「ウマソウルってうるさいよね」「えっ」「えっ」 作:バクシサクランオー
感想、誤字脱字報告もありがとうございます。
U U U
白い霧が立ち込める昏い森。
一目見て肌が粟立つ。いつか対峙した時と同じ印象。
「やあウオッカ。調子どう?」
ただ、あのときと違うことは当然いくつかある。
一番大きいのは、種目別競技大会のときはこちらなんて歯牙にもかけず空を見ていたリシュが向こうから話しかけてきたってことかな。
「決まってんだろ。絶好調だぜ!」
俺は大仰な仕草で親指を立て、腕を曲げて己の胸を指してみせた。そこで
やれることはすべてやった。
いや、どうだろうな。何もかも足りていない気がする。
自信と不安、期待と恐怖、渇望と辟易。相反するはずの感情がひたすらごちゃまぜになって俺の中でまとめて燃え盛っている。
ぐらぐらと足の下が煮えたぎってるみたいだ。
東京レース場の地下バ道。
これから始まるのは一生に一度だけ夢見ることが許されたトゥインクル・シリーズ最高峰の舞台。
クラシック二冠目のレース、日本ダービー。
「だろうね。今日のウオッカは
大舞台を目前にしてなおリシュの左右色違いの双眸は凪いでいた。
パドックであれだけの熱を浴びておきながら、ちっこい背中に日本中から向けられる数多の感情を背負いながら、それを重荷と感じている様子はまるでない。
今この場にいるウマ娘の視線だけでも物理的な重圧が生じそうな熱量だってのにまったくコイツはよぉ。
そんなお前でも、俺のことを『怖い』と感じてくれるんだな。
リシュ、お前でもレースで怖いと感じることがあるんだな。
聞き覚えの無い名前が気にならなくなる程度には、その事実は俺の中で救いとなった。
負ける気がしねえ。勝てる気もしねえ。
ただ熱い。それだけしかわかんねえ。
「今日は俺がダービーウマ娘になる。うちのトレーナーはまだダービートレーナーの称号をもってないからな。スカーレットはティアラ路線の方にいっちまったし、俺がプレゼントしてやるさ」
リシュのついでに向けられていた周囲の視線が、俺のセリフで険しくなる。
そりゃあな。どいつもこいつもクラシック路線に目標をきっちり定めて走ってきたやつばかりだろうからな。ティアラ路線の桜花賞から流れてきた俺は物見遊山とまでは言わねーが、よそ者にしか思えねーだろうさ。
あるいはリシュがいなければもっと注目を集めていたかもしれねえ、俺の前代未聞なローテーション。ふざけているのかと罵倒の一つも出てくんだろ。
でもそれが俺なんだ。別に舐めてここに来たわけじゃねえ。
カッコいいと思う生き様からは逃げられねえし、そのつもりもない。
一方的にだが覚悟は決めさせてもらってここにいる。
「ああ、言われてみれば……ゴールドシップ先輩ってクラシック三冠のうち、日本ダービーは取ってないんだっけ」
そう言ってリシュは目を伏せ、少しばかり何かを考えていた。
しばしのち、首を横に振って視線を上げる。目が合った時、身体の芯がざわりと震えた。
「いいや、やめておこう。桐生院トレーナーのために……なんてことも少しは考えなくもなかったけど。今はただ、目の前のレースに集中したい」
森が目覚めた。暗がりに潜むモノたちは、わざわざ獲物に喧噪をもって己の存在を誇示するような真似はしない。ただ無数の重圧がひたひたと押し寄せる。
「堪能させてもらうね」
「へっ、上等だよ!」
声が裏返ってなけりゃいいけど。
ああ、怖い怖い。マジでこえーわコイツ。ビビってるし、心底ブルってるさ。
でも恐怖している自分は否定しない。それは俺が恐怖するべきものを知ったという事実に他ならないから。意固地になって否定しても、それは俺の中の
ですよね、ブライアン先輩?
