テイルズオブアライズ トロフィー「絶望の荊」獲得RTA レナ人チャート   作:完走したい天邪鬼

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第19話 アダン遺跡

リィヤーを連れ戻すにしろ、まずはデダイムを止めないといけない。

正直、リィヤーが負けるとは思えないが、万が一があり得る。

シオンが言うには、リィヤーは星霊力が無ければ子どもに負けてもおかしくないくらい弱いらしい。

......流石にそれは言い過ぎだと思うが、冗談を言っているようには見えなかった。何か事情があるのかも知れない。

 

「しっかし、あの装甲兵が言ってた星霊術士の当てってなんだろうな」

「ニズ以外に出かけていたりするんじゃない?いくら荒野とはいえ、街がニズだけとは思えないし」

「ならなんでニズに呼ばなかったんだ?あの状況じゃあ人手はあった方がいいだろ?」

「ダナを奴隷に戻したい一部のレナ人から目を逸らさないためだろうな。人が多いと監視する範囲も増える」

「人がいれば復興は進むでしょうけど、復興のために奴隷に戻しては意味がないわ。ニズの共存が領将(スルド)直々の指示なら尚更ね」

「メナンシアのように不満を溜め込んでいるレナもいるだろう。この機会にケルザレクのように爆発するやつがいても不思議じゃない」

「実際、奴隷に戻そうとする動きもあったことだしな」

「なら呼んだ奴らにも監視させればいいじゃねぇか。それなら人手も増えるし、ヤバいことにはならないだろ?」

「あるいは、戦えるレナ人を増やさないためか」

「......どういうことだ?」

「力はそこにあるだけで威圧する。彼らにその気はなくとも、戦力を集めれば今度はダナ人が暴走するやもしれん」

「デダイム達がいなくてもか?」

「俺たちがいないからこそさ坊主」

 

前方にある遺跡の陰から男が出てきた。

漆黒の翼の小屋で話した時、デダイムの側にいた1人だ。

 

「直接レナを攻撃した俺たちがいれば、俺たちを差し出して許しを乞える。だが、俺たちがいなければそれも出来ないだろ?」

 

反対側から別の男が姿を見せた。

どうやら、デダイム達に追いつけたらしい。

 

「レナは戦力を集めている()()()()()()。自分たちは何もしていないのに、痛めつけられる()()()()()()領将(スルド)がリィヤーに変わってから直接暴力を振るわれる事はなかったから、ニズの皆はさぞ怯えているだろうね」

「状況考えれば治療や復興のためだってすぐわかりそうなもんだけどな」

「普段なら、な。知ってるか?不安は人を浅慮にするんだぜ?」

 

不安......か。

 

「だが、憶測で行動するほど追い詰められるとは思えないが?市場で売っていたくらいだ、自衛のための武器も簡単に手に入るだろう」

「わかっていないな、女。不安ってのは自由の付属品なのさ。今までに無いほどの自由を与えられて、初めてそれを失うかもしれない。俺たち元奴隷にとっちゃ初めて経験する巨大な不安だ。押しつぶされないように必死だろうぜ」

 

ダナの不安を想定しているからこそ、増援を呼べないのか。まさか、ここまで計算した上でニズを爆破したのか?領将(スルド)も執政官もいない隙を狙って。

しかもニズ復興の時、ダナ側の指揮を執っていたバエフォンもやられている。

 

「そんな状況で支配者たる領将(スルド)は不在と来た。混乱に乗じて俺たちが街を出る程度たやすい」

「デダイム......!」

「炎の剣、お前達がリィヤーを海に移動させてくれたおかげで手間が省けた。もう用はねぇ。とっととこの国から失せろ」

「そうはいかない。これから領将(スルド)を追うんだろう?」

「おいおい。ダナの解放者がレナの領将(スルド)の心配とは、一体どんな冗談だ?......光り目と組んでいる時点で今更か」

 

(あざけ)るように呟くと武器を向けてきた。

あれも銃なのだろうか?シオンのそれとは違い、片手で構えられた大きな銃口が俺たちを見つめている。

デダイムが武器を構えると他の2人もそれぞれ斧と槍を構えた。

 

「それで?どうするんだ。俺たちと組むのか、組まないのか。光り目を殺すのか、庇うのか。......エストルヴァの森に行ったなら虚水も見たと思うが?」

「俺たちはダナを奴隷から解放する。だが、レナだからと言って、殺したりなんかしない」

「ああそうかい、そういうと思ったぜ。来いよ。変節者め!」

 

デダイムは(ののし)ると同時に引き金を引いた。

弾丸を躱しながら近寄るが、左右の2人に阻まれる。

俺も剣を抜いて槍を受け、足下を狙う斧を躱す。

炎の剣は使わない。いくら攻撃してきたとはいえ相手は生身だ。

ロウやキサラが駆け寄るも、デダイムの弾丸で上手く近寄れていない。

弾丸が大きい分、一撃が重く衝撃がでかいみたいだ。

テュオハリムがいつものように最小限の動きで躱しながら近づくも、俺を上手く盾に使われて攻撃出来ていない。

......連携のためにも、一度退くか。

そう思い一歩を踏み出すと後ろを遮るように斧と槍が振るわれる。

ただその場で縛り付けるような攻撃を躱し続けられるわけもなく、足下を掬われ転倒してしまった。

急いで起き上がるが目の前に覗く暗い銃口。思わず硬直してしまった時、銃声が響いた。

 

 

 

 

 

 

シオンだ。俺を上手く躱してデダイム達の武器を撃ち弾いたらしい。

武器だけを撃ち抜いて、手や指に怪我はさせていない。

......器用だな。正確だと常々思っていたが、まさかこれほどとは。流石だな。

 

「いいこと?あなた達に構っている暇はないの。大人しくしていなさい」

「レナの女風情が......!」

 

会話に気を取られた隙を突いてテュオハリムとキサラがデダイム達を気絶させた。

 

「俺が......ニズを......」

 

......なんとか、なったか。思わず一息つく。

勝つじゃなく守るでもなく、ただ足止めさせるための戦い方。ああいう戦い方もあるんだな。

正直、最後の瞬間は危なかった。

 

「アルフェン。油断禁物よ」

「悪い。助かった」

「......こいつらどうする?とりあえず縛っとくか?」

「縛ると言っても縄や紐なんて......」

「あるぞ」

「あるの!?」「あんのかよ!」

「以前買った骨董に使われていた包装の残りだ」

「ガラクタも使いようだな......まぁいいや。さっさと縛っちまおうぜ」

「いや、リィヤーや執政官の復興を邪魔しなければ良いんだ。縛る必要はないだろう」

「アルフェンの言う通りだ。武器を破壊するだけにしておこう」

 

武器を破壊......破壊か......。

勿体な.....いや、誰も扱えないし、仕方ない。

でもせめて持って行くとか......。

 

「そうね。持っていくにしても嵩張(かさば)るし、私たちに使える武器もないもの。埋めていきましょう」

 

武器としての斧は初めて見たんだけどな......。珍しい模様もあった。

 

「どうした?アルフェン」

 

......テュオハリムの琴線(きんせん)には触れなかったらしい。

リンウェルも特に気にした様子がないし、仕方ないか。

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