紡がれる『帝』の血脈   作:シントウ

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アストロ岩盤さん、評価ありがとうございます!

今回はレース回ではございません。次回、次回から本当の本当にレース始まるのでお待ち下さい!

3歳馬としての初レース、クラシックでかち合う『あの馬』が登場します。

追記
今回オッズがおかしいという指摘を頂き、修正をいたしました。
教えてくれた方々に感謝します!
この物語はフィクションです。登場する人物・団体名は架空のものであり実在するものとは関係ありません。


帝の挑戦/クラシックの前走 前編

モナーク先輩の引退から少し経ち、俺ノゾミミカドは現在、クラシック三冠の一つである皐月賞の前哨戦、『弥生賞』に出走するために約三ヶ月ぶりに中山競馬場に来た。

 

2020年では『弥生賞ディープインパクト記念』という名になるこのレースは3着までの馬に皐月賞の優先出走権が付与されるトライアル競走。皐月賞と同じ距離、同じコースで行われるこのレースを走ることができれば俺の中距離2000の壁をぶち壊すことができる。つまり俺がこのレースで勝つことができればマイラーだと考えている世間の評価を覆すことができる筈だ。

 

『さて、ノゾミ系の先輩方や母さん、テキや厩舎の皆んなが俺のために色々してくれたんだ。その思いを無駄にしない為にも…』

 

全身全霊で、走り抜く!

 

 


 

 

枠番馬番馬名人気
リアライズナッシュ10
ミッキーペトラ
キタサンアミーゴ
ノゾミミカド
モエレエキスパート
セイウンワンダー
ハイローラー
レオウィサード
ケイアイライジン
10ロジユニヴァース

 

 

『曇り空の下で行われるクラシック路線の最初の一冠、『皐月賞』のトライアル競走である『報知杯弥生賞』。本日の馬場状態は稍重となりました。今回のこのレースは非常に楽しみな面々が揃っております』

 

 

「今回のレースはもしかしたらG2としては非常にレベルの高いレースになると思うぜ」

「どういうことだ?」

 

俺は沢渡翔一(さわたりしょういち)。今年で21になる大学生。今日は友達の倉持一真(くらもちかずま)とともに生まれて初めて競馬場で生のレースを見に来た。

 

「今回はこの年の世代の中でも今一押しの競走馬が出走するんだ」

「それってアイツらのことか?」

 

 

『4枠4番、ノゾミミカド。本日の一番人気、オッズは2.5。馬体重は前走よりも8kg増え、486kg。鞍上は新馬戦からのパートナー福長雄一騎手です。昨年の朝日FSにてレコードを記録した現在無敗の注目馬の一頭です。三ヶ月ぶりのレースで重賞戦、そしてこの2000の距離を果たしてどう走るのかに注目です』

 

『6枠6番、セイウンワンダー。三番人気オッズ3.4。一番人気のノゾミミカドとは朝日FSにて大接戦を繰り広げました。馬体重は前走よりも10kg増え、514kgとなりました。自慢の末脚でこの距離を走り切れるか注目です。鞍上は石田康成騎手です』

 

 

この二頭がやはり筆頭だろう。前走との間隔や伸びた距離に一抹の不安があれどこの二頭は注目度が高い。

 

「いやいや確かにそいつらもいいが俺は今日軸にするのはそいつらじゃない」

「えっ?まさかお前大穴狙いに行くのか?有馬で三連単アドマイヤモナーク軸にして外して撃沈したじゃん」

 

二着だったから三連複ギリ当たったみたいだけどトータルで大負けしてたし…

 

「ウルセェ!ていうかそれでお前はなんで単勝複勝で俺より戻って来てんだよ!!いやそんなことよりも…」

 

一真は咳払いを一回してから俺に説明を始めた。

 

「いるんだよ。ノゾミミカドが居なければセイウンワンダーと人気を分け合ったかもしれない、既に2000の距離を経験し、見事勝ち星を挙げた無敗の競走馬がな」

 

 

ノゾミミカドside

 

 

パドックでは俺を含めた10頭の馬たちがそれぞれ引かれていた。G2しかも皐月賞のトライアルレースという訳なのかこの間の朝日杯にも負けないくらいの覇気のようなものを彼らから感じ取れる。

取れるんだけど…

 

『な、なあミカド。俺こんなレースに出ちゃって大丈夫なのか?滅茶苦茶場違いの気がするんだけど……』

『落ち着けアミーゴ。お前がここにいるのはこのレースで走る資格を持っているという事なんだ。少しは堂々としていろ。空気に呑まれたら実力を発揮できなくなるぞ』

『そうは言っても〜』

 

俺の前で引かれているこいつは場の雰囲気に呑まれていた。こいつは同じ厩舎の同期である『キタサンアミーゴ』。冠名の『キタサン』で分かる通り、後に通算獲得賞金がJRA歴代一位の座に輝く『キタサンブラック』と同じ馬主さんが所有している馬です。