だから心がけるべきは恐怖しないことではなく、恐怖に呑まれないことだ。怯まず全力で立ち向かい、乗りこなす意志と覚悟を持つことだ。
それを人は勇気って呼ぶんだろ。
ファンファーレの響きの中で呼吸を整える。
『すべてのウマ娘が目指す頂点、日本ダービー。歴史に蹄跡を残すのは誰だ』
実況で改めて実感する。
ああ、俺は本当にこの舞台に来たんだな。
父ちゃん、母ちゃん、見ているか? 録画は頼んだぜ。
俺にはこのレースを客観的に見る余裕なんて無いから。
『三番人気はウオッカ、七枠十五番で出走です』
『ティアラ路線からの刺客か挑戦者か、わざわざ“銀の魔王”が潜むクラシック路線に殴りこんできたのは自信か無謀か。好走に期待しましょう』
へえ、俺は三番人気なのか。
桜花賞ではスカーレットに負けて二着だったんだがな。やっぱりジュニア級とはいえ阪神JFを勝ってG1ウマ娘になってるのが評価されてんのかねえ。
『二番人気はもちろんこの子、アングータ。一枠一番での出走です』
『皐月賞では惜しくも三着でしたが、その粘り強い走りは目を見張るものがありました。今日は雪辱を果たすことができるのか』
ああ、アイツは憶えている。
解説の言う通り、皐月賞で三着に食い込んだ実力者だ。一着のリシュと二着のマヤノという二匹の大怪獣がどがーんずごーんと大暴れしている中、明らかにいっぱいになってるつーのに根性で最後まで首を下げようとはしなかった。
今だって目線の高さが周囲とわずかに違う気がする。身長的な意味ではなく、精神的な差異。何かしてきそうな気配がぷんぷん漂っていやがるぜ。
『さあ、今日の主役はこのウマ娘を措いて他にいない! 三枠五番テンプレオリシュ、一番人気です』
『ここまで無敗の“銀の魔王”。荒唐無稽な御伽噺の新たな一頁に注目ですね』
何故だかずべっとゲートの中でリシュが体勢を崩した気がした。
いや、流石に気のせいだろ。見るからに気合いが充実していたアイツが崩れる要因なんて、この期に及んで思いつかねーし。
ゲートが開くまでに横たわる、呼吸も鼓動も止めてしまいたくなるような静寂。
ぎゅうぎゅうと押し込められ圧縮されて、ゲートの開く金属音で一気に解放される。
『今いっせいにスタートを切りました!』
『綺麗なスタート。みな集中していましたねえ。長丁場のこのレースですが、はやくも先頭に躍り出たのは――』
「ぜりゃあああああああああ!」
解説を押しのける咆哮と共に飛び出したのは件のアングータ。
自分が先頭を走るのだと、どこかの一番バカを彷彿とさせる勢いでぐんぐんと内側を加速していく。
ペースを握って幻惑するような小器用な逃げ方じゃない。スタミナをごりごりとすり減らして距離を稼ぎ、力尽きて垂れる前にゴール板を駆け抜けることに賭けたオーソドックスで不器用な破滅逃げ。
まるで掛かってしまっているようにも見えるが、ちらりと見えたあの表情は平静を失ったやつのものじゃなかった。ぎらぎらと輝くような覚悟の笑み。
皐月賞のときアイツが逃げで走っていたのは知っていた。まさかこの日本ダービーでそれをやるとはなあ。2400mは中距離だが、海外ではステイヤーの距離とも言われ始めている。加えて、東京レース場は最後の直線が長く後ろの脚質が有利。
それでも自分の勝利だけをまっすぐ見つめている。たとえその道程が茨で舗装されていることがわかりきっていても。たったひとつの冴えないやり方で戦うことを選んだわけか。
あの日、目を逸らさなかった自分自身を証明するために。
いいぜ、そういうの。賢いやつはバカだと笑うだろうが俺は嫌いじゃねーよ。
『注目の五番テンプレオリシュ、中団より後ろ。後ろから四番目の位置につけています』
