紡がれる『帝』の血脈   作:シントウ

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今回は少し短め。次走についての話です。


帝の次走/年末の祭典

俺ノゾミミカドはこの度、無敗の三冠馬の称号を手にしました!!

 

『ミカド凄いね!!無敗で三冠なんでしょ?凄いんでしょ!?』

『勿論凄いことだぜ!もうめちゃくちゃ嬉しい!!』

 

今は松戸厩舎にてブエナと一緒になって喜んでいる。

 

というか俺ら二頭って…

 

ノゾミミカド→無敗のクラシック三冠馬

 

ブエナビスタ→牝馬二冠馬

 

だから考えてみたらクラシックを90%ぐらい一つの厩舎が独占しているんだよな…普通に考えたらえげつねぇよなこれ…

 

『そういえば、私たちの次走ってどうなるんだろうね?もうクラシックも終わっちゃったし…』

『そうだな…多分『ジャパンC』、『マイルCS』『有馬記念』が候補に上がる。お前なら『エリザベス女王杯』とかも候補に上がるな…』

 

俺は今回の菊花賞で結構な無理をした。だから出るとすれば年末最後の祭典、ファンによって選ばれた18頭が走る夢の舞台『有馬記念』。

 

『俺の次走は多分有馬だ。そしてブエナ』

『?』

『その有馬で俺たちは一緒に走ると思う』

『………えっ!?』

『有馬記念は人間が自分の好きな馬を選んでその数が多い奴が走ることが出来る年末最後の大勝負だ。俺は無敗三冠、お前は牝馬二冠だから成績も人気も申し分ない。テキたちがGOサインを出せば俺たちは確実に出れる』

 

つまり俺たちの初めての全面対決ができるって訳だ。

 

『ミカドと…走れるの?』

『ああ、G1の舞台でな』

『〜〜〜!!やったぁぁぁ!!!ミカドと一緒に走れる〜〜!!』

 

わ〜いわ〜い!!とはしゃぐブエナ。俺も内心結構はしゃいでいる。こいつと一緒に走るのは勿論、古馬という歴戦の猛者たちと走れるからだ。

 

(まあ、俺はテキたちが体のことを心配して回避させる可能性もそこそこあるからちょっと不安な部分もあるんだけどな…)

 

『ねぇねぇミカド!』

『ん?なんだ?』

『有馬に一緒に出られたらさ!また勝負しようよ!!』

 

懐かしいこと言い出したなこの娘…

 

『そう言えば、前も年末のレースで勝負しようってやったよな…けど今回は前と違って同じレースでの勝負だ。大丈夫か?お前が挑もうとしているのは今世代最強の無敗三冠の馬だぞ?』

『そっちこそ。あなたが戦うのは牝馬最強格の馬よ?牝馬が牡馬に勝てないのはもう昔の話。甘く見ていると置いて行くわよ?』

 

いうようになったじゃねぇかコイツ……

 

『だったら勝負といこうぜブエナビスタ。帝の強さを思い知らせてやるよ』

 

『ふふふ。女王の称号は決して伊達じゃないこと貴方に魅せてあげるわ。楽しみにしておいてね、ノゾミミカド?』

 

 


 

 

『あわ、あわわわわわわ……』

『ああ〜またやっているよあの二頭…新人君たちも怯えているし…というか君は震えるなアミーゴ』

『だ、だっててててて…あのののののプレッシャーをくらららららら喰らってせせせせ先輩はへへへへへ平気なんですか…?』

 

『もう慣れた。あの二頭はすぐ自分たちの世界に入っちゃうからね。アツアツだよねぇ』

 

(もしかしてオーラ先輩って結構な大物?)

 

*アドマイヤオーラは史実でも同世代で唯一あの『ウオッカ』と『ダイワスカーレット』に先着した事がある中央競馬重賞3勝馬です。

2007年 日刊スポシンザン記念 G3 一着アドマイヤオーラ 二着ダイワスカーレット

2008年 京都記念       G2 一着アドマイヤオーラ 六着ウオッカ

 

 


 

 

「う〜む…」

 

ミカドたちの調教師である松戸博は悩んでいた。ミカドの次走をどうするのかを…

 

「テキ、まだそんなに悩んでいるんですか?ミカドの次走?」

 

そこにミカドの担当厩務員である真司が松戸の前に現れた。

 

「悩むに決まってんだろ。無敗の三冠馬になっちまったんだ。JRAの方からもジャパンCや有馬に出てきて欲しいと言われてんだ」

「流石にジャパンCはないでしょう?アイツの脚は今一番気にかけておかなきゃいけないんですから」

「それは勿論断った。いくらなんでも期間が短すぎる。もしミカドの脚がぶっ壊れたらどう責任とってくれるんだ、っていったら黙ったよ」

 

ミカドの脚は現在、骨折までとは行かないがかなりの疲労が溜まっている。怪我明けで3000もの距離を走り、最後の直線で無茶とも取れる走りをした。また骨折をしてもおかしくないものだがコズミと疲労ぐらいで他に異常が無かったのは不幸中の幸いだったと言える。

 

「獣医の先生も調教しながらでも年末には疲労の殆どが取れているだろうから有馬には出れると言っていたしな」

「間違いなく人気投票最上位にいくでしょうしね」

 

年内のレースでリスクが限りなく低いのは有馬の一択。出るか、出ないか。それを最終的に決めるのは馬主である駒沢だが調教師である松戸の判断はその決定を大きく左右するものになる。

 

「……今日駒沢さんが来るのは5時頃だったよな?」

「えっ、はい。そうだったはずですけど?」

「なら駒沢さんの意見も聞いて決めるか」

 

数時間後〜

 

「松戸さん、お久しぶりですね」

「駒沢さん、どうも。久しぶりと言っても菊花賞から2週間も経っていないじゃないですか」

「いえ、本当ならもう少し早く来れる筈だったんですが仕事が立て込んでしまって…」

 

駒沢が厩舎に訪れ、いよいよミカドの次走についての話し合いが始まる。

 

「聞いているとは思いますが獣医の話ではミカドの疲労は年末までには問題なくなりますので有馬に出すことは可能になります。中山はミカドが一番走り馴染みがあるコースで距離も2500。菊花賞に比べれば大きな問題はありません」

「はい。ミカドに問題さえなければこちらとしてはジャパンCとかレースが近いレース以外は基本的にそちらに任せようとは思っています」

「であれば、ミカドの次走は有馬でよろしいですね?」

「ええ、よろしくお願いします。松戸さん」

「はい」

「ミカドのことを頼みましたよ。あの子が生き生きレースで走る姿を見せてください」

「……わかりました」

 

こうしてノゾミミカドの次走は有馬記念に決定した。

 

そして、あの馬たちとの最初の戦いとなる。




次回は有馬記念か掲示板回を予定しています。
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