人間がウマ娘に負けるわけないだろ!いい加減にしろ!!   作:なちょす

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流石に長くなったので分割します。す、進まねぇ⋯⋯ッ!でもロリコンパートは書いてて楽しいのでOKです。兄貴たちがOKかどうかは⋯⋯ねっ?(財布から取り出す根性ライアン)

アプリ遊びながら思ったの。この世界って名家が色々あるけど、偶発的精神AIとは言え3女神を顕現させたり、凱旋門連覇するだけの練習機能をVRに付けたサトノ家が1番やべーなって。天下取れるよ。


第4R : ユーコピー?(図)太すぎるッピ!(1/2)

「まずはよく集まってくれたな、ジョーダンにローレル。これから緊急会議を開きたいと思う。」

 

 

 真面目な顔して携帯をポチるギャルが1人。

 優しいほほ笑みでノートしか見てない月桂樹が1人。

 話聞いてる?聞いてないね?会議終わり!解散ッ!

 

 

 に⋯⋯なるはずも無く。

 

 

 トウショウボーイがやって来て6日目の夜。今日まで実に怒涛の日々だった気がする。

 

 マヤノとティーボーが真っ黒ウマ娘に追いかけ回されて──しかもマヤノだけ覚えていない+俺とデジタルもアイツの名前を思い出せないという不思議現象込み。

 トレセン学園にテンポイント(流星の貴公子)が来るとヨシエちゃんから電話を受け、『知ってる事有るなら吐け。吐かなきゃ絞め殺す』と静かにキレられたり。

 それに付随して我等が親愛なるキングヘイローからも『貴公子さんが貴方を探してるけど何したのよおバカっ!学園が色んな噂でプチパニックじゃない!』と、人が何かやらかした前提で話を進められたり。

 ティーボーが部屋でだるま落としのギネス記録を狙い始めたりetc.

 

 もうね、濃ゆ過ぎて胸焼けEveryday。

 

 だがなぁッ!!俺にはそれらよりももっともっと大切な問題があった事を忘れてはならないッ!!

 

 

 

 即ち、今チームメンバーに男の人好きと思われているこのクソ認めたくもない事実である。

 

 

 

 初めてデジタルからこの真相を聞かされてからも、もう6日。

 お前今まで何してきたんだと問われればトウショウボーイの襲来が強過ぎてすっかり忘れていました。忘れてはならないって言ってんだろがボケッ!!

 

 いやいや、これでも何とか弁明しようとはしたんだ。

 

 ただこの話題を出すと皆揃って『何の話?』みたいな顔するし、ブルボンはおててパチパチして(可愛い)エラー起こるし、カレンとマヤノに至ってはニッコニコでデートの約束を取り付けてくる始末。これは良くない。そもそも俺は適切な距離感云々を分からせ云々したかったんだ。断じて俺が立場を分からせられる為では無いんだよ!

 その為にもデートはしようと思う。敵の情報は多いに越したことは無いし、俺が女性と付き合った事すら無いよわよわ男だと知られてはならないからだ。

 

 つまり今こそ『桜満開ギャル同盟』の力を合わせる時!名前に俺の要素無くない?凹む。

 

 

「結論から言おう⋯⋯すまない。どうやらその、俺が原因だったらしい。」

 

『でしょうねー。』

 

 

 オラッ、ちゃんと聞けよお前ら───でしょうね!?何その『バカ言ってんじゃないよ』みたいな返しっ!!知ってたの!?知ってて1週間近く俺と一緒に忘れてたってコト!?

 

 いや違うわ。これわりとどうでもいいって思われてたやつ。これが俺の人望である⋯⋯凹む。同盟など最初から無かった、良いね?

