人間がウマ娘に負けるわけないだろ!いい加減にしろ!! 作:なちょす
いつぞやロブロイ周りとデジたんの設定を練り直しますと言った事を覚えているでしょうか⋯⋯シレッと過去話の分直しておきました。
以下、変更点です。ご査収下さい。
・デジたんは7冠でストップ。マイル王の称号持ちかつ、マイルCS制覇をマイルCS南部杯に変更。
・有馬はロブロイとの参加が初。
・勝った長距離→阪神大賞典とステイヤーズS。あたおか。
・ロブロイはデビュー済み。ボリクリに敗れた所からスタート。これロリコンによるNTRでは?寝てないから誤差だよ誤差。
今回は後でやる予定だった特別Rの前倒しかつ、これを持ってロブロイ編の導入、完ッ!!となります。続きはいつか来るほんへで。
あっ、ロリコン編のみボーナス回が有ります。
『主人公はただ1人。君だ。誰かに自分の憧れを映すんじゃなく、君自身が憧れて、誇れる自分になれば良い。』
そんな言葉を掛けて貰ったのは初めてだった。
子供の頃に憧れた、物語の主人公。"英雄"になりたいという自分の憧れ。それはとても子供っぽい理由で、控えめな自分にとっては、余り大きな声で言える事じゃなかったけれど。
その夢を誇っていいと言ってくれた人がいた。
胸を張ってもいいと、真っ直ぐ眼を見て認めてくれた人がいた。
単純かもしれないけれど、それは私にとって何よりも嬉しくて⋯⋯だから私は、カレンさんに聞いてここへやって来た。
『勇者御一行』───トレーナー室の中はとても煌びやかで可愛らしい物で溢れている。チームの方々が成し遂げた沢山の功績と、ファングッズだったり写真も。"勇者達"が手にしてきた数々の宝石が散りばめられた宝物殿。
カレンさんが言ってた事が頭をよぎった。
『お兄ちゃんはずるい人なんだ。普段はデジタルちゃんと一緒に色んな事考えたり、他のトレーナーさん達と同じ事をしてるのに⋯⋯1番欲しい言葉を、カレン達が1番欲しい時にちゃんと言ってくれる。だから頑張りたいって思えるの。きっとロブロイさんの言葉もちゃんと聞いてくれるから、頑張ってね♪』
それ以上聞かなくても、それがどれだけ信頼を寄せている言葉なのかが分かる。
私もそうなりたくて──あぁでもっ、信頼でもそういう意味じゃなくて!──ただ一言、チームに入りたいって言いたかったのに⋯⋯もう、何分も言い出せないでいる。
「そうだ、折角来てくれたんだからお茶でも───。」
「おっ、お気になさらずッ!!」
「えっ、あ、そう?そう⋯⋯。」
さっきからずっとこの調子⋯⋯うぅ⋯スイープさんにも"やりたいなら素直に言えばいいだけ"って言ってもらったのに⋯⋯。
「最近はどうだい?調子。」
「⋯⋯あまり、良くは無いです⋯⋯。有馬記念でも、クリスエスさんには全然届きませんでしたから⋯⋯。」
「ありゃしょうがないって。まさか2着に9バ身付けるとは誰も思わないよ。デジタルだって追いつけなかったからな。」
多分、デジタルさんが有馬記念を2着で走ってる事の方が凄いと思います⋯⋯適正的にも、何でマイル王と一緒に走ってるんだろうって思っちゃいましたし⋯⋯。
「クラシックレースもダメダメで⋯⋯いまいちパッとしないっていう意見も聞こえましたし⋯⋯自信、無くて⋯⋯。」
「ふむ⋯⋯成程⋯⋯。」
そう言ってトレーナーさんは、分厚い手帳⋯⋯手帳?えっ、辞書、かな?ざっと流し見しながら小さな声で呟いた。
トレーナーさんの持ち物にしては可愛らしいような⋯⋯でもデジタルさんは、『あの人マトモな変t──変わり者ですよ。』って言ってたし⋯⋯あっ、ううん。失礼だよね⋯⋯。
