人間がウマ娘に負けるわけないだろ!いい加減にしろ!!   作:なちょす

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あっ、タグに"オリウマ娘(未実装込み)"を追加しました。そんなに気にしなくて大丈夫です。脳死で、どうぞ。
ここまで読んでくれている優しい独身兄貴たちなら、裏でロリコンが何考えてるか分かるよね♡

ところで⋯今回長くなったよ⋯⋯長文苦手独身兄貴たちがいるならゴメンね⋯⋯お詫びに僕がSRカレンチャンいっぱい出すとこ見てて⋯⋯ドバーッ!と出すから⋯⋯。


SRな"の"に"カ"レ"ン"チ"ャ"ン"が出"な"い"ッ"!!!!!!!!
最低保証っ!!リャイアン!ドーベル!!リャイアン!!!目白押し!!もといメジロ推しッ!!!!
ン"ッ"!!!!!!!!!!!!!(怒りのデスロード)
太らせる⋯⋯絶対に太らせてやるぞ⋯⋯⋯マックイーン⋯ッ!!


継承 : Road to K²

「サクラバクシンオーさんは、強い人です。短距離においては、恐らくあの人を止められるウマ娘ちゃんはいないかもしれません。」

 

 

 気分転換にお出掛けしましょう。そうデジタルちゃんに言われて、カレン達はあちこち歩き回った。お買い物したり、デジタルちゃんが言ってた聖地巡礼(?)もして。

 

 辺りは、夕日が橙色に染めている。途中、小さな女の子が自分のお兄ちゃんに手を引かれて歩いていて⋯⋯見られなかった。

 そうして今はトレセン学園に戻ってきた。想いを繋げてくれるって言われている三女神様の前に。

 

 

「デジタルちゃん⋯⋯お兄ちゃんは、やっぱりガッカリしてた?」

「いえいえ!ちなみに⋯⋯どうして、そう思われたのでしょう?」

「カレン、お兄ちゃんの事見てなかった。好きだった兄さんがチラついていたの。もうどこにも居ない、カレンのたった1人の⋯⋯。」

「⋯⋯⋯なるほど⋯そういう事、だったんですね。あの人が心配していたことが分かって、少し良かったです。」

 

 

 心配⋯⋯されてたんだ。お兄ちゃんにも。デジタルちゃんにも。あはは、ダメな子だな⋯⋯カレン。こんなの全然カワイクない。デジタルちゃんならそんな事、無かったかな。お兄ちゃんにも信頼されてて、カレン達ウマ娘の事をすごく良く見てくれていて、強くて⋯⋯。

 

 そんなカレンの心を見透かした様に、デジタルちゃんは笑って後ろを向いた。

 

 

「トレーナーさんは弱さを見せてくれなくて、いつも1人で抱え込んじゃって⋯⋯だから、まだ頼って貰えないアタシはダメダメなんです。」

「⋯⋯そんな事ないと思うな。」

「あはは⋯⋯ありがとうございます。」

 

 

 2人を見てると、似たもの同士だって良く分かる。きっとお兄ちゃんも、自分はデジタルちゃんに任せっきりだって思ってるんだよね。だから自分に出来る事、カレン達の事をずっと支えようとしていて⋯⋯それなのに⋯⋯。

 

 

「お兄ちゃんはカレンの事を送り出してくれた。でも⋯⋯どれだけ全力を振り絞っても、カレンはバクシンオーさんに追いつけなくて。それどころか、最後の最後で暴走しちゃった⋯⋯怖かったの。みじめだよね⋯⋯。」

 

 

 何も見えてなかった。周りも、お兄ちゃんも、先を行くバクシンオーさんの顔も。だから、あの眼を見せられた時⋯⋯(すく)んだ。心の底から怖いと思った。だってあれは、何もかも終わりを決めた兄さんと同じ眼だったから。

 

 

「カレンさん⋯⋯もし、もう一度だけ勇気を持てたら───走れますか?」

「えっ⋯⋯?」

 

 

 こっちを向いたデジタルちゃんは、真剣な顔でカレンのことを見る。

 でも⋯⋯変な感じ。優しくて強い眼をしているのに、カレンの知っているデジタルちゃんじゃないみたい。

 

 じゃあ───この子は、誰?

