テイルズオブアライズ トロフィー「絶望の荊」獲得RTA レナ人チャート   作:完走したい天邪鬼

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どの視点が良いか何パターンか書いた結果、長くなりました。
2回分割してるのにね。不思議だね。

*ちなみにロウ視点です。


第16話 領将

上手く受け流せたか......?

リンウェルの術に割り込んだが、相当な衝撃に襲われた。

なんとか後ろに跳んで倒れずにこらえたが、正直ギリギリだ。

雷の術だったのか、術に直接触れた腕が痙攣(けいれん)している気がする。

 

「......なんでよ。なんで......邪魔するのよ」

 

困惑と怒りと寂しさ。その他いろんな感情が混ざったリンウェルの声が静まり返った遺跡に響く。

 

「あんただって自分の父親の復讐したくせに、なんで私の邪魔すんのよ!!」

 

へへっ......まったくだ。俺だって自分で何やってるかわかっていない。

でも、なんでかな。このまま放っておいたらダメな気がする。

声を出そうにも(かす)れて音にならない。流石の威力だぜまったく。

 

「......どいてよ。でないと、またふっ飛ばすから」

 

リンウェルの手に光が集まる。

動かない体に鞭打ってどうにか全身で領将(スルド)をかばう。

 

「リィヤーがやってきたこと、あんたも聞いたじゃない!まさか許せるっていうの!?」

 

領将(スルド)を守るつもりはない。ダナ人を実験動物なんて言ってのけるやつが許されて良い訳がない。

しかも犠牲にした命を本人の献身だと言い切るとか最悪だ。

でも、それでも。

憎しみに呑まれるどころか、あんな苦しそうな顔であの女を殺させたらだめだ。

うまく説明はできないけどそう思う。

多分このまま殺させてしまうときっと後悔する。復讐が終わっても囚われ続けてしまう。

だから、ごめん。ごめんな。

声は相変わらず出ないけど、ここを退()くわけにいかないんだ。

音になっていないけどなんとか伝わってほしい。

 

「......そんな目で見ないでよ。声に出さないとわかんない......わかんないよ!!」

 

リンウェルが術を放つ。さっき受けた術に負けないくらい光っていた。

......次は受けきれないかもな。

 

 

 

 

 

 

リンウェルが放った術は俺の1歩右の地面を焦がした。

俺は動いていないから、リンウェルが外したのか。

光に(くら)んだ目に視界が戻ってくるとリンウェルが地面に座っているのが見える。

 

「......なんでよ、なんで......」

 

なにを呟いているのかは聞こえないが、すすり泣いているのは分かる。

......泣かせちまったな。後で謝らねえと。

 

ふと気づけば温かい光が身体が包み、傷が治っていた。

 

「これは......?」

「興味深いものを見せてもらった礼だ。治療だけでは対価として足りないけれどね」

 

星霊術には詠唱ってのがいるんだよな。リンウェルも戦闘中ぶつぶつ呟いているし。

治癒術だってシオンや大将がぶつぶつ呟いているから変わらない......よな?

今の治癒術......詠唱してたか?

 

「礼っていうなら一つだけ聞いても良いか?」

「一つと言わずいくらでも。答えられる範囲では偽りなく答えよう。それが君たちへの礼になるのなら」

 

シスロディアの連中みたいに嘘を言ってる感じはしない。にしてもいやに殊勝だな。

そんなに"興味深いもの"ってのが良いものだったのか?

 

「お前の目的はなんだ?」

「より多くの星霊力を扱う方法を知ること」

 

......嘘じゃない。けど本当でもないな。

嘘に事実を混ぜて誤魔化そうとするシスロディアの連中と同じ目をしている。

 

「......知ってそれで、どうするんだ」

「レナの序列制度を撤廃させる。......まぁ、ダナの君にはあまり関係がないことだよ」

 

......これは本当だが、まだ隠してやがるな。腹の底は見せないってことかよ。

こいつもガナベルトと同じか?ダナはレナのための道具だと割り切って、人間だと見ちゃいねえ。

 

「つまらない話ですまないね。他にあるかな?」

 

ニズを見てテュオハリムみたいなダナ人を人として扱ってくれるレナ人がまだいるのかと思った。

......そうだよな。レナ人だって人だもんな。自分達のことで精一杯だよな。

 

「......ああそうだ、彼女は家族に会いたがっていたね。なら家族の元に送ってあげよう。うん、我ながらいい案だ」

 

......は?こいつは何を言ってやがる?それはリンウェルを殺すってことかよ。

ニコニコしながらリンウェルに近づいていくのを遮る。

 

「......行かせるかよ」

「ふむ、君も一緒に送って欲しいのかい?それならついてくると良い。なに、大して手間は変わらない」

 

リィヤーの目が光る。体を風が包み、抵抗できずに浮いてしまう。

自分で跳んだのとは違った感覚で、うまく体を動かせない。

戸惑っている間にリィヤーはゆっくりとリンウェルに近づいていき、手を伸ばす。

やべぇ!殺られる!!

