクスはそれを自身に重ね、レクスに立ち向かう。

 

エクストリーム「だりゃあああああっ!!!!!」

 

——カチチチチチッ!!!《36》

 

レクス「でぇえええええっ!!!!!」

 

——カチチチチチッ!!!!《50》

 

 攻撃に押し負ける度に、エクスの懐中時計は針を進める。針を進める度に押し負けにくくなるが、レクスはそれを物ともせず、エクスを凌駕し続ける。【過去は未来を超えられない】——それを分からせる様に。

 

エクストリーム「ありったけーーーーーっ!!!!!」

 

——カチッ!カチッ!!カチッ!!!カチッ!!!!カチッ!!!!!《55》

 

エクストリーム「だりゃあああああっ!!!!!」

 

レクス「打ち止めか。さあ、それでどこまで抗えるっ!!!」

 

——ドンッ!!!!!

 

エクストリーム「うおおおおおっ!!!!!」

 

レクス「はあああああっ!!!!!」

 

——ドンッ!!!!!ドンッ!!!!!ドンッ!!!!!

 

ぶつかり合う一撃一撃が、大聖堂を震わせる。エクスはすでに55人の”プリキュア”全ての力を出し切り、打ち止めの状態——しかし、レクスはそうではない。

 

エクストリーム「がはっ!?!?」

 

レクス「足らねえよ。お前がどれだけプリキュアさん達の力を束ねたってな……俺とお前の時間は埋められない!俺の絶望の7年間を!!お前が埋める事は出来ない!!!」

 

エクストリーム「たあああああっ!!!!!」

 

——ダンッ!!!!!!!!!!

 

エクストリーム「ぐっ!!!うわあああああっ!!!!!」

 

 レクスは、まだエクスを凌駕している。エクスとプリキュア55人の全てを束ねていても、全く同じ攻撃を放っても、エクスはレクスを超えられない。

 

エクストリーム「はぁ……!はぁ……!」

 

レクス「プリキュアさん達の力は俺だって理解してる。しかし、その力を振るう上での一番の欠点がある事もな。それはな……その力を振るっているのが、他ならぬ”時生 駆”である点だ。彼女達の無限の力を振るうのに一番ふさわしくない存在である”時生 駆”が振るう時点で、勝てないなんて……分かりきってるだろう!!!!!」

 

コル―リ「エクスッ!!!!!」

 

種「お兄ちゃんっ!!!!!」

 

レクス「もう終わって楽になれ!!!”僕”っ!!!!!」

 

そんな事はないっ!!!!!

 

——・・・・・・カチッ!《56》

 

エクストリーム「ッ!!」

 

——ブワ―――――ンッ!!!!!

 

レクス「この衝撃波は!?それに両目が”金色の瞳”に……っ!ま、まさか!?」

 

 レクスが拳を振り下ろす瞬間に響く声。それに共鳴する様にエクスの時計があり得ないはずの56番目に針を進める。すると、エクスの黒い瞳は”金色”に変化し、レクスに向かって衝撃波を放ち、その動きを止める。そんなエクスの傍らには、彼によって救われた”闇のプリキュア”——ダークプリキュアが立っていた。

 

ダークプリキュア『先程は手も足も出なかったが、今度はそうはいかん!はあっ!!!行け、ダークドリームッ!!!』

 

——カチッ!《57》

 

Dドリーム『ええっ!はあああああっ!!!』

 

レクス「ッ!?フルーレの姿に!?うわっ!!!」

 

 時計の針が進むとDドリームが現れて、動きが止まったレクスに向かっていく。すると、その姿をエクスのアイテムである”ドットライト・フルーレ”に変えてぶつかり、レクスを後方へ吹き飛ばす。

 

エクストリーム「ダークドリーム!ダークプリキュア !」

 

ダークプリキュア 『私達は一矢報いたぞ。次はお前だ、エクス』

 

Dドリーム『プリキュアだけじゃない……私達も貴方の力よ。それに、まだ貴方を支える人がいる』

 

エクストリーム「えっ?」

 

——カチッ!《58》

 

レクス「やってくれたな……っ!?な、なんで"貴女"までっ!?」

 

 Dドリーム達がエクスに言葉を掛け終えて消えた所で、彼の時計の針は更に進む。吹き飛ばされたレクスは、エクスに視線を向けた先に——またあり得ない人物が現れていた。

 

エクストリーム「お、おばあちゃん!?」

 

ストリング『駆、あんたの思いは過去だけじゃない。”未来”にも……あんたを支える思いがあるわ』

 

 エクスの後ろに現れたのは、駆と種の祖母である”時生 廻”。その彼女が変身したプリキュア”キュアストリング”だった。エクスに【未来にもあなたを支える思いがある】と告げると、ストリングは何もない空中に人差し指を向ける。すると、その指先から黄色に輝く糸が伸びていき、そこに次元の穴を生み出す。ストリングのスーパーQaライトの能力”繋ぐ”力——それがこの空間と何処かを繋いだのだ。そして、その次元の穴から出て来たのは——。