「凄いな本格化⋯⋯これなら破竹の勢いでまだ先を目指せる。暮れの中山も悔いを残さず走り切れるな。ヨシっ。」
「あっ、あのっ!!」
「んっ!ど、どうした?」
「今、本格化って⋯⋯聞こえて⋯デ、デビューしても本格化が来ない事って、あるんでしょうか!」
トレーナーさんは僅かにたじろいだ。
⋯⋯ど、どうしよう⋯⋯つい勢いで聞いちゃったけど困ってる。この人はトレーナーであって、お医者さんとかじゃない。そういう事知ってる職種の人じゃないのは分かってるのに⋯⋯言い難いこと、聞いちゃった、かな。
「⋯⋯ある。ただ正確には来ないんじゃなくて、まだ来てないんじゃないかな。」
「まだ⋯⋯?」
トレーナーさんは大きく頷いた。
「言ったろう?遅咲きの子も学園には居るのさ。成績不振の原因が、自分の努力が足りないからと間違った解釈と努力で身体を壊してしまう子も居る。中々デリケートな部分でね⋯⋯ロブロイはこっちだよ。多分。」
「⋯⋯もしそうだとしたら⋯結果を残したりするのは難しいですか?周りの子達に遅れてしまったりしませんか?」
「もしかしたらな。けれどそういう子達の執念こそ凄まじいものだし、俺はそれでも走り続けている子を知っているからね。君も覚えがある筈だ。年間グランドスラムを達成し、"世紀末覇王"と呼ばれたウマ娘の1番近くで走り続ける強い子を。」
「あっ⋯⋯ドトウ、さん。」
そうだ。あの人も自分に自信が無くて⋯⋯いつも失敗ばかりの自分が嫌だと言っていたけれど、今は見違えるような輝きを放っている。それこそテイエムオペラオーさんや、アヤベさんにトップロードさんと並ぶくらいに。
「ドトウさんは⋯⋯凄いですね。」
「あぁ、凄い。けどロブロイだって負けてないさ。」
「えっ?」
私の声に顔を上げたトレーナーさんは、子供のようにキョトンとした顔になって⋯⋯笑った。
どうしてだろう⋯⋯何故だか自分が物凄く子供っぽい理由を聞きたいみたいで、少し恥ずかしい⋯⋯。ううん、きっと大事な話だから、ちゃんと聞かなくちゃ。
「前に会った時もそうだ。君は自分に自信が無いと言っているけれど、まだ夢を見ているんだろう?そして⋯⋯どうしても言いたい事があるから、今日ここに来た。教えて欲しい、"英雄"ゼンノロブロイ───君は何が見たい?」
また、だ。
また、この人は私を───"英雄"と呼んでくれる。何も結果なんて残せていない、ダメダメな私の事を⋯⋯私の夢を、本気で信じてくれている。
「私は⋯⋯。」
誰かに言うのが怖かった。
子供じみた理由で走り続ける事が心配だった。
私が夢見た私に変わりたかった。
今なら───言える。
「私は、私の夢を見たいです。私に出来る事を全部やって⋯⋯それでもまだ、足りないかもしれないですけれど⋯⋯でもっ、やっぱり"英雄"になりたいから!だっ、だから、あの⋯⋯私を、『勇者御一行』に入れて下さい!!」
震えた声で⋯⋯堂々となんて、言えなかったけれど。私の夢を、この人に預けてみたい。聞いてもらいたい。私の声を⋯⋯っ。
「良かったぁ⋯⋯。」
「⋯⋯えっ?」
フゥっと深くため息をついたトレーナーさんは、安堵した声でそう言った。その顔は柔らかい笑みで、思わず目を逸らしてしまった。
あ、あれ⋯⋯?どうして私、目を合わせられないんだろう⋯⋯。
「君がそう言ってくれて嬉しい───。」
「ロブロイさんおめでとうッ!!」
「うぉあッ!ラ、ライス!?何で窓から顔だしてんの!?」
