人間がウマ娘に負けるわけないだろ!いい加減にしろ!!   作:なちょす

3 / 64
113連、SSRメジロライアン(根性)のみ。

こんなんじゃ俺、サイゲの犬になりたくなくなっちまうよ⋯⋯。
何でも許せる心の広い童貞兄貴達、どうぞ。


1章. 本能スピード
プロローグ : *ケツイがみなぎった with アグネスデジタル


 "うまぴょい"、という言葉を知っているだろうか。

 

 ウマ娘達が研鑽を積み、トゥインクル・シリーズの最後を締めくくるURAファイナルズ。その決勝で華々しい成績を残した者達がウイニングライブで披露する楽曲、『うまぴょい伝説』。言葉自体は、誰が生み出したかも分からないこの電波曲から来ているものだ。1度だけ同期である女性トレーナー葵ちゃんとイベントで踊ったことがあるが、中々に辛い。

 

 まぁそれは良いとして⋯⋯ここで言う"うまぴょい"と言うのは"うまぴょい(動詞)"である。

 

 1つ昔の話をしよう。あれは俺が新人トレーナーとしてトレセン学園へやってきてすぐの頃だった。トレーナーとしてのイロハを叩き込んでくれた兄貴分とも叔父貴とも呼べる様な大先輩が居たのだが、その人がある日を境にトレーナーを引退するという話を聞き、俺は酷く悲しんだ。自分にも他人にも厳しく、しかしウマ娘達には親の様に寄り添い、共に歩むその姿に強い憧れを抱いていたからだ。

 

 その人が引退してから2~3ヶ月が経ち、一通の手紙と写真が届いた時⋯⋯こう記されていた。

 

 

『うまぴょいしました。』

 

 

 は??????

 と言うのが、正直な感想である。この人は何を言っているのだと。"うまぴょい"とはなんぞやと。なんの報告してんだと。だが先輩と、先輩の隣で幸せそうに微笑む綺麗なウマ娘さんの薬指を見て、俺は全てを察した。ついでに式に呼ばれなかったことにも、人知れず涙した。クソが。

 

 つまり"うまぴょい"とは概念であり、"うまぴょい(動詞)"であり、"うまぴょい(隠語)"なのである。これもう分かんねぇな。

 

 まぁ確かに、現役時代に傍から見ても『あの人ら付き合ってんじゃね?』っていう距離感ではあったし、初めて契約を結んだウマ娘とトレーナーと言う間柄なのは知っていたのでなんらおかしいとは感じなかった。それに相手のウマ娘さんも既に大人になっていたのだから、学園の女子生徒に顧問が手を出したみたいな話でも無い。

 

 そう⋯⋯問題は無いのだ。それが大人同士のあれこれであるならば。

 

 時折トレセン学園内ではトレーナーと親しくしているウマ娘達の姿をよく見るし、俺のチームだって例外では無い。皆仲良し。良バ場◎。チームという同じ組織に属している以上、コミュニケーションが足りなかったりチーム仲がギスギスしているよりはよっぽどマシである。だから問題は無い⋯⋯のだが、ここで重大な問題が露見された。

 

 それが───トレーナーロリコン疑惑である。

 

 

「トレーナーさん、いつまでそのクソ長自分語りしてるんです?」

「ナチュラルに人の心読むんじゃねぇよ。」

 

 

 隣で変態望遠鏡(本人命名)を覗き込んだまま、アグネスデジタルがそうボヤいた。

 

 

「途中から全部声に出てましたし。」

「マ?」

「良かったですねぇ、聞かれていたのが私で。」

 

 

 うごご⋯⋯迂闊だった。『トレーナーさんは思ってる事が口に出る癖があるから気をつけて下さい』と常々こいつに言われていたのに、またやってしまったらしい。

 

 アグネスデジタルは俺が初めて契約を結んで、共にURAファイナルズを勝ち進んだ言わば半身(相棒)だ。チームの中では1番付き合いも長く、そこそこなら互いの考えも汲み取れる。互いにどこか丁度いい距離を保とうとしていた最初の頃に比べれば、随分とまぁオタク友達みたいな子になってしまったとは思っているが。

 

 因みにガッチガチのウマ娘ちゃんオタクであるし、学園内でも変態だのヤベー奴だの変態だの変態だの言われているが、芝とダート両方のマイルでは負け無し。それどころか天皇賞・秋では覇王テイエムオペラオーとメイショウドトウにも勝ち越している。このHENTAIめ。

