【完結】劇場版 ヴァールハイト・プリキュア もう一つの未来!?王〈レクス〉と青翼の花嫁〈コルーリ〉!   作:32期

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ごきげんよう、32期です。今回はクロノたちのいた2043年から、次なる舞台へ変わります。そこで待っている新たな出会いと、悲しき再会……そして、レクスがコルーリを救おうとする理由に触れていくものとなっています。では、お楽しみください!

響「ねえ、奏……駆君達、次は何処に向かうと思う?」

奏「そうね……レクスがいた2026年にはまだ行かないだろうし、もしかしたら私達以外のプリキュアの時代とかかしら?」

ハミィ「もしかしたら、メイジャーランドにも来るかもしれないニャ!」

エレン「そうね!傷付いた二人を癒す音楽が必要だもの!」

アコ「……レクスが駆なら、敵を休ませる隙なんて与えないと思うわ」


チャプター5:小さな青羽、悲しき再会

side:コルーリ

 

レクス「以上が……俺がパラレルワールド〈2018〉でしていた事の全てだ」

 

コルーリ「未来から来た子供たちを利用して……私達を導いていた?」

 

 レクスが私に話したパラレルワールド〈2018〉の裏側、私達が最後まで知らなかった……小さな二人の子供の手助け。それを利用して……彼は私達を導いていたと言うのだ。しかし、私には疑問があった。彼はカイザーンと同じAqライトの完全覚醒者だ……カイザーンの様に強大な力で干渉する事だって出来たはずなのに……何故、遠回りするような事をしたのだろう?

 

コルーリ「あ、あの……どうして、子供たちを利用したんですか?あなたなら……Aqライトでいくらでも……」

 

レクス「どうにでも出来た……と?」

 

コルーリ「……」コクッ

 

レクス「コルーリ、”世界を騙す方法”を知っているかい?」

 

コルーリ「世界を騙す……方法?」

 

 世界を騙す方法……Aqライトを使わなかった理由の質問に彼はそんな言葉で返す。世界を騙す……カイザーンがプリキュア達にした行為の事だろうか?

 

レクス「方法は2つある……1つはカイザーンの様に強大な力によって”世界の認識を変える誤認”だ。世界全体から記憶を消して、プリキュアが存在しないと世界に誤認させた……あの方法だ」

 

コルーリ「もう1つは?」

 

レクス「世界が決めた結果……そこに至る過程が変わらない程度の”小さな変化”を加えて、結果を変える”世界の認識を変えない誤認”。俺は後者の方法をとった」

 

コルーリ「過程を変えずに……結果を変えると言う事ですか?」

 

レクス「ああ、俺は過去に……あの戦いを経験している。どの様な出来事が起こり、どの様な結果になるのかも全て知っているからね」

 

 ”世界の認識を変えない誤認”……過程を変えずに結果を変える方法。彼がその方法をとったことは分かった……しかし、何故その方法をとったのかがまだ分からない。

 

レクス「まだ分からないって感じだね。ふむ……コルーリ、俺が過程に加えた小さな変化ってね……”俺の存在”なんだ。俺の存在を加えると言うこの行為……俺にとってこの行為は絶対に必要だったから、俺はこの方法をとった」

 

コルーリ「どう言う意味ですか?」

 

レクス「本来、特異点であったクロノ君がはぐみちゃんと一緒に開発中のタイムマシンを誤って起動してしまい、2018年の過去に来る予定だった。辿り着いた新作体験会の会場があったMUGENスクエアの中で100番の参加券を拾うも、俺にぶつかって無くす。プリキュアが誘拐された後、はぐみちゃんがモフルンを拾って俺に渡してくれた。MUGENスクエア内のゲームスペースにあった”プリカディア”を二人で遊んでいるうちに、ミラクルゲーマーライトの配布と種の映像が流れて……それを見て応援して助けてくれた。最後は……もう一度タイムマシンを使って元の時代に帰って終わりだった。俺はこれらの出来事に介入し、あらかじめ準備して彼らにこれらの行動をとらせた……これにより”俺の存在”が過程に加わった。これが重要なんだ。君を助けるための第一歩として……ね」

 

 彼は悲しそうに、それでいて真剣に……どこか遠くを見つめながら語ってくる。彼が……どうして私を助けるためにそこまでするのだろう?疑問に次ぐ疑問で……混乱してしまいそうだ。

 