「あ、あのね!ロブロイさんが今日、ここに来るって聞いて⋯⋯だ、だから頑張って欲しいなって思ってたの!」
窓の向こうでライスさんが喜んでいた。スイープさんと一緒に、ライスさんには沢山相談に乗ってもらったし⋯⋯私にとっては、その⋯お、お姉さん⋯⋯みたいな人で。うぅ、なんだかさっきから色々と恥ずかしい⋯⋯。
そんな私の隣に座ったのは、最初にトレーナーさんの事を教えてくれたカレンさんだった。
「ロブロイさん、言ったとおりでしょ?♪」
「カレンさん⋯はいっ⋯⋯!トレーナーさん⋯⋯あの、こ、これからよろしくお願いします!」
新しい自分。新しい居場所。自分で決めたこのチームで、私は夢を叶えたい。トレーナーさんは、一瞬驚いた様に固まっていたけれど───やっぱり嬉しそうに笑いながら、私の手を取って言った。
「ゼンノロブロイ。」
「は、はい⋯⋯。」
「"英雄"の力になれるなら光栄だ。俺が、君の英雄譚を一生語り継ごう───約束するよ。」
胸の辺りが熱くなる。
やっぱり私は⋯⋯ほんの少しだけ、おかしくなってしまったのかもしれません⋯⋯。
今でも、ふと自分の交友関係を思い出す事がある。
やはり1番印象深いのは高校時代。当時気の合う連中とバカをやっていた日々だったが、そんなバカ達に崇拝されていた1人の神が居たわけだ。俺の旧友にして未だに連絡を取り合って飯を食いに行く仲なその男。丸眼鏡に小柄な体躯、そして元図書委員という典型的な草食系男子。
名を───『
⋯⋯まぁ、良いだろう。脳細胞の1片までピンク色になっている彼は、昔一緒にゲーセンのエアホッケーで遊んでいた時、ふと言った事がある。
『エアホッケーってさ⋯⋯ピンク色に塗ったら乳首だよね。』
うるせぇよ。何言ってんだ。
だがその時の俺はと言えば、暫し考えた後で、『確かに⋯⋯』と納得してしまった。酷い頭だし、なんなら点数も取られた。凹む。
彼の方はと言えば、元々少ない体力のせいで虫の息だったのだが、続けてこうも言った。
『僕達は乳首で遊んでいる。愛撫⋯⋯つまり愛を取り合っているんだ。』
病気だよお前?そもそも乳首じゃねぇって。墓まで持って行ってやるから自分の娘に話すなよ?
しかし案の定俺は、高校生にしてそんな哲学的思想を持っていたあの男に戦慄し、尊敬した。そしてそれは他の友人達も同じであったから、あの男は俺達の崇拝対象になったのである。バカ共が。そして何俺以外皆結婚してんだ⋯⋯幸せに暮らせよ。
因みにエアホッケーは『乳首攻め』と言う名前に認定されたのである。
さて、それは良いんだ。別にあの妻子持ちの話をどうこう鮮明に思い出したいワケでは無いからな。問題は別にある。
俺に用事がある生徒が居るからと相棒にトレーナー室へと呼び出され、1人のウマ娘がおどけた様子でソファーに座っていたのだ。
名を───"ゼンノロブロイ"。助けてデジたん89の暴力ががが⋯⋯。
もうかれこれ5分位話題に触れず悶々としている。彼女から出た言葉と言えば、『あっ、大丈夫です!』と『気にしないで下さい!』の2つだけ。気にしちゃうよ?俺そんな事言われたらもれなく気にしちゃうタイプの男だよ?
ソファーの上で気恥しそうにずっとモジモジしているのも可愛いと言えば可愛いし、何なら普段よりも余計小さく見えてデッッッッッッカッ!!!!収まってない!RobRoy.───がまるで収まってねぇよ!寧ろ腕に圧迫されて余計に強調されちゃってるよ!!リラックス、リラ〜ックス!
分かるかなロブロイ。もう5分も君の顔だけ見てるんだよこっちは。だって女の子はそういう視線にすぐ気付くんでしょ?
