人間がウマ娘に負けるわけないだろ!いい加減にしろ!! 作:なちょす
オペ、トプロ、アヤベさん、ドトウ、そしてデジたんにウララちゃんを添えて99世代映像化してくれぇ⋯⋯!!
あっ、今回と次回は勘違い要素(あんまり)ないです。後輩ちゃんも出るけど、詳しくは次回のロリコン編で。
楽しみにしてた独身兄貴たちゴメンね⋯⋯シャカールいる⋯?
そろそろ足りなくなってない?
バクシンオーさんとのレースが近くなってきたから、今日はお兄ちゃんの後輩さんも含めての合同練習。向こうの新人さんもデビュー戦があるみたいで、主な練習をするのはカレン達2人。それをサポートしてくれるのが、お兄ちゃんにデジタルちゃん、お兄ちゃんの後輩さんと───。
「⋯⋯きた⋯えっ、嘘、はやっ⋯⋯!」
後ろから物凄い速さで迫ってくる強烈なプレッシャー。何度もカレンの練習に付き合ってくれた、優しい優しい(?)ステイヤーさん。
「ライスお姉ちゃん、怖いかもぉ⋯⋯っ!!」
短距離のカレンに合わせる為の併走だから、ライスお姉ちゃんはカレンよりも長い3000m。先にスタートしてた分いつスパートに入ってもおかしくは無いけれど、まだカレンは第3コーナーに入ったばかりなのに気配が迫ってくる。仕掛けるのが早い⋯⋯?ううん、違う。多分これが、お兄ちゃんの後輩さんのやり方。徐々に速度を上げながら前の方にプレッシャーを掛け続ける、超ロングスパート。実際、それで勝てるレースは増えたようにも感じる。
後輩さんは、ウマ娘の子達の事を第一で考えてる。どれだけ自分の負担が大きくなっても、絶対にウマ娘一人一人の性格に理解を示して、その関わり方と強みを探して、その子の全部を引き出して勝つんだって。
だから、さも才能で全部やれてる"天才"だなんだと周りが揶揄しているのが心底気に入らない⋯⋯そんな風にお兄ちゃんは言ってた。
ライスお姉ちゃんも、そんな後輩さんの事はお姉さまって慕ってる。この人の走りがそれを物語って───と言うより、人が変わっちゃってる!!
「⋯⋯行かせない。」
「うぅ〜⋯⋯ピリピリする〜!!」
もうすぐ横に並ばれる。併走とはいえ、ここで負けるようならサクラバクシンオーさんには適わない。
その時だった。
「カレン!最っ高にカワイイぞーッ!!」
スタンド側を向く余裕は無い。でも分かる⋯⋯分かっちゃうんだ。お兄ちゃんがカレンの事をそう言ってくれるのは、カレンの事を信じてくれてるって事。
そう⋯⋯兄さんみたいに。
だから頑張らなきゃ、カワイくないよねっ!!
「⋯⋯ッ。」
ライスお姉ちゃんが焦ったのを感じた。ゴメンなさい、隠していたわけじゃないし手を抜いてたわけでもないの。ただ、お兄ちゃんが応援してくれる。カレンなら出来るって信じてくれている。その"想い"があれば、絶対負けないってだけ!
走って、走って、走って。景色がどんどん流れていくのを横目に感じて、どこまでも走る。ゴールの向こうで、カレンを待っててくれる人が居るから。
「はぁっ、ふぅ⋯⋯い、いっちゃ〜く⋯!」
膝に手をついて、そう口にした。あっついなぁ⋯⋯ちょっと見た目はだらしないかもだけど、ジャージのファスナー開けちゃおうかな。お兄ちゃんは⋯⋯あっ、なんか後輩さんと話してる。もぅ、ちゃんと見てたかな?腕にぎゅっとしちゃえ♪
「お疲れ。」
「お兄ちゃんの声が聴こえたから張り切っちゃった。」
「あぁ。しっかり見てたよ。」
本当に〜?でも嘘が付けない人だから、多分本当なんだろうなぁ。
何を考えてるのか、今はずっとカレンの事を見てくれてる。
あの日───お兄ちゃんと一緒に映画を見た、あの1日から⋯⋯たまに視界がチラつく。
お兄ちゃんに、兄さんの面影が重なって見える。
そんなはずない。だって、兄さんは居ないんだもん。じゃあどうしてそんな風に感じるんだろうって、それはカレンにも分からない。最近は重なる頻度が多くなってきた気がする⋯⋯でも今はレースに集中しなくちゃ。
バクシンオーさんは、領域(?)に入ってるから一筋縄じゃいかない。お兄ちゃんとデジタルちゃんがそう言っていた。カレンには2人の言う"領域"が何なのかは分からないけど、そんな風に注意してくれるって言う事は本当に手強いんだなって思うの。『カワイイダービー♪』でも結構ギリギリだったし、ひょっとしたら───なーんて、走る前から負ける事なんて考えちゃダメ。カレンはいつだって本気で、カワイイカレンチャンでいなくちゃいけないもん。だって約束したんだから。
「じゃあウチの新人さんとデジタルさんも呼んで筋トレっすね。それで午前中終わりって事で。」
「そうだな。」
「腹筋からで良いっすか?」
「おう。」
「兄さん一緒にやろ?」
「おう。」
ターフの上に寝転がると、火照った身体を冷ますように優しく風が吹いた。ぽかぽか陽気が、なんだか妙に心地良い。ちょっぴりお眠なカレンです。
お兄ちゃん、また何か考えてるのかな?真剣な顔⋯⋯なのに、ちょっぴり冷や汗?をかいてるし⋯⋯。ん〜!やっぱりお兄ちゃんの事分からない!カレンの事知りたいって言ってた時も、お兄ちゃんはこんな気持ちだったのかな?
