ワンサマーハーレムを一人も崩せなかった腹いせに一夏とイチャイチャ()してヒロインの脳を破壊する話(迫真) 作:鹿頭
織斑一夏が更識楯無に惜しくも敗れてからの二週間の間は、文字通り死ぬかと思う様な鍛錬の日々だったが───。
その成果は───織斑一夏が無傷で健在、と言う成果で現れていた。
(これが───アイツの見ている世界)
そして今、度重なる攻防の末に、一夏はハイパーセンサーに頼らない境地にまで*1達していた。
(はは……そりゃ、遠い訳だよ)
慢心する事なく、一夏はただ正直に果てを見つめる。
だが、何も見えなかったかつての自分とは違い、今はその背中が見えている。
「んーもう! いい加減に──当たりなさいよ!」
楯無が業を煮やす。
こちらに攻撃も当たらないが、こちらの攻撃もまた、本当に当たらないのだ。
「悪いけど───楯無さん」
勝ち筋は見えた。
「俺は、アンタを踏み越えていく」
後は、勝つだけ。
一夏は雪片弐型をゆっくりと担ぐ様に振りかぶると、そのまま一気に加速する───!
「───ウソっ」
「本当」
瞬間、試合終了を告げるアラームが鳴る。
───織斑一夏、完全試合達成。
この日、本当の意味でスタートラインに立ったのである。
「や、やりましたわ一夏さん! 更識会長相手に!本当に無傷*2で勝ちましたわ!!! 流石私の未来の旦那様*3です!!!」
セシリアが手を合わせて自分の事の様に喜ぶ。
「なーにがアンタの旦那よバカ! ま、でも…まさか本当に勝つだなんてね…*4」
それに鈴音はツッコミを入れつつ、一夏の賞賛をする。
「二週間も付きっきりであの男が指導していたのだ、当然だと思うが……?」
ラウラが首を傾げる。
あの男は苦手だが*5、その実力は本物だと言うことを知っているからだ。
「そのせいで…一夏との時間、あんまりなかったけど、ね」
シャルロットが目を暗くしながら、親指を噛んだ。
おはようからおやすみまで常に側に居て、自分が*6一夏の側にいる事を邪魔しているのだ。
必要な事だった、とは言えそれでも心に燻るものはあった。
「目の前でイチャイチャイチャイチャ*7あの人、やっぱり一夏さんを狙っているんじゃありませんの?*8」
「でも一夏が取られる心配は………ない、わよね?*9」
「クラリッサが言うには、『日本の親しい男同士は時として禁断の関係に発展する』と言うからな……*10私も危惧している」
「そそそそそれ!それ本当ですの!?」
「そんなのアニメの中だけだよ!?」
ラウラの発言に、クラリッサよりは本当の意味で日本に詳しい簪が慌てて否定する。
「いや…そういえば、一夏って弾のヤツとも距離近かった*11よう、な」
鈴音は魘される様に考え込んだ。
「そ、そんなの僕困っ───箒?」
シャルロットは、先程から箒が喋っていないことに気づいた。
「ちょっと箒? 聞いてんの?」
それを受けて、鈴音は箒に尋ねた。
「えっ!? あ、いや。ど、どうした?」
「聞いてなかったのね」
箒の様子に鈴が溜息を吐いた。
「ま、アンタが落ち込む理由もわかるけどさ」
鈴音はかつての臨海学校の時の箒の様子を思い出して──*12やっぱりもうちょっと前の記憶にした*13
「お姉ちゃんに、本当に無傷で勝っちゃったし……」
「いよいよモンド・グロッソレベルってところだろうか」
もしも開催されたら、姉が取りこぼした冠を取りに行くのだろうか───ラウラは思った。
「一夏、出るのかな」
「開催されれば出るでしょ。優勝は───ちょっと無理かも知れないけど」
「ま、まぁ……うん」
シャルロットも、鈴音も頬が引き攣った。
「口は悪くなりますけれど、織斑先生並みかそれ以上のバケモノですものね、あの人」
セシリアは最初の試合*14の事を思い出した。
「無傷で普通に優勝しそうでな……」
