目覚めるとそこは廃墟   作:海砂

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第二十四話

 雑魚はお呼びじゃないんです!

 私のニオイをかぎつけたのか集まってくるゾンビどもにショットガンをぶっ放しました。そしてみるくちゃんがネコパンチで止めを刺すのです。そんな事を何度か繰り返していると、ようやくカルロスさんが戻ってきました。

 

「ジルさんと会えたんですか!?」

 

 なんという朗報でしょう! さらに、崖下に見えていた出入り口は工場に直結していたそうです、朗報が二倍!

 

「さてお嬢ちゃん、これからロッククライミングなわけだが、ソイツはどうする?」

 

 カルロスさんの視線の先にはみるくちゃんが佇んでいます。私たちは手を使ってしがみつく事もできますが、みるくちゃんは飛び降りるしかありません。さすがのみるくちゃんでも、この崖を飛び降りるのは危険な気がします。直接飛び降りたら10メートルじゃきかないと思うのです。

 

「みるくちゃん……お留守番、出来ますか?」

 

 にゃあとお返事はいただいたものの……それは、イエスという意味ではなかったようで……みるくちゃんはカルロスさんを一瞥すると、なんと崖下にダイブしてしまいました!

 目を丸くする私とカルロスさんを尻目にみるくちゃんはくるりんぱと華麗にねこ着地。上を見上げて一際大きな声でにゃあと鳴いています。

 

「……ありゃあもうただの猫じゃねぇな、化け猫だ化け猫。気ぃ使って損したぜ」

 

 で、できればみるくちゃんに使うはずだった分の気を私に分けて欲しいです。ゾンビはもう怖くないですが、この高さはちょっと怖いです。転がり落ちる気しかしません……。

 

 

----------

 

 

 なんだかんだと理由をつけて降りるのを渋っていたお嬢ちゃんも、何とか下水道の出入り口まで降りてくる事ができた。もっとも腰が随分と引けてたがな、まぁ仕方ねぇ。か弱いお嬢ちゃんなんだろうからな、本来は。

 下水道のゾンビはさっきオレとジルであらかた片付けちまったから、それ以上化け物が現れることはなかった。

 

 とはいえ警戒を怠るわけにもいかねぇ。お互いに銃は構えたままで、工場への侵入口まで進んでいく。そういやさっき倒したゾンビの屍骸がねぇな、流れて行っちまったんだろうか。

 

「カルロスさんカルロスさん、ジルさんは大丈夫でしたか? 怪我とかしていませんでしたか?」

 

 崖を降りる時は全くの無言だったお嬢ちゃんも、工場の中に侵入する頃にはようやく言葉が戻ってきた。

 

「ああ、あの女もある意味バケモノだな。一人でウロウロしてるってのにかすり傷一つ見当たらなかったぜ」

 

 うおっ! ショットガンをこっちに向けるんじゃねぇ!

 

「ジルさんをバケモノとか言うからですっ!」

 

 パシパシと足元で音がすると思って見ると猫がオレのブーツに向かってネコパンチを放っていやがった。全く、こいつらその辺に捨てていってやろうか……。

 

『……せよ……応……』

 

 ドツキ漫才が一段落ついた頃にようやく気付いたのだが、何か声が聞こえる。警戒を強めつつも声の方に向かってみると、そこは通信室のようだった。声は、無事にその部屋に残されていた無線から聞こえている。まだ生き残りがいるのか、それとも街の外からか!? オレは無線機の音量を上げ、マイクのスイッチをオンにする。

 

「こちらラクーンシティ郊外のアンブレラ工場。U.B.C.Sデルタ小隊A分隊所属のカルロス・オリヴェイラ伍長だ」

 

 後ろから銃声が聞こえた。振り返るよりも先にヨシコが叫ぶ。

 

「私は英語が話せませんから、こちらは任せてください! コレくらいの数なら掃討できます!」

 

 念のため振り返ると人型のゾンビが二匹。これなら任せられるだろう。オレは無線機へと向き直る。雑音が混じってはいるが、比較的明瞭に相手の声を聞き取ることが出来た。無線の相手はなんと、ジルの行方を捜している元同僚だという。ジルが無事である事と、この工場にいる事、そして、空からの脱出手段が必要である事を伝えた。ジルと合流して工場の屋上に救援を待つようにと指示され、無線通信を終える。

 

 振り返ると、そこには誰もいなかった……。ああもう、どこに行った一人と一匹!!

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