 

トゥモロー『”あっち”の……おじさま』

 

エクストリーム「キュアトゥモロー!?はぐみちゃんなのかっ!?」

 

トゥモロー『クロノ君が……世界の為に戦ってます。クロノ君の代わりに……私が来ました。お願いします、おじさま……クロノ君の思いと、私の思いを……あなたに託します。皆を……助けて下さい』

 

——カチッ!《59》

 

トゥモロー『確かに託しました。フレフレ、おじさま……いつか未来で会いましょう!』ニコッ

 

 ストリングが生み出した次元の穴から出て来たのは、2043年と言う未来のパラレルワールドで息子”クロノ”が守ろうとしていた未来のプリキュア”キュアトゥモロー”。彼女はエクスに、息子であるクロノが世界の為に戦っている事を伝えると、エクスの手を取って未来から持ってきた二人の”思い”を託す。それを受け取ったエクスの時計は針を進め、それを見たトゥモローは笑顔で消えていった。

 

ストリング『駆、過去のプリキュア達も、未来のプリキュアも……あんたに思いを託した。駆、最後の針を進める”思い”は分かっとるね?』

 

エクストリーム「うん、大丈夫だよ。だって、いつも一緒に……”今”を生きてきた”思い”だから!」

 

ストリング『うん!それなら良かよ!じゃあ、気張んなさい、駆!』

 

——バンッ!バンッ!

 

 エクスの両肩を叩き、激励を送って消えるストリング。彼女が叩いた肩に左手を添え——エクスは微笑む。

 

エクストリーム「ありがとう、おばあちゃん。すぅ~・・・・・・種ぇぇぇぇぇえええええっ!!!!!」

 

種「っ!!」

 

エクストリーム「お前の全てを……っ!!!僕にくれぇぇぇぇぇえええええっ!!!!!」

 

種「……何をいまさら言ってるの?タネは……ず~~~~~っっっっっと!お兄ちゃんの物だよーーーーーっ!!!!!」

 

——ガチッ!!!!!《60》

 

 多くの歴史を刻んで来た過去のプリキュア達、彼女達とは違う形で生まれた闇のプリキュア達、今だ分らぬ未来を生きる未来のプリキュア、そして、今を共に歩み、進み続けると決めたプリキュアの妹——その全ての”思い”を託されたエクスの胸にある時計の長針は——決して指す事のないはずの”0時”を示す。

 

レクス「なんだよ……これ?なんでこうなった?」

 

エクストリーム「知らないよ。でも、これならお前にだって追いつける。なんか……そんな気がする!」

 

レクス「はぁ~……そうかよ。"僕"、お前は俺を本当に超える事が出来るのか?」

 

エクストリーム「ああ、超える!超えてみせるっ!!!」

 

レクス「・・・・・・はぁ~」クイッ!クイッ!

 

 姿勢を低くして、レクスを睨むエクス。レクスの動作を見てすぐにでも奴の懐に飛び込める状態にしているのだ。それを理解しているレクスは、挑発する様にエクスに向かって左手の人差し指を使い——【掛かって来い】と言うジェスチャーをする。それを見たエクスは、ゆっくりと息を吸い——。

 

エクストリーム「いっけぇぇぇぇぇっ!!!!!」

 

——バゴンッッッッッ!!!!!

 

 全力の叫びを吠え、真っ直ぐにレクスへと突っ込む。踏み込んだ足で大聖堂の床を踏み砕き、抉り、エクスは進んでいく。その身に託された”思い”の全てで——目の前にいる”俺《未来の自分》”を超えるために。

 

エクストリーム「だりゃあああああっ!!!!!」

レクス「でぇえええええっ!!!!!」

 

——ドンッ!!!!!

 

レクス「ッ!?こ、こいつっ!!!」

 

エクストリーム「はぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

——バンッ!!!!!

 

 2人の放った左拳がぶつかった刹那、今までで1番の衝撃が走る。ぶつかり合う事——約数秒、衝突によって生まれた衝撃は限界を迎え、エクスとレクスは2人同時に後ろへと吹き飛ぶ。

 

エクストリーム「てぇぇぇぇぇっ!!!!!」

 

レクス「このぉぉぉぉぉっ!!!!!」

 

 繰り出される両者の攻撃——それは鏡写しの様に正反対かつ、それでいて狂いも無い程に揃っている。そこまでは度々見られ、エクスが押し負けていた。しかし、今は違う——今まで吹き飛ばされていたエクスの力が遂にレクスに追いつき、拮抗する領域へと辿り着いた。

 

レクス「はぁ……!はぁ……!この俺と……互角だってのか!?」

 

エクストリーム「はぁ……!はぁ……!でも、これじゃあ埒が明かない」

 

 だが、それはまだ力が"追い付いただけ"。エクスはレクスに並ぶだけの力をプリキュア達から受け取った。しかし、その全てを振るっても——レクスと互角。エクスは——それを理解している。

 

エクストリーム(プリキュアさん達の今出せる全てを振るっても超えられない。なら……!)