『落ち着いた走りをしていますね。出遅れではなく作戦でしょう。周囲もよく見えていますよ』
一方、周囲から溢れんばかりの注目を浴びせかけられていたリシュはすっと下がると、そのままするすると位置を調整して俺の後ろにつけた。
差しの立ち位置。ああ、そうだ。コイツは奇想天外な行動が多いように見えてその実、教科書に載せられそうな堅実な勝ち方ばかり。奇をてらう必要が無いほどに積み上げられた基礎と基本でぶん殴っていく本当の強者だ。
その成果があまりにも華々しいからまるで奇術でも見ているかのような気になるだけ。存在の輝かしさで見る者の目を眩ませている。
今回もそうだ。後方有利もラストスパートが成功するからこそ。周囲から徹底的にマークされているリシュが前を蓋されることなく最後の直線を駆けるのには相応の立ち回りが必須、かなりの身体能力と視野の広さを要求されることだろう。
腹立たしいくらいに自分のスペックを信じた作戦だ。眩いったらありゃしねえぜ。
リシュのマークを優先して後ろを気にしながら走ればこのレースはスローペースになるだろう。
スローペースのレースは前残り、要は後半になっても体力が残っているから前半に稼いだアドバンテージがそのまま活かせる逃げ有利な展開になりやすい。
だがそんな定石知ったことかと、これが俺の勝ち方だと言わんばかりのハイペースでアングータが序盤から飛ばしていやがる。
ここにいる全員が日本ダービーに出走できた実力者。この当たり前の事実がどこまでも重い。
途中でバテるとしか思えないペースだが、本当に相手はバテるのか。本当にあれは愚行なのか。このまま好きなように走らせたら追いつけなくなるだけの距離を稼がれてしまうのではないか。きっと全員の脳裏をそんな思いがよぎっているはずだ。
選択肢を突き付けられているわけだ。アングータを逃がさないよう追うのか、それともリシュを徹底マークするのか。刻一刻とレースは進んでいる。のんびり考えている時間はない。
波乱の立ち上がりの中、俺はリシュを背中にこのまま中団に位置することを選んだ。
迷うな。俺の末脚なら差し切れる。
『第二コーナーを抜け、向こう正面に入って先頭からシンガリまでおよそ十五バ身』
『やや縦長の展開。仕掛けどころの難しいレースとなりそうですね』
こうしていると否応なしに思い出す。
ジュニア級の頃、デビュー前に挑んだ種目別競技大会。ブライアン先輩と初めてやり合った場所で、リシュとは二回目のレースだった。
後悔はまるでしちゃあいねえが、いま思えば無謀もいいとこだったと笑えてくる。
当時の俺は羽の乾いていないヒヨコどころか、己がぬくぬくと育ってきた卵の外にも世界が広がっていることにようやく気付き始めた孵りかけの卵みてーなもんだった。
あのとき俺はリシュをマークするように真後ろに付いた。
いや、マークなんて上等なもんじゃねえか。足音のしないアイツを背後に置くとプレッシャーがひどい。じわじわと衣服に沁み込み全身を重く凍えさせる霧のような重圧。それを避けるためってのと、後は俺が自分で集団の中のペースをつかむこともできないくらい下手くそだったから。
ただ振り返ってみれば、当時のリシュはありのままのリシュだった。霧の立ち込める昏い森に地図も持たずに足を踏み入れたバカが勝手に迷っているだけだった。
今は違う。
敵意がある。悪意がある。殺意がある。
消えたかと思えば大きく響く足音。
距離感が狂う。嫌でも耳を介して意識が引っ張られ、気づけばぐにゃりと視界が曲がりそうになっている。
昏い森の中、ふと己の喉笛に鋭い鉤爪が添えられていることに気づく。たとえるのなら今はそれくらいに圧が強く、また指向性を持たされている。
完全に狩りにきていやがる。