あんまり大きな声で言えないけど、今日来た要件っていうのもこの間必死に目を逸らしてた事言及されに来たんじゃないかってビクビクしてるの。ポニーちゃんもちょっと怖がってるの。お前はそのまま黙ってろ。スコットランドでシバくぞ。
しかしこのままというワケにもいかない。俺は勇者御一行のトレーナーであり、ウマ娘を推すオタクを推す雄。となれば俺も可愛いウマ娘を助けるのは必然。任せろ。
「そうだ、折角来てくれたんだからお茶でも───。」
「おっ、お気になさらずッ!!」
「えっ、あ、そう?そう⋯⋯。」
ふふっ⋯⋯食い気味の全力否定。凹む。
おかしい。この間は満更でもなさそうにしていたのに。これ友情メーター減ってね?やっぱり⋯⋯言及、されるんじゃね?待て待て、ここは何気ない話題で様子を見ようじゃないか。俺の友人達を思い出せ。アイツら揃いも揃って10回ぐらい友情メーターがリセットされるクソ仕様だった。たかが1回、俺にとっては
「最近はどうだい?調子。」
「⋯⋯あまり、良くは無いです⋯⋯。有馬記念でも、クリスエスさんには全然届きませんでしたから⋯⋯。」
「ありゃしょうがないって。まさか2着に9バ身付けるとは誰も思わないよ。デジタルだって追いつけなかったからな。」
まぁその本人はツヤツヤしながら戻ってきたけど。長距離に関しては勝率7割程だから、ぶっちぎられても2着なら偉いと撫で転がしたのも良く覚えてるぞ俺は。ふふっ⋯⋯ロブロイが困ってしまっている。
いかんいかん、ちょっと待って。今のは選択肢間違えたからやり直しさせて。
そりゃあ自分の話聞いてきた人間が急に担当の話題出したら、"えっ?そこまで聞いてないんですけど⋯⋯"からの愛想笑い+内心なんなんコイツ判定待ったナシ、俺の友人達は全員合コンで通って来た道らしい。
「クラシックレースもダメダメで⋯⋯いまいちパッとしないっていう意見も聞こえましたし⋯⋯自信、無くて⋯⋯。」
「ふむ⋯⋯成程⋯⋯。」
アーッ!RobRoy.───じゃなくてロブロイがメンタルよわよわな時のライスみたいになってるぅ!!待て待て待て、これが始まると俺に止める術は無いぞ!?『ライス、何やってもダメな子だから⋯ふふっ⋯笑って⋯⋯。』と己を極限まで下げ続ける雑炊モードは、何でも肯定してくれる絶対無敵のお姉さま(ライス談)な後輩ちゃんでも無い限り童貞には対処出来ーんッ!
デ、デジタルの手帳⋯⋯そうだアイツの情報なら何かあるかもしれない!突破口が必ずB89!?デッッッッッッッカ!!!!
あわわ⋯⋯つ、強い⋯⋯ッ!全てにおいて、カワイイカレンチャンとは別ベクトルの強さ!是非ともウチのチームには欲しいがカレンとタッグを組ませたら間違い無くボスクラスの逸材ッ!寧ろ2人目のボスッ!"
凄いな本格化⋯⋯これなら
「あっ、あのっ!!」
「んっ!ど、どうした?」
ビックリした!ビックリしたッ!!えっ、えっ、何!?キミそんな大声出せんの!?それ法廷で『異議あり!』って言う時の声量だと思うんだけど異議あった!?
「今、本格化って⋯⋯聞こえて⋯デ、デビューしても本格化が来ない事って、あるんでしょうか!」
全部言ってたーッ!!いつもの『口滑り◎』発動してたーッ!!
えっ、逆に聞きたいんだけどまだ本格化来てないの?(戦慄)
じゃあ今何が来てるの?高度成長期??