 

 

「⋯⋯今のはオフレコで。」

「分かってますって。つまりトレーナーさんは、何を仰りたいので?」

「うむ。トレセン学園の貞操観念って、割とガバガバなんじゃないかと思ってな。」

「はぁ⋯⋯えっ、そうですか?至極真っ当だと思いますけど。」

 

 

 ヨダレを垂らしながら尚も望遠鏡を覗き込むデジタルはキッパリとそう言った。せめてこっち見て言えよ。

 お前あれだかんな?どれだけ仲の良い友人間だって、そんな風に流されたら結構傷つくんだからな?分かれー?

 

 至極真っ当ってどんな目線で見たら言えるんだそれ。

 あっ、こいつ変態だった。

 

 

「だって考えてもみて下さい!!」

「ちっか。」

「年頃のウマ娘ちゃん達は、その胸に秘めた熱い想いと夢を叶える為に学園に来ているんです。きっと辛いこともあるでしょう。泣きたい時だってあるでしょう⋯⋯。そんな時、1番近くに居るのは誰ですか?そう、トレーナーさんなんですよ!ウマ娘ちゃんだって年頃の女の子!何年もそうやって親身に支えてもらえればそりゃ乙女にもなるってもんですし、2人の間に信頼を超えた何かが生まれた時に初めて見せるウマ娘ちゃん達の表情ときたらでゅふふ⋯⋯そしてそして!自分の気持ちに気づいてしまって、生徒とトレーナーなんて本当はいけないこと⋯けれど不器用ながらも慕っているあの人に自分の真っ直ぐな想いを何とかして伝えようとする健気でいじらしい姿なんて見た日にはもうもう───ン"ッ⋯!ン"ン"ッ⋯⋯!!堪らんッ!!!!!!」

「熱い近い長い圧がパない!ちょっと落ち着けっ!!」

「⋯⋯⋯⋯。」

「き、急に落ち着くなよ⋯⋯やめろよ⋯⋯。」

 

 

 要約すれば、そうなるのも致し方ないと言う事らしい。

 しかしそうなると男性トレーナー諸君は大変な事だろう。何せウマ娘と言う存在は、人間の女性とは大きく異なるのだ。

 

 まず圧倒的に顔が良い。

 決して俺の話では無いが、今まで女性と付き合った事の無い男連中にしてみれば普通に眼を見られるだけでドキリとする事がある。そのクセ性格は基本的には良い子ばかり。まぁ個性が強すぎるのもいるがそれも愛嬌だろう。今まで何度、生徒会長シンボリルドルフに堕とされかけたことか。

 

 次にスタイルが良い。

 変態的な意味で無く、トレーナー目線の話だ。『本格化』を迎え始めたウマ娘は急激に身体の発育が進んでエラい事になる。BWHがBQBだ。

 これも決して俺の話では無いのだが、今までそういう事に接点の無かった男連中にしてみれば、中高生だと分かっていてもドキリとする事がある。勝負服によっては、明らかにヒト息子へ影響を及ぼす格好をしたウマ娘だって居るのだ。素晴らしい仕上がりですね。

 

 違う、何を考えているんだ俺は。とにかく彼女達とトレーナーの間にはそういった間違いが無い方が良い。

 

 故に。

 チーム内だけでも、ここは俺がトレーナーとして⋯⋯いや、1人の男として教えねばなるまい。適度な距離感を守り、ついでに貞操も守護る。多少怖がらせてしまうとしても、これは彼女達の為にもなるのだ。大人に色目を使ってからかうとどんな目に遭うのか⋯⋯身をもってその怖さを知ってもらおうではないか!