これ、明らかに皐月賞でマヤノとぶつかった影響っつか成果だよなぁ。怪獣大決戦の余波がここまで響いてくるとは傍迷惑なやつらだぜ、まったく。
だが経験が糧になるのはお互い様。
あいにく、背後からかけられる異様で異質なプレッシャーはつい先日経験したばかり。慣れたなんて言えるほど生易しい体験じゃなかったが、肌の痺れが骨まで広がるようなあの時間は確かに今の俺から怯みと強張りを取り除いてくれていた。
トレーナーはこの位置関係になることをいったいどこまで予想してあの特訓を計画したんだろうな。そりゃあ、肝心な時は基本で押し切るって傾向はこれまでのリシュを見ていれば予想できねえこともないけどさ。
皐月賞、NHKマイルCと前目に付ける走りが多かったのにここで後方策に切り替えてくるなんて、予想しても決めつけるのには度胸がいるだろ。
まったく、頼りになる相棒だぜ。
俺には複数のアドバンテージがある分、のんきな雑念を脳裏に遊ばせて精神を整える余裕があった。
そうじゃないやつもいる。狩られた犠牲者が次々とバ群の中を右往左往する。俺が揺らがなくても周囲が揺らげば物理的な問題として位置は調節せねばならない。相応にスタミナを消耗させられた。
それでも、黙ってただ獲物に甘んじるようなやつらばかりでもない。
領域具現――飽食タイム☆フルーツ到来!
ターフが海岸に塗り替えられる。
まるでテレビ越しにしか見たことのない南国風の白い砂浜、その上に並べられた籠一杯のフルーツたち。手づかみでガツガツとたいらげていくのは、たしか名前はムシャムシャだったか。皐月賞にも出走していた実力者だ。スタミナに定評があり、後半の競り合いに強い。
――要はね、無理を通して道理を引っ込めるってことさ
“領域”をシービー先輩はそう説明していた。
ルーティーンと自己暗示による身体能力の上昇。そんな常識的な回答だけでは説明がつかないほど、時としてそれは不可思議な成果を叩きだす。
具現するときに周囲のウマ娘が経験する風景。それはただの幻視ではなく、一時的に世界を塗り潰すほどに己の我を押し通した結果なのだと。
領域具現――
だからこういうことも起こりうるってわけだな。
漆黒の剣が無数に降り注ぎ、無慈悲に南国世界を切り刻む。さんさんと輝く太陽に照らされてなお存在を主張する黒は、その世界を一回り縮小させた。
同時に、背後のリシュの気配に少しばかり変化が生じた気がする。霧のように曖昧模糊としたやつだから把握も表現も難しいけど、もとから余裕綽々だったのにさらに余力が生じたような。
“領域”を刈り取り、奪い取る“領域”。こんなもの、科学的根拠に基づいた自己暗示やら潜在能力の解放やらでは解明できるはずもない。完全にオカルトに踏み込んだ能力だ。
そしてウマ娘の能力である以上、同じウマ娘が対抗できない道理もない。無理だというのなら押し通す。ここにいるやつらはそれをやってきたからここにいる。
さくさくと呆気なく斬り刻まれてしまった世界。ぎくしゃくとしたぎこちない動きだからこそ、逆に損傷でも揺るがない根性を感じる。ムシャムシャは風穴の空いた腹の中に残りの果物を詰め込み続けた。
お前も皐月の舞台で経験したんだな。
防ぐ方法は思いつかず、避ける目途も立たなかった。だから気合いを入れて受け止めた。
来るとわかっているのなら、耐えることくらいはできる。リシュに切り刻まれたムシャムシャの領域は一度揺らいだが、その縮小を最低限のものとして効果を発揮したようだった。
――だから実力が一定ラインを超えた相手には干渉タイプの“領域”は通りにくくなる。相手が押し付けてくるルール以上に自我を押し通せるやつらばかりだからね。
シービー先輩の飄々とした声色が耳の奥によみがえる。
俺はどうだ?