 

銃声が響く。

リィヤーの手が大きく弾かれる。それと同時に俺も地面に落ちた。

 

「......リィヤー、もうやめて。もう誰も犠牲にしないで」

 

シオンが震える声で銃を向けていた。

よく見れば銃も揺れている。今まで防がれることはあっても外すことがなかった姿からは想像できない状態だ。

まさか、こいつと知り合いなのか?

 

「炎の剣にも答えた通りだよ、シオン。8年前、君に言われる前からもずっとね」

 

リィヤーがシオンを見る目はなんというか、うまく説明はできないけど、少なくとも俺たちやさっきの患者への目と違う。

優しげな目をしている訳でも、睨んでいる訳でもない。強いて言えば、親父が俺を見ている時の目に似ている気がする。

 

「とはいえ、もうすぐ研究は終わる。領将王争(スルドブリガ)が終わる頃にはシオン、君を救える」

「まさか、全部私のために大勢......」

 

シオンが銃を取り落とす。

嫌がる子どものような、受け入れられない事実を伝えられた人の仕草。

シスロディアで嫌というほど見た、親がいなくなった子どものそれに似ている。

 

「7年も待たせてしまった。だが、あと一歩だ。もうすぐ誰もが莫大な星霊力を扱える方法がわかる。そうなれば君を縛るものはなくなる」

「そんな......」

 

見ていられず振るった拳は見えない壁に阻まれた。

風でも固めてんのか?防御は完璧ってことかよ。

 

「お前とシオンの関係は知らねえ。でも、お前の責任を他人に押し付けるんじゃねえよ」

 

ゴーレムを相手にする要領でもう一度殴ると、壁が砕けて本人に攻撃できた。

 

「ロウ!」

「リンウェルにも今のシオンにも近づけさせるわけにはいかないだろ」

「そうだな。あの2人に今戦えというのも酷だろう」

「俺たちで守るぞ!」

 

アルフェン達が駆け寄ってくる。

丁度リンウェルとシオンをかばうようにリィヤーと向かい合う。

 

「君たちがそれを望むなら、相手をしよう」

 

リィヤーの目が再び光ると同時に大量の風が襲ってくる。

 

「エアスラスト」

 

どうやら詠唱しなくても術を扱えるらしい。星霊術はリンウェルや大将より上ってことか?

詠唱が星霊術の腕に関係するのかは知らないけど、詠唱をしないって結構すごいことだよな?

実際、風が通り抜けた床や壁はズタズタに斬られているし。......石って食材みたいに斬れるもんなんだな。

 

風を潜り抜けてもう一度殴る。壁を砕く感覚が返ってくる。

やっぱり壁を直してやがったか。だが、もう一度砕いたからしばらくは大丈夫だろう。

攻めるなら今だ。

アルフェンが炎の剣を片手に距離を詰める。

 

「氷よ舞え。フリーズランサー」

「倒れろ!」

 

剣の間合いに入る前にリィヤーが吹雪を起こす。

アルフェンは吹雪をものともせずに突っ切って炎の剣を叩きつける。

大抵のズーグルなら体勢を崩す一撃だ。

 

「ロウ!」

「ああ!襲爪!」

「雷斬!」

 

アルフェンに作ってもらった隙に渾身の蹴りを叩き込んだが、壁に阻まれた。

もう一度防御壁を崩そうと拳を握ると、リィヤーを中心に吹き荒れた暴風に吹き飛ばされた。

エアスラストみたいに斬れる風だったら今ので戦えなくなってたかもしれない。

 

「風よ逆巻け。嵐の夜。吹き(すさ)べ。サイクロン」

 

詠唱している隙をつこうと近づくと、部屋を埋めるほどの竜巻に呑まれた。

エアスラストで斬れた石や吹雪いていた氷を巻き上げて吹き荒れる。あまりにも強い風でまた体が浮く。

竜巻に乗ってアルフェン達にぶつかる。アルフェン達も浮いてしまったのか、一塊になって竜巻に乗り、全方向から石や氷に殴られる。

 

 

竜巻が止む頃には満身創痍になっていた。正直、立っているのでやっとだ。

アルフェン達も剣や棍や盾、自分の武器で体を支えている。

いつか〈蛇の目〉の先輩が言ってた鎧袖一触ってやつか。

 

「負ける......わけには......」

 

リィヤーは竜巻で散った紙を集めていた。風を使ってその場から動かずに集めている。

集め終わったあたりで患者を乗せていったデカい鳥のズーグルが戻ってきた。

焦っているような、怒っているような気配を感じる。

 

「メズメルド、私は大丈夫だ。落ち着いて。......君たちは気にしないのかもしれないけど、この森は研究施設。故にこれ以上やるなら場所を変える。もし続きをご所望なら来なさい」

 

そういうと鳥のズーグルに乗って飛び去って行った。

領将(スルド)だけでも圧倒されたのに、次戦う時はこのズーグルも一緒か。

今までも大概だったが、ここの領将(スルド)も驚異的だ。簡単には勝てる気がしねぇ......




ここ3-4日でたくさん感想いただいて驚きました。
何が起きたのかわかっていませんが、ありがとうございます。
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