 

 

「ご自身の"ユメ"を、思い出してあげて下さい。誰の為に走りたいと思うのか、誰の想いを背負うのか。そうすれば、カレンさんなら大丈夫です。アタシもトレーナーさんも、"絶対"そうだと信じてますから。」

「"絶対"───カレンは⋯⋯私は、お兄ちゃんと先の景色を見たい。一緒に"宇宙一カワイイカレン"を目指したいっ。だって、それが私の夢だからっ!妥協は絶対にしたくない!諦めたくないっ!」

 

 

 デジタルちゃんは笑っている。口が動いて、何かを言っている。声がしないけれど、大切な言葉を。

 

 

 ───カレンチャン。

 

 

 聞き覚えのない声が頭に響く。

 知らない筈なのに凄く懐かしい───なつかしい⋯⋯?

 

 三女神様の像が、カレンを見ている気がする。不思議と目が離せない。離しちゃいけない、気がする。

 

 

 ───カレンチャン。

 

 

 呼んでる。

 誰か分からないけど、カレンにとって大切な⋯⋯。

 

 

 

『カレン。』

 

 

 

 背筋がゾッとした。誰よりも近くで聞いていて、ずっと大好きだった人のするはずの無い声。自分がどうしてここにいるのか、そんな事も気にならないくらいの寒気と怖さが足元から這い上がって来る。

 

 

「⋯⋯なん、で⋯⋯⋯っ。」

 

 

 声がした方───後ろを向けば、病院のベッドがあった。

 

 無機質な白で固められた部屋。窓の外には、あまりにも不釣り合いなほど満開の桜。淡いピンクと白のコントラストが彩る世界で、小さなウマ娘がベッドに座る男の子に頭を撫でられていた。

 

 

『兄さん、カレンまた1着だよ!みーんなカレンの事可愛かったって!』

『そうだろうね。カレンは、僕の自慢の妹なんだから。』

 

 

 くすぐったそうに、でも嬉しくて⋯⋯小さなカレンチャン(私自身)が、兄さんに身を委ねていた。

 

 

「っ⋯⋯。」

 

 

 息がつまる。心臓がスゴい速さで動き続ける。呼吸が上手く出来ない。

 

 見たくない。この先を知ってるから、知りたくない。思い出したくない。どんな顔をして、何を言ったのか良く覚えてる。これが絶対に変えられない出来事なのを知っている。願った夢じゃなくて、叶わなかった夢でもなくて、本当にあった事なのを知っている。

 

 気付いたら部屋を飛び出して、長い長い病院の廊下を走り出していた。

 

 病院の中には、カレン以外誰も居ない。看護師さんも、お医者さんも、他の患者さん達も居ない。ただ不規則に、カレンの靴の音が響くだけ。酷い目眩⋯⋯何度か壁に寄り掛かりながらも走り続けた。

 

 そうして病院の入口を乱暴に開けば───そこは見知った部屋だった。

 

 

『⋯⋯兄さん?』

 

 

 病室に。

 戻ってきたんだ。

 兄さんが居なくなった日の───空っぽの病室に。

 

 

「⋯⋯いや、だ。」

『兄さん、カレン1等賞だったよ。兄さん。』

「いや、いや、いやっ。聴きたくないっ。返事なんてあるわけない⋯⋯!」

『兄さん?起きて。今日もカワイイねって、皆───。』

 

 

 ずっと眠ったままの兄さんの身体を、カレンは揺らしていた。まだ眠ってるって信じて。返事は無いのに。2度と⋯⋯名前を呼んでくれない、のに。

 ギュッと目を閉じて、耳を塞いで、扉の前に座ることしか出来なかった。なんで、今になって⋯⋯こんな⋯⋯。

 

 

 ───ダメ。

 

 

「⋯⋯えっ⋯?」

 

 

 ───目を背けちゃダメ。聞かないふりなんてダメ。起きた事は変えられないの。

 

 

 懐かしい声が、頭の中でそんなことを言う。分かりきってる。だから見たくもないし聞きたくもないのに、ずっとそれを許してくれない。

 

 

 ───カレンチャン。どうして、貴女は走るの?何のために?誰のために?何故、青々としたあの緑の世界に立ち続けるの?