 

 

「⋯⋯何見てんの?ジョーダン。」

「んー?トレーナーがこの間のレース動画送って来たんだけど、課題めっちゃ有るみたいでさ。説明はされてるし、なんとなーくは分かってんだけど、どう治したらいいか分かんねーっつうか⋯⋯でもこんなんで世話掛けたくないじゃん。」

「その説明された課題点、自分でも変な違和感を感じてるんだろ?レース中に全箇所あれこれ治そうとしてるから、身体と頭に()が出来てんだ。しかも展開にその修正が追いついてないから、中途半端な対応のまま色んな問題未解決で走ってる。難しい事考える前に、"今日はこれだけやんぞっ"て1つずつ気楽にやってみな。それと⋯⋯掛けたくねーって言ってるその世話。頼られると、トレーナーは冗談抜きで嬉しいもんだから遠慮すんなよ。騙されたと思って頭の片隅に入れとけ頼ってけ。」

 

 

 何だそのポカン顔⋯⋯余計バカっぽく見えるからやめた方がいいぞ。しかし顔が良いなお前。

 

 

「ローレルさんは何を見てらっしゃる?」

「実は後輩の子に練習メニューの見直しを頼まれているんですよ。気になる所はアドバイスしてあげたいですし、今はまだ教官の元に居ますけど本気で頑張っている子ですから。」

「そか。ちょっと失礼⋯⋯この子追い込みやるでしょ。内側攻めるの苦手で、何回か当たり負けも起こしてる。体幹もっと強くさせて姿勢のブレを無くしてやりな。後、苦手なら無理に内側攻めさせなくていい。大外ぶん回して持ち味の末脚スカッと出させる事。追い込み出来るなら、慌てずちょっと周りを見るだけで大分走りやすくなる筈だ。苦手を克服したい気持ちや焦る気持ちも勿論分かるが、そっちはトレーナーが付いてから正しく教えて貰える。付かなきゃ俺が教える。先ずは自分の走りで自由に走る楽しさを覚えなきゃな。」

 

 

 何だその信じられない物見た時の顔⋯⋯人の事何だと思ってんだよ。しかし顔が良いなお前。

 

 

『⋯⋯⋯⋯。』

 

「⋯⋯もう言っていい?では本題といこう。俺は皆に男好きと思われている。」

 

『うーん、台無し。』

 

 

 んだよォッ!!揃いも揃って!お前らが話聞かねぇから聞いてもらおうとしただけやろがいッ!!台無しってなんだよ!もしかして自力で何とかしたかった系乙女ちゃんでしたか!?それは───!

 

 非常に申し訳ない事をしたと思います。だから人望消えるんだぞお前。『桜満開ギャル同盟』は今日で解散、明日からは『桜色ギャル同盟─真夏の栗の花を添えて─』だ。

 

 

「アンタさー⋯⋯そうしてっとちゃんとトレーナーじゃんね。何が楽しくていつも自爆してんの?」

「デビュー前の子達って結構人数居ますけど、気に掛けてくれてるんですか⋯⋯?」

「流石に全員じゃない。たまたまだよ。おいそこのギャル、俺がいつ自爆したか言ってみろ。」

「自爆したから集まって会議とか言ってんじゃん。」

「えっ、あっ、それは⋯⋯うむ⋯⋯。

 

 

 悔しいがぐうの音も出ない。

 うっ、うるせー!俺だって好きでこんな事になってんじゃねーよ!気付いたら火が回ってたんだよ!だから責任持って大火災を止めようとしてんじゃねーかチクショーッ!!

 

 

「そもそもどうしてそんな事になってるんでしたっけ。」

「その⋯⋯俺が酒の飲みすぎで、ミチルっていう同級生の男に告白した事が知られてて⋯⋯でもちゃんと事の真相が伝わってないと言うか⋯⋯。」

「そりゃもうミッチーに弁明して貰うしかなくね?OKするっしょ。」

「お前友達か?」

「ミッチーさんほど気量があって器の大きい方なら大丈夫ですよ。」

「お前友達か?」

 

『うぇ〜〜〜い!』

 

「やかましわ。揃いも揃って何ださっきから。」

「アンタもノってんじゃん。」

 

 

 同盟なんだから当たり前だろ!?仲間外れは止めろよ!

