テイルズオブアライズ トロフィー「絶望の荊」獲得RTA レナ人チャート   作:完走したい天邪鬼

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そろそろ独自設定/独自解釈タグが火を吹いてきます
ご留意の上で13話以降の物語をご閲覧ください


第13話 ミハグサール

「んじゃ改めて、エスト......の森に行くってことでいいんだよな」

「エストルヴァの森ね。さっきは覚えてたのに。しっかりしてよ」

「わりぃわりぃ」

「忘れ物はないか?」

「......」

「シオン?何か忘れ物か?」

「......え?いえ......大丈夫よ」

 

 

 

ニズの街を出て見えたのは荒野だった。

カラグリアのものとはまた気色が異なる荒野はまるで風に削られているように見えた。

 

「四方の風集う谷って言うだけあって、風が止まないね」

「ああ......うわっ砂が目に入りやがった!」

「止まない上に強いからな。気をつけろ」

「口の中までジャリジャリする......」

「フルル、飛ばされないでね。......フルル?」

 

フルルが風に乗っていた。いや、飛ばされていた。

不安に揺れる声が砂が舞う荒野に虚しく響いて消えた。

 

「フルルー!!」

 

 

 

 

 

 

「いくら風が集うったって、こんなにビュウビュウ吹いててニズの皆は平気なのか?」

「ここではこれが当たり前なのだろう。風のミハグサールだからな」

「残るガナスハロスは水よ」

「地水火風光闇。闇がレナで、残る5つを五領で分担か」

「やっぱり土地によって集めやすい属性があるのか?」

「それもあるだろうが、恐らく領将(スルド)同士の衝突を避けるのが、分担の主目的だろう」

「自分達の〈王〉を選ぶために、同族で戦うわけにはいかないからか?」

「数で劣る我々の同士討ちは無意味どころか危険だ。(もっと)も、不干渉が建前に過ぎないのは、メナンシアで見た通りだが」

 

ケルザレクが従えていた大トカゲとヘルガイの果実の事か。

アウテリーナ宮殿でメナンシアとミハグサールの交易記録を見つけた。

メナンシアからは食料、ミハグサールからは武器や工芸品、この双方で主に取引されていた。

何故食料なのか疑問だったが、ミハグサールの荒野を見れば納得だ。

風に擦り切れたこの土地ではニズの全員の食料は賄えないだろう。

 

工芸品に紛れるように持ち込まれたものが、ヘルガイの果実の苗木と大トカゲ。

キサラやテュオハリム曰く、それと知らなければ気づけないほど紛れていたとか。

 

ヘルガイの果実自体が持ち込まれたこともあったらしいが、最初は薬と一緒だったらしい。それがいつしか果実のみになり、やがて苗木を求めた。

 

大トカゲに至っては運搬用に連れてこられたのが勝手に住み着いたらしい。まあ十中八九こじつけだろう。

丘のような身体に加えて衰弱毒や麻痺毒などの複数の毒を扱い、水の特に凍結系の星霊術に優れ、風景に溶け込んで星霊術士を真っ先に狙う知能を持つ。

このズーグルと戦闘になった時は何度か死を意識した。シオンの治癒術やテュオハリムの救援がなければ、おそらく俺たちは......。

明らかに戦闘用、それも領将(スルド)の護衛に使われるような強力なズーグルを運搬に使うわけがない。

 

これらの推移は果たして、ケルザレクと領将(スルド)リィヤー、どちらが仕向けたのか。

仮に領将(スルド)リィヤーが仕向けたのなら────。

 

「アルフェンはどう思う?」

「──え?」

「え?じゃなくて、300年前のレナ人が馬鹿でかい機械を使ってダナの星霊力を歪めた理由だよ。やっぱり領将王争(スルドブリガ)のためかな?」

「......そうだな。俺もそう思う」

「だが、今のレナは優れているとはいえ、そこまでの力があるようには見えない。それともレネギスやレナ本国には可能なのですか?」

「私もレナの全てを知っているわけではない。これほどの規模のものを見たこともない。だが、それを可能にする人物に心当たりはある」

「それは?」

「300年前の研究者、リィヤーだ」

「......まさかとは思いますが、これから会う領将(スルド)ですか?」

「流石にそれはないだろう。私が読んだのは300年前の論文だ。偶然名前が一致したと考える方が自然だろう。論文には星霊力の特性について書かれていた。理論上は星を割ることができるらしい」

「星を!?」「割る!?」

「あくまで理論上は、だ。どのような過程を辿れば可能なのかは私も疑問だ。論文の全てを理解できたわけではないのでね」

「......ただの妄言だと思いたいな」

「......とにかく、それをやってのけることができる連中を相手にしているってことは覚えておいた方が良さそうだ」

 

「......」

 

 

 

 

 

 

 

 

そういえばミハグサール(ここ)にはズーグルがいない。

いや、正確には襲いかかってくるズーグルがいない。

出会うズーグルすべてが友好的だ。

 

「ズーグルが......襲ってこないね」

「ああ。野生化したズーグルまで躾けているということだろう」

「よくやるよなぁ。一体躾けるだけでも大変そうなのに」

「案外そうでもない。ズーグルの躾は埋め込んだ霊石(コア)と星霊術を利用する。ある程度術に長けたレナ人なら容易いことだ」

「それだけここの領将(スルド)は星霊術に長けていると言う事だな」

「そう考えると、全部躾けるのは簡単......なのか?」

「一体一体の手間は少ないかもしれないが、この数だ。相当時間がかかるのは変わらないだろう。大変なのは変わらないと思うぞ」

「だよなぁ.......」

「なんにせよ、安全に通行できるのは心強い」

 

ズーグルが襲ってこないからか、往来が盛んだ。

これも街が賑わっている要因になっているのだろうか。

 

「君たち、ズーグルも連れずに危ないぞ。どこまで行くんだ?」

 

通りすがりの装甲兵が声をかけてきた。街の外ではしっかり着込んでいるらしい。

 

「エストルヴァの森だ」

「リィヤー様の元か?徒歩だと少しかかる。良かったら俺のズーグルに乗っていくか?」

 

そう言って勧めてきたのは狼型のズーグルだ。荷車に繋がれている。

メナンシアで見かけた牛車のようなものだろうか。

 

「他の個体より小柄だが、ズーグルだけあって力は強い。君たちくらいなら十分運べるぞ」

「必要ないわ」

「おい、シオン」

「そうか。この国に野生化ズーグルはいないが、それでも旅に危険はつきものだ。気をつけろよ」

「すまない。せっかくの好意を無碍(むげ)にしてしまった」

「いや気にしなくて良い。レナ人が従えているズーグルを警戒するのは当然だ」

「行くわよ」

「待てってシオン」

「ああそうだ、エストルヴァの森は治療施設も兼ねている。もし道中で怪我をしたら治してもらうといい」

「わかった。ありがとう」

 

先に進むシオンを追う。

今までもこんな感じはあったが、少し急ぎすぎではないだろうか?

今までは少なくとも、人の話を遮って進んでいくことは無かった。

焦っているのか?だとしたらなぜ?

シオンにとって領将(スルド)を倒すのはそんなに大きいものなんだろうか。

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