ウマ娘になりました。全距離芝ダート重賞目指して頑張ります 作:ウマ娘に転生しててぇてぇを見守り隊
全距離バ場重賞制覇という快挙を達成する上で最もネックとなるのは何かと問われれば、私は芝の短距離と答えただろう。
なぜなら、地力が出やすいから。
マスターは異なる見解を話した。
『ダートの長距離』だと。
なぜなら、レースが少ないから。
そう、私はダート長距離を戦うために、仕方なくこの日本に帰ってきたのだ。
私が出走可能で、マスターのツテのある国のレースに限ると、日本でしか無かったらしい。私も世界中のレースを知ってるわけじゃないからよく分からないけど。
ここまで来たら私が出走するレースは分かるよね?
チャンピオンズカップ?東京大賞典?
違います。
さぁ、当ててみて?
じゃあ答え合わせ。
正解は名古屋グランプリ(JpnII)。
愛知のローカルシリーズで、中央・地方問わないダートグレード競走として開催される競走。
このウマ娘の世界での、距離別仕分け方法は2,500以上が長距離なので、この名古屋グランプリは数少ない長距離ダート競走ということになる。*1
ちなみにウマ娘では未実装レースだった…よね?少なくとも私がプレイしてた時は無かったはず…あれ?でも東京大賞典とか帝王賞があるから…どっちだったっけ。もう十何年も前だし忘れちゃったわ。
まぁそんなことはともかく…ペガサスワールドカップに勝った私の評価は、少なくとも多数を占める浮遊層の競バファンはどう見ればいいのか…と距離を置いている。昨年の条件ウマ娘は約4分の1は入れ替わっており、私への風当たりは悪くはなかったがよくもないという感じ。
風当たりが厳しいのは旧良家のプライドばかり高い条件ウマ娘の一部たちと、厳格な血統主義に染まっている頑固な老g…老人たちくらい。
これくらいは慣れたもの。
さて、名古屋競バ場について説明しよう。
名古屋競バ場は一周1,100mの右回りダートコース。四角からゴールまでの直線距離はなんと194mと現在国内で開催のある競バ場の中でも最短である。
障害競走用の襷コースもあり、ローカルシリーズとして珍しく障害競走を施行している。*2
コーナーはスパイラルカーブ気味。ダート2,500mの場合、四角ポケットからのスタートとなる。
当日。
私はお昼過ぎに控え室へ向かう、通りかかったウマ娘たちがぎょっとした目をこちらに向けていた。彼女たちは確か同じ名古屋グランプリに出走するウマ娘のはず。
それもそのはずか。ペガサスワールドカップ1着、ドバイワールドカップ3着という結果を持つ私はダートでも走れることを証明しているし、菊花賞勝ちはスタミナを証明している。だいたいJpnIIのダートグレード競走にGI 2勝のウマ娘が出てくることも少ない。なぜならGIに勝てるダートウマ娘なら国際格付けがある上に、最上位格のGIであるチャンピオンズカップか東京大賞典に向かうから。
名古屋グランプリでも勝てる可能性が高いことは彼女たちやそのトレーナーたちも理解しているはず。
そう、ある意味私にとっては狙い目のレースだった。
ここを制して、GI以外のレースも勝つ。
……普通なら意味不明だよね……
時間になり、係員の誘導に従ってパドックへ。
係員は流石に頭の固い方ではなかったらしく、GI 2勝ウマ娘である私に恐縮しっぱなしであった。まぁ、ダートグレード競走のJpnIのレースも開催しないこの名古屋競バ場ではGIウマ娘と相見えることは少ないだろう。
パドックに入り、中央トレセンの体操服の長袖ジャージを脱ぎ捨てる。
パドックの観客たちはざわめくというより戸惑いの方が大きい様子。とはいえ、GI 2勝の看板は大きいものの、骨折後の復帰レースということもあり3番人気である。
ちなみに体操服や勝負服の中で、背中には重りを吊り下げており、これの重さを斤量と言います。
投げ捨てた長袖ジャージを拾ってから本バ場へ向かう。
バ場に入ると、観客席から少しのブーイングと先程の戸惑いの声と少しの歓声を浴びる。