 まっ、まぁ良い⋯⋯こういう所も愛嬌だ。全ては俺の自業自得だと言う事は前提としてもこのままと言うわけにはいかないだろう。だから意見を求めてるのにこの子達は本当にもう!

 

 

「まぁ⋯⋯実際トレーナーさんが話したらまるっと解決すると思うんですよねー。」

「ウチのチームに限ってそれで済むとは思えん。絶対に何かこちらの弱みとして握った上で最大火力の爆撃を落とすに決まってる。特に天才と妹分。」

「自分のチーム何だと思ってんの⋯⋯そう言うとこで変な勘違い起きてんじゃねーの?知らんけど。」

あとやっぱり⋯⋯お、大人としてちょっと冷静に上手い立ち回りがしたいって言うか⋯⋯。

 

『む〜だ〜〜〜。』

 

「なぁんだとコノヤロー。」

 

 

 こっちが下手に出ればその倍は上に立ちやがる。どれだけ俺が日々の誘惑と世間体を気にしながら生活してると思ってるんだコイツら。しかし落ち着け三十路。お前はもういい大人なのだ。ここで協力関係を壊してしまっては元も子も無い。だからこちらはいつでも下の立場かつフレンドリーさも忘れてはならない。ふふっ、やっぱり俺は出来る男よ。

 

 

「まぁ兎に角そういうわけだから。今後もスパイ活動の協力をよろしくな、ジョーダンにモーテル。あっ!あっ!!ローレル!ローレルさん!ローちゃん!!」

こーらー♪

「ヌッ!!」

 

 

 優しい声色、反比例のクソヂカラ。ほぼタックルと言っても過言では無い勢いで、桜のあんちくしょうは人をベッドに叩きつけてきた。死ゾ。共倒れゾ。さらば我が青春のアルカディア。

 

 

何ですかー?さっきちゃんと言えてましたよねー?わざとやってませんかー?

「ジョーダン!助けてジョーダン!!いやー!!やめてローちゃん!チックショービクともしねぇッ!!人間がウマ娘に勝てるわけがないんだ助けてくれよジョーダン!!」

「冗談キツいっすわー。じゃ、あーし先に帰るんで。乙ー。」

「ヘーイ、ギャルビビってる〜〜〜〜〜!こっち来いよほらほら!!」

「だりぃ⋯⋯ローレルさんも強めに何か言った方が良いですよ。それ永遠に絡んでくるんで。」

「ビビってる〜♪」

『嘘じゃん。』

「いやアンタがビックリしてどうすんの。」

 

 

 この流れでノって来るとは思わねぇだろ。

 

 超ダルそうな溜息をこぼしたジョーダンは携帯を手にとある人物へと連絡を取り始めた。

 

 

「あーもしもし?うん、あーしなんだけどさ⋯⋯ちょっと、5分位遅れっから。やっ、大した用ってわけじゃ───。」

「見ローレル。あれがパートナーだけに見せるギャルの映え顔だ。」

「盛れてますね。今何て言いました?」

「これからミーティングを兼ねたお勉強会やるんだぞアレ。写真撮ローレル。」

「もうデレデレですね。今何て言いました?」

「あっ、あっ、あっーーー!力強いッ!止めローレル!止めローレルッ!!ジョーダンちゃん助けて!いつまで照れくさそうにニッコニコしてんだよ可愛いなお前ッ!!デジタルに報告しとくねッ!!」

「やっぱ3分な。なんかあったらデジタルのトレーナーに文句言えし。じゃ⋯⋯お前さっきからうるせェし好き勝手言ってんじゃねぇーーーーーッ!!ギャル舐めんなオラァッ!!

