次回はまた小話みたいな回を出そうと思っております。
皐月賞は副賞ワイドが当たってなんとか二倍近くになって勝ちました。
やっと黒字です…
「え〜それでは、見事皐月賞を制しました福長雄一ジョッキーです。おめでとうございます!」
「ありがとうございます」
勝利騎手インタビューに福長は笑いながら答える。
「今回の皐月賞は福長ジョッキーにとって初制覇となりますが今どのようなお気持ちでしょうか?」
「そうですね……非常に嬉しい気持ちでいっぱいです。やっとクラシックの一つを勝つことができたのでこれからも邁進していこうと思っています」
「ノゾミミカド号はレースでずっと先頭に立っていましたが今日はどのような感じだったでしょうか?」
「ノゾミミカドは、今日は結構気合が入っていました。パドックにいた時から覇気を出していて今日のレースはいい線行くんじゃないかなと感じましたね。非常に賢い馬でもありますし、こちらの指示を理解して走ってくれますから今日もいい走りをしてくれました」
「最後の接戦で2頭に並ばれましたが、結果が出た時どの様な心境でしたか?」
「結果が出るまでは気が気じゃなかったですね。掲示板に番号が出て、勝った!と思ったらノゾミミカドがあの様に暴れたでしょう?だから勝利の余韻に浸ることはできませんでしたよ」
周りから少しだけ笑い声が上がる。ノゾミミカドがテイオーステップで弾みながらターフを回っていたのは端から見れば、ミカドが奇行をしたぐらいにしか見えない。乗っていた本人は落馬する覚悟をしていたが…
「ありがとうございました。以上、福長ジョッキーでした」
その後、写真撮影を行い(ミカドはカメラ目線で決め顔)、ミカドを含めた一同は中山競馬場を後にした。
「雄一!よくやってくれたな!」
「福長さん、ありがとうございます。G1勝利なんて…何年ぶりかな…」
「松戸さん、駒沢さん、ありがとうございます。ミカドが最後まで走り切ってくれたおかげですよ」
松戸厩舎に帰って来た一同は、お互いを称え合いながら、今後のレースにむけての方針を話し出す。
「現状、ミカドはクラシック路線を進むことは確定しています。我々が決めることは大きく分けて二つ」
松戸は指を1本挙げる。
「一つはこのままダービーに直行すること。ミカドは今回のレースでまた一皮剥けましたし、2400の距離も余裕で走りきることが出来るでしょう」
もう一つは、といいながら2本目の指を挙げる。
「トライアル競争である『青葉賞』に出走することです」
「青葉賞…ですか?」
『テレビ東京杯青葉賞』、通称『青葉賞』は日本ダービーのトライアルレースに認定されているレース。
「まず、何故青葉賞かというとミカドにコースを覚えさせることです」
「確かにミカドは府中のコースを走ったことはない…」
「今までは中山でのレースが殆どでしたからね。ミカドが勝てて来れた要因の一つもそれがあったでしょう。しかし、次はアイツにとって未知の世界です。100%の実力を発揮させることができない可能性があります」
なら、と駒沢が声を出そうとした時、松戸は手を前に出しそれを遮る。
「しかし、ミカドを短い感覚でレースに出しすぎると今度はアイツの体がもちません。アイツはレースに出るたびに限界を超えようとする勢いで全力で走ります。今は大きな問題は起きてはいませんが、これからどうなるか分かりません」
テイオー産駒は故障が多い。そう言われているがミカドは今のところ問題はない。しかし、油断をしていると故障という悪魔は一気に襲い掛かってくる。
愛馬を勝たせるために下積みをさせるか、故障させないために直行させるか…
駒沢は悩みに悩んでいた。
(今まで僕が買った馬の大半は故障を起こしたことはない。フェニックスもラインも、ナチュラルだって…その丈夫さが取り柄だ。けどミカドは違う。今までの馬の中で一番気を使わないといけない血統でもあるんだ。けど無敗で三冠を狙うのであれば、不安要素を残しておくのは危険すぎる…ミカドは間違いなく強い馬だが…)
悩んだ末に駒沢が選んだのは…
「松戸さん」
「はい」
「福長さん」
「ええ」
「ミカドは……
ダービーに直行させます…」
ダービーを選んだ。
「理由を聞いても…?」
「一番は無理をさせたくないということですね。動物福祉を仕事にしている身としては、無理をさせて故障や予後不良を起こして欲しくないのがあります。人間のエゴでやっている事ですが、少しでも動物たちが生きていて良かったと思えることがしたい。ミカドは多分、走ることが好きなんです。一人で走る事ではなく、ライバルたちと走ることが…だからミカドが好きなことを私の判断だけで奪いたくない…!少しでも長く走っていて欲しいんです」
力強く、そう答える駒沢に対し、二人は頷いた。
「わかりました。ミカドはダービーに直行、ダービーに向けての調教を始めます」
「府中は何度も走ったことがありますから、コース取りは任せて下さい。まあ、私自身、まだダービーをとったことがないのですが…」
「雄一それは言わない方がいいだろう!俺も騎手時代はもっぱら障害だったからダービー獲ったことはねぇけどよ!」
「松戸さんもですよ!」
ハハハハッ!!
三人の笑い声が厩舎の中に響き、男たちは決意する。三人で優駿のタイトルを彼にプレゼントしようと。
『ブッエックション!!!!誰か俺の噂でもしてんのか?』
アンケートを取ります。
ミカドに関わらせてみたい馬を作者的にピックアップしました。今週末まで応募取りますので興味がある方は是非。
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