 

 

「草。」

「生やすな。」

 

 

 おかしい。長年連れ添った半身だと言うのに、何だこの扱い。

 

 

「そこまで仰るなら仕方が無いですねぇ⋯⋯女性経験の無いトレーナーさん1人では心配ですし、このデジたんも力をお貸し致しましょう。」

「一言多いんだよなぁ⋯⋯。つか、ウマ娘ちゃん達の尊みを感じたいだけでは?」

「当たり前でしょうッ!?」

 

 

 ひぇっ⋯⋯怒られた⋯。

 しょぼくれる俺を他所に、デジタルは何処からか分厚い本を引っ張り出してきた。

 

 

「これは私が集めた"マル秘ウマ娘ちゃんノート〜チームメンバー編〜"です。」

「広辞苑かと思った。チーム内だけでそんな有るのかよ⋯⋯。」

「当然です。」

「あっ、ハイ。」

「トレーナーさんはこれを元に、ウマ娘ちゃん達の指導に励んでもらえれば良いので。」

 

 

 ふむ⋯⋯驚き、もとい僅かな恐怖心が芽生えたものの、確かに綿密にデータが纏められている。いやこれ色々不味くない?スリーサイズとかいる?こんなん俺が持ち歩いてるってバレようものなら、ウマ娘同士で戦争が起きるのではなかろうか。最悪やよいちゃんに『磔刑ッ!』されてしまうのでは?

 そんなこちらの心配を他所に、デジタルはニコニコと恍惚な笑みを浮かべたまま続けた。

 

 

「こんなこともあろうかと、実は既に1人呼んでいるのですよ。後はトレーナーさんの頑張り次第です。」

「ほぅ⋯⋯?流石我が半身、勇者デジタル。話が分かるではないか。」

「トレーナーさんが常日頃から欲求ダダ漏らしてる賜物ですね。」

 

 

 ぐっ、こいつ。ま⋯⋯まぁ何はともあれだ。

 ウチのチームには距離感の近いウマ娘達が何気に多い。と言うよりバグっている。そしてセンシティブな格好やこれみよがしな動作・言動で此方を誘惑してくる少女達ばかりなのだ。このままでは俺の社会的地位の落下と股間のドーテイムーヴ(ヒト息子)がうまだっちするのも時間の問題だろう。決してロリコンではない。

 

 しかし誰だろうか?ヒシアケボノ⋯⋯はマスコット的立ち位置ではある。身長(たっぱ)の高い女の子好きな俺からしてみれば色々とマズイが、まだ危惧するほどの事では無いだろう。ちゃんこは美味しいし。ただ1つあるとすれば、たまにじっと向けられる視線にだけは気を付けねばならない。未だに何を考えているのか分からない時がある。ボーノは味方にしてこそだ。

 

 なら、マヤノトップガンか?確かに幼さが残るにも関わらず、やれ大人の女になりたいだの、やれトレーナーちゃん好き好きムーブをかましてくるなど油断ならない。この間もレースに勝ってすぐ俺の方に来たかと思えば、ランディングキスだのをしてきた。まぁ全然届いてなかったし、何してるのか分かんなかったら受け流しちゃったけど⋯⋯取り敢えずあのセンシティブな勝負服は何とかならんものか。ぽんぽん冷やしちゃうぞ。

 

 ではカレンチャン⋯⋯論外。ラスボスだ。今の俺の童貞力(トレーナーちから)では相手取ることすら烏滸がましい。何をしても倍返しにされて、此方が分からされる。ましてや普段からお兄ちゃん呼びしてくるのだ。幾らカレンが子供の時に1度だけ出逢っていたとしても、それだけでトレセン学園の、それも俺のチームに入るなどと言うだろうか。言わないと思います(名推理)。お兄ちゃんプレイに発展するだろうか。しないと思います(名推理)。

 

 ふむ⋯⋯他にもチラホラいるが、個人的にはマヤノが有難いというか無難なところだろう。飽き性ではあるが根はいい子だからきっと素直に聞いてくれる筈。

 

 実際問題ウチのチームで今相手取るとマズイのはカレンチャンだ。彼女さえこの段階で来なければ怖いものは無いし、俺も段階を踏んで他のウマ娘達にあれやこれやを教えながらステップアップ出来るというもの。ふふっ⋯⋯ウマ娘達の事や俺の事を良く理解している勇者デジタルの采配だ。その辺は何も心配はするまいて。

 

 そうふんぞり返っていたら、トレーナー室の扉が3度ノックされた。

 おっ、来た来た。

 

 

「デジタルちゃんに呼ばれて来たよ、お兄ちゃん♪」

「おぅ、カレン───」

 

 

 変態、ちょっと話がある。




レジェンドレース 〜vsカレンチャン〜
見てろよ見てろよ〜?

2章のヒロインは独身兄貴たちと決めたいですわ。

  • 分かっちゃった系天才ウマ娘
  • クソガキ系魔女っ子ウマ娘
  • とりあえず勇者とホヤ遊ばせ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。