Fate/AIのべりすと 冠位時間神殿編 作:AIのべりすと
カドックは冠位時間神殿の中心部で、ゲーティアと対峙していた。
カルデアのサーヴァント達は既に敗れ、この場から消え去っていた。
魔神柱たちは、カドックにも迫りつつあった
が──それはもうどうでもよかった。
「…………僕は」
アナスタシアを死なせてしまった。
その事実だけが、胸の奥に重く沈んでいた。
自分の無力さが許せなかった。
自分はいつもそうだ。肝心な時に何もできない。誰も救えない。ただ、目の前で起きたことを眺めているだけしかできない。
それがどれだけ惨めなことか。どれほど罪深いことなのか。
それなのに、何度繰り返しても、同じ過ちを犯してしまう。
「お前には失望したよ、カドック・ゼムルプス」
ゲーティアの声が響く。
「魔術王ソロモンの残した魔術式。七十二の柱を従える獣の王。それが貴様の正体だ。人理焼却という大偉業を前にしてなお、己の夢などというもののために足掻くとはな。どこまでも愚かしい男だ」
「黙れッ!!」
カドックは叫んでいた。
「僕は間違ってなんかいない! 僕が正しいんだ!! 僕こそが正しい魔術師なんだ!」
「いいや。違うね」
ゲーティアは冷笑を浮かべた。
「貴様には何もない。夢がない。目的もない。理想もなく、野望もなく、誇りもない。そんな人間がどうして世界を救う? 私欲なく、他人を助ける?」
「…………っ」
「答えろ。カドック・ゼムルプス。貴様は何者だ?」
カドックは唇を噛み締めて、拳を握った。
「…………僕は、僕は」
『君は間違っている』
声が聞こえる。
『君のような人間に、人類史を背負う資格はない』
レフの言葉を思い出す。
『だから、私は君のことが嫌いだった』
あの時、自分は何を思っただろう。
怒りと憎しみしかなかったはずだ。
なのに──
「…………僕は」
思い出す。
マシュとの出会い。
彼女が自分に手を差し伸べてくれた時のこと。
初めてレイシフトをした時のこと。
特異点Fでの戦いのこと。
そして──
「僕は──」
思い浮かぶのは、ただ一人の少女の姿だけだった。
「僕は──」
彼女だけは助けたいと思った。
自分を助けてくれたように、自分も彼女のために何かしたいと思った。それはきっと、特別な感情ではないのかもしれない。
けれど、だからこそ尊いものだと信じられた。
「僕は──藤丸立香の後輩だ!」
カドックは叫んだ。
「先輩みたいになりたいって思って、ここまで来たんだ! まだ何も始まっていない! 終わってなんていない! こんなところで負けていられるかよ!」
「ならば、どうする?」
ゲーティアは問い詰めてくる。
「その有様でどうするつもりだ? その体では、もはや指一本動かすことも叶うまい。ここで終わりだ。貴様も、カルデアも」
「…………そうかな」
カドックは呟きながら、自分の右手を見つめる。
令呪はまだ残っている。
アナスタシアと契約していた証がまだここにある。
なら、自分ができることは一つだけだ。
「僕がお前を倒す」
「ほう。どうやって?」
「決まってる。お前が言った通りだ。僕には何の力もない。けど──それでも最後まで諦めない。必ずお前を倒してみせる」
「無駄だ」
ゲーティアは嘲笑った。
「貴様ごときに何ができる? 所詮、おまえはその程度の存在なのだ。我が運命の前に屈し、滅びるがいい!」
その瞬間、カドックは見た。
ゲーティアの背後に佇む、巨大な影の姿を。
「──あ」
それが何かを理解したとき、カドックは思わず目を見開いていた。
「まさか」
あれは──ソロモン王の魔術式。
ソロモン王が使役した、七十二柱の魔神たち。
「さようならだ、カドック・ゼムルプス。せめてもの慈悲として、貴様の絶望を最後に見届けよう」
「待て…………!」
カドックは必死に手を伸ばす。
だが、魔神柱たちは一斉にカドックに襲いかかってきた。
「…………ああ」
カドックは目を閉じた。
もう、どうしようもなかった。
自分はここで死ぬのだ。
「…………ごめん」
カドックは最後に、アナスタシアの顔を思い浮かべていた。
『カドックさん!』
マシュの声が聞こえた気がした。
『カドックさん! お願いです、起きてください! カドックさん!!』
「…………マシュ」
カドックは目を開いた。
目の前に、マシュがいた。
「マシュ!?」
「はい! 私です!」
マシュは嬉しそうに微笑んだ。
「良かった…………間に合って。でも、今はゆっくり話している暇はありません。カドックさん、早く逃げましょう!」
「逃げるって、どこにだよ」
「どこか遠くへ! とにかく、今すぐここから離れないと!」
「無理だ」
カドックは首を振った。
「僕にはもう魔力がない。令呪も使い切った。それに、僕がここにいるってことは、あいつが──ゲーティアがいるってことだろ」
「そ、それは…………」
「いいから、早く行け」
カドックはマシュを押し退ける。
「僕はここで死ぬ。だから、お前だけでも生き残れ」
「…………嫌です」
「おい」
「絶対に嫌です!」
マシュは叫んだ。
「だって、先輩が言ってましたもん! どんなに辛くても、悲しくても、寂しくても、諦めちゃいけないって! 諦めなければ、きっと道は開けるって! だから、私も信じます!」「…………馬鹿」
カドックは苦笑する。
「僕は魔術師だぞ? そんな夢物語を信じられるわけないだろ」
「私は信じています!」
マシュは胸を張る。
「カドックさんのことも、先輩のことも!」
「…………」
「先輩は言っていました。私たちが出会ったのは、きっと運命なんだって。だから、私も信じます。カドックさんはきっと助かるって。だから、私も一緒に行きます!」
「…………ありがとう」
カドックは笑みを浮かべる。
「本当に、ありが──」
そのときだった。
マシュの背後で、黒い光が瞬いた。
「マシュ!!」
カドックはマシュを突き飛ばす。次の瞬間、カドックは灼熱の炎に包まれた。
「ぐっ…………ああっ…………!」
「カドックさん!」
「…………来るな!」
カドックは叫ぶ。
「…………いいから、早く逃げろ…………っ!」
「そんなことできるはずないじゃないですか!」
マシュはカドックを抱き起こす。
「…………馬鹿…………やめろ…………」
「大丈夫ですよ、カドックさん。すぐにダ・ヴィンチちゃんたちが来てくれます。そうしたら、きっと──」
「…………駄目だ」
カドックはマシュの肩を掴む。
「…………お前は…………生きろ」
「え?」
「僕が…………僕が死んでも、お前だけは生きてくれ」「何を言っているんですか、カドックさん?」
「…………頼む」
カドックはマシュの手を握る。
「…………僕は…………お前に…………生きていてほしいんだ」
「……………………」
マシュは唇を噛み締め、やがて顔を背けた。
「…………はい」
マシュはうなずいて、立ち上がった。
「…………分かりました。マシュ・キリエライト、これより帰還します」
マシュは振り返らずに走り出す。
「カドックさん、また会いましょう」
「ああ」
カドックは小さく呟く。
「また、いつか──」
そして、意識を失った。
まさかの出オチで敗北。
まぁ藤丸のマシュ死亡場面に相当すると思えば熱い展開が待ってるかもしれないと思ええば
闘志が復活しても結局敗北。
これが運命力か・・・