 

 

 この後枕片手に大暴れし始めた(自称)ダウナーギャルと、そのギャルを見てキャッキャ笑いながらも、クソヂカラを一向に緩める気のないギャップ持ち枝垂れ桜に滅茶苦茶シバかれた。

 

 

 

 

 そうしてきっちり3分後、最早誰もが汗だくである。誰がここまでハッスルしろと言った。おじさんもう30なんだから余りハッスルされると明日が辛いの⋯⋯何だポニーちゃん。自業自得?それはそう。これがカレンとマヤノじゃなくて良かったな愚息。お前今頃死んでたぞ。目を瞑ってやるから黙ってろ。

 

『遊び疲れたので先に戻りますね』と一言言い残し、先ずはローレルが帰って行った。ぶっちゃけ俺もこの後見回りがあるのだが、如何せんここに居るギャルは筋肉痛を忘れて暴れたらしく動けんとの事。仕方ない⋯⋯こやつのトレーナーでも呼んで背負って行ってもらおう。謝罪と菓子折りはその時に───。

 

 

「何で走るのーーー!?絶対呼んでね!約束だから!!」

「はーい!」

 

 

「今の⋯⋯マヤノじゃね?」

「だな。もう部屋に居なきゃなのに、何してんだろ。ちょっと行ってもいいか?」

「りょー。こっちはテキトーに帰るわー。」

 

 

 取り敢えずジョーダンには早めに菓子折りを持たせつつ部屋を出ると、すぐ目の前にお可愛い天才キッズが居た。何ならローレルが走って行ってる最中である。合宿所内は程々に走らんかいあのさくらんぼ。さくらんぼはお前だろポニーちゃん。凹む。

 

 

「いーもん!もうトレーナーちゃんに直接聞いちゃお!」

「俺が何?」

「ひゃっ!?」

 

 

 ひゃっ、だって。殺す気かな??可愛いね。でも純粋な反応されるとその度にポニーちゃんが曲線のソムリエになりそうだからもう少しカレンみたいに威風堂々かつ唯我独尊、立ち塞がる者は鎧袖一触な面持ちで居てくれると、トレーナーちゃん凄く嬉しいぞ。

 

 

「何か声がしたと思ったらローレルは走って行くし⋯⋯何か用があったかな?」

「トレーナーちゃん⋯⋯あの、あのね⋯⋯ローレルさんと!⋯⋯何、してたのかなって⋯⋯。」

 

 

 賢い俺はすぐさま理解した。

 ははぁ〜ん、これミチコちゃん以上の爆発寸前大誤解が生まれたゾ?だってローレルさんってばひとしきり暴れたままの格好でバッタリこの天才に出会っちゃったんでしょ?つまりそう言う事でしょ??うわヤベェ。相棒居ないんだけど。助けてデジたん。これただの火災じゃねぇよ最早山火事だよ。

 

 

「⋯⋯マヤ。ローレルさんはどんな感じでいらっしゃったかな?」

「どうしたのその喋り方⋯⋯あの、凄く暑そうにしてて⋯⋯何か運動したのかなって感じで⋯⋯ジャ、ジャージも着崩してたよ?」

 

 

 でしょうねぇッ!!役満じゃねぇかバカヤローッ!!

 火照った身体に着崩した衣服、激しい運動の後の様な見た目に全力疾走での逃走。オマケに今日はトレーナー室に俺だけだという事をチームメンバー全員が知ってる前提付き。更に付け加えるならマヤノがさっき言ってた『今度呼んでね絶対だよ』の一言。

 

 いやぁぁあああああッ!!!!完全にそういう事だって思われてるぅーーーッ!!思われた上で次は自分も来ようとしてるぅーーーッ!!じゃあ必然的にカレンチャン(ウチのボス)も来るぅーーーッ!!!!お前らどんだけ鬼メンタルで徹底的にトレーナーちゃんの事分からせようとしてんの!?それこっちがやりたいのッ!いやヤリたいワケでは無い。教え子ぞ。

 

 べ、弁明する!?でもそれだと余計に怪しまれるというかほぼ確信される!正直に言ってもいいけどなんて説明すんだよさっきのおふざけタイム!チクショー!こんな事ならローレル揶揄って遊び倒すんじゃなかったぁー!さっさと帰してあげれば良かったぁー!ゴメンな桜のキミーッ!!でもお前もせめて説明するか否定してから走ってけよ桜のキミーッ!!