しかしRobRoy.──改めロブロイの顔は真剣。ならばこちらも正しく向き合わねば無作法と言うもの⋯⋯いや真剣っつーか眼力凄いな。あっ、あっ、怖い怖い怖いッ!!鋭い!よく見たら眼光が思ってた以上に鋭いこの子ッ!前々から思ってたけど『ドスケベむっつり丸』と顔似てんだよ!髪整えてそのおっきな耳隠したら最早本人なの!違う所と言えば、アイツの場合眼光が鋭くなるのは図書室でエロ本を吟味している時なのだが。仕事しろ。
はぁ⋯⋯っ、はぁ⋯⋯っ!何だ⋯⋯ゆ、揺さぶりを掛けられているのか、俺は。さっきの『本格化』発言の意図を問われている⋯⋯?どうやらこのゼンノロブロイというウマ娘相手に早とちりは厳禁なようだ。流石はボスクラス、カレンと同じく間違い無く頭が切れるとみた!ここは冷静に言葉を選びつつ、レース中のデジタルのように相手の出方を伺うべきだろう⋯⋯そもそも相棒どこ行ったんだよッ!助けてデジたん!!
「⋯⋯ある。ただ正確には来ないんじゃなくて、まだ来てないんじゃないかな。」
「まだ⋯⋯?」
「言ったろう?遅咲きの子も学園には居るのさ。成績不振の原因が、自分の努力が足りないからと間違った解釈と努力で身体を壊してしまう子も居る。中々デリケートな部分でね⋯⋯ロブロイはこっちだよ。多分。」
自分で言っておきながら、それで本格化来てないは無理だろ。あっ、でもロブロイの実力が足りないと言いたいワケでは無いぞ。
「⋯⋯もしそうだとしたら⋯結果を残したりするのは難しいですか?周りの子達に遅れてしまったりしませんか?」
「もしかしたらな。けれどそういう子達の執念こそ凄まじいものだし、俺はそれでも走り続けている子を知っているからね。君も覚えがある筈だ。年間グランドスラムを達成し、"世紀末覇王"と呼ばれたウマ娘の1番近くで走り続ける強い子を。」
「あっ⋯⋯ドトウ、さん。」
そう、ドジっ子ドトウちゃんことメイショウドトウ!何だか彼女の背中をデジタルと押して競い合ったのも懐かしい⋯⋯ふふっ、久しぶりに手帳でも見返してB99!?デッッッッッッッカ!!!!ええぃダスカと言いマーベラスと言い、一体どうなってんだ中等部ッ!!ボーノはよし。
「ドトウさんは⋯⋯凄いですね。」
「あぁ、凄い。けどロブロイだって負けてないさ。」
「えっ?」
だってその身長でそれは唯一抜きん出てるでしょ。善のロブロイは無理でしょ。
あっ!?つか俺今ストレートにセクハラ発言しちゃった!!ごごごごめんRobRoy.───じゃないロブロイ、今のは眼力凄ッ!!怒ってる!絶対バレてるし怒ってる!!
⋯⋯いや。ここまで来てしまったのなら腹を括ろう。彼女にフォローを入れつつやんわりと遠回しに本題を振って、甘んじてお叱りを受けようじゃないか⋯⋯サヨナラ『勇者御一行』。トレーナーさんは明日スコットランド行きの便に乗ります。
「前に会った時もそうだ。君は自分に自信が無いと言っているけれど、まだ夢を見ているんだろう?そして⋯⋯どうしても言いたい事があるから、今日ここに来た。教えて欲しい、"英雄"ゼンノロブロイ───君は何が見たい?」
「私は⋯⋯。」
一層ロブロイの眼力が凄いことになった。あかん、もう泣きそう。
「私は、私の夢を見たいです。私に出来る事を全部やって⋯⋯それでもまだ、足りないかもしれないですけれど⋯⋯でもっ、やっぱり"英雄"になりたいから!だっ、だから、あの⋯⋯私を、『勇者御一行』に入れて下さい!!」
言えたじゃねぇか⋯⋯じゃあ俺はスコットランド行き──えっ、今なんて?今なんて??