ん⋯⋯またまた後輩さんと2人でこっそり何か話してる。
「あのさ、後輩ちゃん⋯⋯スタミナ練習は⋯今じゃなくない?」
「腹筋だっつったろうが。やっぱ話聞いてなかったなアンタ。」
スタミナ⋯⋯えっ?腹筋だよね?むむむ⋯⋯お兄ちゃんがどういう人なのか、また分からなくなっちゃった。それとお兄ちゃん?カレン⋯⋯と言うより、ウマ娘って耳はいいからあんまりコソコソ話はめっ、だよ?
大丈夫って分かってても、結構心配しちゃうからね。
あっ、お兄ちゃん蹴られてる。ライスお姉ちゃんからは『お姉さまはカレンちゃん達のトレーナーさんのこと尊敬してる』って聞いてたけれど⋯⋯合ってる、よね?多分。
「デジタルさん、この人もうダメなんでカレンさんの相手をお願いします。」
「言っとくけどお前、俺よかヤベー奴に頼んでるんだからな?見ろこのキリッとした凛々しい顔。この段階でヨダレ垂らしてんだぞ。」
「⋯⋯ウマ娘ちゃんの⋯カレンさんのスベスベ御御足⋯⋯アタシの手で穢すなんて許されないッ⋯ならば⋯アルコール消毒すら、厭いません⋯⋯ッ!」
「綺麗なんでOKです。はいスタート。先輩、話あるんでちょっとこっちに。」
そう言って、後輩さんは兄さんとスタンドの方へ歩いていく。カレンをチラリと一瞥しながら。
何だろう。あの眼⋯⋯怖いとか、怒られるとかじゃない、カレンの事を心配するような⋯⋯ううん、そんな事より練習しなきゃ。デジタルちゃんを待たせちゃってる。
「デジタルちゃ───。」
「アタシは重り⋯⋯アタシは樹木⋯⋯アタシは───アタシはッ!倒れるだけで腹筋ワンダーコアッ!!そう!これはウマ娘ちゃんの為に行う愛あるご奉仕!!やましい気持ちなど1ミクロンたりとも存在しない神聖な行いっ!日頃から貯めに貯めた徳を解放する瞬間!言わば貯徳税の支払い義務!」
「あの⋯デジタルちゃ〜ん⋯⋯?」
「これがカレンさんの勝利に繋がるのなら、アタシは粉骨砕身!断腸ウェルカム!トレーナーさん、アタシやり遂げます!この大役を終えて果てしなく続くウマ娘ちゃん坂を───!」
「お願い、デジタルちゃん♪」
「ふぁい♡」
ふふっ、やっとこっちを向いてくれた。デジタルちゃんがお兄ちゃんに似てるのか、お兄ちゃんがデジタルちゃんに似ちゃってるのか分からないけど、2人ともたまーに自分だけの世界に入っちゃうもんね。
筋トレを始めると、この子の様子は更に変わっていった。
「はぁ⋯はぁ⋯⋯し、しんどい⋯⋯!」
「だ、大丈夫⋯⋯?んっ、デジタルちゃん⋯ふぅっ⋯辛そう、だよ⋯⋯?」
足抑えてくれる側だけど。
「おおおお構いなく!!アタシの事はピンクの藻だと思ってもらえれば!!」
「あはっ、そこは芝じゃないんだ。ふぅ⋯⋯これで50っ回!!」
後輩さんからの指示は腹筋50回×4セット。間に3分間のインターバルがあるからちょっと休憩しつつ、デジタルちゃんには聴きたかった事を聴いてみよっかな。
「ねぇデジタルちゃん。2人ってどうやって知り合ったの?」
「2人⋯⋯?トレーナーさん達の事ですか?」
「ううん、デジタルちゃんとお兄ちゃん♪」
「あっなるほどなるほど───ふぁーーーーーッ!!??」
「どしたー!デジタルー!」
「な、なんでもありませんよ!!へへっ、すみませぇん⋯⋯!」
そんなに驚かなくても大丈夫なのに。カレンも深くは聴いたりしないよ?ただ、デジタルちゃんがどうして距離適性の違う長距離を勝てたのかが知りたいの。3000mの阪神大賞典、3600mのステイヤーズS。
カレンだけじゃない。ウマ娘でデジタルちゃんと交流のあった人達なら皆気付いてると思う。
距離適性を覆したウマ娘。
戦場を選ばなかった
