ウマ娘編で弟くんはまだ出しません。何故かって?名前まだ決まってないから…
『あの感じ、間違いない。まさか実の弟までもがな…』
俺ノゾミミカドは療養として帰ってきた故郷で弟が転生者であるということを直感的に理解した。
『取り敢えず母さんの方に行くか…』
先ずは行動だ。母さんを介してアイツに接触しよう。
『母さん!』
『うん?ミカド?あなた帰ってきていたの?』
母さんは俺の姿を見て驚いていた。俺の使っている馬房と母さんが使っている馬房は少し離れた位置にあって、建物の構造上、母さんの場所から俺の場所は死角になって見えないからな。
『昨日だよ。無理して治療して現在療養中です』
『なっ!?故障したの!?大丈夫なの!?どこか痛む!?無理はしていない!?』
『大丈夫だって。治療は終わったし、獣医の先生からは安静にしていれば問題ないって言っていたし』
『例えそうだとしても息子を心配しない母親がどこにいるというの!?…でも無事でよかったわ…』
安堵のため息を吐く母さん。本当に俺のことを心の底から心配してくれている。俺は間違いなく幸せものだな…
『か、母さん…お、終わった……よ……』
そうしていたら弟が息切れしながらこちらにやってきた。母さん…生まれて数ヶ月の息子に少しスパルタ過ぎでは…?
『あ、あれ?あなたは…』
『よう、俺はノゾミミカド。お前の半兄に当たる馬だ。よろしくな』
『えっぇえと…俺はその…まだ名前はなくて…厩務員さんたちからはボーって呼ばれます』
ちょっと緊張しているかな?まあ、いきなり兄を名乗ってくる馬がいたらそりゃ戸惑うよな。
『じゃあ、ボーって呼ばせてもらうな。母さん、少しボーと話したいことがあるんだけど席を外してもらってもいいか?』
『……分かったわ。ボー、終わったら私の方にまた来なさい。いいわね?』
『う、うん。分かった』
母さんは何かを察したのか、直ぐに俺らから離れて行った。
『えと、兄さんって呼んだ方がいいですか?』
『ん?呼び方は別に何でもいいぜ。あと敬語も無しだ。先輩ならともかく、血の繋がった兄弟なら敬語はいらないだろ?』
『う、うん。分かったよ。兄さん』
そして俺は早速本題に入る。
『ボー。単刀直入に言う。お前は、『転生者』だよな?』
『!!?』
『何で分かったのか、って顔してんな。答えは簡単。俺も転生者だからだよ』
『えっ!?』
『お前を見た時に一瞬で分かったよ。先輩たちが変わった奴って言った意味もわかった。馬から人間のような気配がすればそりゃあ違和感ぐらいは覚えるわな』
人間に大なり小なり関わっていた馬ならその違和感に気づくだろうが、あくまで普通の馬ならそこまでしか気付けない。その気配を完全に感知できるのは、俺のような人以外に転生した転生者とある程度そこら辺に理解があるものだろう。
後者に該当するのは母さんだ。母さんは俺の事情をある程度理解しているから今回もそのケースだと言うのをわかっているはずだ。
『兄さんも、転生者…』
『おう。兄弟揃って転生馬ってことだ』
俺が笑うとボーも釣られて笑う。一先ず、ファースト・コンタクトは大成功ってとこかな?
『先ずは、お前の現状確認だな。お前は自分が置かれている状況をどれくらい理解している?』
『えっと…馬に転生して、将来的には競走馬になるってことかな?』
『血統は?』
『血統?なにそれ?』
……えっちょっとまって。
『ボー、お前前世で競馬やったことある?』
『えっ、無いよ。テレビでやっていたら暇つぶしに見ていたぐらいで馬の名前とかも全然。レースもダービーと有馬ぐらいしか知らない』
OH……
マジかぁ〜…競馬知識ほぼゼロ。コイツの世代を考えると、ちょっと…いやかなりヤバイぞ。
『ボー。よく聞け。お前は現在非常にやばい状態にある』
『えっなになに怖い怖い』
『お前がデビューするのは2011年の後半からその翌年の3月ぐらいの期間だ。そしてその世代はな、魔境何だよ』
『魔境?』
そう、芝・ダート、短マイル中長の全ての距離、国内海外において、あらゆる人々の記憶に衝撃を刻んだ世代。
『12世代。通称ゴルシ世代だ』
『何それ?』
『お前の世代は、重賞って言うランクが高いレースに勝つことすら難しくなる世代なんだよ』
【鬼の貴婦人・ジェンティルドンナ】
【世界一の称号・ジャスタウェイ】
【盾の怪物・フェノーメノ】
【挑み続けた女王・ヴィルシーナ】
【抜山蓋世・ホッコータルマエ】
【遅咲きシンデレラ・ストレイトガール】
『クラシック、古馬全てにおいてこの世代はレベルが高い。俺も長く走ればこの世代のやつと走るだろうな』
『いや、なんか二つ名からしてヤバそうなのいるんですけど、何俺こんな奴らと戦うの?』
『アホ、まだ一番肝心な奴を紹介していねぇよ』
