はかいしん こうりん 作:海砂
えっ? 破壊神とは何かって? またまたもう、破壊神様ったらご冗談を。
え、本気で意味がわからない? ……マジですか?
えっとですね。私、魔王です。あれですね、魔物達を統べる者と書いて魔王。おわかりですよね?
んで、私が勇者達をこらしめるべくして呼び出したのがアナタ。破壊神様サマです。
よーするにですね、アータはダンジョンをざっくざっく掘って魔物を育てて、
このダンジョンを訪れる勇者どもをちぎっては投げ、ちぎっては投げ、踏んだり蹴ったりのケチョンケチョンにのしてやればいいんですよ。
……え? まだご自分のやるべきことを把握されてない? ……困りましたな。
破壊神様に色々とお教えするのは魔王の職務範囲外なんですがね……超過勤務手当て出ますかね?
知るか? 何ですかその言い草は! 魔王これでも子持ちのスーパーサラリーマンなんですよ? 金ちゃんもまっつぁおですよ!
まぁ、あんなに美人にもてやしませんけどね……。
詳しくはトレーニングをやってください。それでもわからなかったら魔王もう知りません。
掘れば出てくるニジリゴケのごとく、他の破壊神様を呼び出せばすむことなんですから。
……え? PSPをお持ちでない。……買いましょうよそれくらい。
んでもって『勇者のくせになまいきだ。』はUMDソフトを買って、続編の『勇者のくせになまいきだor2』はダウンロードしてください。別にUMDで買ってもいいんですけど。
追加ダウンロードの続編を購入したらもれなく魔王の娘も登場しますんで。……嫁にはやりませんよ? 好感度うpとか狙っても無駄ですからね?
それでは破壊神様、トレーニングを終えられたらまたおいで下さい。お待ちしてますからね? ズルしないでちゃんと全部やり遂げて下さいねっ!?
それではまた会う日まで。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ……」
「破壊神様、ご自分のお仕事は理解されましたかな? それでは最初のお仕事です。
勇者がどうやらここを目指しているそうです。前情報はありません。どんな奴か私も知りません。
そんじゃ、頑張って下さいな。
……え? 他に何か無いのかって? 知りませんよ。いや本当に知らないんですってば。
序盤だからそんなに強い勇者は来ないと思いますけど。だから、適当に掘って……そうですね、ガジガジムシあたりを発生させれば充分勝てるんじゃないかと。
不安だったら頑張ってトカゲおとこでも発生させて下さい。
ちなみに今回のダンジョンには魔分がありませんのでソッチ系の魔物は呼び出せませんからね? それじゃ頑張って下さい」
破壊神と呼ばれた男は呆然としていた。
寝起きにいきなり呼び出された。いや、うん、呼び出されたらしい。よくわからない。
寝て起きたらそこは地獄だった。……いや、地獄ではないのか? よくわからない。
なんか手にはツルハシを持っていた。これで地面を掘るらしい。よくわからない。
今まで知らなかったが、どうやら破壊神というジョブはガテン系に属するらしい。
魔王からプレゼントだといってニッカボッカを渡されたから多分間違いないだろう。
……何から何まで、よくわからない。
とりあえず、言われたとおりに土を掘ってみることにした。
……土はどころどころ緑色で、なんかごにょごにょ蠢いている。
これ、そのままでも何とかなるんじゃね? ていうか勇者に掘らせればいいんじゃね?
そう言ったら魔王に泣かれた。オッサンの泣き顔はキモい。
仕方なく俺が掘ることにした。魔王は笑っていた。泣き真似か畜生。鬱になった。
「ほら、早くしないと勇者が来ちゃいますよ!?」
後ろで魔王が急かしている。鬱だ。何で俺がこんなこと……。
だがとりあえず勇者が来ているそうなので、まずはそいつを叩きのめしてから考えることにしよう。
破壊神、というアンニュイなネーミングから察するに、多分勇者が来たら俺もまとめてフルボッコされるに違いない。鬱だ。
なんかモゴモゴしてる土を掘ってみた。
なんか緑色のスライムみたいなのが出てきた。ぷよぷよしている。食べたらおいしそうだ。
つまんで食べてみた。味はしない。
「食べちゃだめですよ破壊神様! それをもっと増やして勇者を迎え撃つんです!」
なるほど、そういうものか。
続けてザクザクと深く掘っていく。あっという間に俺の身長ほど掘れた。土は柔らかく、掘るのにちょうどお手ごろだ。
俺の身長ほど掘って、(食った分も含めて)出てきたスライムもどきは3匹。先が思いやられる。
「下だけじゃなくて横にも掘れますからね? ……わかってます?」
それはいい事を聞いた。どうやらこのオッサンは俺へのアドバイザーらしい。
どうせなら可愛い女の子がいいのだがわがままは言わないでおく。勇者を追い返したらその時は小一時間問い詰めさせてもらうことにしよう。