 

 

 そんなの、カレンの夢だからに決まってる。兄さんとの約束だからに決まってる。

 

 

 ───なら、見て。聴いて。"ユメ"を思い出して。貴女が忘れたかった場所にあるものを⋯繋がりを⋯⋯私を、見つけて。お願い⋯⋯お願いっ、カレンチャン。

 

 

 泣いてる⋯⋯懐かしい、声が。

 私の知っている筈の声が、悲しんでる。

 

 

『カレン。』

「にい⋯さん⋯⋯?」

 

 

 あんなに真っ白だった病室は灰色に変わっていた。父さんと母さんも、小さなカレンも。時間が止まった様に、ピクリとも動かなかった。

 眠っていたはずの兄さんが後ろに居る。

 私の脚を、腕を、頬を⋯⋯触る冷たい指は、ずっとずっと忘れていた懐かしいものだった。

 

 あぁ、そうなんだ。

 カレンの時間は⋯⋯ずっと止まっていたんだね。

 この日で。

 この場所で。

 だから⋯⋯今になって、こんな⋯⋯。

 

 

『カレン。もう、良いよ。』

「良いって⋯⋯何、が⋯⋯?」

『頑張らなくても良い。ずっと見ていたよ。カレンが真っ直ぐに、夢を追いかけていた事。だから⋯⋯もう、休もう。ゆっくりしよう。』

「⋯⋯良い⋯のかな⋯⋯⋯私は⋯⋯。」

 

 

 兄さんは笑っていた。私が覚えている中で、最後に見せてくれた笑顔と同じだった。何もかもが分かっていて、終わりを決めた時の眼。ずっと会いたかった兄さんは、私を抱きしめてくれようとしている。

 

 私は───。

 

 

 

 ───もし、もう一度だけ勇気を持てたら⋯⋯⋯⋯走れますか?

 ───誰の為に走りたいと思うのか、誰の想いを背負うのか。そうすれば、カレンさんなら⋯⋯大丈夫です。アタシもトレーナーさんも、"絶対"だと信じてますから。

 

 

 

 トレー、ナー⋯⋯?

 

 

 

 ───"宇宙一カワイイ私"だなんて大きな迷子ちゃんだなぁ。うん、でも良いな、それ。素敵な夢だ。

 ───⋯⋯笑わないの?

 ───笑って欲しい?だったら、心の底から笑おうじゃないか。その夢が叶った時⋯⋯君が今日の事を覚えていて、そばに居ても良いんだったらね。

 ───うん⋯⋯良いよ。約束、してくれる?カレンなら出来るって信じてくれる?

 ───あぁ、約束だとも。だからほら、もう行きな。父ちゃん母ちゃんも心配してる。ちゃんと笑って、前向くんだぞ?可愛いカレンチャン。

 

 

 

「⋯⋯言わない。」

『⋯⋯⋯⋯⋯。』

「兄さんは⋯⋯そんな事言わないよ。1度だって、カレンに諦めてもいいだなんて言わなかった。頑張るカレンはカワイイって言ってくれた!そんなのは私の会いたかった兄さんじゃないッ!そんな人の為に今まで走ってきたわけじゃないよッ!!」

 

 

 初めての拒絶だった。兄さんの手を突き放したのも、こんな風に言い切ったのも、全部全部初めて。

 涙が止まらなかった。驚いて、悲しい顔をする兄さんが辛かった。もうそんなの見たくなかった。こんな悪い夢なんて早く覚めてしまえばいいのに。

 

 

『じゃあ⋯⋯どうして、走るの?誰の為に?何の為に?』

「っ⋯⋯それは⋯信じてくれてる人が居るから。大事な人がちゃんと約束してくれたから。」

『それなのに迷ってる。こうして手を振り解けないでいる。まだ、怖がってる。前に進む事を。お別れを。』

 

 

 突き放したはずの腕は、何本も真っ暗な世界から伸びてきていた。私を逃がさない、離したくないって言ってるみたいに。

 

 

『カレン⋯⋯もう、良いよ⋯⋯?』

 

 

 悪い夢なんて、覚めてしまえば良い。

 早く、早く、早く。

 お願いだから⋯⋯早く、覚めて。

 怖くて、辛くて、哀しくて。もう一度だけ強く眼を瞑った、その時だった。

 

 

 後ろから私を抱きしめてくれる温もり。

 ぶきっちょで、優しくて、カワイイものが大好きな人の腕。

 私の夢を笑わないで、認めてくれて、そばで夢を見たいと言ってくれた人。ちゃんと笑って、前を向くんだって⋯⋯言ってくれた人。

 頬が緩む。やっぱり、来てくれたんだ。

 

 耳元で息を吸ったその人は、力強く言い放った。

 

 

 

 

 

 

「どけ!俺はお兄ちゃんだぞッ!!」

 

 

 

 

 

 

 風が吹いた。

 陰鬱な世界を吹き飛ばして、その風が運んできたのは───青空と、どこまでも続く緑一面の地面。

 

 くすぐったそうに揺れ動く草原の⋯⋯その真ん中に、ウマ娘が立っている。

 