マイルで負け無し⋯⋯長くても中距離までだった筈なのに、デジタルちゃんは何度も常識を覆してきた。
カレン的には他の距離も走りたいって強くは願わない。チームの新人ちゃんも短距離ではあるけど、あの子はマイルだって走れる。純粋に短距離だけ走るのはカレンだけ。それでも充分だし、カレンは自分が一番輝ける場所で走っていたいから。
もっと強くなりたい。強くなって、皆にカレンを通して"カワイイ"を知ってもらいたい。
それが約束⋯⋯兄さんとの、最後の───。
だからデジタルちゃんとお兄ちゃんの事を聞ければ、何か分かるかもしれない。
「あの⋯し、失礼を承知でお聞きしたいのですが⋯⋯どうしてアタシなんでしょう?」
「他にいないよ?お兄ちゃんの最初の担当さんは。」
「アハハ⋯ですよね⋯⋯。」
困った様に、けれど気恥しそうに、デジタルちゃんは話し始めた。
「でも⋯⋯そんなに大それた事はありませんでしたよ。模擬レースを見に来てたトレーナーさんに、アタシが一方的にウマ娘ちゃんの事をお話しして⋯⋯なんやかんやそれ以降もバッタリ会う機会があって、トレーナーさんからデビューしないかと。本当にそれだけなんです。ただ───少しだけ、息苦しそうだったので。」
「あっ⋯⋯。」
それは、カレンの知らないデジタルちゃんの顔だった。お兄ちゃんの方に向けられた眼はどこか悲しげで、それでいて慈しむようなそんな眼。
カレンの夢を肯定してくれた時のお兄ちゃんは明るい人だった。迷子のカレンを不安にさせないようにしていたからなのかは分からないけれど、少なくとも今のお兄ちゃんを見ても辛そうな雰囲気は感じない。
カレンの知らないお兄ちゃんをこの子は知っていて、お兄ちゃんはきっとこの子が居たから前を向けた。デジタルちゃんが強いのは、あの人の息苦しさを無くしてあげたかったから⋯⋯それを理解するには充分すぎる言葉だった。
「アタシは、あの人と2人で初めて勇者になれるんです。URAファイナルズが終わって一区切りつきましたけど、そこで終わりたくなかったから"勇者御一行"を作って、ウマ娘ちゃん達の事を支えたいと思いました。もしも今勇者と呼ばれるのであれば、それはチームの皆さんが居て初めて呼ばれるものなんですよ。もうアタシ達2人だけの呼び名じゃありません。だって、それがアタシ達の夢でしたから。」
「そっか⋯⋯うん、ありがとうデジタルちゃん。2人の事が少しだけれど分かった気がする。デジタルちゃんはきっと他の子が知らないお兄ちゃんの事を沢山知ってるんだよね。」
「逆もまた然り、です。そしてそれはきっと、カレンさん達にとっても大切な力になりますよ。」
「デジタルちゃんにそう言われたら心強いかも。」
ウマ娘が想いを背に受けて走る存在なら、自分の想いだって力になるはず。
誰の為に走るのか。
何を背負って走るのか。
それが一貫してたからデジタルちゃんは強かった。ううん⋯⋯今でも強い。この子にはこの子の背負っているものがあって、カレンにはカレンの背負っているものがある。
夢も約束も全部果たせなきゃカワイくない。だから───。
「見ててね、兄さん。」
「⋯⋯⋯カレンさん?」
スプリンターズステークス。戦いの日は近づいていた。
もう水マルウンスに好き放題やらせねぇ⋯⋯!
行くぞチョコノブルボン!逃げカレンの為に因子周回だッ!!(賢さシャカールをぶち込みながら)
あっ、今更ですけどこの作品に真面目なトレーニングシーンとか胸踊るレースシーンは期待しないで頂ければ助かります。完全に作者の実力不足なので⋯⋯書けませんッ!!(怒れるスペ)
コメディーはやり遂げます。しょうもなって言いながら鼻で笑って下さいまし。