目覚めるとそこは廃墟   作:海砂

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第二十一話

 トーフさんはアンブレラの傭兵部隊のお仕事とは別に目的があるっぽかった。詳しくは言葉が通じないのでわからないままだ。彼と意気投合した俺は、彼を守りつつ地上へと出る。でも、守らなくても充分一人でやっていけそうなので、早々にお別れすることになった。あ、結局最後まで名前聞かなかったな、まあいいや。無事に脱出できるよう祈っているよ。

 

 ところで地下水路を右往左往していたので、俺様現在地がどこかワカラナイ。ゾンビはいるからまだまだラクーンシティなのは間違いないと思うんだが。きったねぇ水路の水がドボドボと川に流れ込んでいるのを見て、ちょっとゾッとした。こんな環境問題なんて屁とも思わないような街だから、あっという間にウイルスが蔓延しちゃったんだろうな。

 俺は川沿いにてくてくと歩いてみた。多分大きな公園か何かかな? 手を加えられた不自然な自然に囲まれた道を川上に向かってのぼってゆく。あ、つり橋めーっけ。

 俺の巨体でミシミシ言う橋に若干キョドりながら渡る。ちょうど渡り終えたその時、背後から銃声が聞こえ、背中に鈍い痛みを覚えた。

 

「s.t.a.r.s.....」

 

 振り向いた俺の体はその場で自我を無くす。銃を撃ったのはジルだった。全速力でジルの立っている橋へと後戻りする。やめて暴れないで橋が落ちちゃう!!

 俺の一撃をかわすと、ジルは自ら橋から飛び降りた。多分川を渡って逃げるつもりなんだろう。俺の外の人はしばらく逡巡し、やがて川下へ向かって歩き出した。ジルたんを追っかけているんだろうか? 川の流れにのって泳いでったジルたんの方が早いと思うよ、もう見失っちゃったし。

 なんかもう、自分で自分の体が動かせないのにも慣れちゃったな。俺はボケーっと、外の人がのっしのっしと歩いているのをまるで後ろから見ているような感じで、ただただ見つめていた。

 しばらくしていつものように自由を取り戻した俺の目の前には閉鎖された廃工場がある。あ、人気なんて元々なさそうだし、こういうとこに引きこもっとけばいいのかな。

 適当に出入り口を探し、俺はそのすでに廃墟だったであろう工場に足を踏み入れた。

 

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 キャンベルさんを埋葬し終えてから、私たちは公園を後にしました。彼が亡くなる前に話していた、廃工場を目指して。ぽつぽつと降り出した雨はすぐにやみ、それでも黒い雲が空全体を覆っています。なんだか不吉な天気です。

 

「廃工場には何があるんですか?」

 

 なんとなく黙っているのが気まずくなって、私はカルロスさんに話しかけます。カルロスさんの方も同じことを思っていたようで、首をかしげながらも話に乗っかってくれました。

 

「うーん、アンブレラの工場だったってのは間違いないから……薬でも作ってたんじゃねぇのか? ついでに例のクソッタレウイルスもな」

 

 じゃあ、この街がゾンビだらけになったのは、その工場が原因ってことなんでしょうか。工場からウイルスが漏れて、街中に拡がって、それで?

 

「ムラカミさんはどうなんでしょう?」

 

「ありゃあ別モンだろ。見た目からしてその辺のゾンビとは訳が違う。もしかしたらムラカミって人間がそこで改造手術受けたんだったりしてな」

 

 カルロスさんは笑い話にしようとしていたようですが、二人ともうまく笑えませんでした。ムラカミさんは人体実験の成れの果てなのでしょうか。そして、もう彼を救う術は残されていないんでしょうか……答えは、NOです! 諦めたらそこで試合終了なんです!

 

「そうだな、何とかしてあのデカブツも助けて、ジルも一緒に皆で酒でも飲みたいもんだ」

 

 私はまだ未成年だから、ジュースでお願いしますね。みるくちゃんには、人肌のミルクで!

 今度はちょっと笑えましたよ。みるくちゃんもにゃあとお返事してくれました。

 

 歩きながら話をしていると、やがて大きな工場跡が見えてきました。郊外といっていましたがそれほど遠くではなかったようです。

 

「マジでウイルスの元がここだとしたら、今までとは比べ物にならないほどの化け物がウヨウヨしてるかもしれねぇ。やめとくなら今のうちだぜ、お嬢ちゃん」

 

「いまさらですよ! 私がここでやめとくって言い出すと思いますか? それにバケモノならムラカミさんで耐性がついてます!!」

 

「ははっ、違いねぇ」

 

 私もニッと笑い、カルロスさんも笑いました。そして二人とも真剣な表情に戻り、銃を構えなおしました。心なしか、みるくちゃんも眼差しが鋭くなっています。

 大きく深呼吸をして、そして私たちは、目の前の工場へと向かいました。

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