目覚めるとそこは廃墟   作:海砂

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第九話

 とりあえず状況把握。

 原作どおり、傭兵の隊長さんが手榴弾で自爆して俺あぼーん。

 アスタラビスタベイビーって確かシュワちゃんの名台詞だよな? どの作品かは覚えてないけど。タミネタ?

 んで、またカプセルの中に入れられて、怪我全部治してもらいましたとさ。

 なんかまたゴニョゴニョ色々言ってたけど、全部英語なのでわからんかった。

 そうそう、s.t.a.r.s.の制服の人が誰かわかった。いや想像はついてたんだけど。

 アルバート・ウェスカー。全ての元凶と言っても過言ではないのでござる人でありますよ。悪役悪役。

 白衣の人は知らん。バイオに出て来たっけあんな人。いや、俺が知らんだけかもしれんけど。ネメシス視点のバイオハザードなんて見たことないしな。

 それはそれで置いといて。俺はまたラクーンシティに降下させられましたカプセルごと。

 着地の時の衝撃、結構痛いんですが。カプセルの中に緩衝材入れといて欲しいとです。

 んで降りたところはあれです、時計塔。ぬっ壊れたオルゴールが置いてありました。

 とりあえず正常な音楽が流れるようにいじっておきました。ジルたん達が来た時に余計な手間が省けるようにね。歯車は持ってないのでスルー。

 まだジルたん達はここ(時計塔最上階)には来ていない模様です。多分イケメンとよし子ちゃんも一緒にいるよね。あれ、合流してなかったっけか? でもジルのことだからよし子ちゃんはちゃんと守ってくれてると信じてるよ。

 なので、とりあえずジルと接触しないようにトンズラこくとです。んー、こっから飛び降りたら痛いかな。三階? くらいだから大丈夫かな。下には誰もいないよね?

 飛び降りました。恐怖感? そんなものはカプセルの投下に比べたら屁でもないとです。カプセルにわざわざ窓つけるのやめようよー。ホント恐ろしいんだってばアレ。多分上空1000mくらいから落とされるんですよパラシュートなしで。痛いよ。

 んで中庭だか外庭だか知らんが庭に落ちました。わんこがいます。無視します。向こうも無視してます。……ちょっとさびしいです。

 飛び降りる時に高そうな噴水を破壊してしまいましたが、どうせ廃墟なので誰もキニシナイと思います。俺はキニシナイ。

 さて、この辺をウロウロしていたらまたジルたんとばったり出会う可能性大なので、逃げましょう。ドコヘ? HAHAHA、決まっているじゃないか。まずはジル達がやってきた路面電車。あそこに残ってる可能性はまずないだろう。それから、路面電車が来た方向にでも行ってみるか。とりあえずこの時計塔は死亡フラグだからねぇ多分。

 

 とぼとぼと燃えさかる路面電車に到着しました。念のために出来る限り調べてみたけど、見知った顔の死体はないみたい。よしよしちゃんと脱出したんだね。

 線路跡を見る。えーとあっちから来てこっちに突っ込んだから……向こうに行けばいいんだね。なんか炎がムチャクチャ上がってるけど、行ける所まで行ってみようか。

 とぼとぼと歩きます、平和です。ゾンビーとすれ違うけど見向きもされません。俺も見向きもしません。生存者がいるならともかく、俺一人ならゾンビ退治しなくても別に問題ないしぃ?

 ガン! 腹に響く銃声が、向かう先から聞こえてきました。ゾンビが銃を使うのは見たことないから、まだ生存者がいたのかな。

 とりあえず走ってそっちの方向に行ってみるとです。意思の疎通ができたら時計塔まで案内してあげようと思います。余計なお世話って言うな。よし子ちゃんの例もあるし、出来ないとは限らないだろ?

 

「こっちくんなこっちくんなこっちくんなぁ!!!」

 

 なんか聞き覚えのある日本語が聞こえました。続いて銃声がガンガンガンと連打。あれーこれはもしや……。

 

「こっちくんなっつってんだろがあqwrftgyふじこlp;@」

 

 ……問答無用で撃たれました。頭部に一発、腹部に一発。多分ショットガンです。小さな弾が体中にめり込んでます。かなり痛いです。

 撃った人はプチパニックで弾を装填しています。やめてこれ以上撃たれたら俺マジで死ぬかもしれん。痛みで。

 

「s.t.a.r.s.s.s.s.s.s.t.a.r.s.s.t.a.r.s!!」

 

 声の限りを尽くして叫びました。でもやっぱりスターズしか言えません。もどかしいとです。

 でも、なんとかわかってもらえたごたるです。ていうか何でこの子ここにいるの? 一人?

