紡がれる『帝』の血脈   作:シントウ

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LiberLegisさん、ジャックランタンさん、ヘスティアさん、評価ありがとうございます!

今回はミカドのターンです!
更新が遅くなり申し訳ありません!

この物語はフィクションです。登場する人物・団体名は架空のものであり実在するものとは関係ありません。


帝の朝日/絶景の阪神 後編 朝日FS(G1)

12月21日(日)中山競馬場

 

俺ノゾミミカドは『朝日FS』に出走するために中山競馬場に二ヶ月ぶりにやってきた。

先週行われた阪神JFでブエナは1分33秒というタイムを叩き出した。(でも帰って来たらなんか不機嫌そうにしていて、近づこうなら蹴り飛ばすと言わんばかりのオーラを出していた)

 

ブエナとの勝負、どっちのタイムが早いかの勝負で、俺は33秒を切らなきゃ俺はブエナに負けることになる。

 

『今日のレースもブエナとの勝負も、どっちも負けるわけにはいかないよな』

 

そう考えながら俺は真司さんに引かれながらパドックへと向かって行く。パドックに着くと今までと違い周りには数えきれない程のお客さんがいた。

 

(すげぇ…これがG1レースのパドック……2歳馬のものでこれならクラシックや古馬戦ではどうなるんだ…)

 

因みに今回の出走表は…

 

枠番馬番馬名人気
1枠1番ミッキーパンプキン4番人気
1枠2番シェーンヴァルト5番人気
2枠3番セイウンワンダー3番人気
2枠4番トウカイフィット16番人気
3枠5番ブレイクランアウト2番人気
3枠6番トレノパズル9番人気
4枠7番オメガユリシス12番人気
4枠8番ツルマルジャパン11番人気
5枠9番エイシンタイガー8番人気
5枠10番ノゾミミカド1番人気
6枠11番フィフスベルト6番人気
6枠12番ゲットフルマークス10番人気
7枠13番ピースピース15番人気
8枠14番ホッコータキオン7番人気
8枠15番ケンブリッジエル14番人気

 

となっているようだ。

俺の人気は1番人気。初重賞、ブルボン爺ちゃんが取ったこのレースで取ってみせる!

 

 

『2枠3番3番人気のセイウンワンダー。鞍上は石田康成騎手。馬体重は前回から10kg増え514kg。前回の新潟2歳Sでは2着に1馬身半の差を付けて勝利しました。この中山でどのような走りを見せるのか期待の一頭です』

 

 

あれがセイウンワンダーか…ブエナの父さん、スペシャルウィークが二度に渡って勝てなかった馬、グラスワンダーの産駒。脚質は差しから追い込みの後方スタイル、この距離はあいつの適正でもある。今回俺が一番気を付けなきゃいけない馬。

 

『まあ、俺は俺のレースをするだけだ、周りを気にしちゃまた雄一さんの鞭が飛んでくる…』

 

前回のレースでも他馬を気にしていたことで俺はブリンカーをつける事になった。周り見えなくなるのはと思ったけど、案外そこまで気にならなかった。結構カッコいいし。

 

 

『5枠10番本日の1番人気ノゾミミカド、鞍上は変わらず福長雄一騎手です。馬体重は前回から6kg増え478kg。今回のこのレース重賞初挑戦です。前回の芙蓉Sと同じコースと距離を見事走り抜けました。今回のレースで無敗記録を更新なるか?』

 

 


 

 

『快晴の下で行われる2歳馬の王者を決めるレース、朝日FS距離1600。馬場は良馬場となりました』

 

 

パドックからコースへ移りゲート前、あと少しでレースが始まる。馬生初のG1レース…緊張するな…

 

『ねえ』

『ん?』

 

誰かに話しかけられ、振り返るとそこには本日の警戒対象、セイウンワンダーがそこにいた。

 

『なんだ、俺になんかようか?』

『うん。君がノゾミミカドだろう。僕はセイウンワンダー。周りのヒトたちが君のことを話していたからさ。気になった』

 

セイウンワンダーは物静かそうな感じで、どこか淡々としている印象だった。

 

『このレースでも1番人気。つまり期待されたんだよね?』

『まあな。俺はこのコースを前も走ったし、距離も得意なやつだし、そう考えているんだろ』

『そうなんだ。でもね。』

 

セイウンワンダーは俺の方をじっと見つめる。その瞳には静かに燃える炎のようなものが視えた。

 

『僕は負けない。君を追い越してみせるよ』

 

途端、あいつの瞳に映る炎が更に強く燃え上がる。そしてセイウンワンダーは言いたい事を言ったのか踵を返して自分のゲートに向かっていった。

 