レクス「コルーリ、物語の中に……元々登場する予定のなかった”新しい登場人物”を自然に加えるにはどうすれば良いと思う?」

 

コルーリ「えっ?えっと……」

 

レクス「……”登場していた事にする”のさ。でも……そうだね、本に例えようか。例えば……物語をチェックする”編集者”がいたとして、いきなり知らない登場人物が出てきたら不審に思わないかい?」

 

コル―リ「た、確かに……もしそんな事があれば、書き直してもらうと思います」

 

レクス「俺が本来介入したいのは、コルーリがいる”俺が旅した物語”の方だ。だけど、そっちには世界すら改竄する編集者の”カイザーン”がいる。そのせいで俺が割り込むと消されてしまうかもしれない。だけど、俺は物語に介入したい……世界にも、カイザーンにも怪しまれずにね。でも、あったんだよ……俺の旅の中で唯一”カイザーン”が干渉しない”パラレルワールドでの戦い”がね。そこで、俺はカイザーンの目が無い状況で、世界を騙して”俺の存在”を物語に加える事で、俺が経験したネツゾーンとの戦いの物語……その中に”レクス”と言う”新しい登場人物”を加えることに成功し、世界は俺を”登場した事のある人物”と誤認したんだ」

 

 カイザーンに怪しまれずに過去へ介入するために、回りくどい方法をとった……と、いう事のようだが……。

 

コル―リ「でも、それならカイザーンと同じようにAqライトで書き換える方法でも良かったんじゃ……」

 

レクス「コル―リ、俺がとった方法には”世界の修正”が発生しないんだよ。Aqライトは”世界の修正力”そのもの……無暗に使えば、世界は大きく形を変える事になる。そうなれば……過去の俺が経験するべき”出来事”が変わってしまうリスクがある。安全と確実性を考えて、俺はAqライトを使わない後者の方法をとる事を決めたんだ。蝶が羽ばたくと、どこかの国で嵐が起きる……小さな変化が、大きな結果に繋がる……”バタフライ・エフェクト”さ」

 

 そこまで考えた介入だったなんて……。

 

レクス「それでも、カイザーンや世界を欺き続けるために”過去の俺”への介入はしなかった。俺は物語にとって”裏方”に徹するほかが無くてね……表舞台である”過去の俺”に干渉すれば、カイザーンも世界も気付きかねない。2013年で君に干渉したのは、あの瞬間が過去の俺が知り得ない物語の”裏側”だったから。あの時に言ったでしょ……【俺は”表舞台”に必要以上に干渉できない。俺が知りえない時間の中に少しだけ割り込めるだけなんだ。いつかやらないといけない大事な目的のために、干渉は最大限に控えないといけない】って。まあ、君を過去の俺の所に導く事も……俺の計画の一つだったんだけどね」

 

コル―リ「私が……カケルの所に行くことが?」

 

レクス「うん。とは言っても……結果的に君は過去の俺の所へ向かうんだけどね。しかし、俺は干渉して変化を加えた。俺が加えた小さな変化は……”コルーリが到着する瞬間を変えた”ことだ」

 

コル―リ「到着する瞬間を変えた……だけですか?」

 

レクス「うん、それだけ。本来は君は俺が"暴走した後"に来る事になっていた。だから、俺は"暴走した瞬間"に君が到着する様にした。俺が暴走した瞬間に君がいるか、いないか……それだけの変化が、後に結果を変える”歪み”になる。俺が干渉した事で、君はAqライトの危険性を感じてクアライト博士に連絡をとる決断をした……それが将来的にクアライト博士との関係修復に繋がり、協力してくれる頻度が増えた。本当なら……コルーリとクアライト博士の関係修復は、もうちょっと時間が掛かる予定だった。ね、ちょっとの変化でも……こんなに違うだろう」

 

コル―リ「……もう一つ、教えてください」

 

レクス「……何?」

 

 ここまでレクスの話を聞いて、彼が私達の旅に与えた影響を理解した。

 

コル―リ「それが……どうして”私を救う事”に繋がるのですか?」

 

 なら……彼がここまでして”私を救う理由”とは何なのか?

