目覚めるとそこは廃墟   作:海砂

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第六話

 目覚めるとそこは廃墟でした……。

 

 うん、またなんだ、すまない。

 仏の顔も三度までって言うけど俺はそんなに気が長くないよ。

 

 もうラクーンシティは嫌ぽ……。

 

 

 またしても放り出されたごたるです。

 っていうかあれですか、頭痛のせいで見た幻覚ってやつですか?

 んで俺は頭痛のあまり暴れ狂って……ゾンビをばったばた薙ぎ倒してこの廃墟の王者に君臨したとですね!!

 っていうくらい、周囲に死んだゾンビが倒れまくってます。20体くらい。

 つま先でツンツンしても動かないので多分死んでると思う。死んでてほしい。

 

 んでここドコよ? 見覚えはあるんだけど……つーか廃墟なんてドコも似たようなもんだよな。

 バイオハザード各種、攻略本買うまで同じところを何度も何度もグルグル回って力尽きまくった過去を思い出す。

 鬱になった。リアルすぎて嫌だこの現状では。

 さて、リアルに同じところをグルグルしないように動き回るとしますか。だがジルに鉢合わせないようにしないとな。

 

 

 俺は、ぶっちゃけすべてを諦めていた。

 だって、ネメシスだよ? 生き残れるわけないじゃん。

 ていうか生き残った方がヤバイじゃん色々と。

 この体になって半日くらいはorzしてたけど、でもそれも吹っ切った。

 せっかく自由の利く強い体になったんだから、死ぬまでにできる限り生存者を助けたい。そう思ったのさね。

 ……まさか、スターズ見ると暴走するとは思わんかったけど。

 

 そんなわけで、俺は再び生存者を探して街を徘徊するとです。よし子ちゃんは無事にジル達と合流したかなぁ。

 仮にも生存者を救出するためにやってきたアンブレラ傭兵部隊(正式名称は忘れた)。よし子ちゃんを見つけたらちゃんと保護してくれるだろう。元警察のジルもだね。

 さて、まだ残ってるのかなぁ生存者。紙一重で助けられなかった人も何人かいたんだよね。

 ほら、何しろこの風貌だから、俺にやられるくらいならノーマルゾンビの方がましだって逃げられちゃうことがほとんどだったから……せめて言葉が通じればよかったんだけど。

 

「s.t.a.r.s.……」

 

 これだもんなぁ。

 

 ところでね、さっきから気になってるんだけど、あのゴミ箱の向こうに立っている火柱に見覚えがあるとですよ。

 アレよじ登って向こう側に行ったら、確か路面電車じゃなかったかしら? ボクチンの気のせい?

 

 ……よし子ちゃんのことも気になるし、ちょっと覗く位なら大丈夫だよね? ジルいないよね?

 びくびくしながら俺様は路面電車のほうに向かった。幸い、ジルはいない模様。

 

 ジルはいないんですけど、傭兵部隊の隊長さんが、アサルトライフル抱えてゾンビと戦ってますがな。ナニコレどういう状況? とりあえず助けよう。

 隊長さんに群がろうとしているゾンビを片っ端からちぎっては投げ、ちぎっては投げ、残ったゾンビはアサルトライフルでなぎ払われていく。

 

「ムラカミか!!」

 

 へ? 今隊長さんに呼ばれました? えっ俺名乗った覚えはなかとですが。

 

「ヨシコ、ムラカミが来た!」

 

 電車の扉がガっと開いて、中からよし子ちゃんが飛び出してきた。よかった、無事だったようだ。

 

「ムラカミさん!!」

 

 女子高生に抱きつかれる気分はまんざらじゃなかとです。っていうか少なくとも前世で女子高生に抱きつかれた記憶はない。よ、よし子ちゃん、俺はもうちょっとひんぬーの方が好み……。

 

 何でか知らんがしゃべれなくてもよし子ちゃんとは意思の疎通ができるようだ。何故かって? 思いっきりひっぱたかれたからさ……イタイヨ。

 

「ムラカミさん、無事でよかったです」

 

 うん、ほっぺ以外は無事だよおかげさまでね。そういや気づいたらジルに撃たれた痕は綺麗に回復していた。ネメシスの再生能力恐るべし。

 

「ムラカミ、以前はすまなかった。部下を助けてくれたのに、撃ってしまった」

 

 あれ、このオジサン日本語しゃべれるんだ。よかったぁ、これでよし子ちゃん大丈夫だねきっと?

 

「s.t.a.r.s.……」

 

 気にするなって言おうとしたけどやっぱりスターズ。不便なお口だこと。

 

「気にするなって言ってます」

 

 だからどうしてわかるんだよよし子ちゃん。恐るべし……ッ! そのうちノーマルゾンビのヴァーとかいう言葉も理解するようになるんじゃないかこの子。

 

「だが、あの時の部下の命が今もあるのは君のおかげだ、感謝する」

 

 あっ、あの時助けたイケメン、ちゃんと生きてるんだね、良かったー。

 っていうかホント気にしなくていいよ。もっとひどい扱いも受けたし、アサルトライフル数発くらい痛くも痒くもないから。

 

「ムラカミさんも一緒に脱出しましょう!!」

 

 ごめんよそれはできないんだ。っていうかね、ここにいるともうすぐジルとイケメンが帰ってきて戦闘モードに突入して、このオジサンが手榴弾持って自爆することになっちゃうんだよ。

 ……さすがにここまで詳細なニュアンスは伝わらないよなぁ。

 懐にしまっておいたローマ字50音表はどこかへいってしまったようだ。

 

「ヨシコ、ムラカミと一緒にいるのは危険だ」

 

「s.t.a.r.s.……」

 

 ウンウンと頷いたので、きっと意図はわかってくれるだろう。これ以上暴走するの、俺やだしね。

 

「それなら私はムラカミさんと一緒に行きます!!」

 

 おいおい何言ってんだこの子は。ちょっとオジサン、この子黙らせてくれませんか?

 

「馬鹿を言うな、ヨシコ!」

 

「馬鹿じゃないです!! ムラカミさんと一緒に脱出するんです!!」

 

 よし子ちゃんは俺の腕をつかんで離してくれません。そりゃね、振り切ろうと思えば簡単だけどさぁ、怪我させたくないし……。

 

「ムラカミ、君はどう思う?」

 

 たずねられても俺スターズしか言えませんってばよ。

 とりあえず、貼り付いているよし子ちゃんの頭をナデナデして、一旦離れてもらう。

 そして……脱兎のごとく逃げ出した!!

 

「ムラカミさん!!」

 

 後ろは振り返らず全力で逃げる!! あんなアホの子連れて回るのはゴメンですあとはイケメンとジルたんにお任せしまーっす!!

 

 追ってはこなかった。多分あのおじさんが止めてくれたんだろうと思う。良かった。

 あとは彼らが無事にこの街から逃げ出せることを祈るのみだね。俺が行かなかったら多分あのおじさんも生き残れるだろうし。

 

 

 安心して、俺はダウンタウンに向かう扉を開けた。

 そこには、ジルとイケメンがいた。

 

 もうやだ、こんな人生。

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