 

 

「おいっすーマヤノ。」

「ジョーダンちゃん⋯⋯?」

「こんな所でどうしたん?あー、つーか腰痛ぇー。あーし明日も練習なんだけど⋯⋯無駄に身体使わせんなし。」

 

 

 山火事に爆薬ぶち込んでんじゃねぇッ!!油ぐらいでもいっぱいいっぱいなの!今大変な事になってんだよ主に俺のせいでッ!!痛がるのは腰じゃなくても良かったろ!?狙ってんのかお前コノヤローッ!

 あっ、これがジョーダンの言ってた自爆かぁ。冗談じゃねぇ⋯⋯ッ!こんなのが自爆であってたまるかってんだ!良いとこギャルが山火事にC4投げつけて『ヤバ、ウケる。撮っとこ。』してるだけやろがいッ!!

 そもそもどうして俺はやる事なす事こうもタイミングが悪いんだクソゥ⋯⋯ッ!!

 

 

「えっ?えっ?ジョーダンちゃんも一緒だったの⋯⋯?め、珍しいね!ローレルさんとトレーナーちゃんの3人で何してたのー?」

 

 

 ジョーダン分かってるな?この返答で俺とお前とローレルの未来が決まるんだぞ。取り敢えず爆薬は置け。後で何でも言う事聞くからお願いしますベストアンサー導き出して奇跡よ起これ。

 

 ジョーダン分かってねぇな?お前今小首傾げたか?爆薬に着火しながらとぼけてんのか???じゃあ俺の事はもうどんなロクデナシみたいに言っても良いからせめてローレルだけは守ってやって!あの子本当は素直でいい子なんです!皆のお姉さんみたいな立ち位置もあるし、ああやって年相応のはっちゃけ見せるって言うのも出来れば内緒で助けてやって下さいッ!

 

 

「あー⋯⋯何って⋯⋯あれ何?カバディ?」

『?????????』

 

 

 そうはならんやろ。

 

 

「良く分からんがお前はバカでぃ。」

「うっせーっつの。バカでわりーか。」

「最高。」

『うぇ〜〜〜い。』

「帰るわ。」

「おぅ。お疲れ。」

 

 

 ジョーダンちゃんはやっぱりジョーダンちゃんだった。弁明でも無く誤解を加速させるでも無く、ただ俺とマヤノに困惑を与えて事態を収拾するなんざ並外れた頭では到底真似出来ん。あっ、褒めてるから。

 

 ならば後は俺次第。この流れ、絶対に断ち切らん⋯⋯タダでは逃がさんぞ天才キッズ⋯⋯!!

 

 

「それで?俺は今から見回りだけど⋯⋯どうした?」

「ううん、何でもない!お休み!」

「そっか⋯⋯なぁマヤノ。実はデジタルに今日が見回りだって事言い忘れててさ。誰か付き添いが必要なんだけど、良かったら夜の散歩に付き合ってくれるか?」

「⋯⋯先生とかエアグルーヴさんも居るし、見つかったら怒られるよ?」

「その時は俺が怒られるさ。頼むよ。」

 

 

 あっ、考えてる。そんな姿も実に可愛らしい正に我がチームの純粋担当。こんな事言ったけど本当に見つかって怒られでもしたら本末転倒。何故ならこの天才、かつてたづなさんの前で『大人の女にして!』と爆弾発言かました前例があるし、お腹丸出し勝負服のままレース後に顔面にへばりつく事もザラにある。油断はならない。

 

 