 

レクス「良いだろう……話してあげる。でも、少しだけ時間をくれないかな?ちょっと手紙と……こいつを彼に送らないといけないからね」

 

コル―リ「手紙と……それは”宝石”?まって……それって”Qaクリスタル”ですか!?アカシック王国でしか取れない鉱石を何であなたが!?」

 

レクス「これは……”貰い物”さ。ついでにこの手紙は、過去の俺を円滑に次の目的地に導くために協力者を取らないといけないから……協力要請みたいなもの。後はこの鉱石に”暗示”を掛けて、過去の俺が到着する”一週前”の彼のデスクの上に置いとくだけ……よっ!」

 

 レクスは手紙とQaクリスタルを取り出すと、左手でQaクリスタルを握り込んでAqライトを流し込むと、その両方を小さく開いた次元の裂け目の中に落とす。”暗示”と言うワードが出たため……恐らく送り主に何かさせるための物なのだろう。そして、用事が済んだレクスは私に向き直る。

 

レクス「……よし、これでお終い。さあ、君の質問に……答えようか」

 

コル―リ「……」ゴクッ

 

 レクスが何を話すのかを緊張しながら待つ。しかし、一向に彼の言葉が聞こえてこない。

 

コル―リ「……」チラッ

 

レクス「はぁ……はぁ……」

 

 私はどうしたのかとレクスを見ると……彼は肩で息をしていた。目を瞑って、ただゆっくりと呼吸を整えようとしている。その姿はまるで……”自分の罪を懺悔する罪人”の様だ。

 

レクス「はぁ……よし、言うよ。コルーリ……君は……」

 

 レクスは漸く呼吸を整え、私の質問への回答を答え始める。それが信じがたい”未来の真実”だと……私は……知る事になる。

 

 

■■■■年 ■■■■■■■ 

 

side:駆

 

シューーーーーーーーーーンッ!!!!!

 

駆「くっ!はぁ……はぁ……外に……出たみたいだ」

 

 タイムマシンが起動してから、今まで身体に掛かっていた衝撃が消える。恐らく……時間跳躍が終わり、レクスが用意している新たな場所に辿り着いたのだろう。

 

種『お兄ちゃん、もしかして……到着したのかな?』

 

駆「恐らくね……だけど、窓もないから……外が見えない。それになんか”浮遊感”が……あっ』

 

ガコンッ!

 

種『お兄ちゃん……タネ、すっご~~~~~く嫌な予感がするけど、いま思ってる事を言ってみて」

 

駆「・・・・・・もし空中に放り出されたら、どうやって着陸するんだろう?着陸方法とか”聞いてなかった”な~……って」

 

 操縦席で感じる浮遊感で、僕はある事を思っていた。よく考えれば……操縦方法なんて全然聞いていなかった事、そして……その中に着陸方法も入っており、空中に放り出されたらどうすれば良いのかという事を。それを口にした瞬間、僕達の乗るタイムマシンは……。

 

ヒュウ~~~~~ッ!!!!!

 

駆・種「『うわあああああ(きゃあああああ)っ!!!!!』」

 

 重力に引っ張られるように”下”へと落ち始めた。

 

種『お兄ちゃん、変身!変身して脱出っ!!!』

 

駆「りょ、了解!って、うわっ!?Qaフォーンが座席の下に!?」

 

種『は、早くっ!!!』

 

 種の提案でプリキュアに変身して脱出しようとしたが、焦ったせいでQaフォーンSを座席の下に落としてしまう。地上までどれくらい距離があるのか分からないため……早くしないと命が危ない!そう思った瞬間……。

 

ガタンッ!

 

種『あ、あれ?』

 

駆「ら、落下が……止まった?いや、ゆっくり落下してるのか?」

 

 タイムマシンが落下を止めたと感じるくらいの”ゆっくりした落下”に変わる。一体、何がこの外側で起こっているのだろう?

 

ガシャンッ!

 

駆「地面に……着いたみたいだ」

 

種『い、一応、外に出てみる?』

 

駆「う、うん……あ、QaフォーンSがあった。一応、持ったまま外に出るよ。もし敵に囲まれてると判断したら、すぐにキュアシードに変身して退避……こんな感じでいこう」

 

種『おっけー!任せて!』

 

駆「ハッチを開けるよ……3……2……1……GO!」

 

バンッ!!!!!

