そんな新馬戦始まります。
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この物語はフィクションです。登場する人物・団体名は架空のものであり実在するものとは関係ありません。
俺、ノゾミミカドが松戸厩舎に来て早数ヶ月。とうとう俺のデビュー戦が決まった。
『ミカド、デビューが決まったみたいだね。おめでとう』
『はい!7月最後日曜日にデビューするみたいです』
『いいなぁ、私はここに来たとき脚の調子が悪かったから少し遅れるみたいだし』
ブエナは俺より先にこの厩舎にきたけど脚の調子が良くなかったみたいで今はもう大丈夫そうだけど本来のデビューより少し遅れるらしい。俺は厩舎に来てから仕上がるのが早かったからこうして早めにレースが決まったのだ。
『いいかい、ミカド。新馬戦だけどレースはいつもの調教や僕らとの併せ馬とは全く違う。周りからのプレッシャー、馬場の状態、僕らを観にくる人の視線、普通なら起こらないようなアクシデント。全てが君が今まで体験したことがこれから君に襲いかかる、それがレースだ。僕もあの雰囲気に最初は何度も飲まれて実力を発揮出来なかったこともある』
先輩からのアドバイスはとても重いものを感じ、前世から聞いていたこの言葉がこの時俺の脳裏に浮かんだ。
「レースは生き物である」
ゲートが開いた瞬間から何が起きるか分からない。調子がよさそうだったのにいざ走ってみると中々前に出れずに負けてしまった馬。急に故障を起こす馬。数多の優駿たちに襲いかかる『レース』という生き物は何をして来るか走って見るまで全く分からないのだ。
『でもね、僕は決して一人で走るわけではないんだ。テキや騎手さんたち、厩務員さんや僕らを応援してくれるお客さん、僕らはその人達の思いを乗せて走る。まあ、これは僕の考えだからこれが正しいとは言わないけどね』
『……いえ、ありがとうございます先輩。俺頑張ります!』
『うん、頑張っておいで』
『頑張ってね、ミカド』
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駒沢望side
7/27 阪神競馬場
いよいよ僕が初めて買ったテイオー産駒の馬_ノゾミミカド号のデビュー戦。今日は休みを取り、家族四人で阪神競馬場にやってきた。1着は勿論取って欲しいがそれでも1番は無事に走り抜いて欲しい。他にも色々と考えていたら緊張で体が固まっていた。
「ほら、あなた。しっかりしなさい。他の馬主さんたちはもう行っているわよ」
妻の陽菜がガチガチに緊張した僕の背中をバシッと叩く。
「ああ、ごめんごめん。何分、初めてのことだからね。緊張しちゃって…」
妻に若干呆れられながらも馬主席に向かい、他の馬主さんたちに挨拶を交わす。中には仕事で話しあった方もいて少しだけ緊張が解れてきた。
そしてノゾミミカド号が出走する第4レースの時間が近づき、パドックに行く前に愛馬の様子を見に行くことにした。
「松戸さん、お疲れ様です」
「ああ、お疲れ様です、駒沢さん。ミカドの様子を見に?」
「ええ、今日という日を楽しみにしていましたからね。にしてもミカドもまたしっかりとした体つきになりましたね」
「調教は真面目にやってくれますし、よく食べてよく休みますからね。ここに来るまでもぐっすり寝ていましたよ」
松戸さんが見るにどうやらノゾミミカドの調子は絶好調らしい。栗東から阪神までの長距離移動を心配したらしいが特に問題がなかった様だ。
息子の勉と歩はノゾミミカドに駆け寄りその姿を見つめていたが、ノゾミミカドが頭を下げ視線を勉に合わせる。勉たちは突然の事に驚いたが直ぐにノゾミミカドの頭を撫で始める。
「本当に人懐っこいですね。普通は少し警戒すると思うんですけど…」
「ミカドは非常に頭がいい。一度だけあった相手でも印象に残っていたら早々忘れることはありませんから」
その様に話していると一人の男性が近づいてきた。
「おお来たか。雄一」
「はい、松戸さん、駒沢さん」