俺の聞き間違いじゃないよな?ウチに入りたいって言ったよな!?おっしゃーいッ!やった!やった!!ネゴシエーション成立じゃーいッ!見たか相棒!俺はやったぞ相棒!!お前今日に限ってどこ行ったんだよマジで!!
そして怒られるワケでは無かったのか⋯⋯そうか⋯それはもう⋯⋯。
「良かったぁ⋯⋯。」
「⋯⋯えっ?」
あっ、また言っちゃった⋯⋯もう良いよ、大丈夫だよ。何も怖くない。この子は俺の味方だと確信したわ。ふふふっ、meとyouはお友達。RobRoy.───の脅威はあれど、恐れる事などあるものか。こっちも安堵の笑みを浮かべて君を迎え入れ⋯⋯なぁんで
おい、相棒。お前その触角みたいなツーサイドアップ見えてんだよ。可愛いな。三つ編みにしてやろうか。マヤちゃん、顔丸出しよ。可愛いな。隠れる気ゼロなん?そして⋯⋯カレン?カレンチャン?なぁに?その拍手。可愛いな。携帯持ってるところは全く可愛さも安心さも無いけどな?お前さんだけは前科持ちだからな??
まっ、まぁ良いだろう⋯⋯ふふっ、やったぜ。
「君がそう言ってくれて嬉しい───。」
「ロブロイさんおめでとうッ!!」
「うぉあッ!ラ、ライス!?何で窓から顔だしてんの!?」
「あ、あのね!ロブロイさんが今日、ここに来るって聞いて⋯⋯だ、だから頑張って欲しいなって思ってたの!」
にしても窓から急に出てくるんじゃないよ!そういうとこがボケか素なのか分からんと言っておるのに!後輩ちゃんが面倒見るようになってから度々メンタルつよつよライスになるのがとても怖い!『えっ?ライスが勝ったんだからライスの方が強いですよ。』とか真顔で言ってきそうで怖いッ!実際何回か言ってた!!
えぇ⋯⋯皆に見守られてたの?全員1から10まで知ってんの?じゃあヤベぇよ。少なくとも俺の挙動を全部知ってる奴が1人いるんだから。冗談にならないボスが居るんだからッ。
「ロブロイさん、言ったとおりでしょ?♪」
「カレンさん⋯は、はいっ⋯⋯!」
ほらなぁッ!?
しかも言った通りって事は、前もって俺の挙動ロブロイに教えられてんじゃん!とうとうお兄ちゃんの思考全部読まれ始めてんだよチクショーッ!!折角お友達になれると思ってたのに全部読まれた上で営業対応されてたの!?もうこの段階で『勇者御一行』ってか『カワイイカレンチャンと仲間達』になりつつある⋯⋯乗っ取られる⋯⋯ッ!
「トレーナーさん⋯⋯あの、こ、これからよろしくお願いします!」
しかしポニーちゃんはバカ正直。RobRoy.───じゃなくてロブロイが仲間になるのはとても嬉しく思うのだ。
こちらこそ───そう言おうとした時、変なのが目に入った。真顔のままカンペを持って佇む勇者と、これまた真顔でカンペを指差す天才児。
『ここでトドメのイチコロ決めゼリフですぞ〜!』
『ロブロイちゃんもおとしちゃえ!♡』
恋愛バラエティじゃねぇんだぞお前ら。こっちはいつでもドキュメンタリーでやってんだよ。無茶ぶりにも程があるだろ。そしてそのテンションのカンペを真顔で出すんじゃない。絵面がシュール過ぎるわ。
ところで、"も"ってなに?言っておくがデジタルは俺がおとされた側だから違うぞ。他のメンバーは⋯⋯いつもダメトレーナーの面倒を見て下さって感謝しております⋯⋯ヒヒン⋯⋯。
それはそれとして。珍しく大人しいなとは思ってたけど、何してんのマヤちゃん?
えぇ⋯⋯浮かばねぇって⋯こちとらいつぞやのプロポーズだって帰ってから羞恥心に殺されかけたのにここでもやれと申すか?そんなにトレーナーちゃんを辱めたいのかこのロリ共は⋯⋯クソ、可愛いじゃねぇか⋯⋯やってやらぁッ!!