「あり得る……」
最後のそれは誰の言葉だったのかは、わからなかった。*15
「───正直、私はあの人が苦手だ」
「箒さん?」
唐突に口を開いた箒に、セシリアが問うた。
「なんと言えばいいか───姉に、似てるんだ」
「篠ノ之博士に? でも、その……篠ノ之博士みたいな……変な性格してない*16よ? 箒の前で、あんまり言いたくないけど……」
シャルロットは言葉を選びながら返した。
「まぁ……博士は性格に難があったが、あの男はそうではないだろう」
「そうよ? アイツに相談乗ってもらった事あるけど、いい奴よ」
「え、鈴って本当に相談乗って貰ってたんだ」
「アンタはあたしを何だと思ってる*17のよ!」
シャルロットが意外だと驚いた。
「───わかっているが……それでも、似ている、と感じてしまうんだ」
「確かに…ちょっと近寄りづらい、空気はある*18」
「僕も苦手なのは同じだけどな……」
「ふぅん? アタシには良くわかんないけど。ま、どーせアンタの考えすぎじゃないの?」
「…………なら良いが」
箒は一抹の不安じみた感情を一旦仕舞い込んだ。
「それに……本音は、懐いているみたいだし、考え過ぎじゃ───」
「そういえばそうですわ!!!」
セシリアが思わず立ち上がる。
「わっ」
大きな声を突然出されたので、シャルはびっくりした*19。
「ちょっとアンタ、いきなり大声出さないでよ! 恥ずかしいじゃない!?」
鈴音はセシリアに怒ったが、意に介することもなく、いや全く聞いていないセシリア。
「皆さん!これはもしかして、もしかするのではなくて!?*20」
興奮した様子で辺りの面々に同意を求めるセシリア。
「って、布仏がアイツのこと好きってこと?」
代表して、鈴音が答えた。
「そうですわ!」
「イヤー、アイツが本当に一夏狙いだったら、目も当てられないわよ。余計な事はしない方が良いわ、セシリア」
鈴音は真顔だった。
「………それもそうですわね」
しょぼんとした様子で着席するセッシー。
「本当だったら、本音が可哀想、かな」
簪は俯いた。
辺りに気まずい空気が流れる。
「そ、それより、一夏の方がお、男の人も好きなのかどうか、確かめるのが先じゃないかな*21」
シャルロットはそんな空気を変えるように話題を切り出した。
「嫌よそんなの!確かめてクロだったらどうすんのよ!!」
鈴音は絶叫した。
「………確かに」
黙って聞いていた箒も同じ気持ちだった。
「と、ともかく。一夏もそろそろ格納庫に降りた頃だろうし、い、行こうみんな」
やってしまったと頭を抱えつつ、シャルロットが叫ぶように提案した。
◆◆◆
「───お前を、嘘吐きにはさせなかったぞ」
帰ってきた一夏は、俺へ向かって開口一番、そんな事を言った。
「ああ、嬉しいよ」
そう言って自然となんか抱擁する流れになる。
なんでだろう。
いや、本当になんでだ?まぁいいや。
なんかヒロインズが近づいてる気配するし!!!!*22
「それに……お前の見ている世界が、やっと俺にも見えたよ」
「そうか───これは、そろそろ足元が危ないかな」
なんであんな適当*23言ったのに強くなってんですかねぇ……えぇ、こわっ*24。
やっぱバケモンだわ*25。
えー、そろそろか…3、2──
「へっ、足元と言わず、首を洗って待ってろよ」
1──
「ふふ。それは──楽しみだ」
今ッッッッッ!!!!!
「一夏! お、め………」
「「「「「「??????」」」」」」
───すっ、素晴らしいッッッッッ!!!!
彼女達の脳の処理能力を大きく越えたようですね!!!!!
そうです!そうですこれですよ!!!!!
この反応がですね!!!
今までずっと!!!
ずっと!!!!!!
見たかったんですよ!!!!!!!!!!
この負け犬ども!!!!!!!
最高だぜ!!!!!!!!!