こいつは実力はあるんだけど、色々とマイナスの方向に考え込む質でそれが原因で小さいミスを犯して負ける事が今までのレースであったらしい。

 

『前みたいな負け方したらご主人や川地(かわじ)さんに迷惑かけちゃうよぉ〜どうしたらいいのか教えてよぉ〜』

『堂々としていろ、泣くな、自分に自信を持て、勝てたらお前のことを大切に思っている人が笑顔になるだろうからそれをひたすら考えろ、ネガティブになるな、以上』

 

考え方を悪い方向に向けすぎなこいつには逆にポジティブなことを考えさせればいい。

そうしてアミーゴの対応をしていると見知った顔の奴がいた。

 

『あれは…セイウンワンダー?』

 

少し離れた場所に朝日で激闘を繰り広げたセイウンワンダーが居たのだ。

 

(そう言えばアイツもこのレースに出ていたっけ…)

 

大分薄れてきている前世での記憶を引っ張り出し、セイウンワンダーを見た。アイツは既に俺に気づいていたようでやっと気づいた俺に呆れながらも頭を少しだけ下げて挨拶してきた。俺も慌てて頭を下げて挨拶を返す。

挨拶に行かないのかって?アイツと俺の馬番は少し離れているから隊列を乱すわけにはいかないから行きにくいしな。

 

そして俺たちはそれぞれの騎手を背に乗せ、パドックからコースに移動した。

三度目の中山競馬場…200の距離を破った芙蓉S、G1の空気に触れた朝日FS、そして今日は中距離2000という壁を乗り越えるための戦いだ。

 

『大丈夫だ。俺なら行ける』

 

一人で精神統一みたいなことをしているとセイウンワンダーが近づいて来た。

 

『随分集中しているね、ノゾミミカド』

『……セイウンワンダーか。そりゃあな…俺にとっちゃこのレースはこれから先の未来を決める挑戦だからな』

『挑戦か…確かに距離2000は僕ら競走馬にとって一つの分岐点だ。走る事が出来ればステイヤーとしての可能性が生まれ、逆に走りきれなければその道は断たれる。勿論ここで決めてしまうのは早計かもしれないが一つの決断する材料にはなる』

『だな…でもな、俺は絶対この先に存在する距離を走りたいんだ』

 

テキや望さん、北山牧場の皆が俺に託してくれている願いや望みの為に、そして俺自身の望みを叶える為にも…

 

『まあ、熱くなるのは構いません。しかしノゾミミカド、そして後ろに隠れている栗毛の君』

『えっ僕もですか!?』

 

俺と何故かアミーゴにセイウンワンダーは何かを伝えようとしてさっきよりも真剣な声で話だす。

 

『今回、一番人気はノゾミミカド、君だけど…僕よりも高い評価をもらっている馬がいることを忘れていないか?』

 

 

『既に重賞二連勝し…』

 

 

途端、俺たちは背後からただならぬ気配を感じ取った。

 

 

少し前のパドックにて

 

「鞍上には大ベテランジョッキーを乗せた…」

 

 

 

『「今レースで注目の最後の一頭』」

 

 

アミーゴはビビり背後を見ようとしない。俺はゆっくりと後ろを振り返った。

 

 

『8枠10番、ロジユニヴァース。二番人気ではありますが一番人気のノゾミミカドとオッズを分けての2.8。前走のラジオNIKKEI杯2歳Sにて、後方に四馬身の差を着けて圧勝を飾りました。馬体重は4kg減り、500kgとなりました。鞍上は前走から変わらず横谷典洋(よこやのりひろ)です』

 

 

ブエナやセイウンワンダーにも負けない、覇気を放つ、一頭の鹿毛の馬を…




紹介

キタサンアミーゴ 3歳
父:フジキセキ 母:アドマイヤハッピー 母父:トニービン

皆さんご存知「まつり」のあの方の会社が所有する競走馬。差しと先行を使い分ける器用な馬だが気性の問題であまり実力を本番で発揮できない。
ミカドと同じ厩舎で偶に話す仲。
自信が持てず、ネガティブの方向に物事を考えてしまう。

この馬は後々騎手が落馬した状態で二着に入るという器用なことをやってのける変わった馬です。
元々は違う方が落札した馬だったのですが紆余曲折あり大◯商事の馬になったようです。
作者は調べてて結構好きな部類に入る馬です。その分最期を知ったときは…

因みに今回サラッと出て来たモブ二人は次回紹介します。

評価やコメント、お気に入り登録を是非。それと誤字脱字やここおかしいと思った方がいれば知らせてくれると大変嬉しいです。それでは。

ナイスネイチャ産駒は引退or現役?

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