お気に入り登録が200超え…だと…!?
本当にありがとうございます!!
今回は前回最後に出てきた馬が誰なのかが分かります。
No side
シンジと松戸は新しくこの松戸厩舎にやってきた牝馬『ブエナビスタ』の走りを見ていた。
「おおっ!凄い脚だな。デビュー前でアレだけの加速力…G1狙えるんじゃないですか?」
「入厩直後は左脚に不安があったが大丈夫そうだな。あいつの最後の末脚は父親譲りだからな。オマケに大人しくて、指示もちゃんと聞く。いい馬だよ」
「ですね。おっと、こっちもさっさと行かないと。行くぞミカド。」グイッ……
「…………あれ?どうしたミカド?」
「どうした、シンジ?」
「あっいやミカドが全然動かないんですよ」
松戸は今日入ってきたばかりの牡馬『ノゾミミカド』の方を見る。ミカドは引き手の指示にも反応せず、その視線はブエナビスタの方に向いていた。ブエナビスタが右に移動すればミカドの視線も右に行く。左に行けば視線もまた左に行く。
「……ブエナビスタが気になるんですかね?」
「みたいだな、と言ってもあいつはもう終わって厩舎に戻すからな。いなくなればこいつも動くだろう」
結局、ブエナビスタが帰るまでミカドは押しても引いても動こうとはしなかった。
ミカドside
ヤベェ…すっかり忘れていたぁ…
俺がデビューする2009年は牝馬ブエナビスタがデビューする年じゃないか…
ブエナビスタ
日本総大将スペシャルウィークを代表する産駒であり、数多くのG1レースで成績を収めることになる牝馬。
他にもこの世代には凱旋門賞2着のナカヤマフェスタ、天皇賞秋を取るトーセンジョーダン、ダービーである騎手をダービージョッキーにするロジユニヴァースなど、あとの世代にも三冠馬とかも出てくるし、結構ヤバイかも…
『こりゃあ、真面目にやらないと父さんや他の産駒たちに顔向け出来ないな』
さっきはブエナビスタを見た衝撃で固まっちまって迷惑かけたから挽回しないと…
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き、キツかった……最初は軽いトレーニングかと思っていたけど割と運動量多かった…
「だいぶ疲れてはいるがいい脚をしてるな、特にこの脚の柔らかさ。父親譲りだな」
「だとしたら、やっぱりトレーニングやレースでは骨折には気を付けた方がいいですよね。テイオーみたいに骨折をしたら即引退もあり得ますからね」
やっぱりその話挙がりますよねぇ〜。父さんが何度も泣かされた骨折は父さんの独特な走り方に脚が耐えられなかったことで起きたことだった。
俺が人として生きていた頃も故障で泣く泣く引退した馬は沢山いた(アグネスタキオンとかフジキセキとか)。今世では研究もだいぶ進んで故障数は少なくなっていってるみたいだけど、それでも故障は起こる。まあ、坂路で鍛えまくって引退の少し前まで故障を殆ど起こさなかったフィジカルサイボーグのブルボン爺ちゃんの血が入っているからもしかしたらそこそこ丈夫だと思うけど。
『自分でも気を付けないとな…』
なるべく故障を起こさないように休めるときはとことん休む。トレーニングは真面目に全力で取り組む。これを俺のモットーにし、今日のトレーニングは終わった。
馬房
『・・・・』
『・・・・』
『え〜っと、大丈夫かい?ミカド、ブエナ?』
薄々気付いていたけど、すぐ側の馬房が
前世では応援していた馬だけど今世では古馬時代にバチバチやりあうライバル。こっちが一方的に未来の相手の事を知っている分少し気不味い…
『………どうしたの?』
俺が向こうのことをチラチラ見ていたからかブエナビスタの方から話しかけてきた。
『えっ、えええっと、その(まさか向こうから話を振ってくるなんて…)。お、俺、今日ここの厩舎にきたノゾミミカドって言うんだ。よろしく』
『うん、よろしく。兄さんから少しだけ話は聞いた。私と同い年なんだっけ?私はブエナビスタ。ブエナって呼んで』
『よ、よろしくな、ブエナ』
少し吃ったけど話は普通に出来た。まあ、せっかく同じ厩舎の仲間になったんだ。今度は俺がブエナになんか話そう。コミュニケーションは大事大事。
『俺はトウカイテイオーって馬の子供なんだ。母さんは重賞レースで勝ったことがないみたいだけど爺ちゃんはサイボーグと呼ばれたミホノブルボンって馬なんだ』
本当良く組み合わせようと思ったなキタヤマさん。というか何でそんな血統の馬持っていたんだって話だけど。
『へぇ〜。私はあんまり自分の親のこと聞かなかったからあんまり分かんない。でも牧場の人はダービー馬の娘ってよく言っていた。』
『ダービーって……ブエナの父さんってそんなに強い馬だったのか…』
『?ダービーってそんな凄いの?』
『まあ、俺たち競走馬が一度しか出る事が出来ない栄誉あるレースだからな…ダービー馬になることは滅茶苦茶難しいんだぜ』←(父父・父・母父が無敗でダービー馬な奴)
オーラ先輩が驚くのも無理はない。ダービー、正式名称は『東京優駿』。通称『日本ダービー』。数あるG1レースの中で俺たち競走馬が一度しか出ることが出来ないクラシックレース『皐月賞』『日本ダービー』『菊花賞』、特にダービーは栄誉があるレースで、このダービーに勝つことが全ての競馬関係者の夢なのだ。天才と呼ばれたジョッキーでも勝つことが非常に難しく、中には10年以上も取れないジョッキーも沢山いる。
『ダービーは俺たち競走馬にとっては憧れるレースだよ』
『うん、騎手さんやテキたちにとっても名誉あるレースさ。僕は出走することはできたけど三着になっちゃったけどね』
先輩も話を聞く限りじゃかなり強い馬みたいだけどそれでも三着。それだけ難しいんだな、ダービーって。いやでもダービー三着も十分強い気もするんですけど…
『てことはブエナは自分の父親の名前を知らないのか?』
『うん、なんか言ってたきもするけど詳しいことはよく分かんない』
『人の言葉は難しいからね。僕も偶に何を言っているか分からない時があるよ』
それから、俺は先輩やブエナたちと過ごしながら調教に励んだ。ダートを使った調教、坂路でのスタミナ強化、プールでの調教は若干遊んでたけど真面目に取り組んだ。併せ馬の時はオーラ先輩が一緒にやってくれたけど流石重賞馬、プレッシャーの掛け方やコーナリング、直線の加速力、どれをとっても俺なんかよりも上手かった。先輩は『経験の差だよ』って言ってたけどそれでもすごかった。
そして、俺はそう長く無いうちにブエナたちとはまた別の出会いをすることになる。
紹介
アドマイヤオーラ
父:アグネスタキオン 母:ビワハイジ
松戸厩舎にいる重賞馬。ミカドの先輩でブエナの半兄。
面倒見が良くミカドたちに慕われている。
ブエナビスタ
父:スペシャルウィーク 母:ビワハイジ
松戸厩舎に所属する牝馬でありミカドの同期。後に多くのレースで実績を出す馬。のんびりした性格だがレースになると…
松戸博 62歳
ミカドたちの調教師。元々は騎手だった。ミカドの馬主である駒沢の馬を何頭か世話したことからミカドを預かることになる。
仲田真司 25歳
ミカドを担当する厩務員。真面目で熱い性格、よく空回りしては怒られる。厩務員歴はそこまで長くなくまだまだ勉強中。