『………あいつ、やべぇ……』

 

今まで感じたことがないぐらいのプレッシャー、ブエナや先輩方とはまた違う、まるで……

 

『獲物を狩るハンターみたいだ…』

 

だけどな…こっちも負けられないんだよ。

そっちが俺を狩るつもりなら、こっちはお前から逃げ切ってやるよ。

 

「セイウンワンダー ………かなり仕上がっていたな」

『雄一さんも感じた?あれ多分この中でもヤバイよ』

「ミカド、先行で行こうと思ったが逃げるぞ。大きくな(・・・・)…」

『俺も同意見です。最初から全力で行きますよ、振り落とされないようにしてくださいね』

 

そして俺がゲートに入り、大外の奴もゲートに入る。G1レースが……

 

ガゴンッ!!

 

始まった。

 

 

『スタートしました。一頭勢いよくスタートを切ったのは10番ノゾミミカド。今日は逃げで攻める。しかしスピードがかなり出ている、掛かっているのでしょうか?』

 

 

会場からどよめいた声が聞こえる。そりゃそうだ。だってこれは逃げは逃げでも『大逃げ』だからな。ブリンカーで見えないけど後ろから『マジかよ!?』とか『速すぎる!』とか聞こえるし、結構動揺を誘えているな。

 

 

 

『ノゾミミカド、これは大逃げです。初の重賞戦で大逃げを披露しています。二番手の12番ゲットフルマークスに6、7馬身の差をつけて現在トップはノゾミミカド一頭が第二コーナーに入ります。三番手にはツルマルジャパン、1馬身差でケンブリッジエル、内にミッキーパンプキン、エイシンタイガー、ホッコータキオンが固まっています。少し離れてセイウンワンダー、トウカイフィット、トレノパズル、フィフスベルトが並んでいる。二馬身離れてシェーンベルト、一馬身でブラストクロス、ブレイクランアウト、オメガユリシスとブラストクロスがシンガリです。第三コーナーに入り先頭は依然ノゾミミカド。その差は未だに7馬身ほどあります』

 

 

「いいぞミカド。お前ならこのスピードでも保つはずだ。落ち着いて行けよ」

 

雄一さんは俺のスタミナを信じてこの大逃げを指示した。これでへばるんじゃクラシックは走れない。俺の自慢は最後の末脚だけじゃない事を教えてやるよ!

 

 

『第四コーナーに一頭ノゾミミカドが入ります。後続はまだ6馬身も後ろ。果たして追いつけるか…?おっと、ここで3番セイウンワンダーが動いた!』

 

 

『!!来たか!』

 

セイウンワンダーが馬群から抜け出し俺との距離を縮めてく。少しづつ確実に。

 

『・・・・・・・・』

『クッソ!嫌な予感が的中だ!』

 

無言でこちらに近づいてくる奴。少しづつ少しづつ奴から放たれる異様なプレッシャーが俺を襲い、俺は離れる為に前に出ようとするが雄一さんは手綱でそれを止める。

 

「ミカド、落ち着け!集中しろ!!」

『無理無理無理、あれ無視して走れとか無茶ですって、『バッチィィン!!』イッテェぇえぇ!!??すんません出来るだけ集中します!!』

 

クッソォ〜ただでさえ集中力が持続しない俺に取ってあいつは正しく天敵だ!あのプレッシャー、絶対遺伝だろ!

とか思っていたら…

 

 

『セイウンワンダー、あの差を物ともしない末脚で一気にノゾミミカドを射程圏内に捉えた!!第四コーナーも終盤に入り、先頭争いが早くも勃発!!』

 

 

『捉えたよ……』

『速!?いくらなんんでもおかしいだろ、その末脚!?』

『大逃げをした君たちに言われたくないよ』

 

 

『最後の直線に入ったのは二頭!三番手はツルマルジャパンだがその差はまだ3馬身ある!ここから後続は捉えられるか!?先頭争いはまだ続いている!内ノゾミミカドはまだ半馬身のリードがあるが外セイウンワンダーがじりじりと詰める!』

 

 

『まだだ、まだ行ける!』

『クッ、あと少し、あと少しなんだ…!』

 

こいつにペースを乱されて自慢の末脚を出すスタミナはあまりない。だがこいつも俺の大逃げに少し乱されていたようで少し余裕がないようだ。

 

 

『先頭二頭が坂を登る!!どっちかまだ分からない!100を切った!!内か外か、この二頭の戦いはもう止められない!!』

 

 

俺の脚は今までにない程の力を出して走るが引き離せそうにない。セイウンワンダーは俺と並んで走っている。だけど向こうも一杯みたいだ。ここまで来ればあとは体力根性の勝負。精神力でのゴリ押しだ。

 

『う、うおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!』

 

俺は負けたくない一心でただガムシャラに走る。競り合いだったらブエナといつもレースみたいにガチでやっているんだよ!!!