 

 だからこそ、レクスを超える最後のピースに——。

 

エクストリーム(僕自身の"時間"を……賭けるしか無い!)

 

  エクスは——手を掛ける。

 

 

side:コルーリ

 

コルーリ「エクスが……レクスに追い付きました!」

 

種「うん!でも、レクスは……まだお兄ちゃんに対して、自分の"能力"を使ってない」

 

コルーリ「ッ!?……そう、ですね」

 

 私はタネと、エクスがレクスに追い付いた事を喜び合う。しかし、不安材料は残っている。レクスの固有能力"破壊"を、いまだエクスに使っていない事だ。切り札として残しているのだろうか?それとも——何か他に理由が?

 

種「ッ!!コルーリ、見て!お兄ちゃんの時計っ!!」

 

コルーリ「えっ?……えっ!?」

 

——カチッ!カチッ!カチッ!カチッ!

 

コル―リ「針が……また回り始めている!?もう他にプリキュアはいない筈なのにっ!?」

 

 タネが指さした先に視線を向けると、信じられない事が起こっていた。エクスの胸にある懐中時計——その針が0時を越えて針を進めていたのだ。あの針は、エクスが力を借りたプリキュア達の人数に比例して進む物。エクスに力を貸すプリキュアは”60人”——懐中時計が刻んだ0時を越える筈がない。その様子に驚いていたのは私達だけじゃない。

 

レクス「……何をしてる?」

 

エクストリーム「・・・・・・」

 

レクス「その能力について理解はしてる。その針はプリキュアさん達の歴史……【約一年の戦いの歴史】と言う時間を人数分に蓄積した物だ。例外を加えても”60人”……これ以上進む筈がない」

 

エクストリーム「・・・・・・」

 

レクス「お前、”何”を使ってその針を進めてる?」

 

エクストリーム「・・・・・・」

 

レクス「お前はっ!一体、”誰”の時間を使ってその針を進めているんだっ!?」

 

 【どうやって針を進めているのか?】を、レクスはエクスに問う。その問いに——エクスは落ち着いた口調で答える。

 

エクストリーム「……分かってるだろ?"僕の時間"さ」

 

——……スゥ

 

レクス「ッ!?……そこまでするのか?それが……お前の覚悟なのか?」

 

エクストリーム「プリキュアさん達や他の力を全部合わせて互角なら……後は、僕自身が"俺"を超えるしか無い」

 

——スゥゥゥ

 

コルーリ「エクスの黒髪が……!」

 

種「真っ白に……なってく」

 

 エクスの針が進むにつれ、彼の黒髪部分から色素が抜けた様に——白くなっていく。それはさながら、人が老いていく時間の流れを見ている様だ。

 

——ガチッ!!!!!

 

 そして、彼の黒髪が全て白髪に変わった時、エクスの長針は再び0時を指す。

 

レクス「お前は本当に馬鹿だよ……"僕"」

 

エクストリーム「お互い様だよ、"俺"」

 

 "漆黒を纏うレクス"と"純白を纏うエクス"——。

 

エクストリーム「僕の賭けられる最大の"60秒"で……お前の"7年間"を超えてやる」

 

レクス「その60秒を俺が耐えれば、お前に勝ち目は無い。大博打も良い所だ」

 

 二人は静かに互いを見つめ——。

 

レクス「来いよ、"僕"。最後の60秒だ……ケリをつけよう」

 

エクストリーム「……時:壊《タイム:バースト》!」

 

——カチッ!《59》

 

エクストリーム「勝負だぁぁぁぁぁあああああっ!!!!!」

 

 最後の60秒が——幕を開けた。

 

 

side:レクス

 

レクス(愚かだ。本当に愚かだよ、"僕“。やはり……お前は俺と一緒だ)

 

 過去の自分がした行為に、俺は愚かと言う感情を禁じ得ない。こいつがやった事は【自壊】——自分で己を壊しているも同然なのだ。

 

エクストリーム「だりゃぁぁぁっ!!!!!」

 

 あの時計の針が指す1目盛——1目盛進める為に必要なのは"1年分の時間"。過去の自分はそれを、自分の時間を使い"60秒"分の目盛を進めた。つまりこいつは——【"60年分"の寿命を使って、僅か"60秒"と言う逆転のチャンスを創り出した】のだ。これを【自壊】と言わないでなんと言うのだ。

 

レクス(だが、その覚悟は……過去の自分ながら尊敬するよ。しかし、僅か60秒のチャンス……それで俺を凌駕する事が出来るか?)