 

 感じていた浮遊感が無くなり、地面に機体が着いたと思わしき軽い衝撃が伝わる。僕達は外が安全かを確認するために、緊急時の作戦を考えて、すぐに変身出来る様に準備をする。準備を整えた僕はハッチのハンドルを握り……勢いよくハッチを開いて外に飛び出した。

 

駆「ッ!!……へっ?」

 

種「私も外に出~~~……よっと!んんっ?うわ~~~♪」

 

 外に出た僕らを迎えたものは……人が住むには少し小さい建物や乗り物、そして……いろんな種類の”鳥たち”だった。

 

父ニワトリ「わあっ!?びっくりしたコケ!?ん~?君たち……”人間”コケ?」

 

子ヒヨコ「ピピッ♪人間さん!人間さんっピ!!」

 

母ニワトリ「人間さんが”アカシック王国”に来るなんて……どうかしたコケ?」

 

雄ワシ「大丈夫かい、中の人?うちの母ちゃんと落ちてるのを見つけたから抱えて下ろしたんだが……おんや、お前さんたち人間キ~?」

 

雌ワシ「あんら、まだ若い子達じゃないキー!痛くなかったキー!?」

 

 言葉を喋る鳥たちが僕らを心配する様に近付いてくる。その中のニワトリの母親と思わしき彼女が引っかかる事を言った。

 

駆「ここって……まさか!?」

 

 周囲を見渡す僕の目が……巨大な城を捉える。城の全てがクリスタルの様な宝石で出来た巨大な城、僕がコルーリと数週間を過ごした場所……”アカシック城”。つまり……ここは!

 

駆「アカシック……王国……!」

 

 種が攫われた後に訪れたコルーリの故郷、アカシックのプリキュアを生み出し、過去・現在・未来の記録を記すアカシック・レコードを管理する異世界の王国……”アカシック王国”だった。

 

種「お兄ちゃん、ここがあのアカシック王国なの?」

 

駆「うん、あのお城がアカシック城……アカシック女王がいる城だ。以前に見たのと同じだ」

 

父ニワトリ「なんだコケ、アカシック王国に来たことがある人間だったコケ?しかし、ワッシさん、アカシック王国に来たことがある人間なんて……」

 

雄ワシ「儂が記憶しとる限りだと……7年前が最後かのう。あの”叛逆者”が来た日……丁度、今日で7年目キー」

 

母ニワトリ「もうそんなに経つコケね~。そう言えば、人間さん達は何処から来たコケ?わざわざ、アカシック王国に来たのなら、何か事情があるコケ?」

 

 僕達に話しかけてきた雌のニワトリ……恐らく、手を繋いであげてるヒヨコのお母さんだと思われる彼女が僕らに問いかけてくる。それを聞いた種は、僕の持っているQaフォーンSを取ると、某副将軍のお付きの様に彼女達の前に突きつける。

 

種「ふっふっふ~!私達はね~!!プリキュアを助けるアカシックのプリキュア!!!”キュアシード”と”キュアエクス”だよ!!!!クアライト博士が作ったこの”Qaフォーン”が証拠だよっ!!!!!えっへん♪」

 

駆「こら、種……はぁ。えっと……そう言う事なんです。なので、僕達の事は……ん?」

 

キュアエクス……? キュアエクスだと……! キュアエクス……なんで……!

 

種「あ、あれ?お兄ちゃん、もしかして私達ってアカシック王国だと知名度ない?でも、お兄ちゃん、キュアエクスになった時に活躍したって言ってたよね?」

 

駆「その……はず……だけど……」

 

種「お兄ちゃん、どうしたの?」

 

 種は気付いていないようだが、種が”キュアエクス”の名を口にした瞬間から彼らの雰囲気が変わった。彼らは”僕”に穴が開くほどの視線と、とてつもない”怒り”と”敵意”を向けてくる。唯一何も変わってないのは、何も理解していない”ヒヨコ”の子供だけだろう。

 

子ヒヨコ「ママ~、どうしたピ?」

 

母ニワトリ「ピッコ、ママが抱っこしてあげるコケ。少しだけ……目を瞑って、お耳を閉じてるコケ。お約束できるコケ?」

 

子ヒヨコ「ピピ~♪ピッコ、お約束まもれるピ~!ピピッ!!」ギュ―!

 

父ニワトリ「男の子の君が……”キュアエクス”で間違いないコケ?」

 

種「そ、そうだよ!お兄ちゃんが、プリキュアを守る”キュアエクス”なんだから!」

 

 僕の勘が告げている!”逃げないと”!!!ここにいては……いけないっ!!!!!