『えっこれよりヤバいのまだいるの?』
曰く、人の言葉を理解していた。
曰く、本気で挑んだレースもあるが全力を出さなかった。
曰く、良くも悪くも人々は彼に夢中になった。
競馬界において、奴は破天荒で、気分屋で、全てを魅了させるエンターテイナー。
競馬において当たり前なこと、『絶対の無いギャンブル』を再認識させたハジケリスト。
『【黄金の不沈艦・ゴールドシップ】。お前の世代の代表する名馬となる存在だ』
『ゴールドシップ…』
『更に一つ上には【激情の三冠馬】と言われた奴がいるし。下にも安定した成績を残した馬が多い。間違いなく荒れるぞお前が走っている期間』
『お腹痛くなってきた…』
まあ、その後『平成最後の怪物』というやつが出てくるけどこれは黙っておこう。一緒に走るか微妙だし…
『とにかく、お前はそんな奴らと走るんだ。母さんのしごきはありがたく受けていろ。お前の体の無理ない範囲で鍛えてくれているんだからな』
『あれ無理ない範囲だったんだ…』
って、話が脱線した。血統だよ血統。
『で、お前の血統の話だけど…』
『あ、確かにそんな話だったね』
『俺たち競走馬は父・母・父父・母父とかから距離、脚質、芝かダートかを割り出すんだ。俺なら父トウカイテイオー、母ルイシエル、父父シンボリルドルフ、母父ミホノブルボンって感じで、マイル〜中距離、逃げ〜差し、芝、みたいに予想するんだ』
『後半全く耳に入ってこない』
『とにかく、聞いていないか?誰の産駒かって』
う〜んと唸りながら頭を捻るボー。10秒ぐらいしてハッとした顔をして話し出す。
『そういえば厩務員さんが俺のことをキングヘイロー産駒って言ってた気がする』
『へぇ〜キングヘイロー……キングヘイロー!!?』
キングヘイロー
黄金世代と呼ばれた98年世代を代表する一頭。俺の相棒である雄一さんが主戦騎手をしていた競走馬だ。
『キングヘイローか…コイツは色々と…』
『えっなになにヤバいの?俺の父親そんなにヤバいの?』
『超優良血統で産駒も優秀な馬も何頭かいるからいい意味でヤバイ』
にしても…終わったと言われた帝王の仔の半弟が、不屈の塊と言われた王の仔とはな…
『お前の親父さんはプライドが高くて、我儘で馬群に突っ込むのが嫌で、いいところまでは行くけど勝ちきれないレースがある馬だったよ』
『滅茶苦茶クセ馬じゃん』
『でも負けても諦めない馬だった』
『?』
『負けても負けても諦めず、距離を変え、様々な試行錯誤をしながら、遂に目標だったG1勝利を掴み取ったんだ。そのことから、『不屈の塊』と呼ばれるようになったんだ』
キングヘイローの血統は優秀だ。癖は多かったがかなり高い才能を持っていて間違いなく一流の実力を持っていた。けど同時に、彼が走った時代も才能が高い競走馬が多かった。
そして、俺の弟はそんな馬の産駒。
『もう一つの黄金世代と呼ばれたあの世代に、黄金世代を駆け抜けた不屈の王の後継者が走る。いいドラマになるんじゃねぇか?』
まあ、先ずは色々と教えないとな…
『俺の前世の知識をお前に色々と教えてやるよ。絶対この先お前のためになる』
『あ、ありがとう兄さん!』
『おう。じゃあ母さんのところに行って来い。母さんからも色々学んで、強くなれ』
そう言って俺はボーから離れた。今の俺は走ることは出来ないからそこは母さんや先輩方に任せよう。俺がアイツに今できるのは、前世から持ってきた未来の情報を教えてやること。
『かわいい弟のためだ。少しぐらいはお兄ちゃんムーヴしても大きなバチは当たらねぇだろ?』
弟くん改めボーからみた登場キャラたちの印象。
母ルイシエル
厳しいけど同時に自分のことを良く見てくれて大切にしてもらっている。
兄ノゾミミカド
同じ転生者。母に次いで信頼している頼れる兄。
ノゾミフェニックス・ノゾミライン
近所のおじさんのような感覚。色々知らないことを教えてくれて尊敬の対象…
ただし、シエルにボコられているのを毎度見ているため残念枠。
厩務員ズ
世話をしてくれている人たち。それだけ。
「「なんで!!?」」
他から見たボーの印象
母ルイシエル
ミカドと同じ転生者だと言うのを理解している。変わったところがあるけどそれでも自分が産んだかわいい子ども。厳しくも確かな愛情を注いでいる。
兄ノゾミミカド
同じ転生者で仲間が出来たと喜ぶと同時に、同世代で走る化物たちに次いていけるか心配になっている。マザコンに続きブラコンの称号も獲得。
ノゾミフェニックス・ノゾミライン
少し変わっている奴だけど見どころありだと思っている。取り敢えず横にいる奴みたいにならないで欲しいと互いに思っている。
厩務員ズ
作者が考えるの面倒になったから、一般的な厩務員たちとほぼ変わらない。
「「真面目に考えろ!!!」」