 

 心の中で過去の自分に、尊敬を感じながら——俺は向かってくる"僕"に拳を放とうと構える。自分は時間を稼ぐだけで良い。この60秒を使い切らせるだけで良い。俺はそう考えて拳を放つ——が。

 

——ガンッ!

 

レクス「……は?」

 

 俺は、過去の自分の攻撃に合わせて拳を放つ筈だった。しかし、放とうとした瞬間——いや、放つ前に俺の拳を、過去の自分の拳がぶつかって止められた。

 

レクス(なんだ!?俺が攻撃のタイミングを外したのか!?チッ!長考し過ぎたか!)

 

 俺は、すぐさま全ての意識を過去の自分に向け直し、攻撃を捌こうとする。その間、約"10秒"——光速と表現しても良い程の速度での打ち合いは、10秒でも長過ぎる。その上、俺の攻撃は全て放つ前に止められた。

 

レクス(攻撃ではダメだ!なら……!)

 

エクストリーム「だりゃぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

レクス「守る為にお前は命を削るのか?!」

 

エクストリーム「ッ!?」

 

レクス「お前は種を!コルーリを守りたいって言ったな!!でも、お前の本音は”滅びたい”って言う【破滅願望】だろ!!!種との約束を忘れたか?!コルーリのお前が傷つく度に見せていた悲しい顔を忘れたか?!お前の行為はっ!!!!守りたいって理由を言い訳にしてるだけだろうがっ!!!!!」

 

 意味のない攻撃を止め、俺は動揺を誘う”口撃”へ切り替える。その効果は直ぐに現れ、過去の自分に僅かな隙ができる。その隙を突くように、素早く拳を放ち、過去の自分の顔面を捉えた——と、思った瞬間。

 

エクストリーム「うるさーーーーーいっ!!!!!」

 

——ガンッ!!!!!!!!!!

 

レクス「ッ!?」

 

 過去の自分は、俺の一撃を"頭突き"で受け止めた。

 

エクストリーム「そんな事は分かってる!約束を破りたく無いし、悲しませたく無い!!でも、ここでお前を超えないと……何も守れないっ!!!僕は滅びたくなんか無いっ!!!!僕は……守る為に、生きる為に、この命を燃やしていくっ!!!!!」

 

——ピカッ!

 

レクス「マフラーの色が!?」

 

 俺の口撃を振り切る様に、声をあげる過去の自分。その言葉に反応するかの様に、奴のマフラーの黒が——七色に変わり始める。それだけでは無い。奴の髪のメッシュ部分まで小さな輝きを宿し始めた。

 

エクストリーム「この命が刻むのは"僕達の道"だ!カイザーンが決めた道でも、"俺"が決めた道でも無い!!僕達が決めて、僕達が進む道だっ!!!その道の前にお前が立ちはだかるならっ!!!!!」

 

レクス「ッ!?」

 

エクストリーム「そこを……どけーーーーーっ!!!!!」

 

——ドンッ!!!!!!!!!!

 

レクス「なっ!?」

 

 信じられない——奴から出ている"七色の光"が、俺の拳に纏ったAqライトを"相殺"した。破壊にのみ特化した俺のAqライトを消し去る事はあり得ない。相殺したと言う事は、あの光は——!

 

レクス(俺と反対の性質を持ったAqライトかっ!)

 

エクストリーム「だりゃぁぁぁぁぁあああああっ!!!!!」

 

——ダンッ!!!!!

 

レクス「がはっ!?!?!?」

 

エクストリーム「でぇぇぇぇぇえええええっ!!!!!」

 

 相殺の衝撃で生まれた隙をつき、遂に過去の自分の一撃が俺へと叩き込まれる。そして、そんな絶好の機会を逃す訳もなく、過去の自分は乱れ打つ様な連撃を仕掛けてくる。奴の光を小さく宿した一撃一撃が、俺のAqライトを超えてダメージへ変わる。奴の必死な姿が、なんて理屈も無く考えなしで——なんて愚かで——。

 

エクストリーム「コルーリをっ!!!!!種をっ!!!!!絶対に守るっ!!!!!」

 

 精一杯に——目の前の希望を、未来を求める"僕"は——。

 

エクストリーム「目の前の大切な人を守れないで、世界が守れるものかっ!!!!!」

 

 なんて真っ直ぐで——眩しいのだろう。

 

レクス(……だがっ!)「それが、お前の覚悟だと言うならっ!」

 

——シュンッ!!!!!

 

レクス「"俺"の全てを否定してみせろ、"僕"っ!!!!!」

 

 ようやく慣れた目を使い、隙とも言えない僅かな瞬間にカウンターの蹴りを放つ。奴の残り時間は、胸の時計が示す通りなら"30秒"——それを凌ぎ切るしか無い。ならば——!

