紡がれる『帝』の血脈   作:シントウ

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醍醐さん、リンたんさん、ユストさん、一介の読書好きさん、まめ鈴さん、評価ありがとうございます!

今回は短めですが楽しんでもらえると幸いです。

この物語はフィクションです。登場する人物・団体名は架空のものであり実在するものとは関係ありません。


帝の年末/一年の始まり

ゴ〜ン〜…ゴ〜ン〜…

 

『あっ、除夜の鐘だ』

『ミカド君、除夜の鐘とは?』

『え〜と…人間が一年の終わりに108回鐘を鳴らすんですよライン先輩。それがこれっす』

 

多分厩舎に隣接されている厩務員室のテレビかラジオで流れてんだろうな。

 

『成る程、一年の締め括りというわけですか』

『そんな感じです。振り返ってみると今年は凄い一年だったなぁ』

 

競走馬として栗東トレセンの松戸厩舎に入り、オーラ先輩たちやブエナたち同期との出会い。初めてのレース。色々あった。

 

『来年になると俺は三歳馬、いよいよクラシックレースが始まるのか…』

『クラシックですか…懐かしいですね…』

『あれ?ライン先輩はクラシックに出走していたんですか?』

『ええ、『皐月賞』だけですがね、分かると思いますが二着です…』

 

ライン先輩は『神馬』と呼ばれた『シンザン』を超える連対記録を持っている馬で『ノゾミ』の馬では割と高い知名度を誇る名馬なのだ。ただし先輩自身はハナ差アタマ差の二着が連続して続いたことでこの記録を素直に喜べられないらしい。

 

『メジャーにアタマ差で差し切れなかったんですよ。思えばあの辺から二着が多くなりました』

『せ、先輩?』

『その後のダービーは距離に不安が残るということで回避しNHKマイルCでも差し切られて、七夕賞でようやく一着かと思ったら札幌記念でまた二着に……ブツブツブツブツブツブツ』

『……なにこれぇ…』

 

なんか先輩のトラウマスイッチ押しちゃったみたい……いやこれ、どうしたらいいんだ?(汗)

 

『あ〜もう、ウルセェェェッ!!こっちはもう寝てぇのに横から気持ち悪い声で暗い話してんだ!周りのこと考えろ!!』

 

((いや、アンタが一番うるせえよっ!!))←厩舎一同心の声

 

ライン先輩の隣の馬房はフェニックス先輩で声がダイレクトに聞こえていたらしい。

 

『フェニックス先輩……これどうしたら…』

『ああ〜…コイツは俺がなんとかするから少し引っ込んでな』

『わ、わかりました』

 

俺に変わってフェニックス先輩はダークモード(仮)になったライン先輩に話しかける。

 

『ヘイへ〜イ、ラインさんよぉ。そんな暗い顔してどうしたんだ〜いぃ?もしかして、3年前に俺にはじめて(・・・・)負けたあのレースのことを思い出してんのかぁ〜?』

 

いや、これチンピラが一般人に話しかける時のやつだ。

 

『…………あ"?』

 

そしてこっちの返しヤクザだ。

 

『俺が初めてお前に勝ったのは目黒記念だったよなぁ〜。お前は最終コーナーで前に出たけど俺は既にトップ争いになっていて、お前は結局3/4馬身で俺に負けたんだもんなぁ〜。二着3連続だっけ?あん時?』

『4連続だよっ!!!なめてんのかゴラぁぁ!!!表出やがれ、この撃沈焼き鳥!!』

『テンメェっ、それ俺が一番気にしてるあだ名じゃねぇか!!それ言ったらどうなるか分かってんのか!!ああん!?』

『知らないね、そんなこと。それよりどうするんだ?ああ!?』

『上等じゃあ!その喧嘩買ってやんよ!!』

 

この争いは厩務員さんが来るまで続き、俺の今年最後の光景はヤクザみたいな先輩方が母さんに絞られているというモノだった。

 

『あんた達、なんかいうことあるんだったら3秒以内に言いなさい』

 

『『本当にすいませんでした!!!!!』』

 

『ギルティ』

 

『『ぎゃああああああああああああああ!!!!!!??』』

 

取り敢えず巻き込まれたくなかったので俺は馬房の中に引っ込んで空を見ていた。

 

『あっ、流れ星』

 

先輩達の断末魔を横に流しながら、俺は夜空の星にお願い事をすることにした。

 

『本当は燃え尽きる前に言うものだろうけど別にお願いするぐらいなら大丈夫だろ』

 

(2009年は悔いが残らない年になりますように、と。あ、あと兄弟が無事に生まれてきますように)

 

さて、2009年。勝負の年だぞノゾミミカド!




それぞれの主な代表成績

ノゾミフェニックス
2005年 G3 ダイヤモンドS
      G2 目黒記念
      G2 ステイヤーズS

ノゾミライン
2004年 G3 七夕賞
2005年 G2 毎日王冠

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