 

駆「種っ!!!ここから逃げっがあああああっ!!!!!」

 

雄ワシ「動くなっ!!!!!」

 

種「お兄ちゃん!?何するのよ!?きゃあっ!?」

 

雌ワシ「あなたも動かないキー!コッコさん、警備兵をすぐに呼んで!」

 

父ニワトリ「わかった!コケッコ―――――ッ!!!!!”キュアエクス”コーーーーーッ!!!!!”キュアエクス”が戻って来たコケーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!」

 

キュアエクスがっ!? あいつが戻って来た!? 子供をすぐに逃がすポー! すぐにアカシック軍を呼べーーー!!!

 

 ワシの夫婦が大きな足で僕と種の腕を押さえる傍らで”キュアエクス”の名をまるで王国全土に響くと思う程の大声で雄のニワトリが叫ぶ。すると、それを聞いた国民たちが一斉に外へと出てくる。ある者は逃げ出し、ある者は怒りを露わにし、ある者は僕を見て恐怖でその場に崩れ落ちる。

 

アカシック王国兵(フクロウ)「動くな、アカシック軍ホー!」

 

雄ワシ「警備兵殿、こいつが叛逆者……”キュアエクス”キー!」

 

”魔王”だ……! ”叛逆者”!! ”最低最悪の魔王”っ!!! すぐに撃てっ!!!! 消してしまえっ!!!!!  

 

駆「くっ!は……離せっ!!!!!」

 

シュンッ!!!

 

雄ワシ「おとなしくし……キキ――――!?!?!?」

 

 僕を腕を押さえる雄のワシに抵抗しようとした瞬間、僕の首に巻いたおばあちゃんのマフラーが形を変え、しなる鞭のように伸びてワシの頬を叩く。よし、これで拘束が解けた!

 

駆「種、頭を下げて!」

 

シュンッ!!!

 

種「おっけー!」(お辞儀)

 

雌ワシ「キキ~~~!?!?!?」

 

駆「街の中じゃすぐに見つかる!ここから森が見えるからそこまで逃げるよ!!!」

 

種「分かった!」

 

 種を拘束する雌のワシを形を変えたマフラーで退けると、僕らは身を隠せそうな森のある方へと走り出す……が、そのまま逃がしてくれる訳もなく、警備兵は装備している銃の銃口を僕らに向ける。

 

アカシック王国兵(フクロウ)「こ、国民への被害を確認!アカシック軍の権限により、実力を行使する!ホホ―――――!!!」

 

バババババババンッ!!!!!

 

種「きゃあ!?」

 

駆「種、止まっちゃダメだ!」シュン!

 

キキキキキキキンッ!!!!!

 

種「おばあちゃんのマフラーが盾になってる!」

 

駆「早く逃げないと!囲まれたら逃げようがない!」

 

アカシック王国兵(フクロウ)「ま、待つホーーー!!!待つホー、キュアエクスッ!!!!!」

 

 放たれた数発の弾丸が僕らに向かって放たれると、マフラーが再び形を変えて僕らを守る盾になる。全ての弾丸が弾かれたのを確認した僕は、種にすぐに逃げる様に催促してアカシック王国の町はずれに見える森へと向かって走り出した。

 

 

アカシック王国 郊外の森

 

駆「はぁ!はぁ!!もう少し奥に逃げないと……何だあれ?フェンス?」

 

種「乗り越えちゃえばいいよ!タネが先に……」

 

カシャッ!ビリビリビリビリッ!!!!!

 

種「あばばばばばばっ!?!?!?!?!?」

 

 逃げ込んだ森の中……その途中に、何かを囲むように設置された巨大なフェンスがあった。まるで国境を分かつように遠くまで広がったフェンスだが、高さはよじ登れれば乗り越えられない程ではない。種もそう感じたのだろう……フェンスに手を掛けて登ろうとした瞬間、種の身体が電流を帯び始め……”感電”した。

 

駆「こ、高圧電流!?これ……全部が電気柵なのか!?」

 

種「お兄ちゃん!?こ、これはダメだよ!種は死んでるから死なないけど、お兄ちゃんじゃ死んじゃうよ!!!」

 

アカシック王国兵(ペリカン)「どこファー!どこにいるファー!!」

 

アカシック王国兵(クジャク)「キュアエクス、今すぐ投降しなさいクー!!」

 

駆「アカシック軍の兵士がもう来たのか!?」

 

 小さくだが僕らの後方に兵士たちの姿が見える。このフェンスを越える方法は……そうだ!

 

駆「Aqライト、解放!」

 

ボウッ!