 まるでこの場所が、その子1人を中心に廻っているみたいな、堂々とした立ち姿。

 明るい茶髪(鹿毛)に、白と青を基調とした勝負服。

 左右非対称のサイハイソックスに、2枚ずつ背中から伸びた細いマントが翼のように風にはためいて⋯⋯振り返ったその子の眼は、綺麗な蒼だった。空よりも濃くて、海より深い群青色の瞳。右の耳に付けられた、私と色違いの小さな青いリボン。

 

 トレセン学園で1度も見たことの無いその子を、私は知っている。

 カレンはその王様を知っている(・・・・・・・・・・・・・・)

 

 

『⋯⋯逢えた。』

「うん。逢えた⋯⋯ね。」

『カレンチャン。ううん、"ウマ娘"のカレンちゃん。』

「貴女は⋯⋯王様って言うには、少し可愛らしいかも。」

『そっ、そうかな⋯⋯ねぇ、走ろう?一緒に⋯⋯どこまでも走って、走って、走って───ユメを、思い出そう!!』

 

 

 手を引かれるまま、2人で駆け出した。楽しそうに前を走るその子は凄く速くて、きっと普通に走っても追いつけないのかもしれない。

 

 でも⋯⋯なんだか、気持ち良かった。こんな気持ちで走るのなんて久しぶりで、思わず力んじゃって⋯⋯あはっ、カワイクない。けど⋯⋯!

 

 

「負けないからねッ!カナロアちゃん(・・・・・・・)!!」

『上等ッ!!』

 

 

 追い風と一緒に景色が変わる。

 歓声が観客席(スタンド)を覆い尽くした、電撃6ハロン(高松宮記念)

 兄さんが居なくなった日に見た⋯⋯私の忘れていた、たった2人だけの"ユメ"の続きに。

 

 

 

 ───坂を上がった、カレンチャンが先頭!カレンチャン先頭!200mを通過した!内を狙ってるロードカナロア!まだ先頭は変わらないかカレンチャン先頭!

 

 

 

 力いっぱい走って、後ろにピッタリ着いてくる彼女を絶対に行かせたくない気持ちが湧き上がる。

 ライスお姉ちゃんも凄かったけれど、後ろから迫ってくるカナロアちゃんのプレッシャーは今までで1番だった。

 

 ドキドキする。

 怖い───なんて、気持ちは全く無くて。

 どうして忘れてたんだろう。レースがこんなに楽しいって思ったのは、久しぶり。

 

 うん⋯⋯楽しい。すごく、すっごく楽しい!!

 

 

『まだまだァッ!!』

「行かせないってばっ!!」

 

 

 ───内からロードカナロア飛んでくる!カレンチャン!ロードカナロア!カレンチャン!ロードカナロア!並んでゴールッ!!しかしカレンチャンッ!カレンチャンですッ!!

 

 

「はぁっ⋯⋯はぁ⋯⋯っ、あはっ⋯ははは⋯⋯!」

『あっははは⋯⋯!あー、疲れたっ!』

「もう⋯⋯なんで急に本気だすの?」

『つい、ね⋯⋯?ふふっ。』

 

 

 息を整えて、カナロアちゃんは目線を上げた。一緒に上を見上げると、着順掲示板がある筈の場所には別の映像が流れていた。

 

 

 ───サクラバクシンオーまたしても快勝!これで重賞は怒濤の7連勝!この子に敵うウマ娘は居るのでしょうか!?堂々たる凱旋です!!

 

 

 膝に手をついて、バクシンオーさんは肩で息をしていた。短距離のレースで、天性のスプリンターである筈のあの人が、こんな風になるなんて思えない。何より、あの人が笑っていないなんて事がある筈ない。

 すごく辛そうで⋯⋯今にも消えてしまいそうな、儚い夢。

 

 

『"純潔"⋯⋯。』

「うん。桜の花言葉。」

『だから、王様はあの人を選んだのかもね。』

「でも⋯⋯"私を忘れないで"、なんて⋯⋯少し寂しいよ。」

『私もそう思うな。何より、まだ一緒に走ってないんだ。だから───。』

 

 

 片膝をついた王様は、カレンの手を取って言った。

 

 

『今は⋯⋯あの人を止めて欲しい。優しい王様の目を覚ましてあげて欲しいの。』

「⋯⋯出来るかな。私に。」

『貴女だから出来るんだよ。それに⋯⋯大丈夫。2人1緒なら、きっと。』

「そこは"絶対"って言って欲しかったなぁ⋯⋯?」

『えっ!?ぜ、絶対!絶対大丈夫ッ!!』

「冗談だよ?」

『もうっ!!』

「あははっ!⋯⋯また、会おうね。ロードカナロアちゃん。」

「うん⋯⋯また会おう。カレンチャン。」

 