「良いよ。じゃあ何かあったら⋯⋯よろしくね。」

「勿論。」

「それで結局、3人で何してたの?」

「⋯⋯枕でバシバシって。」

「枕投げ!?やっぱりマヤも呼んで欲しかったー!」

「ローレルが俺を押え付ける係で、ジョーダンが一方的に。」

「じゃあ枕投げじゃないね。皆で狙い合う遊びなのにその役割分担おかしいと思う。」

「凄い汗かくし、なんか楽しげな笑い声とかしてさ。」

「それ枕投げだよ!運動量凄いし、皆で楽しめるから絶対枕投げ!合宿のテッパン!」

「手に持った枕を何度も何度も俺の顔にね、こう。ツボに入って笑いっぱなしの桜も居て。」

「じゃあ枕投げじゃないね。投げてないもん。百歩譲っても枕叩きつけかな。待ってジョーダンちゃんもローレルさんも居たの?ホントに?」

 

 

 ああ言えばこう言うレスポンスの速さよ。流石俺の愛バ⋯⋯いや、最早愛娘。

 

 ん?どうしたのマヤちん。そんな浮かない顔して───どうもこうも色々勘づかれてんだろバカーーーッ!!相手が天才的な直感持ちな事忘れてんじゃねぇよ!山火事の現状何も変わっとらんやろがいッ!!い、いかん!先ずは今すぐにでも落ち着かせなければッ!焦るな、クールに、そして出来る大人のキメ顔で⋯⋯うぉっ、急に死にたくなってきた。やかましい、やれ。

 

 

「心配無いよ。」

「えっ?」

「マヤノが思っているような事は何も無い。だから、いつも通りのお前さんでいい。」

「⋯⋯うん。」

 

 

 納得いきませんかお嬢?そりゃそうですよね無理がありましたよね。何かこう切り口になりそうな物が無いと責任追及なんて出来ませんよね。ハラキリ焼き土下座で許して頂きたく早漏。

 来るぞ追撃⋯⋯こうなりゃとことんやってやらぁッ!考えてる時間はありません!考えてたら死にます!だから俺の分からせ計画第一人者はマヤ!お前と知れぇッ!!

 

 

「あのね、トレーナーちゃん。実は用事って言うのは⋯⋯キタちゃんとロブロイちゃんの事なの。」

 

 

 真面目な話題振ってどうしたのぉ⋯⋯????

 今なけなしのお兄ちゃんブレインをフル稼働させてあらゆる弁明分考えたのにワンクッション置く?ここで?なんでぇ⋯⋯??

 

 ハッ!?そういう事か危ねぇッ!つまり万全な状態では嘘をつかれる可能性があるから、真面目な話題を振りながら油断したところを仕留めようって魂胆だないい女め〜〜〜〜〜ッ!!

 

 気付いたからにはボロは出さん。そもそもボロンと出るのはポニーちゃんだけなのだ。これが俺のトップガン、ベッドの上ではF-14(トムキャット)。早くて雄猫とかお前バリ太刀整備士カレンチャンに勝ち目ねぇだろ。どこ整備されても昇天だよクソが。

 

 

「2人がどうした──って、決まってるか。努力の鬼(・・・・)にやられたんだろ?そうさなぁ⋯⋯じゃあ今から言う事、3つばかし聞いて欲しい。」

「うん。」

「1つ──キタサンブラックに関しては大丈夫だ。なんたって今回はスイープが居るし、そもそもウチに来た時点で何も心配はしちゃいないさ。いつも通りの皆で接して欲しい。

 

 

 その辺への信頼度は厚いぞ♡

 まぁメンバーから俺への信頼度は遊び相手ぐらいしかないだろうが。凹む。

 

 

「2つ──ロブロイの話も聞いてる。ティーボーの奴、マヤノとロブロイに同じメニューやらせてるのに、ロブロイのペースに合わせてるんだったよな。」

「そうなの。だからロブロイちゃん、たまに思い詰めたり、マヤに謝ったりしてて⋯⋯。」

「ロブロイに教えてあげてくれ。ティーボーが付き添ってたこの一週間、そもそもお前さんの為だってな。」

「うん⋯⋯うん?えっ?そうなの??」

「知らなかったろ?アイツは最初っからロブロイがマヤノに負けるとは思ってない。寧ろ勝負が面白くなるように、課題なんて名目で正解を言ってたんだ。ロブロイにはアイツからの課題の意味、もう一度よく考えてみて欲しいかな。」

 

 

 人はそれをスリップストリームと言います。あれ?合ってるよな⋯⋯あ、相棒ー?今お前の半身困ってるよー?ここに来てその知識満遍なく発揮してどうぞー?

