紡がれる『帝』の血脈   作:シントウ

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ミカドは己を空っぽだと言った。それは本当にそうなのか?
テイオーの問いに答えを出せるのか?

そんな今回が始まります!


帝のオリジン/再出発へのリブート

突然連れてこられた場所で出会った僕の父さんと息子。そして父さんから息子の悩みを聞いてほしいと言われ、話を聞いた。彼の母やこの牧場の仲間の話、厩舎の話、レースの話、そして敗北の話。その中で僕は一つきになることがあった。どの話も素晴らしいものだ。だけどどこか空虚な部分がある。空いた所が感じられる。それが何なのかは割と直ぐに解った。

 

彼自身の存在が希薄なことに。

 

だから僕は聞いた。聞いてしまった。

 

 

『君は何の為に走るのか』を。

 

それが彼も知らなかった触れてはいけないものだと気付かずに。

 

 


 

 

『あ……お…れ…そ…』

 

『…………』

 

………やっばい。

 

僕、トウカイテイオーは現在クッソ焦っていた。なぜなら自分の息子であるノゾミミカドに何の変哲もない質問をしたところ。それが彼にとってとんでもない爆弾だったみたいで、酷く動揺している。

これは早急にフォローしないと……

 

『ミカド。』

『えと……あの…』

『ミカド。落ち着いて。ほら深呼吸。』

 

一度落ち着かせる為に深呼吸をさせる。何回か息を吐いたり吸ったりしてたらいくらか落ち着いた。

 

『ごめんね。僕、相手の触れたくないところに知らない内に触れちゃったこと何回かあって…』

『い…いえ…大丈夫です……』

 

酷い動揺を見せていて大丈夫ではないだろう。ここでも一つ解った。

 

ノゾミミカドには『自分』という存在が薄い。

 

他の馬ならこんな質問されて彼みたいに何もない感じだったとしてもここまで酷く『動揺しない』。

むしろ、『それが自分だと』いうだろう。

 

でも彼には自分にはそれがないと思っている。まるで今までの自分は『借り物』だと。

 

なるほどなぁ……だから、一回の負けでこうなった(・・・・・)のか…

 

(うん…これは僕にしか出来ないな。誰よりも悔しい気持ちを抱き続けて……

 

 

走る理由をその度に思い出した僕にしか…)

 

 


 

 

ミカドside

 

 

父さんに言われたことで俺には『何もない』ことに気づいた。三冠も、無敗も、走ることも、全てが誰かに与えられた目標な気がしてきた。

俺は一回でも自分で考えたか?自分で他に何かをしようとしたか?

 

俺は……

 

 

 

『はい、ストップ。』

『!』

 

父さんが俺の額をコツンと突いた。

 

『それ以上君自身を蔑ろにするのは良くない。それこそ僅かに存在する『君』という存在自体が壊れてしまうよ。』

『え?』

 

『話して、見て分かったよ。ミカド、君はね…『自分』というものを見ていないんだよ』

『は?』

 

『自分』を見ていない?どういうことだ?

 

『君の話を聞いているとどれもこれも『君自身』が抜けているんだ。話の中に君がいてもそれを外して喋っているんだ。』

 

俺自身が抜けている…

 

『何でそうなったかは僕には解らない。そうなってしまった答えはきっと君の中にある。心当たりはあるかい?』

 

俺自身が俺の話から感じ取れない。そう言われて俺は自分を見つめ直す。

 

敗北、ドバイ、爺ちゃんとの出会い、有馬、三冠、骨折、ダービー、朝日杯、ライバルとの出会い、雄一さんやブエナ、厩舎の仲間達との出会い、名前をもらった日、俺が生まれた日、生まれる前……

 

『あっ……!』

 

そうだ…俺は……『転生者』だ…しかも未来を知っている……

 

俺が知っている世界の歴史には俺は存在しない。存在そのものがイレギュラーなんだ。

今わかった…俺の走りに迷いがでたのは『イレギュラー』という俺の存在が誰から消えてしまうんじゃないかと無意識に怯えていたんだ。それを俺はレースで勝つことで誤魔化していた。勝てば俺はみんなの記憶に残ると……

でもこの間の敗北でそれが『切れた』。怯えを誤魔化すものがなくなった。

 

俺の走りの不調は、父さんが言っていた『自分を見ていない』というものそのものだ。この『怯え』こそが『俺自身』なんだ。

 

『………どうやら少しわかったみたいだね?』

『……うん…』

『それじゃあ一旦それを横に置いといて…』

『え』

『今度は見つけてあげるんだよ。君自身を。君の原点を。』

『えっごめん話が分かんないついていけてない説明プリーズお父上殿。』

 

父さんってもしかしてっ自分で言っていたよりも空気読めない?

 

『説明って…今ミカドが気付いたものはあくまで『ミカドの表面』だ。ミカドは今自分が無いって思っているでしょう?でも絶対にあるはずだ。出なきゃ君はここまで思い詰めないからね。』

『君の原点(オリジン)を思い出してみて?そしてそれがさっきの僕の質問の答えになる。もう一度きくよ?』

 

『君は、何の為に走っているんだい?』

 

 


 

 

俺の……オリジン……俺が走り始めたきっかけ……

 

俺は記憶を掘り返す。過去に過去にと遡る。

 

そして俺は一つだけ、思い出せたものがある。

 

もう殆ど風化してしまった…俺がまだ『人』だった頃の記憶の断片を……

 

《だから!テイオーは最高の名馬なんだよ!!俺はその血を絶やさせはしない!!》

《ハッ…テイオー産駒の成績見てから言え。あんな終わった血統に誰が注目すんだか?》

《何を〜!?今に見ていろ!!俺が絶対にテイオーの血を繋いでやる!!》

 

