ところでファインモーション実装まだですか。
「この中で1番初めにガイセンカグラと出会ったのは誰なんだ?」
ふと思った疑問を記者は口にする。
「あたしだと思うぞ」
「ゴールドシップ……はまあ同室だから当然か。その次だと?」
「おいこらテメェ無視すんな」
「ゴールドシップはトリを頼む。貴女の事だから綺麗にオチもついてるだろうし、奇想天外な話は締めに丁度いい」
厄ネタから全力で目を背ける記者。ゴールドシップと言えば皆に愛される破天荒ではあるし、彼女の話にも興味がないわけではないが、それ以上に彼女の気まぐれに巻き込まれたくなかった。パドックで将棋を指すようなウマ娘によってこの貴重な機会を失うのはあまりに惜しい、出来れば最後に取っておきたかったのが本音である。
「学園で初めて会ったのは多分私かな」
記者の問いに対して控えめに手を挙げたのは彼女と秋華賞で熾烈な叩き合いを制したウマ娘ファインモーションであった。
「私がカグラちゃんと出会ったのは入学式の日だから」
「誰か入学前にガイセンカグラと会ったっていう人は? ああ、ゴールドシップを除いてな」
「なんだよーハブんなよー」
ぶー垂れる一名を除いて誰も手を挙げないことから、ファインモーションこそがガイセンカグラと最も長い時間を過ごした者であった。
「ではもし良ければ、彼女との出会いを聞かせてもらえないだろうか?」
「勿論喜んで。そのためにここに来たんだから」
意気揚々と握り拳を握った彼女は、喜色を含んだ声で意気揚々と語り始めた。
▽
ファインモーションが初めてガイセンカグラと出会ったのは満開の桜がトレセン学園に舞い吹雪く春のことであった。
ファインモーションはいつも通り絶好調、麗かな春の光に鼻歌を口ずさみながらトレセン学園への道を歩いていた。
待ち侘びたこの日に興奮を抑えることが出来ず、エアグルーヴに苦笑されながら予定よりもだいぶ早く校門前に着いた彼女は、校門の前で1人ぶつぶつと何かを呟きながら校門前を右往左往する白いウマ娘を発見した。何を隠そうガイセンカグラである。
「初めて見た時は思わず見惚れちゃったんだ。まるで童話から出てきた白バの騎士様みたいだなって」
とはいえその時の彼女に凛々しさなんてものは無く、寧ろ不審者として通報されそうなくらいであった。
「ねえ君! 何か困ってるの? よかったら私にも教えてくれない?」
「ッ?! い、いえいえっ、そんな、ファイ……じゃなくてあってすぐの人に頼むなんて滅相も無い!」
「そう? でもずっとトレセンの前でうろうろしてたから、ひょっとして不安になってるのかなって思ったんだけど、違う?」
「いえ、その通りっちゃその通りなんですけれども……でも人に言うことでも無いですし」
「ふんふん……なるほど、ならそんなあなたには四つ葉のクローバーをあげちゃう!」
「はい?!」
そう言って制服のポケットから取り出したクローバーを渡されて目を白黒させるガイセンカグラ。誰だって出会って数分の子に四葉のクローバーなんて珍しいものを気軽に渡されたらそうもなるだろう。
「私のお守りあげるね。もし不安になってもきっと大丈夫だよ! あなたも新入生? ならきっとまた会えるね! それじゃあまたね!」
特に去る理由はなかったのだが、なんとなく話の流れ的に別れることになったファインモーションは、豆鉄砲を食らったガイセンカグラを放っといて入学式の時間まで呑気に校内探索へと洒落込んだのだった。
彼女の探検は怒気を孕んだエアグルーヴに捕まるまで続いたのだそうな。
「ファインモーションって実は結構ノリで生きてる?」
「一体誰が彼女はお淑やかな令嬢だと言ったんだい? 情報社会に踊らされちゃダメだよ、記者くん」
世間一般の認識とそう大差ないテイエムオペラオーが笑いながら告げた。
▽
ファインモーションとガイセンカグラの出会いは意外にも早かった。というかクラスの隣の席だった。
女三人寄れば姦しいというが、ファインモーションがいれば3人いなくても姦しい。というか賑やかで非常に華がある。
溢れんばかりのバイタリティを漲らせ、身振り手振りを添えて楽しそうに話す様はみているだけでも癒される。
「やけにファインの事を褒めるじゃないか、記者君は」
「実際そうだろう?」
「違いない」
今朝出会ったとはいえほとんど初対面と言えるガイセンカグラとホームルームが始まるまで話し続けられたのは単にファインモーションの朗らかな人格と高いコミュニケーション能力の成せる業だろう。間違ってもガイセンカグラにそんな事は出来ないとトレーナーが口を挟む。
「元々不器用な子で人付き合いとかはあまり良い方ではなかったんですけど、特に最初ら辺は走るのに夢中で人間関係なんて切って捨てていたのでね。正直あの日ファインモーションが話しかけてくれなかったらカグラはトゥインクルシリーズを走るまで友達が出来てなかったんじゃないですかね」
