紡がれる『帝』の血脈   作:シントウ

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今回は彼の『血統』の話です。
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この物語はフィクションです。登場する人物・団体名は架空のものであり実在するものとは関係ありません。



帝の決意/その『血』の価値

馬に転生してから1日が経ち、一先ず落ち着いた。

あん時は自分の今の状況が理解出来ず、母親やおっさんズにかなり心配されたが1日経てばまあ、落ち着いた。

 

「大分落ち着いたか?」

「みたいですね、生まれて数分でデカい声で鳴いたりして、どうしたんだろうと思ったんですけど、大丈夫そうですね」

 

俺の前で会話しているのは生まれた時にそばにいたおっさんのウチ2人、最初に話したのがこの牧場の経営者であるキタヤマさん。もう一人が従業員のタクヤさん。あとタクヤさんはおっさんじゃなかった。どう見ても20代だわ、ごめん。

 

「何か、今誰かに謝られたような…?」

「何言ってんだお前?」

 

ホントナニイッテンダロウネー

 

ここはキタヤマさんが経営する牧場でキタヤマさんのところは昔から競走馬を生産している牧場らしい。耳を澄ませると他の馬の声が聞こえる。馬に転生したせいか、馬の言葉も分かるし体の使い方も問題無い。この辺りは本能で解んのかな?

 

そんでもう一回自分の姿を確認。

・鹿毛又は黒鹿毛のサラブレッドの牡馬

・左前肢以外の脚の先は白い毛で覆われている

・尻尾は真っ黒い色

・顔は額に白い流星が縦に一本入っている(タクヤさんが撮った俺の写真をこっそり見て確認)

 

こんな感じか。にしても最近流行りの転生を自分が体験するなんてな。サラブレッドなら俺も将来的には競走馬になるのかな?血統とかどんな感じなんだろう、良血統が良いなぁ…てか今何年だ?

 

「でもホント、無事に産まれてくれてよかったですね。この子が『あの血統』の最後の希望になるかもしれないんですからね……」

「ああ、コイツにそんな重荷を背負わせたくはねぇが、重賞、出来ればG3までは行ってほしいな」

 

『あの血統』?俺の親ってもしかして結構良血統なの?でも最後の希望ってどういうことだ?

 

「買い手が付けば良いですがね。あの馬自体の実力はすごいですけど、産駒は親に比べたらイマイチな結果が多いですし、そのイメージで買い手が付かなかったら……」

「やる前からウジウジすんな。他所は他所だ、他の奴らがそうだったからってこいつもそうとは限らない」

 

ほうほう、つまり俺の親、多分父親が凄かったけど、その2世たち、つまり俺の兄や姉が周りが期待する程の結果を出せなかったから下手したら俺もパッとしない成績、最悪買い手が付かないと思われてるのか。まあ、親が優秀だからって子が同様に優秀とは限らないからね、仕方ない仕方ない。で、俺の父親って誰なの?さっきからめっちゃ気になってんだけど。

 

「まあ、そうですけど。それでもプレッシャーがすごいですよ。なんせあの『皇帝』の孫で『帝王』の子供なんですから」

 

…………えっ?

 

「気持ちは分かるが、気負い過ぎるなよ。俺たちの仕事はこいつを無事に育て切ることなんだからな」

 

ちょっと待って………

 

俺って『トウカイテイオー』産駒なのっ!!??

 

 

 

 

 

 

 

トウカイテイオー

1988年生まれの競走馬。生涯成績は12戦9勝。

日本競馬史上初の無敗のクラシック三冠馬、『絶対なる皇帝』と呼ばれた『シンボリルドルフ』の初年度産駒であり、関係者からは大いに期待されていた。その期待に応えるようにテイオーは新馬戦を勝利。その後のレースでも連戦連勝、クラシックに入ってからも『皐月賞』、『日本ダービー』を勝利し最後の一冠『菊花賞』も期待されたがダービーの後に骨折が発覚した。結果、菊花賞には出走できず一年間の療養期間に入る。

その後、復帰レースでは余裕の圧勝。『天皇賞・春』にて当時最強のステイヤーと呼ばれた『メジロマックイーン』と戦うが距離適性が合わず敗北。その後も骨折を繰り返し、実質引退レースとなった1993年の『有馬記念』、364日ぶりのレースにて、その年の菊花賞レコードを叩き出した『ビワハヤヒデ』、ダービー馬『ウイニングチケット』、黒き刺客『ライスシャワー』、前年の有馬記念の覇者『メジロパーマー』など多くの強敵が出走、テイオーが勝てるとは思えない。この時多くの人が思っていた。

しかし…………

最後の直線、誰もが目を疑った。先頭を走るビワハヤヒデの直ぐ後ろにトウカイテイオーが居たのである。少しずつ少しずつ、ビワハヤヒデとの距離を縮ませ、追い抜き勝利した。この時アナウンサーはテイオーがゴール板を抜ける時に驚きと歓喜の感情を乗せこう言った。

 

『トウカイテイオー、奇跡の復活っ!!!!』と。

 

あまりの強さから『絶対がある』と言われた父ルドルフに対し、テイオーは逆に栄光と挫折を繰り返し最後の最後に奇跡を掴み取った事で『絶対は無い』と証明した。

 

 

 

 

 

 

 

それが俺の今世の父親、トウカイテイオーだ。けど、さっきタクヤさんが話した通り、テイオー産駒は周りが期待する様な成績をあまり残せていない。G1レースに出走して勝った奴もいるけどそれも片手で余裕で数えられるぐらいだ。

それは心配になるよな、他の産駒が周りが期待するほどの成績を残せていないことから、テイオーの血は既に終わった、テイオー産駒は走らない、なんて言われているし…

 

でも……

 

何勝手に終わらせたことにしてんだよ。他の産駒だって頑張ってんだぞ。G1勝っているんだぞ。普通の、殆どの競走馬が上がれない舞台に立った奴だって居るんだぞ。

 

『俺が、終わらせない。帝王の血を、終わらせてたまるか』

 

俺がなんで馬に転生したのかは分からない。だけど、好きだった馬がここまで言われてんだ。そして俺はその産駒だ。見ていろ、俺たちテイオー産駒が終わった血って言った奴ら。俺が父さんたちが叶えられなかった夢を、その時の多くの人の望みを叶えてやる。

俺は『絶対』を許されたあの『皇帝』の孫で、『絶対』を何度も覆した『帝王』の子だ。やってやるよ。

 

あっ因みに今はディープインパクトがバリバリ現役みたいなので大体2006年ぐらいだった。そして我が母はミホノブルボン産駒だった。




母父は下書き段階で2回は変えました。この年代で引退した牝馬がいそうなのがブルボン産駒しか思いつかなかったので…
テイオーの脚の脆さをカバーするには頑丈そうな母父がいたら良いなと思い、ブルボンは坂路調教で叩き上げられた馬ですし、頑丈なイメージがあったので…
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