私はジョギング位のスピード…ウマ娘のジョギングは20~30km/h位…で準備運動がてらにゲートへ向かう。
準備運動でバ場で集まっていたウマ娘たちの視線が集まる。
11番の子は私を敵視しているのか睨んでくる。
準備運動を終えて時間になりゲート入り。
12人のウマ娘がこの名古屋グランプリで鎬を削る。
『名古屋レース場からダートグレード競走JpnII名古屋グランプリをお伝えします。名古屋、ダート2,500m。天候は晴れですが、前日の雨の影響でバ場状態は稍重の発表です』
『夕方ですからね、凍結の心配は少ないですよ!』
『各ウマ娘、ゲートに入って体勢整いました…今スタートです』
『1番、6番、11番出遅れた!』
『3番人気、2枠2番ハッピーシュガー。菊花賞とペガサスワールドカップ勝ちの実績はありますが、骨折療養明けの復帰戦となります』
『彼女は今日はどのようなレースを走るのでしょうか。脚質も自在ですから、対策は難しいですよ』
『4番、5番、12番、逃げます』
『3番、7番、8番、10番が追走』
『その後ろにハッピーシュガー』
『さらに後方に9番と6番。最後方に1番11番という構えです』
『1番は逃げウマ娘ですが…大幅な出遅れです。どうなるでしょうか』
『1周目の向正面に入ってハナは12番。続いて4番5番』
『ハッピーシュガー、少しづつ距離を詰めます』
『3コーナーから4コーナーへ向かいます』
『各ウマ娘は縦長の隊列です』
『小回りのレース場では珍しく縦長です。後ろの子達は間に合うのか!』
『2周目の正面スタンド前、順位の変動はありません』
『少々スローペースですね。後ろの子達はかなり厳しくなってきています』
『2周目の第1コーナー付近で最後方1番が転倒!巻き込まれる形で11番も転倒!これは大丈夫か!?』
『これに驚いたか前の方がかかってしまったか!?ペースが一気に上がるぞ!まだ向正面にも達していない!』
ゴルシ並のスタミナがあれば、全力スパートでもこの1周くらいならバクシン出来る(サクラバクシンオーはそういう意味ではゴルシ並のスタミナを持つ可能性あり)けど、今出走している子達は無理。
スパートを始めた子達は無視して良い。
無視できないのは…
『周りがスパートを始める中、ハッピーシュガーと9番はまだ仕掛けない!』
この9番。
こいつ、最初から私をマークしてる…!
自在で、かつレースを支配するタイプの私をマークするのは一か八かの賭けだったかもしれない。でも、今回でいえば彼女と彼女のトレーナーの賭けが当たった。
あの転倒の時点で…いや、1番が大幅な出遅れをした時点で私はアドリブだ。
1番は今回の1番人気だった。
出遅れた時の観客席のため息は正面スタンド前でポジション争いをした私たちの耳にも届いている。
さらに、転倒したことで私のアドリブ計画はさらに破綻した。これは…まずい。
揺さぶりをかける!いや、もうここは…!
『向正面中ほど、ハッピーシュガーが仕掛ける!遅れて9番もスパートに入る!』
『第3コーナー手前でハッピーシュガーがハナを奪います!だがオーバースピードじゃないか!?』
私は身体を内に向けながら、蹄鉄を横に滑らせながらコーナーに突入する。
さらに、小柄な身体をさらに倒して仮柵よりも低くする。
『ハッピーシュガーが消えた!?物凄いコーナリングだ!』
これは私とマスターが編み出した私の武器になりうる物だ。
スパイラルカーブの出口もさして膨らまずに直線へ。
『ハッピーシュガー!先頭!療養明けもなんのその!だが9番も追いすがる!』
『だが追いつかない!』
『コーナー出口で付けた膨らんだ差が9番の邪魔をする!』
『ハッピーシュガー1着!1着はハッピーシュガー!』
『2着は9番!』
13戦3勝(GI 2勝)
収得賞金 8億1,750万円
主な勝ちレース
菊花賞(GI)
ペガサスワールドカップ(GI)
名古屋グランプリ(JpnII)
勝利重賞種別
芝長距離(GI)
ダマイル(GI)
ダ長距離(JpnII)