 

『負けるかぁぁぁぁ!!』

『クッ、あああああああ!!』

 

向こうも雄叫びを上げてスピードを出す。

 

 

『ノゾミミカド、セイウンワンダー、ノゾミミカド、セイウンワンダー!並んでゴールイン!!二頭並んでゴールしました!!ノゾミミカドの方が態勢がやや有利か?』

 

 

『ハァハァ、フゥ〜…ど、どっちだ?』

『ハァハァハァハァ、わ、分からない…でも…』

 

電光掲示板に映し出された順位。少ししてから確定の文字が映る。1着には…

 

1着 10番 

2着 3番 ハナ

 

 

『確定しました!1着は10番ノゾミミカド!!セイウンワンダーの猛追をなんとか凌ぎ1着です!!タイムは1分32秒91!!レコードタイムを記録しました!!先週阪神でも牝馬ブエナビスタがレコードを記録しましたが更に縮めたタイムです!!皇帝一族の新星が、初重賞、初G1をレコードで勝ちました!!』

 

途端に観客席から大きな歓声が上がる。他の馬たちはその歓声に驚く。だけど俺たち二頭は落ち着いていた。

 

 

『か、勝った…?』

『ああ……君たちの…勝ちだ』

『………』

 

落ち着いていたというよりか現実を理解するのに少し遅れていた、というのが正しいか。

 

『よ、よっしゃぁぁああぁぁ!!!』

「おっとと!!」

 

自分が勝ったことが判ったとたん喜びの感情が一気に爆発した俺は雄一さんが背に乗っているのを忘れてジャンプする。

 

「ミカド!?落ち着け!?俺が落ちる!?」

『あっやべ』

 

『全く、騎手が乗っているのに君は何をやっているんだ…』

『アハハ……』

 

 

『ノゾミミカドとセイウンワンダー、二頭が揃ってホームストレッチに戻ってきます。観客から大きな拍手が彼らに送られています』

 

 

セイウンワンダーからもお叱りを受け、俺たちはホームストレッチに方へ向かって行く。俺らが近づいてきたことで観客は拍手と称賛を俺たちに送ってきた。

 

 

「凄かったぞぉぉ!!」

 

「ミカドォ、今日も勝ってくれてありがとなぁ!」

 

「外したぁぁ!!!???」

 

「セイウンワンダーも頑張ったなぁ!!」

 

「よっしゃあ!!当たった!!!クソ上司いなくなるわ、労働環境改善するわ、馬券三連単と三連複当たるわ、運がノリに乗ってるぜぇぇ!!」

 

「また当たったよ、これからも応援するから頑張ってなぁ!」

 

 

多くの人々の祝福(中には怒号やよく分からんのも混ざっているが)を受けながら、俺はいつものパフォーマンスを、テイオーステップをする。

 

 

『ノゾミミカド、再びこの中山でテイオーステップを披露しました!これで3戦3勝の快進撃!来年のクラシックでの活躍が非常に楽しみです!』

 

 

『ノゾミミカド』

『うん?』

『今日は僕らの負けだ。だけど次は勝つ。またいつか走ろう』

『おう、また一緒に走ろうぜ!』

 

こうして俺の初G1の幕は閉じたのだった。




紹介

セイウンワンダー 2歳
父:グラスワンダー 母:セイウンクノイチ 母父:サンデーサイレンス
物静かだがレースに関する熱意は誰よりも強い。父譲りのプレッシャーで他の馬のペースを乱す。戦術的に集中力が持続しにくいミカドの天敵ともいえる。
ミカドのことは少しうるさいけど良い好敵手だと思っている。

レースの描写や実況難しい……

次回はウマ娘編をいくつか投稿する予定です。アンケートに協力してくださりありがとうございます!

コメントや評価、お気に入り登録を是非。それと毎度誤字脱字を注意してくれる方々、この場を借りて感謝いたします。
本当にありがとうございます!
それでは。

ウマ娘編で見たい回は?

  • ミカドとブエナの日常
  • 09世代との関わり
  • 皇帝と帝王と帝
  • 勝負師vs不沈艦 賭けの勝負
  • 総大将と絶景
  • ジョーダン主導のショッピング ミカド犠牲
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