 

種「お兄ちゃん、何やってるの!?」

 

駆「乗り越えるのが駄目なら……”通り抜ければいい”!」

 

シュンッ!

 

 僕はAqライトを使ってフェンスの手前に次元の裂け目を作り出し、その中へと飛び込む。長距離を越えるのではなく、フェンスの向こう側へと通り抜ける程度の空間跳躍……それにより、僕はフェンスの向こう側に入ることが出来たのだが……。

 

ズルッ!

 

駆「えっ?うわあああああっ!?!?!?」

 

種「お兄ちゃ~~~~~ん!?!?!?」

 

 フェンスの向こう側は急な坂になっていたため……僕は飛び込んだ勢いのまま、坂を滑り落ちていった。ちなみに……種はいつもの壁抜けと同じ方法でフェンスを通り抜けていた。はぁ……レクスのせいで今日は落ちてばかりだ。

 

 

アカシック王国 ■■の■■

 

駆「うわあああああああがっ!?痛っ……ん?なんだ、ここ?」

 

種「お兄ちゃん、大丈夫!?……って、うわ~!なにこれ!大きな遺跡みたい!!」

 

 漸く坂を下り終わった僕。身体を起こして視線を正面に向けた僕の前に広がる景色に、僕や僕を追って下りてきた種は興味を示す。そこにあるのは……例えるなら”遺跡”の様な場所だ。白い石造りの石柱や石板があるのを見るに、恐らく妖精たちが作った人工物だろう。妖精の気配がないのもあるけど、何よりもこの空間の空気……いや、雰囲気がとても神秘的だ。アカシック王国の”聖地”か”聖域”のような場所なのかもしれない。それなら、電気柵やフェンスで侵入を防止してたのも頷ける。

 

駆「中世の遺跡みたいだね。アカシック王国にこんな所があったなんて知らなかったよ」

 

種「誰もいないね〜……ねえ、お兄ちゃん、石板に何か書いてないの?」

 

駆「アカシック王国の言語体系のままなら……なんとか読めるけど……」

 

 遺跡の全体にある石板の中でも、僕は中央にある一番大きな石板に近付いて、何が書かれているかを確認する。幸い、書いてある文字はアカシック王国の言語体系そのままだった。これなら読めるな……えっと……。

 

駆「アカシック王国を建国した偉大なる女王……"アカシック・ブルーバー"……ここに眠る……か。アカシック王国を建国した初代女王の墓標って所かな」

 

おとうしゃま~!クーちゃ~ん!早く早くチュ~ン!!

 

種「っ!?お兄ちゃん、誰か来る……よ?」

 

駆「しまった!?もう見つかっ……た?」

 

 種の焦る声を聞いてアカシック軍の兵が追い付いたのかと思って振り向くと……そこに立っていたのは、色鮮やかな花束を持った青い髪の小さな”人間の少女”だった。いや、気配からして妖精だとは思うのだが……そんな事を考えていると、少女は目をキラキラさせて僕達の方へと走ってきて、僕らの目の前で止まると何度も何度も僕らの顔から足にかけてを繰り返し確認しながら見ていた。

 

青い髪の少女「チュ~ン!人間しゃん!本物の人間しゃんチュン!おかあしゃまの読んでくれるおとぎ話の人間しゃんそのままチュン!私達みたいに翼もお羽もないし……おっきなお手々がついてて……背もとっても大きいチュン!!おにいしゃん、お顔をよくみせてチュン!早くかがんでチュン!!」

 

駆「えっ!?う、うん……はぶっ!?」

 

 かがんで顔の高さを少女に合わせたと同時に僕の頬を両手で押さえる少女。そして、再び僕の顔をくまなく確認してくる。仕方ないので僕も少女の顔をよく見させてもらうと……何だろう?何処かで見たことあるような既視感の様なものを感じる。綺麗な青い髪、整った顔、”チュン”と言う語尾……あれ?全部……コルーリの特徴じゃないか?

