目覚めるとそこは廃墟   作:海砂

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第二十七話

 扉を開けると焦げ臭いにおいがしました。

 見るとゴミのようなものが散乱しています、きっと燃えるゴミ処理場なのでしょう。

 そんな部屋で、ジルさんはでっかいオバケと戦っていました。人型ではない、ナニカ。どくどくと脈打つ巨大な塊。

 

「下がって!」

 

 ジルさんは以前ムラカミさんが見せてくれた大きな銃を怪物に向かって放っています。効いてはいるようですが。多少のたうって……そしてある方向へと向かっています。あれは。ムラカミさん?違う。似てるけど違う。

 カルロスさんと話していた、この工場で行われたかもしれない改造手術。多分その失敗作。

 怪物はそれを食べています。食べて、きっと回復しようとしているのだと思います。

 

 私はショットガンを構えて怪物を撃つ。効果はないように見えました。

 ただひたすらに怪物は食べています。

 

「ヨシコ、そいつから離れて!」

 

 ジルさんは大きな機械のそばにいました。ガコリと何かを押し込んで、カウントダウンが始まります。

 私はカルロスさんに引っ張られて後ろへと下がりました。

 カウントダウンが始まります。5、4、3、2、1、FIRE。

 レールガン? レールキャノン? レーザーみたいな光線が怪物へ向けて放たれました。

 怪物は……まだ、生きてます!

 

 怪物は立ち上がりました。かろうじて人の形をしているようなそうでもないような、ナニカ。

 ショットガンを何度も撃ちます。効果はないように見えます。ジルさんもカルロスさんもさっきから撃ち続けているけど効果は見られません。

 怪物はその場から動きません。どうして? ……よく見ると、食べられていたムラカミさんに似たナニカのそばからもう一本、ナニカの腕が伸びて怪物の触手を掴んでいました。

 

「逃ゲ……ヨシ……」

 

 声は、初めて聴きました。あれは、あれはムラカミさんです!間違いありません!

 私はムラカミさんに駆け寄ろうとしました。それより先に、みるくちゃんが彼の下に駆け寄りました。

 そして。私に向かって。毛を逆立てて。威嚇しています。

 再びカウントダウンが始まりました。

 5、4、3、2、1、FIRE。

 ナニカも、ムラカミさんも、みるくちゃんも、光の渦に巻き込まれて……。

 

 

----------

 

 

 間に合ったよー! 間一髪、だったヨ。

 俺はもう離サないもんね、ずっと一緒だったじゃないの、今更別行動なんてナシよネメシスちゃん。地獄まで一緒だぜ。

 

「逃げろ、よし子ちゃん!」

 

 って言ったつもりだったんだけど、口も切れてるからまともな言葉にはならなかった。

 でもs.t.a.r.s.! だけよりは遥かにマシよね。

 ジル、カルロス、よし子ちゃんをよろしく頼むよ。

 きっとこの世界は今後どこもかしこもバイオハザード。

 俺はもうここまでだけど、よし子ちゃんを守ってあげてね。

 

 俺はクソネメシスをパラケルススの魔剣の射程内に引きずり込む。

 そのくらいの力は残ってる、つか回復した。タイラントの回復力オソロシーネ。

 

『一人だけ格好をつけるつもりか、小僧』

 

 ぴょんと近付いてきたのは、見覚えのある白い猫。

 こら駄目だよ巻き込まれちゃうから、あっち行ってなさい。

 

『……おれは、向こうには行けない。ウイルスに感染しているからな』

 

 近寄ろうとするよし子ちゃんを威嚇しながら、白猫は俺にすり寄った。

 

『お前と一緒なら、悪くない。お前も、俺と一緒なら、悪くはないだろう?』

 

 ……ありがと。ほんとはね、一人で死ぬのちょっと怖かったよ(バケモノは計算外)

 俺は独りぼっちじゃないね。キミも独りぼっちじゃないね。

 一緒によし子ちゃんを守ろうね。俺達はそのために、ここにいる。

 

 5、

 

 何度も何度もケガさせてごめんね、ジル。これで終わりだからね。

 

 4、

 

 カルロス、よし子ちゃんを助けてくれて本当にありがとう、君を助けて良かったよ。

 

 3、

 

 タイチョーさん……ごめんね、俺もすぐ、そっちに行くから。地獄で会おうね。

 

 2、

 

  廃墟の中で、ちょっとの希望をありがとうよし子ちゃん。君が救われることで、俺も救われる。

 

 1、

 

 態度でかいそこの猫、これからは地獄行脚の旅が待ってるが準備はいいかい? これからは俺の相棒はお前さんだぜ。

 

 FIRE。

 

 

----------

 

 

 私は今、ヘリコプターに乗っています。

 私は結局、ムラカミさんもみるくちゃんも救えませんでした。

 無能で無力で落ちこぼれで、何よりも……アンブレラが、憎い。

 

 私はもう、日本へ戻りたいなどと思わない。

 私は闘う。あのクソッタレなウイルスを殲滅するために。

 私の決意が変わらないことは、ジルさんもカルロスさんもよく知っている。

 待ってろアンブレラとその残党ども、全部まとめてブチ殺してやる!

 

 

----------

 

 

「タイラントの素体である日本人、単独でTウイルスによる知能低下を防ぐことができたばかりでなく、ネメシスの簡易プログラムをはねのけるほどの意思を持っていたということか。しかしs.t.a.r.s.メンバーの面相登録には逆らえなかった、と。なるほど、今後のネメシス改良へと繋がる重要な情報だな。それにネメシス自体の進化形態も想像外だった。ジルを始末できなかったのは残念だが、予想以上の収穫もあったようだな……」




完結っぽくないですが完結です。
お疲れ様どしたえー。
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