紡がれる『帝』の血脈   作:シントウ

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今回は短め。
弟君はまた次回以降掘り下げます。
取り敢えず療養編は予定ではあと2回分です。

追記
タイトルがおかしかったため変更しました


ノゾミの古株/長距離の申し子

『フェニックス先輩、ライン先輩。俺にスタミナを保って長距離を走るコツを教えて下さい!!』

『いきなりすぎるわ』

『言っていることは分かりますが突然すぎですよ』

 

俺ノゾミミカドは現在、ノゾミの先輩方から長距離のコツを聴こうとお願いしている。

 

『この牧場で長距離走っているのは先輩たちぐらいしか俺知らないんで、お願いします!!』

『いやそもそも馬選ミスだろ』

『フェニックスは現役時代は無尽蔵とも言えるスタミナでゴリ押ししていただけですし、僕は有馬よりも長い距離は適正外で走っていません。菊花も視野に入っていたみたいですけどその時酷いコズミで断念しましたし』

『そ、そんな…』

 

悲報:先輩たちから何も得られず…

 

『あ〜でもライン。あのじいさんいるよな。この間帰って来た』

『…ああ、確かにあの方であれば、今のミカドくんにぴったりですね』

『えっ?なんの話してんですか?』

 

先輩たちの会話の内容を上手く理解出来ない。て言うかなんでライン先輩は青い顔してんだ?

 

『ミカドは会ったことはなかったな』

『仕方ないでしょう。あの方は普段はここには居ませんし、彼が競走馬になる時までは接点はありませんでしたから…できれば僕もあんな接点があったならできれば会いたくなかったです…』

『ライン先輩、マジで何があったんですか?会話の内容的に誰かに会うんでしょうけど、誰に会うんでしょうか?』

 

息ぴったりで2頭は言う。

 

『『ノゾミの馬で『長距離G1』を制した馬です(だ)』』

 

 


 

 

さてここで一度俺たち『ノゾミ』の馬たちのことを説明しよう。

 

『ノゾミ』は駒沢望さん、厳密には駒沢さんの会社が馬主の馬たちに与えられる冠名であり、俺を含め現在20頭以上の馬がいる。元々は望さんの父親がノゾミの名を使っていたけど、父親が望さんが30代の時に急死、会社を継いだ望さんはお父さんの馬たちを引き取った。そして会社が落ち着いてから自身も馬主になった。それから望さんは10年ぐらい馬主をしており、年に1〜2頭ぐらいの馬を買う。大体はここ北山牧場の馬(俺やフェニックス先輩やライン先輩)。3分の1ぐらいは他の牧場から買った馬(ナチュラル先輩はこれにあたる)。

 

そしてノゾミの馬の評価は『弱くはないが強いと言う訳でもない』と言うのが多い。実際に先輩の多くはG2・G3勝利が数頭、後は条件戦やOP戦止まりが殆どだ。

 

その代わりにキャラが濃いのが多く、大体有馬や宝塚の投票には上位に入るぐらいファンが多い。

 

だけど、そんなノゾミの馬にもG1を勝った馬が確かに数頭存在する。一頭はもちろん俺。

 

そして先輩が言っていたG1勝利馬。

 

長距離、そしてノゾミ初のG1勝利馬。

 

 

『先輩方…その馬って…』

『明日、会いに行ってみて下さい。特徴は黒鹿毛で右側に寄った白い流星です』

 

 

そして次の日

 

『黒鹿毛で白い流星…この馬だよな…』

 

俺の目の前にいるのは…

 

『Z〜Z〜……』

 

花提灯膨らましながら寝ているヨボヨボなじいさん馬だ。

 

(この馬じゃないよな?数少ないノゾミのG1馬がこんな馬なんて。でも先輩は同じ放牧地にいるからって言っていたから特徴に合う馬はこのおじいさんしかいないし…)

 

取り敢えず、起こすか…

 

『お〜い。おじいさぁ〜ん。起きてくれ〜』

『Z〜Z〜Z〜』

『あの〜起きて欲しいんですけど〜』

『Z〜Z〜Z〜』

『すんません、聞きたいことが…』

『Z〜Z〜Z〜』

『……ダメだこりゃ』

 

完全に夢の世界に旅立っているよ。無理に起こすのもアレだし、今回は諦めるか…

俺がそうして踵を返そうとした。

 

『小僧』

『ん?』

 

声を掛けられ、振り返る。そこには…

 

『俺に、何かようか?』

 

先ほどまでとは考えられないほどの覇気を纏った件の馬。

 

『……っ!?』

 

思わず後ろに下がりそうになったがそれをグッと堪える。直感的に退がったらダメな気がしたんだ。

 

『ほぅ…俺の覇気を喰らって退がらなかったか…若いのは大抵退がっちまうんだがな』

 

一歩ずつ俺に近づいてくるその馬はさっきまでのヨボヨボ感はもうない。

 

『あ、あんたがノゾミで長距離G1を制したことがある馬か?』

『いかにも。ラインとフェニックスから俺の話ことを聞いたな?』

『は、はい。俺はノゾミミカド。お願いします。俺に長距離の走りを教えてもらえないでしょうか?』

 

この馬が先輩たちが言っていた…

 

『ほう…小僧、ノゾミのものか?そして俺から長距離の走りを学びたい?カカカっ、面白い小僧だな。ラインやフェニックスは現役でもそんなことしたことはなかったぞ。気に入った。この俺、『ノゾミレオ』がお前のことを試してやる』

 

ノゾミレオ

 

主な勝ち鞍

1989年菊花賞

 

眠れる獅子が再びその瞳を開いた。




名前:ノゾミレオ
年齢:23歳
生年月日:1986年4月15日
性別:牡馬
毛色:黒鹿毛
血統:父・カブラヤオー 母・ヒメミヤビ(架空馬) 母父・ノーザンテースト
成績:17戦6勝 2着1回 3着1回
距離:短G マイルC 中A 長A
脚質:逃げC 先行A 差しA 追込みG

主な勝ち鞍
1989年菊花賞
1990年阪神大賞典

現存するノゾミ系の古参の元競走馬。駒沢氏の父が馬主だったが現在は駒沢氏が馬主になっている。
性格は陽気で細かいことは余り気にしない。普段は歳のせいか寝ていることが多い。しかしレース関係の話になると現役よりは衰えたが若い馬ならビビってしまう覇気をまだ出せる。
怪物たちに挑み続けたが一勝もできなかったのが唯一の心残り。その為、怪物に似ているラインを初めて見た時、間違えて勝負を挑んだ。(ラインはこのことがトラウマで余りレオには会いたくない)
因みに北山牧場産の馬ではないが、元々いた牧場が不景気で潰れたため現在余生を北山牧場で過ごしている。
普段は縁側で日向ぼっこをしながらお茶を飲むおじいちゃんみたいな馬。幼駒たちからもおじいちゃんと呼ばれている。
因みに血統的に長距離走りそうにないが2400を負けはしたが消耗が少なかったため走らせたら勝った。

多分こいつより年上のノゾミの馬はでないと思います。と言うか当分新しいノゾミの馬は出さないつもりです。
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