ウマ娘になりました。全距離芝ダート重賞目指して頑張ります   作:ウマ娘に転生しててぇてぇを見守り隊

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この物語のレースは2018のJRA競馬番組を元に作成しております。


もうメイクデビューするの!?

8月。

 

ウマ娘は馬と同じで暑さに弱い。したがって…

私は夏バテして体重がグッと落ちてしまっていた。

 

「うーむ、流石に体重落ちすぎだね」

 

ウマ娘はアスリートである。もちろん、トレーナーが男性だったとしても体重の報告は毎日行われる。元人間の私はこれがとても恥ずかしかったのだが、ひと月もしたら慣れた。

 

「さてさて、これまでは君にほぼ毎日坂路2本のトレーニングのみを課していた…というより、それ以外のトレーニングを禁止していたという意味でもあるのだが…今日からメニューを変える」

「はい」

「まずはこのエナジーバーを食べなさい。今日の昼食ね」

 

渡されたエナジーバーは一般的な人用と同じくらいの大きさだ。

うん、美味しい。これなら食欲なくても食べられるかも。

 

「ちなみにそのエナジーバーはウマ娘用の災害時非常用食料の買い直しで貰った期限ギリギリのものでな。これから数週間それを食べてもらう」

「ウマ娘の災害時非常用食料?」

「ウマ娘は人間の数倍以上のエネルギーを必要とするからな…」

 

うん?ちょっと待って。

人間用の災害時非常用の備蓄エナジーバーって確か…前世では……はっ!?

 

「ちょっと待って。このエナジーバー超高カロリー!?」

「確か…10M(メガ)calだったな」

「め、メガって…SI接頭辞の?」

「……そうだ」

 

SI接頭辞のM(メガ)10^6(10の6乗)を意味している。つまり…

 

「これ1本で10,000キロカロリーなの!?」

「なに、ウマ娘なら非常時には必要だろう」

「ウマ娘でも1日で13,000~18,000キロカロリーくらいなんですけど!?1日で!今私5本渡されて食べちゃったんですけど!?」

「50,000kcalだな。夏バテで体重落ちてるのにちょうどいいだろ?」

「太るわ!」

「太らせてんだが」

「はぁ!?」

 

お、乙女に何を言ってやがるこいつ…

 

「太りたくなければ、今日から坂路増やすしかないな?」

「…くっ」

「まぁ慣れるまでは坂路5本な。来週からは7本まで。まぁそこまで走ったら根性勝負だな。太りたくなければ走れるだろう?」

 

マスターは意地の悪い顔をしながら付け加える。

 

「明日以降、このエナジーバーを朝1本、昼4本、夜なしの食事に切り替えなさい。飲み物は経口補水液と無糖のお茶か水に限る。分かったね?」

 

坂路…5本……いや、来週から7本…?

しかも毎日50,000キロカロリー?

やばい。これはやばい。

ふ、太る…

 

だいたい、ウマ娘の平均1日摂取カロリーは引退したウマ娘で12,000くらい、現役で強度の運動(トレーニング等)をしている場合は18,000くらいと、現役中なら人間の女性の10倍近いし、引退後も6倍くらい。

確かに、ウマ娘に専用の非常用食料があるのは頷けるのだけど…

 

「ちなみに在庫処分なので、私も1本を数日に切り分けて食べています」

「マスター身体大丈夫!?」

 

いくら切り分けても、満腹感はないはず。

マスターだけにそんな思いをさせるとか…私も頑張るしかないなぁ。

 

 

 

 

中央トレセン学園は坂路コースが2本…数年前に2本目が作られたのだが、ある。

坂路コースは坂路Aと坂路Bと呼び分けられ、コースには特徴がある。

まず共通しているのは、ウッドチップコースであること。

坂路Aは幅員14m、全長750m、高低差20mのコース。

坂路Bは幅員16m、全長1,050m、高低差34mのコース。

 

私は基本的に坂路Bを使用しており、5本と言うと距離にして5,250m、高さにして170mも登らなければならないということである。

 

キツい。

 

 

 

3本目を終えて、スタートに戻る。もうヘトヘトである。

 

「ほいほい、ラップタイム落ちてるぞ!」

 

マスターは手元のタブレットで、私の首に付けられているICで自動でタイムを測定する機材から情報を受け取り、そう言った。

 

「スピード落ちてる!太るぞ!」

 

ちなみに『一杯』で坂路を既に3本走っているのだ。そりゃあラップタイムも落ちる。

 

逍遥馬道を通り、スタート地点に戻る。

 

 

4本目…!

 

走りきったところで、マスターが何か言ってる。

 

「そこまで。ちなみにエナジーバーは嘘だから、安心しろ。あれは1本3,000カロリーくらいだから」

 

もう身体に力が入らない…でも走らないと…太る…

 

「おい、止まれー!」

 

ん?

 

ドンッていう音と共に走った衝撃で私は気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

「起きたか。すまんな。エナジーバーは嘘だ。ちゃんと非常食ではあるが、たかが3,000kcalだな。まさかお前が倒れるまで全力で走るとは思わなかったぞ」

 

倒れた…

 

「だが、あの坂路でお前の癖が壊れたはずだ。最後の1本は正しいピッチ走法だったぞ」

 

……?

 

「さて、お前のデビュー戦だが、来月だ」

 

 

 

………?

 

 

「は?」

 

「来月の中山4回開催5日目第5レース、メイクデビュー中山の芝1,200だな」

 

「こ、こここ、こんなに早くデビューするの!?」

 

「ふん、早めから走った方がチャンスは広がるさ。本格化してないからまずは短距離で重賞取るぞ」

 

……マジか…マスターは常識なんて通用しないのか…

 

 

 

これから毎日ヘトヘトになる坂路4本を走らされ、メイクデビューに備えた。

ひたすらに坂路を走り、正しいピッチ走法を身体に叩き込むのだとか。

 

毎日坂路は故障する可能性が高くなるため、休養日はプールでトレーニング……つまり休養日はない。プールでスタミナをつけるためにバタフライでひたすらに泳ぎまくる。

 

 

 

そして迎えたメイクデビュー。

 

13頭立てで行われるレース。私は6枠8番。

マスターの指示はとにかく逃げて逃げて逃げまくれ。

つまり、スタートからゴールまで全速という指示。

 

そして、時間になってパドックへ。

 

『6枠8番、ハッピーシュガー』

『3番人気に推されています。ニシノフラワーといいハッピーシュガーといい、今年は小柄なスプリンターが活躍するのか!?』

 

さぁ…行こう。

地下バ道を通ってレース場へ。

 

初めてのレースに、私は心を震わせてターフへ駆けて行った…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……お、おなじみ3着ぅ…

 

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