紡がれる『帝』の血脈   作:シントウ

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中途半端ですが前編です。
後編も制作中なのでお楽しみに


帝の三冠/京の菊花 前編 菊花賞(G1)

菊花賞

 

数多の馬たちがその長く険しい距離に挑んだ

 

『鉈の切れ味』

神馬

シンザン

 

『タブーを起こした千明の風雲児』

鬼の末脚

ミスターシービー

 

『絶対が許された最強の皇帝』

皇帝

シンボリルドルフ

 

『菊の季節に桜が満開』

桜星王

サクラスターオー

 

『メジロが生んだ最高のステイヤー』

名優

メジロマックイーン

 

『平成の世に現れた傷なき三冠馬』

英雄

ディープインパクト

 

さあ、世代最強を決めようではないか

 

枠番馬番馬名人気
1枠1番スリーロールス9番人気
1枠2番シェーンヴァルト13番人気
2枠3番フォゲッタブル8番人気
2枠4番トライアンフマーチ14番人気
3枠5番アンライバルド3番人気
3枠6番ノゾミミカド6番人気
4枠7番ヤマニンウイスカー12番人気
4枠8番アントニオバローズ11番人気
5枠9番リーチザクラウン1番人気
5枠10番キングバンブー17番人気
6枠11番セイクリッドバレー15番人気
6枠12番セイウンワンダー 7番人気
7枠13番キタサンチーフ18番人気
7枠14番イコピコ2番人気
7枠15番ポルカマズルカ16番人気
8枠16番ナカヤマフェスタ4番人気
8枠17番アドマイヤメジャー5番人気
8枠18番ブレイクランアウト10番人気

 

 


 

 

菊花賞当日 京都競馬場

 

『雲が広がる空の下、ここ京都競馬場には多くの観客が集まりました』

 

俺ノゾミミカドは今、京都競馬場のパドックで卓矢さんに引かれながら回っている。

脚の調子は問題ない。やる気も十分。体も引き締まっている。後は全力で走ればいいだけだ。

 

 

『6番、ノゾミミカド。骨折から驚異的な回復力で菊花賞に出走。人気は6番人気と今までに比べ控えめになっています』

『骨折明けの初レースですからね。不安な部分がありますし、むしろこの順位は充分凄いと言えます。見事勝利できれば、無敗三冠の称号を手にすることができますので好走に期待したいですね』

 

 

パドックで見たことある奴ら、初めて走る奴らの姿を見て俺は戦慄する。全員この日に掛けてかなり鍛え抜いているからだ。気を抜けば、俺はドベもあり得るぞこれ…

 

 


 

 

『ノゾミミカド。大丈夫なのか?』

『セイウンワンダー 、心配すんな。獣医からのお墨付きだ』

『だがろくにトレーニングもできていないだろう。本当に…』

『心配すんなって。そもそも勝つ気がなきゃここにはこねぇよ』

 

返し馬でセイウンワンダーが俺のことを心配して話しかけてくる。意外とコイツ心配性なのか?

 

『だがそうだとしても、僕らは万全の状態じゃないお前と戦って勝ったとしてもそれは自分の実力じゃない、お前が万全ならと言う言葉が必ずついてくる。そしたら…』

『セイウンワンダー、いやワンダー』

『?』

 

『さっきから言ってんだろ。俺は勝つ気があるからここにいるんだ。それに俺はここまで無敗の二冠馬だぜ?これぐらいハンデみたいなモンだよ。それともなんだ?お前はこんな状態の俺に負てもいいのか?』

『そんなわけっ!!』

『だったら言い訳なしでかかってこい。少しでも油断すれば、俺は容赦無くお前ら全員を置き去りにして勝つ!』

 

この言葉でワンダーは一瞬目を見開き、そして直ぐにいつもの真剣な雰囲気に戻る。

 

『…すまない。君のことを甘く見ていた。そうだな…この世界に容赦という言葉は存在しない。僕は必ず君に勝つ。だから恨まないでくれよ』

『その言葉、そっくりそのまま返してやるよ』

 