 

レクス(俺だって……"最後"ぐらいは抗ってやるさっ!)

 

——ガッ!!!!!

 

レクス「俺の蹴りをっ!?」

 

エクストリーム「僕は……"俺"を否定する気は無いっ!」

 

レクス「……なんだよ、その目は?くっ!ぬかせーーーっ!!!」

 

 俺の蹴りを、"僕"は左足の足底で受け止める。そして、奴は俺に——【"俺"を否定しない】と言い放つ。俺を倒すのに、"怒り"が必要ないか?俺がお前に感じているこの感情は——お前も感じている筈だ。俺とお前は——"同じ"筈だろ。俺を睨む瞳の中に、怒りではない感情を見出した俺は、怒りに任せてそのまま奴を蹴り上げる。空中に投げ出された奴は、焦ることも無く身体を縦に回転させて勢いを逃し、勢いが完全に無くなった頂点の位置で、奴は俺を見下ろす様に体勢を直す。

 

エクストリーム「僕だって、"俺"の事は嫌いだ。でも、今の僕がいるのも、種やコルーリがいるのも……あなたのおかげだから。だから、あなたの存在も受け入れる!その上で、あなたを倒す!」スチャッ!

 

レクス「ッ!!ミラクルライトッ!」

 

エクストリーム「僕は未来を……超えるっ!はあっ!!!」

 

スーパーQaライト:〈エクストリーム・チャージ!〉

 

——バサッ!!!!!

 

 ミラクルライトをQaウォッチにスキャンさせた"僕"。その瞬間に見えた物は、奴を中心に広がる——七色の光だった。

 

 

side:エクス

 

エクストリーム「僕は未来を……超えるっ!はあっ!!!」

 

スーパーQaライト:〈エクストリーム・チャージ!〉

 

 Qaウォッチにミラクルヴァ―ルライトをスキャンし、”俺《未来の自分》”を超える最後の一撃を放つ用意を整える。

 

エクストリーム(時:壊《タイム:バースト》の残り時間は……25秒。肉体に掛かる負荷もそろそろ限界だ。この一撃を放った後、追いうちの一撃まで考えて……ここが勝負所だ!)

 

——バサッ!!!!!

 

レクス「……あれはAqライトなのかっ!?」

 

エクストリーム「プリキュアプリ!マスターアップ!!」

 

 僕のAqライトで出来たマフラーが七色の輝きを放つと、靡くマフラーの両端が増え——まるで6枚の羽の様に広がる。その色は”赤”、”青”、”緑”、”黄”、”ピンク”、”紫”——黒が解けて生まれる色鮮やかな翼を広げ——。

 

エクストリーム『インスト―――――ルッ!!!』

 

 僕はQaフォーンの新たな浄化技プリキュアプリをタップする。すると、僕の後方にDドリームとダークプリキュアが現れる。それを確認した僕は、レクスに飛び込めるように空中で姿勢を変えると、二人が僕の足底に、二人の足底を合わせる。

 

Dドリーム「一回きりよ!良いわね、エクス!」

 

ダークプリキュア「超えていけ!お前の影を!」

 

エクストリーム「はいっ!!!!!」

 

Dドリーム・ダークプリキュア「「いっけぇぇぇぇぇえええええっ!!!!!」」

 

——ドンッ!!!!!

 

 Dドリーム達によって蹴り出された勢いを受けながら、僕は飛び蹴りの体勢をとる。これが僕の——大切な人を守る為の技!僕の憧れと正義を示す技!

 

エクストリーム『プリキュアッ!!!!!』

 

レクス「面白い!それもまとめて……”破壊”してやるよ」

 

種「っ!?指先に……Aqライトを集めてるの?」

 

コル―リ「ッ!?Aqライトのコートまで消した!?エクス!カイザーンを倒した技が来ますっ!!!避けてっ!!!!カケルッ!!!!!」

 

 分かる——それが”俺”の全て。なら——それを全て受けきって、”僕《今》”が”俺《未来》”を超えてやる!

 

エクストリーム『ミラクルライトッ!!!!!』

 

レクス「爆ぜろっ!!!!!」

 

エクストリーム『エクストリーーーーームッ!!!!!』

 

——ドンッ!!!・・・・・・ブワ―――――ンッ!!!!!