 あかん、モルモットに連れて行かれたんだったクソが。あの男後で覚えてやがれ。

 

 

「それで3つめ。マヤノ⋯⋯お前さんの課題は、トウショウボーイに勝つ事でも無ければスタミナを滅茶苦茶増やす事でも無い。そもそもロブロイのペースに合わせた1週間じゃ、肺活量の底上げなんて無理がある。それをするのは俺の役目だ。」

「じゃあマヤはどうしたらいいの?」

「───レースを作れ。そして、トウショウボーイをよく見ておくんだ。」

 

 

 素質あるとか言ってたし。これで違ったら文句は天様によろしくお願い致します。あの人マヤちゃんの事、第二の天に仕上げようとしてるんだよね。理由は聞いたけどよく分からんかった。トレーナーのクズがこの野郎⋯⋯ッ!

 

 

「マヤノの強みは周りへの理解が早い事。ただそれは、お前さんが受け身の姿勢でレースに出る限り弱点なんだ。周りに引っ張られるのなら⋯⋯突出した誰かの出方が気になるのなら。そもそも自分がレースを作ってしまえばいい。走りやすいように、動かしやすいように。集中するのは特定の誰かじゃなくてレースそのものだ。だから───天もお前さんの掌に誘い込んじまいな。」

「⋯⋯出来るかな。」

「出来る。少なくとも、俺もティーボーもそう思ってる。それにな⋯⋯マヤノ。」

 

 

 いつもの様に頭をくしゃくしゃに撫でてやった。

 いつもと違ってお風呂上がりの匂いがした。助けてデジたん、俺この子の事好きになっちまう。もう好きだった。

 落ち着けよポニーちゃん。こんな時は冷静にカレンの事を考えろ。仁王立ち満面スマイルの妹分⋯⋯うっ、ブルっと落ち着いた。

 

 

「お前さんはナリタブライアン(沈み行く夕日)を追い続けた。どこまでも飛んで、その先で諦めをつけようとしていた怪物の心を繋ぎ止めた。俺はそれを見てきたんだ。出来ない事なんてあるものか。」

「トレーナーちゃん⋯⋯っ!」

「うぉっ!?な、なに!?どした!?」

 

 

 抱きついてきちゃった。お風呂上がりのマヤスメルが世界を満たす真夏の夜の夢。

 

 えぁぁあああああぁぁッ!!!!来るなら来るって言って!!

 おまっ、お前嫁入り前の娘が風呂上がりに抱きついてくるんじゃないよッ!トレーナーちゃんそんなシチュ想定してないの!デジもカレンもこれだけはしてこなかったの!何急に大人の階段2段飛ばしでダッシュしてきてんだよもーーーッ!!

 

 しかし頭は至って冷静。冷静ゆえに抱き締めようこのリトルボディー。駄目だ脳が焼けてる。俺に出来るのはせいぜい"まだまだ子供だなぁ"と強がって見せること位で───エアグルーヴおったぁああああッ!!

 居るなら居るって言ってくれよッ!どうすんだこの状況ッ!?これも天才の策略か!?見た事ねぇ顔してんじゃねぇか女帝様がよォッ!!

 不味い不味い不味い、誤解を解け今すぐに!女帝に届け童貞の口パクコミュニケーションッ!