俺はそこから横に向かってざくざくと掘った。ひたすら掘った。とことん掘ったら、ガツンと硬い岩盤にあたった。どうやらここが最終地点らしい。
後ろを振り返る。ぷよぷよがたくさんいた。ちょっとキモい。だが魔王の泣き顔ほどはキモくない。大丈夫、許容範囲内だ。
掘っていて気づいた事がある。土には、なんかモゴモゴ動いている土とそうでない土(普通の土)がある。
モゴモゴ動いているちょっと緑がかった土を掘ると、もれなくぷよぷよが出てきた。別に四つ並べても消えはしない。
ひとつ賢くなった俺は、その、緑がかったもごもご土をメインに掘り始めた。するとわさわさ出てくる出てくる。ちょっと面白くなってきた。
おや? 見慣れない色の土の塊が出てきた。相変わらずもごもごと動いているのだが、先ほどまでの緑色とは違い、なんだか白っぽい。
ツルハシの先でつついてみる。するとピョコっとなんかでっかいダニのような虫が出てきた。
驚いて放り投げたツルハシが運悪くその虫に命中してしまい、一撃であっさりと消滅してしまった。
「何やってんですか破壊神様! それがガジガジムシですよ! 序盤の勇者はそのガジガジムシを大量発生させとけば何とかなりますからちゃっちゃっと増やして下さい!」
これがガジガジムシか。正直キショい。まだ緑のぷにぷにの方が可愛らしい気がする。間違っても口に入れようとは思わない。
とりあえず白っぽいモゴモゴを掘ればガジガジムシが出てくることはわかった。でも、その白っぽいモゴモゴ自体をほとんど見ないのだが、どうすればいいのだろうか……。
俺はこのままひたすら掘るべきか、それとも一旦引き返すべきか迷った。
迷いながら、自分が来た方向を見返す。……そこには、白っぽいもごもごがあちこちに発生していた。え? 勝手に白っぽくなるの?
とりあえず引き返して、白もご(省略した)を掘り返す。するとガジガジムシが大量に出てくる出てくるキーモーイー!
ふと気づくと、俺はガジガジムシに囲まれていた。緑のぷにはいつの間にかどこかへ消えてしまったようだ……。なんか羽の生えた虫もいる。キモい。
「破壊神様、そろそろ勇者が来そうですぞ!」
えっ、もう!? ……とりあえずガジガジムシは大量に準備しといたし、大丈夫かな……。
「それでは破壊神様、私はどこにいればよろしいですかな?」
知らん。好きなところにいればいい。
「私が勇者に拉致されたら終了ですぞ?」
いっそ終了してしまえ。と思ったが言わないでおいた。魔王の泣き顔は本当に醜いからな。
「とりあえず、一番奥に置いといたら問題ないかと」
言われるがまま、一番奥に配置しておいた。これで文句はあるまい。
そして、最初の勇者がやってきた……。
でんせつの なかのひと ゆうてい LV99
「おれは ゆうていだ キムこうを さがしている」
いまは おおごしょくりえいた みやおう LV99
「おれは みやおうだ キムこうを さがしている」
10秒後……
「えーと、なんか……すいませんでした。まさかこんな序盤にLVマックスの勇者が現れるとは私も思ってもみなかったです……。
どうして帰ってこれたのかって? 何かあの勇者達は人探しをしていたらしく、私に興味が無くてダンジョン出たところでポイ捨てされました……。
助かってよかったんですけど、なんかこう、釈然としませんね……。
というわけで、ちょっと次からはちゃんと相手のことを調べておきたいと思います。魔王心を入れ替えますから、コンゴトモ、ヨロシク……。
え? あいつらがまた来るんじゃないかですって?
こんなこともあろうかと、一度来た勇者を追い払う伝説のアイテムがあるんですよ。これ使うと娘に嫌われるんであんまり使いたくないんですけどね……。
はい、この袋です。これの口を開けると『ギャハハハハハハハハwwwwwwww』
あっ、これは娘にプレゼントしようとして突っ返された”ノロイのわらいぶくろ”でした。
ということはコッチの……はい、この袋です。開けたら臭いですからね? 覚悟して下さいね? それでは……!」
魔王は袋の口を開けた! 辺り一面に強烈な加齢臭が漂った!
「はぁ……これで三日は口をきいてくれないだろうなぁ……いえ、何でもありませんよ?
それでは私は次に来る勇者の素性調査に行ってきますんで、破壊神様は今のうちにダンジョン掘りまくって色々勉強しておいてください」
魔王を連れて行かれたにも関わらず、何故かステージクリア扱いになってしまった。
っていうか、小一時間魔王を問い詰めるはずが、気づいたら逃げられていた。
仕方が無い、暇つぶしにダンジョンを掘りまくっているとしようか……。
どうでもいいが、本当に臭い。この臭い、何とかならないだろうか。あっ、吐き気が……or2
クロス先:ドラゴンクエスト?