 

コル―リ「きゃあっ!?」

 

種「コルーリ、伏せて!結界の中だけど、どうなってもおかしくない!」

 

 レクスの指先から撃ち出された黒い極小の光球と、僕の七色の光を纏った蹴りが衝突する。周囲に広がっていく無尽蔵の衝撃が大聖堂の全てを吹き飛ばしていく。

 

エクストリーム「ッ!!!固い……なんて高度のAqライトだ!!!」

 

レクス「俺が纏っていた全てを圧縮した破壊の一撃だ。カイザーンすら破壊する一撃なのに……お前は壊れないか。でも、時間稼ぎは出来るな。残り20秒……もたせてもらう」

 

エクストリーム「あと少し……なのに!」

 

レクス「お前、言ってたよな?”俺”の事も受け入れるって……お前だって俺が嫌いなはずだろ?」

 

エクストリーム「おばあちゃん達に教えてもらった!光がなくちゃ……闇の中にある輝きを見つけることは出来ない。闇がなくちゃ……眩しすぎて輝きの居場所に気付くことは出来ない!光も闇も……受け入れていいんだって!”俺”の間違った未来も、今ここにいる僕達に繋がっている!だから否定しない!受け入れる!!!そしてっ!!!!!」

 

レクス「……ッ!!」

 

 僕へ向けられたレクスの表情が、驚愕の表情に変わった事に気付く。ああ、分かる——だって、僕も自分の両肩に、僕の背中に、僕を前へ、前へと押し出す力を感じているから。

 

コル―リ「あれって……プリキュア達っ!?」

 

種「皆、お兄ちゃんを押してくれてるんだ!お兄ちゃん、頑張れーーーっ!!!!!プリキュア、頑張れーーーーーっ!!!!!」

 

 背中から感じるプリキュアさん達の思いを足に込めると、七色の光はより一層の輝きを放ち——その輝きは、”黒”をかき消していく。

 

エクストリーム「お前の間違いを許す!お前の行いを認める!!お前の存在を肯定するっ!!!僕はお前に与えられた全てを使って、お前が成せなかった……運命を変えるっ!!!」

 

レクス「はぁ・・・・・・やっぱり、眩しいな」

 

エクストリーム「僕達は……僕達が創る”未来”へ行くっ!!!!!」

 

——ガキンッ!!!!!

 

 黒の光球を砕き、エクストリームはレクスへと向かう。

 

レクス「”俺《未来》”を超えるか……”僕”?」

 

エクス「ああ、行き止まりじゃない……僕達の未来が待ってるからっ!!!!!」

 

——ドンッ!!!!!

 

レクス「がぁぁぁあぁぁぁああああああああああっ!!!!!!!!!!」

 

——ドッゴ――――――――――ンッ!!!!!!!!!!

 

 七色の輝きを纏った蹴りを受けるレクス。レクスは大聖堂の壁へ吹き飛び、その計り知れない衝撃により接触した壁は崩れ落ち、豪勢なステンドグラスも完全に砕け散った。その壁の向こうには、荒廃した多田織市と、余りにも美しくひろがる青空が見えた。まるで——行き止まりの未来を越えて、僕達のまだ見ぬ未来を祝福する様に。

 

エクストリーム「はぁ……はぁ……」

 

——ガランッ

 

レクス「あ、ああっ!……はぁ……はぁ……どうした?まだ、生きてるぞ?」

 

エクストリーム「レ……クス……!」

 

 瓦礫の中から出てくるレクス。奴は——まだ生きていた。未来のコルーリが言っていた。【彼を私の元へ連れて来て】——と。レクスは満身創痍、時:壊《タイム:バースト》の残り時間は5秒——決着をつけるのはここしかない!

 

エクストリーム「……レクスッ!!!!!」

 

——ダッ!!!!!

 

 僕は、残りの気力を振り絞った全力の踏み込みでレクスへと飛び込む。自分の振り絞れるありったけの七色の光を左手に込めて——。

 

レクス「・・・・・・」ニコッ

 

エクストリーム「砕けろ、”俺”ーーーーーっ!!!!!」

 

 僕は、決着の一撃を放つ——が。

 

ダメ―――――ッ!!!!!

 

 その一撃は、”花嫁”の声によって——止められる。

 

 

side:コルーリ

 

種「やった……やったーーー!お兄ちゃんが勝ったーーーっ!!!」

 

——ガランッ

 

レクス「あ、ああっ!……はぁ……はぁ……どうした?まだ、生きてるぞ?」

 

エクストリーム「レ……クス……!」

 

コルーリ「レクス、まだ戦う気なんですか?」

 

 決着は着いた——レクスは、エクスとプリキュア達の力の前に敗れた。私達を守っていたレクスの結界も消滅し、彼が敗れた事は明白だ。しかし、彼はボロボロになっても立ち上がる。その姿を見たエクスは、トドメの一撃を加えるべくレクスへと向かう——その時だった。

 

——カチッ!