 

「ムラカミさん!!」

 

 おっと危ない。彼女が俺の腕めがけて飛び込んできました。うっかり触手に刺さったらアナタ、その場で感染あぼーんですよ? わかってんのかなこの子。

 

「s.t.a.r.s.……」

 

 周囲を見渡してみましたが、大量のゾンビの死骸以外に人影は見えません。ジルたん一緒じゃないの? ていうか何でここにいるの? 色々聞きたいけどローマ字50音表はなくなってしまったしな。ドナイショ。

 

「ムラカミさん! 探してました!! 一緒に脱出しましょう!! お互い危ないんで、ジルさんとは別れました!」

 

 ……殴ってもいいかな、この子。俺が必死で命がけでジルのところに連れて行ったのに、なじょしてわざわざ別行動取ってるとですか。

 俺が殴ったら多分死ぬのでガマンしました。俺偉い。超エライ。

 とりあえず、この子引っ張って地面のあるところまで移動しました。地面に文字書きゃ言葉通じるよね。

 

『一人? 他の人は?』

 

「ムラカミさんを助けたいって説明して、ジルさんとは別れました。カルロスさんとは電車が建物に激突した時に別々になってしまいました。ミハイルさんは……わかりません」

 

 ミハイル? あ、隊長さんの名前か。……ミハイルさんは、多分死んだんだろうねぇ。

 で? 俺を助けたい? 何を言ってるんですかこの子あほの子ですか。モンスター助ける暇があったら自分助けときなさいよ。

 

『俺は助からない。助けも要らない。余計なことスンナ(怒)』

 

 ……って書いたら泣き出しました。えええこの展開で泣くかな普通! 女子高生の涙は貴重なんですよ!?

 

「……一人ぼっちはやっぱり怖くて……でも、ムラカミさんと一緒に脱出したいって思って……頑張ったんです……ゾンビがたくさんたくさん襲ってきたんですけど……でも全部やっつけました! ムラカミさんに教わったとおり頭を狙って撃ったら、普通に撃つよりも簡単に倒れてくれました!! でも当たらないことのほうが多かったんですけど……。でもでも、ジルさんがくれたこの散弾銃は少しくらい外しても当たってくれるので便利です!!」

 

 ずっとゾンビと戦っていたせいか、この子テンションが尋常じゃなく高いです。俺様ついていけません。泣いたり笑ったり怯えたり、忙しい子です。

 

『俺は一人で動く。よし子ちゃんは早くジルかカルロスと合流してここから抜け出せ』

 

「嫌」

 

 即答ですか。

 

「絶対嫌」

 

 ダンコ、拒否ですか。

 

「死んでも嫌」

 

 いや、この場合間違いなく死ぬんだってばよ。

 

「ムラカミさんも一緒に脱出するんです。一緒に日本に帰るんです」

 

 そうなると、日本でバイオハザードだねぇ。

 

「絶対助かる方法はあるはずです、あきらめちゃ駄目です!!」

 

 あきらめたらそこで試合終了だからねぇ。でも俺はさ、ネメシスになっちゃった時点で試合終了だと思うんだよねぇ。

 

「これ以上ガタガタ抜かすなら至近距離でコメカミにこれ、ぶっ放します」

 

 なんかさ、この子、ちょっと見ない間に怖い人になっちゃったんですけど。言いながら俺の眉間にゴツリとショットガンの先をぶつけます。この距離でぶっ放されたらさすがの俺も尋常じゃなく痛いと思うとです。

 

「一緒に、脱出しましょうね?」

 

 引き金に指をかけたまま、俺に絶世の笑顔を向けるよし子ちゃん。ああ、ゾンビどもと一人で相対してる間に変な度胸がついちゃったんだね、おっさんは悲しいよ。

 

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 無事にムラカミさんと合流できましたー!! ……ジルさんにもらった弾は半分くらいに減ってしまいましたが。

 道路から家から幅広く燃えさかっているところにはさすがに進めなかったのでここに待機して、近寄ってくるゾンビさんを片っ端から退治してたんですが、大正解でした!!

 あれ? でもムラカミさんは私が来た方向からやってきました。途中で後部車両が爆発した時に振り落とされたんじゃなかったんでしょうか?

 

 まぁ、細かいことはどうでもいいです! ムラカミさんをちゃんと見つけられた。これだけで今は充分なのです!!

 

「人間に戻る方法ってあるんですか?」

 

 一瞬呆れたような顔をして、ムラカミさんは首を横に振りました。まぁ、そう簡単に人間に戻れるとは思っちゃいませんが……困りました。

 

「ムラカミさんは、ジルさんを見ると暴走してしまうんですよね?」

 

 今度は少し首を傾げて、地面に何か文字を書き始めました。

 

『顔・声・その他何に反応してるのかはわからないけど、見た目だけじゃないと思う多分』

 

 ふーむ。思ったより複雑なんですねぇ。最悪ジルさんを着替えさせてこってりお化粧させたら暴走しなくなるかもとか思ったんですが。それはどうやら無理なようです。

 

「じゃあ、ジルさんとはこのまま別行動で行きましょう」

 

 ……ムラカミさんがふてくされています。どうも、私とジルさんは一緒にいて欲しいらしいです。でも、私はムラカミさんと一緒がいいのです。暴走さえしなければ三人(カルロスさんを含めると四人)一緒の方がもちろんいいのですが、こればっかりは仕方がありません。

 ひとまず、ムラカミさんと私はこのままここで対策を考えることにしました。ムラカミさんが少しゴネましたが、ショットガンを額に向けてあげたらおとなしくなりました。

 やっぱりムラカミさんは優しいです。見た目は怖いですけど。

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