誰と話したのかも思い出せない。どうな内容でこの話になったのかも判らない。でも今の俺の中に僅かに残った記憶。そして、この記憶で俺は思い出す。俺がこの体になった日の決意を…

 

《俺が、終わらせない。帝王の血を、終わらせてたまるか!見ていろ、俺たち(・・・)テイオー産駒が終わった血って言った奴ら。俺が父さんたちが叶えられなかった夢を、その時の多くの人の望みを叶えてやる!俺は『絶対』を許されたあの『皇帝』の孫で、『絶対』を何度も覆した『帝王』の子だ。やってやるよ!》

 

俺たち…そうだ…俺は最初に決めたじゃないか。

 

俺たちを…俺の中に流れる帝王の血を見下した奴らに吠え面かかせてやるって。

 

周りの誰かも混じっているがこれは間違いなく。

 

俺が俺のために自分で決めたことだったじゃないか…

 

空っぽの器には確かに中身があった。見えなかっただけでそこにあったんだ。

 

けど…まだこれだけじゃ足りない。

 


 

 

『おや?思い出せたんだね?その様子じゃ?』

『……はい。お騒がせして申し訳ありませんでした。見つけられましたよ、俺の原点。』

『ふ〜ん?じゃあそれは?』

『………俺が走るのは、俺の中で流れる誇り高き血を馬鹿にした奴らを見返すため!そして俺の存在を証明するため!』

『へぇ…『そして!!』ん?』

 

『俺を産んでくれた父さんや母さん!

 

俺の走りを鍛えてくれたテキや雄一さん、先輩方に師匠!

 

俺の世話をしてくれた真司さんや卓也さん、牧場のみんな!

 

俺の先駆けである爺ちゃん達!

 

俺の走りを見て応援してくれた人たち!

 

そして、共に走って競い合ったライバル達!

 

俺は皆んなに恥じない走りをしたい!皆んなに認められる最高の競走馬になりたい!

 

全部ひっくるめて、これが俺の走る答えだ!!』

 

(……さっきまでとは違って本当にいい表情するねこの子……皆んなに恥じないか…)

 

『随分と大きなものだね。僕よりもお父さんなんかよりも壮大じゃん。』

『今までの情けないところを払拭して強くなるにはこんぐらいでっかくないとと思って。空っぽだと思っていた中を埋めるには!』

『アハハッ!それでこそ僕の息子だ!そ・れ・じゃ・あ♪』

『?』

『向こうで盗み聞きしているお父さん達の方へ競走だ!よ〜い…』

『えっちょっと!?』

『ドンッ!!』

『いや父さん!?まって、いきなりはって速っ!?』

『ほらほら〜現役三冠馬が引退二冠馬に負けてもいいの〜?』

『ああもう!無理すんなよ父さん!?』

 

突然駆け出す父さんの後を追い俺は走る。その脚は…

 

 

ここ最近で一番軽快に動かせた。

 

 


 

 

フェ『おい、これこっちに向かってきてないか?』

ライ『あのルドルフさん…あなたの息子さん元気すぎじゃないですか?彼たしかレオさんの二つくらい下ですよね?』

ルド『ん〜?多分息子に会えてはしゃいでいる分、いつもより調子がいいんだろう。』

レオ『俺が引退していなかったらアイツと走っていたかもしれないって……』

カン『……元気だなぁ…そんでめっちゃ速くない?ミカドくんスタート遅れたのと調子悪いとは言えまだ追いつけてないんだけど…』

ライ『ちょっこれこっちに突撃する勢いですよ!?全員掃けて!!』

テイ『イッエ〜イ!』

ミカ『父さん止まって!!その柵も超えちゃったらいよいよ洒落になんねぇ!!』

 

ピョ〜イ!

 

一同『『『『『あ』』』』』

 

テイ『えっなんか言った?』

 

フェ『……』・十字を切る

ライ『ご愁傷様…』・冥福を祈る

レオ『俺知〜らね。』・知らんぷり

カン『なんてこった…』・遠くを見る

ルド『やっちまったな…アイツ…』・アチャ〜とした表情を浮かべる

ミカ『父さん……その……頑張れ』・取り敢えず激励

 

テイ『えっどういうこと?』・何が起きているのか分かっていない

『そこのアンタ。』

テイ『えっ?』

 

シエ『ここが何処かわかっているのかしら?』悪鬼羅刹モード

 

テイ『ぴえ!?』

 

シエ『はしゃぐのはいいけど……』

 

テイ『アワアワワッ!?』

 

シエ『節度と立場を弁えなさい!!ここは牝馬と仔馬達の放牧地よ!!!!』

 

テイ『ゴメンナサァァァァァァァァァァイ!!!!!!!』

 

 

北山牧場の絶対的掟

 

我らが偉大なるボスルイシエルを怒らせたものは明日はないと思え。

(*死にはしません。)




ミカド君は吹っ切れ……いやまだ百%吹っ切れてはいませんが取り敢えず立ち直れた模様。
その代わりテイオーには一生残るであろう恐怖が植え付けられた模様。

テイ『怖かったよぉ……(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)』

そりゃあこの作品で唯一無二の最強キャラですからうちのシエル(オカン)……

因みにシエルは基本的に怒りませんが自分含めた身内(北山牧場の馬&オペ)を馬鹿にされると容赦無くブチコロがす勢いで蹴りが飛んでくるので彼女の前で絶対やらないように!

お気に入り登録、高評価、コメント等をお待ちしています!コメントは必ず確認していますので是非!

それでは…









シエル『これを見ている貴方達も言動には気をつけなさいよ?』
ボー『母さん、発言が魔王のそれ。』
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