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この物語はフィクションです。登場する人物・団体名は架空のものであり実在するものとは関係ありません。
駒沢望side
「おおっ、勝った、勝ったぞ!!」
周りに人がいるにも関わらず僕は大声で叫んでしまった。妻の陽菜にどつかれてしまったが関係ない。私が初めて買ったトウカイテイオー産駒の馬_ノゾミミカドがデビュー戦を圧勝。更にレコードタイムを叩き出したのだ。
「駒沢さん、おめでとうございます。いや〜強い馬ですね」
「ああ、ありがとうございます」
先ほどのレースに出ていた馬の馬主の一人が声を掛けてきた。
この人はウチの会社とも取引がある経営者の一人であり、ウチのお得意様でもある。
「ウチの馬も良いところまでは行ったんですが…いやぁ〜完敗ですね。あと口取り式がありますからそろそろ向かった方がいいですよ」
「ああそうでした。ではまた」
「ええ、今度は負けませんよ」
そうして軽い握手をしてから僕は口取り式に向かった。今まで何度もやってきたことだが、またしてもガチガチに固まってしまった僕は妻はもちろん今度はミカドにもどつかれてしまった。
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〇〇スポーツ新聞
“圧倒的なスピードでデビュー戦を大勝利!!期待の新星ノゾミミカド!!”
7月27日(日)にて阪神競馬場で行われた2歳新馬戦。そこでトウカイテイオー産駒(母父ミホノブルボン)であるノゾミミカドが二着に四馬身差を付けて圧倒的勝利を飾った。
かつて日本競馬で多くの人々に感動と驚きを与えたトウカイテイオーの期待の産駒であり、その姿はテイオーの生写しであるかの様であると多くの競馬ファンが語った。
調教師の松戸博(マツド・ヒロシ)氏は『父親譲りの脚の柔軟性と賢さ、母父の頑丈さを受け継いで非常に素晴らしい馬だと言える。今回の新馬戦は適正距離ではあったがミカドに余力が残っていた為、より長い距離を走ることもできるだろう。性格は非常に大人しく人懐っこい。厩舎でも特に大きな問題を起こさず真面目に調教をこなしますが今回のレースで周りの馬を気にしているふしがありましたので集中力を切らさない様にこれからしていきたい。』と述べ、鞍上を務めた福長雄一騎手は『初めてのレースで少し不安な部分もあったんですけど、非常にリラックスしていたのでそこは心配しなかったですね。ただ、やっぱり直ぐ後ろに他馬が付くと焦って前に出ようとしていたので少し危なかったです。最後の末脚のタイミングを間違えていたらと考えてしまうとホント怖かったです。』と語る。
疲労が少ないことから馬主と相談し次戦を早めると松戸調教師は語り、早くも活躍が期待されている。
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新馬戦から数日後
松戸厩舎 馬房
『先輩、ブエナ!新馬戦勝ってきたぜ!!』
新馬戦を終えた俺は厩舎に帰ってきてから真っ先に先輩とブエナに初勝利を伝えた。
『おお!おめでとうミカド』
『おめでとう!どうだった、本番のレース?』
『もうめっちゃすごかった!!調教とは全く違くてさ!後ろからくる他の奴らのプレッシャーが凄くて焦っちゃったんだけど最後の直線で一気に突き放して1着でゴールしたんだ!』
俺はレースのことをブエナと先輩に語り、ブエナはそのことを聞いて興奮していた。
『いいな〜私も早くレースに出たい〜』
『ブエナ、心配しなくても君の新馬戦もそう長くないうちに来るよ』
『ああ、そのことなんだけど』
ブエナの新馬戦について実はテキがブエナの担当厩務員さんに話していることを俺は帰り際にこっそり聞いたのだ。
『ブエナの新馬戦の時期は秋頃になるみたいだ。さっきテキが言っていた』
『ええ〜!全然先じゃん!ミカドだけずるい〜』
『落ち着いてブエナ。新馬戦が一番多いのは秋のシーズンだからね。僕も秋にデビューしたから』
『そうそう、俺みたいに夏にデビューする奴よりも秋や冬にデビューするやつの方が圧倒的に多いんだぜ』
『む〜』
不満そうな顔をして少し不機嫌になったブエナを俺と先輩は必死になだめ、機嫌が治るのに30分は掛かった。
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同時刻
松戸厩舎
「新馬戦勝利、しかもレコード着きとは…いきなり驚かしてくれたな」
「ですね…俺、自分が世話している馬で新馬戦でレコード叩き出すの初めてですよ…」
松戸厩舎の一室で松戸と厩務員の真司は新馬戦の次の日に発行された新聞記事を見ながら話し合っていた。
「松戸さん、あのレース見て思ったんですけどやっぱりミカドはクラシックを目指して行った方がいいんじゃないですか?」
「俺もそう思う。だがあいつの血統を考えると最後がな…」
二人が何故こう頭を抱えているのかというとミカドの血統から割り出した『適正距離』にあった。
「あいつの父父は菊花賞と天皇賞・春を取った傑物ですよ。ブルボンだって長距離を走って2着です」
「けどな、父親のテイオーは3200の天皇賞・春5着。母親もマイラー。そしてブルボンはもともとスプリンターが適正だ…今後の調教次第じゃあ恐らく有馬の2500は行けると思うがそれよりも早い時期に行われる菊花賞3000がな…」
そう、ミカドの適正は血統を見るとどうしてもマイル〜中距離が範囲になり、長距離は祖父や曽祖父の時代まで遡らなければならない。
「無理な調教を行えばテイオーのように骨折、ブルボンのようにガタが早めにきて即引退だ。ホント悩ましいな」
幸いにもミカドは父と母父二頭の良いところを受け継いでいる為、余程ハードな調教でなければ故障を起こすことは少ないだろう。
「失礼します」
二人が頭を抱えているとドアからミカドの騎手に選ばれた福長が入ってきた。
「おう、雄一。早かったな」
「ええ、他の馬の会議が早めに終わったので。それよりどうしたんですか?」
松戸たちはこれまでの会話の内容を福長に話した。
「なるほど…確かにこれは二人が唸るのも仕方ないですね…」
「ああ、最終的には馬主が決めることだがこっちもプランを考えなくちゃいけない」
「……これは俺個人の意見ですけど」
そう語り出す福長の方を松戸と真司は見る。
「ミカドはあの末脚もすごいですけどそれを発揮するまでのスピードもかなり速いです。新馬戦の時も最初に後ろに付いていた馬も早々にスタミナが切れました。つまりそのスピードを維持するスタミナは持っているんだと思います」
「つまり…どういうことですか?」
「今から少しずつミカドのスタミナ強化を行えば、もしかしたら3000を走り切ることができるかもしれません。俺の勝手な推測ですが。それに今はまだデビューしたばかりです。クラシックについてはもう少し後に考えても遅くは無いでしょう」
福長が話し終えると松戸は息を吐き椅子に凭れ掛かる。
「まあ、確かにそうだな…よっし、クラシックの話はまた後だ。今は次のレースを決めないとな。真司と雄一はミカドの方行ってこい。俺は駒沢さんに次のレースについて相談してくる」
「わかりました!行ってきます」
「はい」
そう言って立ち上がる松戸に続き真司と福長も立ち上がり、部屋を後にした。
その後、駒沢との相談によりミカドの次走は10月に行われるOP戦『芙蓉ステークス』となった。
ノゾミミカドの次走は芙蓉ステークスとなりました。
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