 

コルーリ「……えっ?」

 

 世界がスローになった。止まってはいないが、コマ送りの様にゆっくりと時間が流れている。

 

コルーリ「何……これ?……っ!?誰ですか!?」

 

 何故、急にこの様な事になったのだろう?そう考えていた私の後ろから——視線を感じる。その視線の正体を確かめる様に、私は勢いよく後ろへ振り向いた。

 

コル―リ(PW)『・・・・・・違うっ!違いますっ!』

 

コル―リ「わ、私……?」

 

コル―リ(PW)『違うんです……そうじゃないのにっ!……ッ!?あ、あなたは……私?私が……見えているんですか?』

 

 そこにいたのは——私ではない”私”でした。今の自分と瓜二つの彼女は、涙を流しながら私の向こうにいるエクスとレクスを見つめて、【違う】と言う言葉を繰り返している。そんな彼女を見ていた私の存在に気付いたのか——彼女は流している涙を拭う事もせず、今度は私に綺麗な空色の瞳を向けて語り掛けてきた。

 

コル―リ「は、はい。あ、あなたは……レクス、”彼が愛した私”ですよね?」

 

コル―リ(PW)『はい。そう言うあなたは……”彼《レクス》が変えた未来の私”ですね?でしたら、お願いします!エクスを止めて下さい!このままでは……ダメなんです!』

 

コル―リ「ど、どう言う事ですか?」

 

コル―リ(PW)『このままでは、レクスが消えてしまいます。そうなれば……私が知る結末と変わってしまう。今の私を認識しているのは……恐らくあなただけです。私は実体をもたない魂の存在……この場で彼を止める事は出来ません。私に出来る事は……あなたに私の知る全てを伝える事だけ。そして、あなたに彼を……レクスを私の元へ導いてもらう事。それこそが……私が知る結末へ至る方法です』

 

コル―リ「あなたが知る……結末?」

 

コル―リ(PW)『あなたなら疑問に思ったでしょう……どうして【私が彼に”生きて”と言う過酷な願いをしたのか?】と。あなたに……その真実を見せましょう』

 

 彼女は立ち上がり、近付いて私の頬に両手を添えると——私の額に自身の額を当てる。すると、私の中に彼女の記憶が流れ始め——私は、彼女の言う”真実”を知った。

 

コルーリ「こ、これが……あなたが"生きて"と言った理由?これが……あなたの言う結末ですか?」

 

コルーリ(PW)『……はい。私の知る通りならば』

 

コルーリ「……確かに、この結末なら彼は……レクスは消えません。そしてカケルが、未来の自分をあやめる事もない。ですが……これは【あなたの犠牲が前提】になってしまう」

 

コルーリ(PW)『それは……全てを知った時に覚悟した事です。だから、お願いします』

 

 彼女は真っ直ぐに——私を見つめる。既に覚悟を決めた彼女の視線は揺らぐ事は無く、魂となっても——レクスを思うその意思の強さは変わらなかったのだ。

 

コルーリ(PW)『ごめんなさい。あなたは……彼を、レクスを恨んでいるでしょうに』

 

コルーリ「……いいえ。私は彼を恨んだりしません。それに……あなたも、私も、目的は一緒です」

 

「『時生 駆を助けたい』」

 

コルーリ「その一点に尽きる……ですよね?」

 

コルーリ(PW)『ええ、その通りですね。では……宜しくお願いします」

 

コルーリ「分かりました。私に出来る事を……やります」

 

 私に自身の記憶を託し、七色の光になって消えるもう一人の私。恐らく——エクストリームの力によって現れたのだろう。そして、私だけがそれに触れ、レクスも知らない真実を知った。託された思いを無駄にはしない!スローモーションだった世界は、再びその時間を戻そうとしている中、私は——叫んだ。

 

コル―リ「ダメ―――――ッ!!!!!」

 

——ピタッ!

 

エクストリーム「こ、コルーリ?」

 

コル―リ「エクス、やめて下さい!もういいんです!あなたが未来の自分自身を葬る事も、彼が倒れる必要もないんです!」

 

 すんでの所で止まったエクスの攻撃。私はその隙にエクスとレクスの間に割り込み、エクスを止めるために両手を広げて——レクスを守る体勢を取り、エクスに語り掛ける。

 

コル―リ「本当なんです!もういいんです!もう戦わなくて……」

 

レクス「・・・・・・」

 

——スッ

 

種「お兄ちゃん!避けてーーーーーっ!!!!!」

 

エクストリーム「ッ!?うわっ!?!?!?」

 

コル―リ「・・・・・・えっ?」

 

 タネの声が響いたと思った瞬間、私の横を掠めるように——黒い閃光が駆け抜ける。その光線を受けたエクスは吹き飛ばされ、遂にエクストリームの変身すらも解除されてしまう。

 

駆「がっ!?がああああっ!?!?」

 

種「お兄ちゃん!お兄ちゃん、大丈夫!?」

 

 変身が解除されたカケルの姿はひどいものだった。変身が解除された後も彼の髪色は白髪から戻らず、受けたダメージが肉体に蓄積されているのか——もがき苦しんでいる。漸く動けるようになったタネも彼に近付いて介抱するが、一向に痛みは消えないようだ。