後はもう言葉は要らない。続きは互いの走りで語るだけだ。俺たちは返し馬を終え、それぞれのゲートの位置に移動を始めた。

 

次々とゲートに入っていく競走馬たち。俺も自分のゲートに入り、心を落ち着かせる。

 

「ミカド、いいか。今日は無理に前に行こうとしなくてもいい。お前のスタミナは怪しいからな。抑えて最終局面に備えるぞ」

 

『了解ですよ雄一さん。俺たちでなりましょう。父さんたちの悲願を…』

 

いよいよ始まる。『最も強い馬が勝つ』クラシック最後のレース…

 

 

『各馬ゲートイン完了!第70回、G1レース菊花賞……』

 

 

ガゴンッ!!

 

 

『スタートしました!!』

 

 

ゲートが開くと同時に一斉に走り出す俺たち。俺は好スタートで出ることができた。

 

『よし!後はあのポジションにつくだけだ』

 

いきなり来る3コーナーにある険しい坂を登る俺たち。意外とキツい。これスタミナが減っている時に登るの大分辛いぞ…

 

 

『各馬いいスタートを切りました。ハナを取ったのはリーチザクラウン。リードを大きく開いていく。その5馬身後ろに続くのはアントニオバローズ。更に2馬身後ろにスリーロールスその外並んでヤマニンウイスカー。その直ぐ後ろにシェーンヴァルトとアンライバルド。セイウンワンダーはこの位置で前を狙う。その直ぐ後ろにポルカマズルカ。フォゲッタブルは外行きます。三冠がかかったノゾミミカド、今日はこの位置にいます。セイクリッドバレーは1馬身後ろ。ナカヤマフェスタがそれを追う。キタサンチーフとアドマイヤメジャーがその1馬身後ろ。少し離れてブレイクランアウト。その外にキングバンブー。1馬身後ろにイコピコ。最後尾にトライアンフマーチ。こういった展開になっております』

 

 

今回の俺の作戦は『差し』。前回は出遅れたことで追込みよりの差しになってしまったが今回はちゃんと狙ってやっている。

理由は勿論、スタミナを最後の方にまで残しておくこと。アクシデントだったとは言え、俺に差しの適正が十分あることがダービーで証明されたことでテキたちは差しの作戦で菊花賞に挑むことにした。

 

『この位置だな』

『な!?なんで俺の後ろに!?』

 

そんで前にいたフォゲッタブルの背後につき、師匠直伝のスリップストリームで体力を温存。

 

「よし、ミカド。あとはひたすら耐えるんだ。文字通り、持久走と行こうじゃないか」

 

『ええ。イライラした時の素晴らしい発散方法もありますからね。このまま行きますよ!』

 

 


 

 

『先頭は変わらずリーチザクラウン。凄い勢いでスタンドの直線を通り過ぎます。大きく離れて2番手にはアントニオバローズ。後方の馬たちは追いつくことができるのか?』

 

 

「菊花賞は京都競馬場で行われる右回り距離3000という長丁場のレース。3歳馬たちのステイヤーとしての適性が問われるレースでもある」

「どうした急に」

「3歳馬たちが経験したレースの中で一番長いのは2400ほど。そこから600もの距離が延びる今回のレースは彼らにとっては本当に未知数な舞台だ。これは俺の考えだが血統、脚質、これまでの戦績、全てがこのレースでは通用するかわからない」

 

観客席ではいつも通りに翔一と一真がレースの観戦をしていた。

 

「今回のミカドの勝率は?」

「調教不足に加え、元々ミカドは血統的に長距離は不向きと言われているんだ。恐らく5割も無いんじゃないか?6番人気という人気がそれを物語っている。本来であればもう少し下がるだろうが、無敗三冠という夢をみる人たちが一定数いたということだな。お前を筆頭に」

「アハハハ……」←ミカドを軸にウン万賭けている奴

「俺も勝ってほしいけど、過去の記録を見ても短期で復帰したレースで勝てた馬なんてそんなにいない」

 

「だが同時に、可能性は決して0ではないということでもある」

 