「おお、どうも。今日はノゾミミカドを頼みます」
福長騎手は何度かウチが所有していた馬に乗っていたことがある騎手だ。真面目で努力家、馬に競馬を教えるのが上手いとも聞く。
「では、そろそろパドックへと向かいますか。松戸さん行きましょう」
「おう、そうだな。シンジ!準備はいいか!」
「は、はい!問題ないです!」
「では、駒沢さん。また後で」
陣営の人たちに別れを告げ、私たちも馬主席に戻った。そしていよいよ新馬戦が始まる。
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ノゾミミカドside
『駒沢さんや息子くんたち元気そうだったな〜』
現在俺はパドックでシンジさんに連れられて歩いている。今日の新馬戦での俺の人気は2番人気。結構期待されている。俺の血統や産駒たちのことを考えると少し意外だ。この新馬戦に出走するのは全部で18頭。乱戦になるかもな。
『5番、2番人気、ノゾミミカド。トウカイテイオー産駒の期待の一頭です。母父はサイボーグとも言われたミホノブルボン。馬体重は472kg。鞍上は福長雄一騎手です』
『パドックで見る限り素晴らしい出来だと言えるでしょう。血統を見る限りでは今回の距離は彼の適正だと思います。好走が期待できます』
「テイオー産駒かあ〜頑張れよ〜!」
「おお、毛色以外は正にテイオーの生写しじゃないか…複勝…いやここは単勝を賭けてみるか」
ちらほら俺を応援する声が聞こえる。おうおう頑張るから応援よろしくな!
そして、パドックから舞台はレース場に移り、雄一さんを乗せて俺はコース内に入って行く。
「いいかミカド。今日のレースは距離が短い。お前の血統的には問題はないだろうが、とにかくスタートした瞬間ハナを奪うくらい前に着け。4コーナーの中盤でスパートをかけるぞ」
「ブルルッ!(了解だよ、雄一さん!)」
『それでは阪神第5レース、サラ系2歳新馬戦芝1400m、18頭がデビューを迎えます。晴天の天気、コースは良馬場となりました。6枠11番1番人気タニノベローナは2.9倍、2番人気に3枠5番ノゾミミカド3.2倍です』
次々と馬たちがゲートに入っていく。俺の枠番は3枠5番。内側よりからのスタートだ。
ゲートに入り、最後に外の馬たちが入って行く。そして波乱なレースがとうとう始まる。
『___最後に大外のメジロポピンズが入り、無事態勢整いました』
ガゴンッ!!
『スタートしました。18頭並んできれいにスタートしましたが5番ノゾミミカドが勢いよく出しました』
よし、スタートは良い!どの馬よりも早く前に出れた。
「よし、ミカドこのまま先頭を維持するぞ。勝負するのは4コーナーだ」
『了解』
『それを追うように2番プラチナガール。1馬身後ろに4番スマートダルズと7番グローリールピナスが並んでいます。すぐ後ろに1番人気タニノベローナ、ケージークローナとメジロポピンズが並んでいます。これが先頭集団。2馬身後ろにロジゴールド、その内側にドクタークリスとエアダーミー。10番セイカドルチェ外のマルラニビスティー、ラヴリーテンダーとアヴェニュードールは少しずつ前に上がろうとしている。プリティオドーリーとクレッシェンドがシンガリです』
後ろに俺に付いている馬がいるけど俺のペースに合わせていたら割と直ぐにバテるよ。もう3コーナーまで来てるしね。
『第3コーナーに差し掛かり依然先頭はノゾミミカド。プラチナガールが追うが追いつけない。タニノベローナがスピードを上げて来ている』
プラチナガールに変わりタニノベローナが俺の後ろに付く。けど今は後ろのことは無視だ。集中しろ、雄一さんの指示を今は待つんだ。
『先頭集団は第四コーナーに入りました。マルラニビスティーとグローリールピナスに鞭が入った。そのスピードをどんどん上げて行く!タニノベローナにも鞭が入る。先頭との間を縮めて行く!』
だんだんと近づいてくる足音と呼吸が俺の集中力を欠けて行く。クソッ、後ろからのプレッシャーが凄い。調教の時の併せ馬とは全く違う!まだかよ雄一さん!
