俺ノゾミミカドは京都記念を勝利し、前々から予定していた海外のレース『ドバイシーマクラシック』に出走することが決まった。ついでにブエナも。
そして今俺は…
「…はい、問題なしっと…」
「検査はこれで以上ですよね?」
「ああ、長い間お疲れ様。」
『や、やっと終わった…』
五日間の検疫を受け、ようやく終わったところだ。
競走馬の輸送は実は色々と面倒臭い規定がある。
まずは『家畜伝染病予防法』に定められた五日間の検疫を検疫厩舎で行う必要があり、各種検査、ワクチン摂取とかがある。
*ここでミカドの検疫の一部をお見せします。
「は〜い、ワクチン摂取に移りますね〜。ちょっとチクッとするけど大丈夫だからね〜。」
『ヤメロォォ!!注射だけは何がなんでも受けないぞぉぉ!!』
「ヤバイミカドが暴れ出した!!みんな危険だからはnぶるおおおお!!??」
「真司がミカドにぶっ飛ばされた!?」
「抑えろ!とにかく怪我させない程度に抑えろぉぉ!!」
「今だ、先生!お願いします!!」
「獣医です。では行きます。」
『お願いやめてぇぇぇ!?』
ブスッ!
『ギィヤァァァァァァァァァ!!!!!!』
・この時の犠牲者は真司一名で済んだ。(いつもなら+1〜2)
結局、あの後ブエナを連れてこられてかっこ悪い姿を見せたくない一心で頑張ったけど……もう注射は勘弁してぇ……
*これが現在無敗の三冠馬の情けない姿ですww。
そして俺らは馬専用コンテナである『ストール』に乗り込み飛行機に搭乗し、出発する。
『おお〜…意外と気になんねぇ…少し覚悟したんだけど結構快適なんだな…』
『ミカド平気なの?私は少し不安なんだけど…』
『いや俺もちょっとどうなるか不安だったけど大丈夫だぞ。』
『相変わらず凄いね…』
ブエナと共に飛行機での空の旅。まあ外見えないけど…
『ドバイってどういう場所なのかな?』
『砂漠…って言ってもわかんねぇか。砂だらけの場所でめちゃくちゃ暑い場所らしい。』
『ええ〜暑いの?ちょっとやだぁ〜。』
『まあ、今の時期は(向こう基準で)まだ涼しいらしい、それに向こうじゃ夜にレースがあるから多分大丈夫だと思うぞ。』
こんな話をしながら数時間、一度乗り換えがあったが飛行機に乗ってブエナと話しながら過ごしていた。
『ファぁぁ〜寝む…』
『ミカドリラックスしすぎじゃない?私なんか全然眠れる気がしないんだけど…』
まあ初めての飛行機輸送ならそうだろうな。俺は前世で飛行機に乗ったことがあるし、狭い場所も全然平気だしストレスは特にないからな。
『まあ、俺は全然今の状態気にしてないしな。ブエナも少しは寝といた方がいいぞ。向こうに着いたら環境が違うから体調不良もありえるしな。少しでも体力残しておけ。』
『そうは言っても…』
『ああ、わかったわかった。俺がなんか話すからそれで少し気をまぎわらせろ。』
そうこうしている内に飛行機はアラブ首長国連邦ドバイ首長国のドバイ国際空港に到着するのだった。
ガタンっという音と衝撃に俺は目を覚ました。
『……フガっ!?い、今のは…着いたのか?』
ストールの中からでも感じる熱気。日本の空気とはまた違う。
『ふぇぇぇ……みかどぉぉ……ついたのぉ……?』
『着いたみたいだぞ。多分そろそろ開くから歩けるようにしておけ。』
『ん……』
寝坊助状態のブエナに対応していると扉が開く。開いた先には真司さんがいた。
「ミカド、着いたぞドバイ。長かったな。」
真司さんに連れられ外に出る。真っ暗だけど。
『あれ?なんで夜?』
『みかど…まだ夜じゃん…寝てていい?』
「どうしたミカド?あっ、そうか日本だともう日が上っている時間だもんな。時差があるから結構きついよな…」
ああ時差か。確かドバイと日本じゃ五時間くらいの時差があるんだっけ。忘れてた。
*日本時間夜9時頃出発し合計11時間のフライト。日本では現在時刻朝8時だがドバイでは現在時刻深夜3時、更に日の出は冬では朝6時〜7時なためまだ暗い。
『ブエナ、確かに深夜だけど歩いてくれ。この後も色々しなくちゃいけないんだからな。』
『む〜…』
この後も検疫してからやっとここの厩舎に入れるからな…
ん?『検疫』?
『も、もしかして…』
検査のために移動するとそこには…
「獣医です。」
「デタァァァァァァ!!!」
この後無事に終わりました。
この情けないのが主人公です。