「───強くなったな、一夏」
「千冬姉!」
あっちっふーじゃんオッスオッス。
ほれ、そろそろハグをやめようか一夏。
「まさか、本当に無傷で更識を倒すとはな*26」
「当たり前だぜ千冬姉! そうじゃなきゃ、越えられないからな*27」
「────ああ、そうだ二人とも。今日は私の奢りだ。外に食いに行くぞ」
「えぇ!? 良いのか千冬姉!」
「おや、私までとは。随分と気前のいい」
「そりゃそうだろう。お前が居なければ、一夏はここまで成長しなかったんだ*28」
いや俺もここまで成長するとはびっくりだよ。なんでや、主人公。
「私を越えるのも、そう遠くはないだろう」
「千冬姉……!」
うーん麗しきかな姉弟愛。
原作はインモラルに両足突っ込んでたけど*29。
「いやー、おねーさん負けちゃったわ。まさか一夏くんにまで、無傷で倒されるだなんて*30」
「楯無先輩!」
「おめでとう、一夏くん。本当に強くなったわね」
「ありがとうございます!」
「それで……あの子達はどーしちゃったの?」
楯無が脳のキャパオーバーで機能停止したヒロインズを指し示す。
そうだったな、お前見てねーんだもんな。
「え…? おいおい、来てたんだったら声かけてくれよみんな!*31」
「き、気づいてなかったのね……」
楯無パイセンが呆れる。
こんなの、俺でなきゃ付き合ってらんないね*32。
「ったく……おい一夏、さっさと制服に着替えて来い。届出も書かねばならんからな」
「わかった、千冬姉!」
そう言うと、ワンサマーが更衣室に向けて全速前進して行った。
「届出って?」
楯無が首を傾げつつ尋ねる。
「無傷で打倒した記念の、ですよ」
「うわー、そんな事しちゃう?」
「それだけ、楯無先輩が偉大な存在だったって事ですよ」
「そ、そーぉ? な、なら…いい、んだけど」
ケッ!!!!!!!
これだからワンサマーはっっっ!!!!!*33
「で、や、やっぱり……お前ら付き合ってるのか?」
ちっふーがしどろもどろになりながら尋ねる。
それ今言うのか!!!!!
それ今言うのか!!!!!
ナイス!!!
再起動しかけてたヒロインズからコヒュって聞こえたぜ!!!!!!
「え"っ…そ、そうだったの!!? そ、それはわ、悪い事しちゃったかしら……*34」
────流石におねーさんを自認するだけあって余裕があるなコイツ。
一夏に抱きついたりしやがってたクセしてよぉ〜!!!!
クソッ、どうやって脳を粉砕すればいいんですか!!!
「はは。私の答えは変わらずいいえ、ですよ千冬さん」
「む……そ、そうか…」
「…………ね、ねぇ。じ、実際の所どうだったりするのかなーって、おねーさん気になってみたりして」
楯無がこっそり囁くように耳打ちしてくる。
やめてくれ楯無、その術は俺に効く。
やめてくれ。
殺したくなるだろ!!!!
ワンサマーを!!!!!!*35
「おーい、着替えてきたぞ!」
「早かったな」
そう言うと楯無の側を離れる。
効果的な方法を考えねばならぬ。
「そりゃな! ん、なんか話してたみたいだけど*36、何話してたんだ?*37」
「なんでもないわ♡」
俺が答える前に、楯無が答えた。
「本当か?*38」
「楯無を倒した祝いってとこに抗議を受けてたとこだ」
「あー……ゆ、許してください?」
「だーめ……と言いたいけど織斑先生発案だし、別に気にしてないわよ*39」
「よし。じゃあ楯無、アイツらの後始末を頼んだ」
「あ、はい」
◆◆◆
「千冬姉、ぶっ倒れるまで呑むなよな……」
「本当にな」
祝勝会と称した織斑千冬の酒呑み会でだる絡みを受けたその後、呼び出した*40山田せんせーに潰れたちっふーを押し付けたその帰りだった。
空を見上げると、広がる満点の星空。
よく澄み切った、良い夜だった。
「正直さ」
「む?」
「俺さ、お前のこと。苦手だったんだ」
「おや」
一夏の唐突な告解に、興味を持って耳を傾ける。
「千冬姉みたいにブレード一本なのに、それでいて…俺なんかよりずっとずっと強くてよ。情け無いな、弱いなって思わされるから……寧ろ嫌いだった、かもしれねぇ」
「…………」
「でもよ、それなのにお前はずっと変わらなくてさ。その姿に憧れたよ。眩しかったよ。いつしか……千冬姉より、お前の存在はデカくなった」
「悪りぃ。何が言いたいか、よくわからないよな……あ、えっと。要するに────俺はさ」
「お前が居るから何処へだって飛んでいけるんだって、気づいたんだ」
そんな一夏の言葉に、ゆっくり笑みを浮かべて。
「そう、か───なら、二人で飛んでいこうか」
「───どこまでも続く、
なんかすげぇ良い感じになったので強引ですが一夏ルート完って事にします!なんかこれ以上のが出力されない自信があるので。
ありがとうざいました!!!
束さんはやりますよ!束ルートかはちょっと未来次第ですけど。
本音?千冬?知らない子ですね…