『第4コーナーに差しかかりノゾミミカドは依然先頭だが1馬身後ろにタニノベローナが迫って来た!おっと、ここでノゾミミカドに鞭が入る!』
「今だ!思いっきり行け、ミカドォォ!!」
『よし来た!!俺の末脚、見せてやるぜ!!』
脚に力を溜めて、踏み込むと同時に一気に開放する。父さん譲りの柔軟な脚をバネにしてスピードを一気に上げる。
『ノゾミミカドがスピードを上げた!直ぐ後ろに迫っていたタニノベローナを突き放す!直線に入りノゾミミカドが更に後続を突き放す!!2馬身3馬身!凄い脚だぞノゾミミカド!タニノベローナも頑張るが追いつけない!もう圧勝です!後続を置き去りにして今ノゾミミカドが1着でゴールイン!!!』
「よし!良くやったぞミカド!」
フイ〜ッ、勝てたぁ…タニノベローナが迫って来た時はどうなるかと思ったけど流石雄一さんだ。俺の末脚が発揮しやすいタイミングを完璧に理解していた。あれは脚を溜める必要があるからどうしても減速する。そのロスをいかに短くするか、そこが重要になる。雄一さんはそのロスが短くなるタイミングを理解していた。流石一流のジョッキーだ。
『鞍上の福長騎手ガッポーズ!ノゾミミカド1着でゴール!タイムは1:20.1!なんとレコードです!阪神競馬場コースレコードを叩き出しました!!』
マジで!?
いきなりレコード取っちゃった…
『これは凄い!テイオー産駒の期待の星がここ阪神で見事な走りを見せました!』
『凄い走りでしたね。最後に見せたあの末脚は見事でした。もしやこれは『皇帝』一族の復活の狼煙になるかもしれません』
実況の兄ちゃんたち早いって、まだ1戦だよ?これからだよ?
「ハハっ、復活にしては早い気もするがそれだけ凄い走りをしたってことだ。俺たちは」
『__そうですね。俺たちの大勝利ですね!それじゃあ…』
『ノゾミミカドがホームストレッチにやって来ました。ウイニングランをするのでしょうか……おっとこれは!?』
「ミカド?おっとと……お前これって…」
そう、皆さんご存知。俺の父さんの巧みなステップ。テイオーステップじゃい!!
『テイオーステップです!!ノゾミミカド、父トウカイテイオーのテイオーステップを観客たちに披露しています!十数年の時を経て、テイオーステップもが私達の目の前で復活しました!!!なんという馬でしょう!これからの活躍が楽しみです!!!!』
満足満足。一度やって見たかったんだよね、これ。
「ミカド…お前は本当に最高のサラブレッドだよ」
『へへ、何言ってんですか。俺たちのレースはこれからですよ!』
こうして俺は無事に新馬戦を見事に勝利した。
ノゾミミカド
成績
新馬戦1400m 阪神 1:20:1 一着
ミカドのステータス(仮)
芝:A ダート:E
短距離:D マイル:A 中距離:A 長距離:?
逃げ:A 先行:A 差し:B 追込み:F
無事新馬戦が終わりました。
ここで皆さんにアンケートです。
次回はミカドの新馬戦後を出しますがその次は何が見たいかアンケートを取ります。
期間は今週末の土曜日までです。
評価やコメント、お気に入り登録をぜひ。それでは。