 

青い髪の少女「わ~!嘴もないチュン!!それに……おにいしゃん、カッコいいお顔チュン!決めたチュン!!おにいしゃん、私の王子様にしてあげるチュン!!」

 

種「あっ!?何だと、このガキ!?」

 

青い髪の少女「チチュン!?おにいしゃん、このおねえしゃん怖いチュン!?」

 

種「あっ!こら!お兄ちゃんの後ろに隠れるな~!!」

 

駆「種、子供をいじめるものじゃないよ……ごめんね、このお姉ちゃんは怖いかもしれないけど、とっても優しいんだ……だから、大丈夫だよ」

 

 種が威嚇したせいで僕の後ろに隠れてしまう少女。僕はそれを安心させるために種をなだめ、そして少女の頭を撫でてあげる。

 

青い髪の少女「チュチュ~ン……おにいしゃん、やっぱり王子様チュン///」

 

種「全く~……ん?あれ~?ねえ、お兄ちゃん……この子、なんかコルーリに似てない?」

 

駆「やっぱり種もそう思う?」

 

 どうやら種も僕と同じ意見の様だ。

 

青い髪の少女「な、何チュン///あまり見つめられると……恥ずかしいチュン///」

 

駆「やっぱりどう見ても……コルーリだよね?」

 

種「コルーリにそっくり~!」

 

青い髪の少女「えっ?おにいしゃん達、どうして”私”の事を知ってるチュン?」

 

種「えっ?違うよ~!私たちが言ってる”コルーリ”は、もっと大きくて私達と同い年くらいの子だよ!」

 

 少女がいきなり自分の事を知ってるのと言って驚きそうになるが……それはおかしい。このアカシック王国に来て”キュアエクス”の事が知れ渡っている様子だから、ここが過去のアカシック王国であるはずがない。そう考えれば、この少女が過去のコルーリでない事は明白だ。

 

コル―リ?「おっきいコルーリ?チチュ~ン……チュチュン!もしかして!」

 

テチ!テチ!テチ!テチ!

 

種「ちょ、ちょっと、どこ行くの!?」

 

コル―リ?「こっちチュ~ン!」

 

駆「……追いかけよう、種」

 

種「はぁ~……仕方ないな~!こら、待ちなさい!」

 

 何かを思いついたのか急に何処かへ走り出す少女。追いかけることを決めた僕達だったが、意外にもそんなに離れた所ではなかった。そこは大きな石板よりも小さい石板があり、少女は持っていた花束を石板の前に置いていた。

 

コル―リ?「もしかしたら、おにいしゃん達が行ってるのはコルの”おねえしゃま”の事かもしれないチュン」

 

種「お姉様?お姉ちゃんがいるの?」

 

駆「・・・・・・っ!?」

 

 石板を指さす少女に従い、僕は石板に書かれた文字を見る。そして……そこに書いてあった名前に僕は驚愕した。

 

駆「この……この名前の人が君のお姉ちゃんなのか!?」

 

種「お、お兄ちゃん……どうしたの?」

 

コル―リ「そうチュン。このお墓に眠ってるのがコルのおねえしゃま……プリキュアを助けるために頑張った自慢のおねえしゃまチュン……会ったことはないチュンけど」

 

種「どう言う事なの!?お兄ちゃん、何が書いてあるの!?」

 

 僕に詰め寄って石板に何が書いてあるのかを聞いてくる種。正直……書いてある事を口にしたくはなかったが、僕は数回の深呼吸を挟み、まるで”自分の罪を懺悔する”ような気分で書かれている内容を話す。

 

駆「……コルーリの名前だ」

 

種「・・・・・・えっ?」

 

駆「この石板には……コルーリの名前が刻まれている!」

 

 

side:コルーリ

 

コル―リ「……嘘……嘘ですっ!」

 

レクス「……嘘じゃない。コルーリ、君は”2019年5月1日”……空中に浮くネツゾーン城でのカイザーンと俺の戦闘で……俺を庇って……”死んだんだ”」

 

 

To the Next chapter……




いかがだったでしょうか?今回もあまり明るい雰囲気にはなりませんでしたね……もう少し駆達には絶望と苦しみを味わってもらわないと……レクスに失礼ですからね。さて、次回はアカシック王国で出会った少女”子ルーリ”(種が命名)と新たな協力者の助力でアカシック城に潜入する駆達。そこで待っているのは……”コルーリを愛したもう一人の男”と”キュアエクスへの恨みの飲まれた悲しい女王”。駆の知らないキュアエクスの罪により……駆、処刑!?乞うご期待ください!

咲「ど、どう言う事!?ねえ、舞……これってどういう事!?」

舞「咲、落ち着いて!私も……どう言う事なのかまだ分からないわ。でも……」

チョッピ「レクス……苦しそうだったチョピ」

フラッピ「レクス……未来の駆が何か関係してるはずラピ!」

ムープ「きっとそうムプ!」

フープ「早く続きが気になるププ!」
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