2人の会話に割って入ってきたのは前回、2人に話かけてきた男だった。その後ろには男性2人と女性1人。

 

「あなたは、ダービーの時の…」

「いやあ〜見覚えがある人たちがいるなと思ったら君たちだったからね。隣いいかい?」

「あ、大丈夫です」

「ありがとう。みんな、ここで見られるぞ」

 

そう言って男は連れに声をかける。

 

「いや、本当に良かったです自分が腹を下したばっかりに」

「いやいや新人君、それはお互い様だよ。私なんか寝坊してみんなを待たせちゃったんだし」

「貴女はもう少し自己管理を高めて下さい。あ、隣失礼します」

 

そうして来た3人はそれぞれ、大学生ぐらいの青年、ショートカットの陽気そうな女性、眼鏡を掛けた体格の良い男性といった人物だった。

 

「あと君たち」

「「はい?」」

 

男性が翔一たちに再び話しかけ、翔一たちはそれに反応する。

 

「ミカドが勝てる可能性は確かに低いだろう。だけど彼はあの絶対を許され、絶対を覆した系譜を継ぐ馬だ。恐らくタダでは終わらないと思うぞ」

 

 


 

 

『第一コーナーを抜けて、第二コーナーに入り依然先頭はリーチザクラウン。大きく離され2番手にはアントニオバローズ。内でスリーロールスが先頭を狙う。三冠が掛かったノゾミミカドは現在10番手。ここから巻き返すことは出来るのか?』

 

 

『まだだ。まだ』

 

「ミカド…まだだぞ」

 

先頭から俺の距離は現在12馬身ぐらいの差、周りに馬は多いが抜け出せないわけじゃない。というかいつでも抜け出せるように準備している。

 

『クソっ!いつまで付いて来るんだよ!』

『いつまでだろうね〜?』

 

前にいるフォゲッタブルは完全に掛かっている。まあ、不気味について来る馬がいたら本能的に逃げたくなるだろうな。でも少しスピード出しすぎかな?そろそろ別の奴にするか。

 

「前の馬はもう無理だな。ミカド変えるぞ」

 

『さすが雄一さん。俺の事よく分かっていますね』

 

俺らはフォゲッタブルから離れ、更に前にいたポルカマズルカの後ろにつく。

 

『えっ、誰?』

『レディのケツを追っかけるのは趣味じゃないんだが…勝つために利用させてもらうよ』

『ハア…?』

 

不思議がっている彼女に少しの罪悪感を感じつつ、俺は再びスリップストリームの体勢をとる。

 

 

『向こう正面に入りリーチザクラウンが未だ先頭。このまま一人旅で終わってしまうのか?』

 

 

にしてもリーチザクラウンすげぇな。あんなに飛ばしているのに2番手との差がまだかなりある。最初の坂も物ともしない感じだったし。けど、京都はこの先が本番だ。

 

『気合い入れて行くぞ、俺!』

 

多くの名馬を苦しませた『淀の坂』はもう直ぐそこまで迫っていた。




因みにブエナの秋華賞は大まかな部分は史実と変わりありません。
変わった点は、進路妨害が無く、2着のままになっているぐらいです。
ブエナが帰って来た日は厩舎一同で慰めた(主にミカドが)。

一部抜粋

ブ『それでね、第四コーナーで前に行こうとしたんだよ』
ミ『うん』
ブ『でも外側に出過ぎて少しロスして…』
ミ『うん』
ブ『あと少しで挿し切れたんだよ…でも…』ポロポロ…
ミ『うん。惜しかったね』
ブ『うわぁ〜ん!!勝ちたかったよぉ〜!!』
ミ『よしよし、頑張ったんだね』

厩舎一同((絵面が完全に彼女慰める彼氏じゃねぇか…))

ア『あの、オーラ先輩。いいんですか?妹さん取られてますけど…』
オ『まあ、ミカドなら安心して任せられるからね。アミーゴももう少し自信持って頑張ってみなよ』
ア『善処します…』

兄は妹と後輩の関係には肯定的。

オ『だって将来的には、ねぇ…?』
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