 

 

 ───ミ、ノ、ガ、シ、テ。 べ、ロ、ちゃん。

 

 

 ───たわけが。

 

 

 普通に凹む。流石後輩ちゃん相手に母親のような世話焼きぶりを見せるハーバーの母よ。本当にごめんなさい後で菓子折り持って見逃してくれたお礼に行きます。

 

 

「お悩み解決したか?あまり良い事は言えなかったかもしれないけど⋯⋯。」

「ううん、十分。もう大丈夫だよ。明日は楽しみにしててね!」

「はい、分かりました。ははっ───おっと。お疲れ様、キタちゃん。」

「⋯⋯はい。お疲れ様です。」

 

 

 あらヤダ真っ青。どうしたの?お腹痛い?食べ過ぎた?ラモラモに意地悪された?100%ラモーヌだろあのドSめ。ルドルフならいざ知らずキタちゃんにメジロ節はパワーが強過ぎるんよ。

 

 

「あっ⋯⋯消灯時間、ですか。じゃああたし、先に休みますね!明日もありますから⋯⋯お休みなさい。」

「うん。お休み。」

 

 

「⋯⋯トレーナーちゃん。」

「遅かれ早かれこうなってた、な。ラモラモに容赦無く叩き切られたんだろうさ。なぁ、マヤノ。俺はさっきスイーピーが居るから大丈夫と言ったが、お前さんにも頼みが有る。」

 

 

 しゃがんでマヤに目線を合わせ、精一杯のデキる男アピール。頬っぺに手も当てちゃう。

 ひぇっ。

 めっちゃやわっこくてビックリしてしまった。マックちゃんの腹並みである。2マックイーンレベルだ。聞かれてねぇよな⋯⋯?ヨシッ!

 

 

「んっ、んん!あの子の憧れは誰か知ってるな?」

「うん。テイオーちゃんだよね。」

「そうだ。そしてトウカイテイオーの事を誰よりも知ってるのは、同室のお前さんだと俺は思ってる。あの子は今"憧れを追うだけのウマ娘"から、先ずは"憧れに並び立つウマ娘"へと成長しようとしてるんだ。だから、キタちゃんの事を支えてやって欲しい。先輩として⋯⋯あの子よりほんの少しでも大人なウマ娘として。」

「先輩で、大人⋯⋯何したら良いのかな?」

「まずは隣で話を聞いてあげる事。その後はお前さんに任せるよ。正しいとか正しくないとか関係無く、マヤノがキタサンブラックにどうなって欲しいか考えてやってみな。」

「⋯⋯分かった!」

 

 

 分かっちゃった。え〜〜〜チョロ〜〜〜〜〜い!可愛い〜〜〜!本当にエアグルーヴ差し向けた女と同一人物か?いや、これも作戦⋯⋯?駄目だ近付けば近づく程にマヤスメルが脳を焼きにかかってきやがる。クソっ、今日は引き上げだッ!撤退!撤退ー!!これ以上はきっと俺が痛い目見る!だが俺は負けてないからなッ!?引き分けだからなッ!クソゥッ!!

 

 

「俺は最後に上の部屋に行くよ。『お友だち』からデジタルも回収しなきゃだし。何かあったらいつでも頼ってくれて良いからな。」

「うん。おやすみ。」

「⋯⋯後、大丈夫?本当に無いかな?気になる事とか聞きたい事とか⋯⋯。」

「えっ、うん⋯⋯無い、よ?」

「そうか───お休みッ!!」

 

 

 最後の最後までローレル達の事を言及してこなかったな⋯⋯だが油断するなよ俺。夏合宿中のどこかでこの子は俺に牙を剥く。努努忘れるんじゃぁない。

 

 

 そうして一息つきながらやって来たチーム『お友だち』の部屋。扉を開ければ、あら綺麗!イルミネーションが所々に散りばめられて床にはブルーシート。オマケに部屋のど真ん中にはビニールプール!ナイトプールかなぁ??

 カフェとモルモットの姿は無く、部屋には2人だけ。恐らく私物の水着だろうクロスホルダービキニのアグネスと、フリルが付いたピンクの申し訳ビキニのアグネスがプールでイチャついて───。

 

 

 

 やりやがったなアグネスタキオン。

 

 




次回、『第4R : ユーコピー?(図)太すぎるッピ!(2/2)』

アグネスの同時摂取はレッドブルとMonsterの同時摂取と同義。徹夜明けタキオンさんの暴走っぷりをお楽しみあれ。
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