「実は私結構いい事してた?」
「おう、珍しく役に立ったな」
「シャカール、その言い方は無くない?」
「あっ、待って無理尊い……」
揶揄うように愉快な笑みを浮かべて頭を撫でるエアシャカールと、彼女の態度に頬を膨らませて不満を溢すファインモーション。ついでに唐突に起きたてぇてぇ現象に蒸発したアグネスデジタル。
約1名を無視してファインモーションは続きを語る。
隣の席なのは良かったが、ファインモーションは中々ガイセンカグラと距離を詰められずにいた。というのも、何故かガイセンカグラは彼女の事を異様に避けたのだ。
「最初は話すのが苦手なのかなって思ってたんだけど、余りにも避け方が露骨で嫌われてるのかと思ってたよ」
しかし本当に嫌われているのか聞こうにも避けられてはそうもいかない。よってファインモーションは同室のエアグルーヴやエアシャカール、ついでに面白そうだからと飛び入り参加したゴールドシップに協力してもらってガイセンカグラ捕獲作戦を敢行したのだった。
「と言っても生徒会室の人払いと、そこにカグラちゃんと呼んで捕まえただけなんだけどね」
「なんだかんだエアシャカールとエアグルーヴはファインモーションに甘いところあるよな」
そして作戦は面白いくらいに上手くいった。余りにも簡単に釣れてしまったので、エアグルーヴはガイセンカグラの警戒心に無さが心配になる程だった。
扉の裏に隠れたファインモーションは、ガイセンカグラが部屋に入ってきたところを後ろから差し足忍び足で近づく。ウマ娘の敏感な耳が僅かな衣擦れの音を捉え、彼女が振り向いた瞬間に一気呵成に懐へ潜り込む。そのまま逃げられないように両手を後ろに回す。
「かくほー!」
「ピィ?! えっ?! 何?! はっ?! ファインモーションさん?!?!」
ひどく狼狽したガイセンカグラは、そのまま彼女と縺れるように地面に倒れる。ファインモーションは驚いたようにわっと声を上げ、下敷きになったガイセンカグラは乙女が出してはいけない類の呻き声をあげた。側から見ればファインモーションがガイセンカグラを押し倒してるようになった。ちなみにゴールドシップは何故かこの時の写真を持っており、その写真を見たアグネスデジタルは言い値で買うと言って吐血した。
「この時のカグラちゃん、お顔が真っ赤ですっごく面白かったんだ〜。もう面白いくらい恥ずかしがっててね」
「そういうお前も思った以上に近くに顔があって照れてたじゃねぇか」
「もう、シャカール!」
「はいはい」
「……なあデジタル、それ毎回やらないとダメか?」
「そうなっちゃうんですよ……これでも本人の前で語り始めてない分昔よりもだいぶマシになったんです」
毎度の如く鼻血を吹き出すデジタルは置いておいて。
羞恥心でいっぱいの両者に変わってエアグルーヴがガイセンカグラに問いただしたところ帰ってきた返事が、
「推し……じゃなくて王族のファインモーションに気安く話しかけられるのは気がひけるというか軽く死ねる」
との事らしい。全くもってその通りである。寧ろファインモーションは自身の身分の高貴さを自覚してもらわないと周囲が蹄鉄の錆にされかねないことに気づくべきである。
「というかファイン、お前トレセン卒業したら実家帰るとか言ってなかったか?」
「いや、ドリームリーグも引退したし一回帰ったんだけど、見合いだの縁談だので嫌になっちゃって戻ってきちゃった」
「家出してんじゃねえか」
「シャカールが貰ってくれるなら帰るけど」
オシドリの乳繰り合いは無視して、ガイセンカグラがその後どうなったのかは言うまでもないだろう。
「お願いしたら次の日からちゃんと話してくれるようになったよ」
見る目麗しい王族令嬢が頬を赤らめて上目遣いでしたお願いを拒否なんてしたら、はて明日の命はどうなることやら。
オリウマ娘ちゃんの前前世の推しチャートtier0がアグネスデジタルで、ファインモーション、アドマイヤベガ、マンハッタンカフェがtier1。なのでギリ正気を保ってる。ファインモーションに関してはシャカファイてぇてぇと思ってるから間に挟まらないように気を引き締めてるのもある。
未実装馬の名前を出したり一部をオリキャラとして登場させてもいい?
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良いよ
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ダメ
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どっちでもいい