「ゼンノロブロイ。」
「は、はい⋯⋯。」
「"英雄"の力になれるなら光栄だ。俺が、君の英雄譚を一生語り継ごう───約束するよ。」
そう言ってロブロイの手を両手で⋯⋯あっ、ちっちゃい⋯えぇ⋯⋯可愛い⋯⋯そしてクソほど恥ずかしいんだがあのロリ共どう成敗してくれようか。
ロブロイもロブロイで何かもちょもちょしてるし、カレンはずっとにこやかに微笑んでるし⋯⋯ヒェッ。おい、真顔組。これで満足かよ。俺はやってやったぞ。だからニコニコ笑ってないで結果を教えてくれ。
『お触りしたから60点。』
2度とやるかチクショーッ!!
話はまとまった。新しく仲間になったロブロイとウチの愉快な仲間達が部屋を後にして僅か数分⋯⋯先程までライスが居た窓の外に、とても大きな帽子が見えた。ともすれば、それは魔女の帽子にも見える。ふふっ、そんなの1人しか居ないだろう。見てろよ、俺は今絶好調だからな。この場で2人まとめて勧誘を成し遂げてやんよ。
どれ、そろりそろりと⋯⋯。
「珍しいお客さん。今日はもう営業時間外だが、話はいつでも聞くぞ。」
僅かに肩がピクリと動いたそのウマ娘───スイープトウショウは、こちらを向くや否や口を開いた。
「ロブロイ、入ったの?」
「あぁ。勇気、出してくれたよ。」
「ふーん⋯⋯そっ。」
素っ気ない返事ではあるが、つばの大きな帽子の下でスイーピーはどこか嬉しそうに笑っていた。お可愛いが過ぎる。見れば見るほど可愛い。だがその中にも確かに美人寄りの要素を感じる為、最早最強では無いか。
よ、よぅし⋯⋯勧誘頑張れ、俺!大丈夫やれる!『俺と契約してお前も魔法少女にならないか?』と言えば良い話なのだ!えいっ、えいっ、ヌッ!!
「ところで以前君に出した勧誘の返事を聞かせてもらっていないんだが⋯⋯どうだろうか。何をどうしたいかは君に任せるし、意見も尊重する。スイーピーの夢はウチのチーム総出で応援するよ。」
「嫌。」
「そうか⋯⋯⋯⋯ところで以前君に出した勧誘の返事───。」
「嫌。」
聞き間違いじゃなかったらしい。死ぬしかない。
「アタシの事はアタシが決めるの!だから嫌!べーっだ!」
そう言ったスイープトウショウは歯を見せてニカッと笑いながら、スタコラサッサと掛けて行った。ふふっ⋯⋯振られた───と、一般童貞の男性諸君なら思うだろう。かく言う俺も心という心が折れて
だが良くも考えてみたまえよ。嫌だ、やらない、絶対言うこと聞かないと否定の意志を向けた相手に、本当にあんな反応をするだろうか。あんな風に茶目っ気に満ちた素敵な笑顔を見せてくれるだろうか。否。否否否。
答えはただ1つ───。
「絶対俺の事好きじゃん⋯⋯守護ろ⋯⋯。」
かくして、今日から俺の魔法少女仲良し大作戦が始まったのである。
スイープトウショウ(スリザリン) : あれもイヤイヤこれもイヤ。育成シナリオで開幕デバフ+トレーニング制限4回という破格のクソガキムーブとワガママを見せつけた女王。でも1番育成が楽しいし、芯が強過ぎて走る人生教本だし、作者のUG童貞を捧げた天才魔法少女。この作品天才ばっかだな?今後もちょいちょい出て来ては他人を導いてロリコンを困らせての大暴れ。絶対に自分の事好きだと思ってる童貞VSまるでそのつもりが無い魔女VS何故か巻き込まれた一般通過キタちゃんBLACK。ファイッ!!
ほんへの続きは2日後に───『沈黙』は『栄光』へと。