目覚めるとそこは廃墟 作:海砂
ムラカミさんは、さっきから盗んだバイクで走り出しています。放置です。
尾崎豊、好きなんですが同世代では名前くらいしか知らない人が多すぎます。悲しいです。
でも、羞恥心とかも好きなんですよ? 野久保君が大好きです。
ところで現在、時計塔の前にいます。
どうもここの門を開けるのに宝石が二つ足りなくて、それを持ってジルさんという方が来るらしいので、それを待っているのです。
ムラカミさんが、盗んだバイクでこけました。放置です。
そもそもムラカミさんのような巨体にその原付のような小さなバイクは危険だと思ったのですが言いませんでした。
ムラカミさんが無表情で戻って来ました。心なしか肩ががっくりとしているようです。
ムラカミさんの気持ちは表情に全く表れないのですが、ボディランゲージは豊富なようです。
「ムラカミさん、お暇でしたらお散歩に行きませんか?」
せっかくの青い空なのに、ただじっとしているのは退屈です。
でも、危ないからヤメロといわれては仕方がありません、引き続き待機することになりました。
ムラカミさんは、今度は盗んだパトカーで走り回っています。そして壁に激突して無表情で業火の中から生還しました。
この人馬鹿ですか? ねえ、馬鹿なんですか?
馬鹿連呼したら、今度は閉まっている門の前で体育座りをしていじけてしまいました。地面に『の』の字を書いています。放置です。
その時、道の向こうから何かを引きずるような音がしたかと思うと、角からぬおっと何かが現れました。
どうも、私のにおいをかぎつけてゾンビさんがやってきたようです。
ムラカミさんは引き続きすねているので、私は自分の腕試しもかねて、やってきたゾンビに銃を向けることにしました。
あ、いけない、引き金の前に撃鉄ですよね。
ちゃんと撃鉄を起こして、両手で構えて、ゾンビさんの頭部目掛けて撃つ!!
……のを、六回ほど繰り返したら、ゾンビさんは倒れて動かなくなりました。弾の詰め替えの時に慌てて逃げ惑ったのはナイショです。
二発ほど外してしまいました。
でも、攻撃を受けずに一匹のゾンビを倒せたことは、私にとって大きな一歩なのです!
なにせ殺されかけたことしかありませんでしたから。あと、おどかされたりとか。
ムラカミさんはまだ地面に何かを書いています。放置です。
ジルさんはまだ現れません。こんなに空が青いのにお散歩にも行けないなんて、私はとても悲しいです。っていうかヒマです。
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ジルが来るまではとりあえず暇です。なので俺はその辺を散策していました。
グリーンハーブを三個みつけました。ラッキー。レッドハーブも落ちてないかなぁ。
そんな感じでうろうろしていると、キーがついたままのバイクはっけーん。
動かしてみるとエンジンもちゃんとかかります。こいつはラッキー。
よし子ちゃんが冷たい目で見ているけどキニシナイ! 俺は両手ばなしでバイクに乗って遊んでいました。
中坊くらいんときよくやらなかった? 曲芸乗り。アレのバイクバージョン! よし、ここで逆立ちを強行する俺は勇者だ……。
こけた。バイクはそのままどこかへいってしまった。
いや、俺を振り落とした後まっすぐ突っ切っていってしまっただけなんだけどね。どっかでこけてるだろう。
それでも俺はあきらめんとです! その辺の車とかにキーがついてないか片っ端から見て回りました。
そして……なんと、乗り捨ててあるパトカー発見!! 普通ないよねー、パトカーが放置されてるって!
いやいやいや、緊急事態なので仕方ないのだよ諸君。そして俺はウキウキと運転席に乗り込みました!
……狭い。ガチムチのアメリカンポリスメーンが乗るような大きな車なのに、狭い。
っていうかもう頭がフロントガラスにくっついてる。前が見えません先生。どうしよう。
……まあいいや、発進!! メリケンパトカーを運転したことのある純血日本人なんてめったにいないだろうからな! ヒャッホーイ!
ばきゃ。
ハンドルをきろうとしたら取れました。うん、ハンドルが。まるっとね。
ブレーキを踏もうとしたら踏み抜きました。うん、ばきゃっとね。
力いっぱい壁に激突してしまいました。ちょっと痛いです。っていうか炎が上がってるので、さすがの俺でも焼死か窒息死すると思います、逃げよう。
シートに挟み込まれてるのを何とか外してやっとの思いで表に出たら、よし子ちゃんに馬鹿呼ばわりされました。
そりゃあ何度も何度も。泣いた。マジ泣いた。
しょんぼりして座り込んでいると、よし子ちゃんの方にゾンビが近付いてきました。
助けに行こうかと思ったけど、自分で何とかしようとしてるようだったのでほっときました。
って言うか今ね! すんげー面白い四コマ思いついたの俺! 超天才!!
忘れないうちに何かにメモせねば……って筆記用具は持ってないんだった。くそう、このままじゃ忘れてしまう!
慌てて地面にネタ書きました。やっべ俺マジで天才かもしれん。
元の体に戻れたら四コマ漫画家として食っていこう。ネタが次々とあふれ出てくるぜヒャッホーイ!!
その辺に落ちてた枝で地面に四コママンガを描きまくっていた俺は、彼女が近づいた事に気付かなかった。
「s.t.a.r.s.……」
ん? 俺今なんか言ったか?
と思うのとほぼ同時に、体が勝手に動いて、描いたばかりの四コマを片っ端から踏み消した。ああああああああああああ俺の傑作がぁあ!
「……s.t.a.r.s.……」
俺の傑作ウワァァァァァァヽ(`Д´)ノァァァァァァン!
「!! ムラカミさん、人が!!」
そこには、マグナムを構えたジル・バレンタインが居た。
俺の体は、拾った大事なグリーンハーブを全部放り出して、彼女へと向かって行った……。