 

コル―リ「な、なんで……?」

 

 カケルを攻撃したのは——一人しかいない。私の後ろにいる彼にしかできない。私は言った——【もう戦う必要はない】と。しかし、彼は止めなかった。私の——どうしてそのような事をするのかと言う疑問の言葉が漏れる。

 

レクス「ありがとう、コル―リ。まさか、俺を庇ってくれるなんて思わなかったよ」

 

 ——が、彼はその言葉を無視して歩を進めようとする。私はすかさず彼を前に立ち、今度はカケルを庇う体勢を取る。

 

レクス「退いてくれるかい、コルーリ?そいつを消せないよ」

 

コル―リ「違います!私は、そうして欲しいから庇ったんじゃありません!私は……もう戦って欲しくないから!」

 

レクス「コルーリ、君は……どっちの味方なの?どっちつかずなのは……嫌われるよ」

 

コル―リ「私は……いいえ、私達は!”時生 駆”の味方ですっ!!!」

 

レクス「はぁ~……まあいいさ。君には俺をどうにか出来ないし、エクストリームの60秒も終わった……もう俺を止める事の出来る奴はいない。少し……眠っていると良い。その間に、全て終わっているからさ」

 

コル―リ「……ッ!」

 

 私にゆっくりと左腕を伸ばしてくるレクス。成す術のない私は、恐怖で目を閉じてしまった——その時だった。

 

諦めるな!!!コルーリの……馬鹿ぁぁぁぁぁあああああっ!!!!!

 

コル―リ「ッ!?タネッ!?」

 

種「お兄ちゃんの味方って言ったなら!最後まで逃げるな!!ここで逃げたら……女が廃るんだからぁぁぁあああああっ!!!」

 

——ビュンッ!!!!!

 

レクス「ッ!?ミラクルライトッ!?」

 

種「取って、コルーリ!!!恋する女の子の意地を……見せてやれぇぇぇえええっ!!!!!」

 

——パシッ!

 

 大聖堂に響くタネの声に振り向き私に、タネはありったけの気合いを込めて、ある物を投げてきた。それはカケルとタネが使っていた切り札である——ミラクルライト。それは真っ直ぐに私に向かって飛んできて、私が伸ばした両手の中に綺麗に収まる。

 

レクス「……コルーリ」

 

コルーリ「私は……託されました。貴女を愛した私に!カケルを愛するタネに!私だって……愛する人を守りたい!助けたい!私だって……!!!」

 

——カチッ

 

駆「コ……コルーリッ!」

 

種「言ってやれー!コルーリーーーっ!!!」

 

 ダイヤルを最大まで回し、ミラクルライトを両手でしっかりと握る。そして、私の胸の内にある思いの全てを——。

 

コルーリ「私だって……!!!"ヴァールハイト・プリキュア"ですっ!!!!!」

 

——ポチッ

 

 叫び、スイッチを押す。

 

——キラーーーーーンッ!!!!!

 

レクス「ッ!?な、なんだ!?この光量は!?ミラクルライトだけじゃない……他に何が光を放ってる!?」

 

コルーリ「これ……指輪が」

 

 七色の光を灯したミラクルライトの力に呼応したのか——私の左手の薬指に嵌められた指輪が形を変える。七色の宝石の左右に青い羽の装飾が足され、ミラクルライトと同じくらいの光を放っている。

 

レクス「コルーリ……君は、何をしようとしている?」

 

コル―リ「決まっています!私は……”時生 駆”を助けます!カケルも!そして……あなたも!」

 

 無力な私に与えられた——最後の希望《ミラクルヴァ―ルライト》。私の両手の中で輝く光と、左手の指輪の光が——私が彼女《レクスを愛した私》から託され、レクスさえも知らなかった”真実”へと導いていく。

 

 

To the Next chapter……




如何だったでしょうか?まだ決着じゃないじゃん!と、思うかもしれないけど、エクスとレクスの勝負は決着したから!嘘じゃないから!では、次回が最終回!コルーリの手の中で輝く二つの光!その奇跡は3人の思いを一つにし、隠された真実へレクスを導く!乞うご期待ください!


レクス「……よう、”僕”」

駆「……うん。どうも、”俺”」

レクス「始まりがあれば終わりがある……ソラちゃん達の事、寂しくなるな」

駆「寂しくないよ。彼女達を覚えてくれている人たちがいてくれるなら。それに……」

???「こら~!こむぎ!走っちゃダメだよ!」

???「いろは!こっちだよ~!」

レクス「その逆も然り……か」

駆「そう言う事さ。また賑やかになるよ」

レクス「いつかは100人も夢じゃないな」

駆「夢じゃないさ……人の心に光がある限り、人々が求める限り、プリキュアは……いつだってそこにいるんだよ」
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