空気を読むのは現代社会において重要なスキルだ。カッコつけるのに集中し過ぎて思いっきり滑っていることに気づいたときの気まずさったらねーぜ。
でも今必要なのは相手の顔色を窺うことじゃなくて、むしろ押しのけることだ。押し通すことだ。ラッキーなことにお手本はたった今見せてもらった。
『意気揚々と先頭を進みます一番アングータ、どう思われますかこの展開?』
『気迫が漲るいい走りです。後方が差し返せるのか、気になる開きが出来つつあります』
俺がいま使える“領域”は残り二百メートルで発動する。
より厳密に言えば残り二百メートルに到達した時点で順位が三着以下であり、なおかつ上位五十パーセント以上に位置していて、前後いずれか一バ身以内に他のウマ娘が存在する、それらの条件をすべて満たす必要がある。
俺にとっての最大の仕掛け処はまだ先だ。だから焦るなと、もう一度自分に言い聞かせる。
『第三コーナーカーブ、ここで五番テンプレオリシュ動いた!』
『すごい脚で上がっていきます。思ったより早めに仕掛けましたが、これが吉と出るか凶と出るか』
背後でプレッシャーが爆発した。
いくぞ、これからいくぞと何よりも雄弁に気配が語る。
そのくせ外からするりと俺を抜かした銀の影は、いつか見たときと同じく幻のように音もなく滑るようにバ群を駆け抜けていった。
釣られたように周囲もペースを上げる。いや、これは『ように』じゃなくて釣り上げたのか。皐月賞の2000mならいざしらず、ダービーは2400m。ここから仕掛けたんじゃ最後の直線まで脚を残せない。
リシュのあれはトップスピードじゃねえ。アクセルを踏み込んだのは一瞬だけ。すぐにミドルペースにギアを変えた。
それでも地力の差でじりじりと先頭との距離は詰まっているし、何より注目されていた“銀の魔王”サマが存在感丸出しで動いたんだ。プレッシャーと相まって自分の速度を見失ったウマ娘は多い。
ギンピカ仕立ての豪華な釣竿に次々と魚が食いついていく。
小さな石の転がりがやがて大きな土砂崩れに変じるように、バ群全体が契機をつくったひとりのウマ娘に押し流される。
『十三番リボンフィナーレ、十番グリードホロウが並びかけてきた』
『一番アングータ、ここでいっぱいか?』
銀髪がまるで翼のように風に靡くのを見ながら、俺は流れに呑まれないよう必死だ。
リシュ、お前はすげーやつだよ。
自分の身体能力を信じている走り方だが、それだけじゃない。自分の身体能力を完全に把握していないとこんなマネはできねえ。
ゲームじゃないんだ。ステータスなんて便利なものはなく、数字で表現されるのはあくまで最後の最後に出力される部分だけ。これだけの重さのバーベルを持ち上げることができたから、コイツのパワーはこれだけ。そんなもんだ。
それも呼吸一つミスするだけで容易くコンディションは狂っちまう。
努力なんて大前提。才能だけでは到達できず、実力だけでも足りない。だからダービーは『最も運のいいウマ娘が勝つレース』なんて言われるくらいだ。
でもきっとアイツは違う。アイツだけは違う。アイツの中には他人事のように変動し続ける己のスペックを俯瞰して、それを的確に状況に割り振る透明で無機質な部分がある。そこに運の介在する余地はねえ。
『大ケヤキを越え第四コーナーカーブ。最後の直線で勝負が決まるぞ』
『注目のテンプレオリシュは現在五番手。ここで十五番ウオッカ、内を突いて上がってきました!』
でも、今日の俺はそれ以上にすげー。
努力も才能も実力も運も、きっとお前なら必要としないものも含めて今の俺には全部揃っている。
カーブを抜けて最後の直線に入った時、俺のポジションはバ場の中央という好位置だった。運だけでも実力だけでもたどり着けない絶好の立ち位置。
魂が震える。何故かこの景色を俺は生まれる前から知っていた気がした。
領域具現――カッティング×DRIVE!
ラストの直線。前方にリシュ。いつかと同じ構図。
あのときは追い付けなかった。もののついでのように喰いちぎられただけだった。
今度はどうだろうな!?
俺の
次回、ダービー決着