 

 

 

 ゆっくり目を閉じる。

 握られた手から伝わる温かさが、身体中を巡っていく。

 

 そうして次に目を開けた時は、真っ白な天井が視界に入った。

 

 

「カレン。俺はお前の兄さんじゃない。」

 

 

 声がする。今にも泣きそうな声が。

 

 

「お前をこれでもかと愛してくれた兄さんには到底なれない。」

 

 

 うん⋯⋯知ってるよ。貴方は兄さんじゃない。でも───。

 

 

「でも⋯⋯お前が俺をお兄ちゃんと言うなら、俺だってお前を妹の様に、家族同然に可愛がる。夢だって一緒に見る。どんな事があっても支えるし、絶対に離れん。それだけは約束するよ。だから───。」

「ホント⋯⋯?」

 

 

 驚いた表情で、お兄ちゃんは顔を上げた。カレン、今どんな顔してるんだろう⋯⋯。お兄ちゃんを泣かせちゃうような、そんな酷い顔してるのかな?でも、嬉しいの。すごくすごく嬉しいんだよ。

 

 

「ホントに、一緒に居てくれる?」

「⋯⋯あぁ。」

「離れたり⋯⋯しない、かな?」

「勿論。」

 

 

 カレンのズル。お兄ちゃんに質問するフリして本当は自分が安心したいだけ。あの日の事、お兄ちゃんが覚えてなくて、全部カレンの1人よがりだってなるのが怖いだけなんだ。

 ⋯⋯それでも、カレンは───。

 

 

「カレン、約束しただろう?夢が叶う時、俺がそばに居ても良いなら笑ってやるって。こうしてチームという形ではあるが、ちゃんと夢を見させてもらってるんだ。そっちがもうイイって言うまで離れてやらんぞ?」

「っ⋯⋯!お兄ちゃん⋯⋯。」

 

 

 気づいた時には抱きしめていた。カレンもズルだけど、お兄ちゃんのそういう所は本当にズルっ子。そうやって知らないフリしてて、欲しい時に何もかも分かってるみたいに言葉をくれる。こんなの⋯⋯一緒に居たいって、思っちゃうに決まってるよ。

 

 

「お兄ちゃん。カレン、お願いがあるの。」

「何だ?」

「ちっちゃなお願い⋯⋯聞いてくれる?」

「勿論。」

 

 

 そうして、お兄ちゃんの耳元で囁いた。

 

 

「バクシンオーさんに勝ったら、教えてあげるね。」

 

 

 笑ったカレンにキョトンとして、お兄ちゃんも困った様に笑った。

 

 サクラバクシンオーさん⋯⋯カレンは、もう負けませんから。兄さんに貰った優しさも、デジタルちゃんが分けてくれた勇気も、お兄ちゃんと結んだ約束も⋯⋯いつか訪れる、あの子の未来も背負うから。

 

 

 無敵のカレンチャン(アタシ達)が、必ず目を覚ましてあげますね。




ロードカナロア(カナロアちゃん) : カレンチャンのユメに現れたウマ娘であり、いつか訪れる未来を三女神様が前払いしてくれました。利子は本人のトラウマ。今回書いた以上の描写は今後無いので、あとは想像力豊かな独身兄貴たちにお任せします。サクラバクシンオーの異常を誰よりも知っているようで、ウマ娘なのかウマソウルなのかは三女神様のみぞ知る。繋がった運命は確かな未来になって、収束していくのです───ロリコンの元へ。字面酷いな。

無いよォッ!お馬さん知識無いよォッ!!と言う兄貴たちへ、以下補足。
間違ってたら競馬に詳しい兄貴たちが教えてくれるよ♡

ロードカナロア (史実) : 短距離最強はバクシンオーかカナロアでしょって言われるくらいにはヤベー奴。史上初の国内スプリントG1が3勝と、短距離重賞5連勝を達成。短距離界の凱旋門と言われる香港スプリントで2年連続の1着。(1度目に5着だったカレンチャンが、スゲェじゃん⋯⋯って言われるレベル)
日本馬が香港スプリントで勝ったのはカナロアが初。なんなら引退レースだった2度目は同レース史上最高着差の5馬身差で圧勝。お前おかしいよ⋯⋯。香港表記は"龍王"。

サンカルロとダッシャーゴーゴーは⋯⋯ゴメンやで⋯⋯。
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