ウマ娘になりました。全距離芝ダート重賞目指して頑張ります   作:ウマ娘に転生しててぇてぇを見守り隊

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降着

GII、札幌記念。

3着。

 

この頃になってくると、手抜きだとか本気で走ってないとか色々な噂が流れた。おかげでトレセン学園から離れ、今はマスターの別荘が本拠地となっていた。

 

そして、もちろん私の精神状態も良いわけがなかった。

勝てない上にそんなことを様々なところからぶつけられれば。

 

だいたい札幌記念は定量戦ってこともあってGIウマ娘が3人も殴り込んできたんだよ!?勝てるわけないじゃん…とまでは言わないけど、手抜きなんてしてないし!GIウマ娘のうちの2人よりも先着したことを褒められてこそ、批難される言われはないわ!

 

とまぁイライラしてるわけでございますが。

 

「しまったなぁ…まさか負け癖か…?いや、計算上は……」

 

ウマ娘の負け癖。それは『群れる』ウマ娘の本能の1つで『他のウマ娘の後ろを走りたがる』傾向のあるウマ娘に評されるバッドコンディションの1つだ。

 

「……勝ちきれない…なら」

 

マスターは私を呼びつけて、次のレースと戦術を命じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神戸新聞杯。

京都、芝2,400。

 

菊花賞トライアルである。

紫苑ステークスでも、ローズステークスでもなく、神戸新聞杯。

 

この出走には、各メディアや他のトレーナー達も驚いた様子。

 

しかも、何故か主力ウマ娘はセントライト記念に集中してしまったため、私が1番人気に推される程だった。

ただ1人を除き。

 

2番人気、マチカネタンホイザ。

 

えい、えい、むん!と気合を入れる彼女だけど、そのトモは張りのある美しい仕上がり…らしい。私にそういう眼はないから。まぁね、かわいいとは思うし、その太ももで膝枕して欲しいとは思うよ?

 

その私の作戦はマスターから指示されていた。

 

『私の指示したウマ娘をマークして、ラスト50mで抜く』

 

だそうで、指示されたウマ娘は当然マチカネタンホイザ。

 

「あ、シュガーちゃん!今日はよろしくね〜」

「よろしく、ダンデライオンさん」

「タンホイザだよ!?」

「間違えました。マチカネタンポポさん」

「かわいらしい名前ですね〜、って違うよ!?」

 

いいツッコミ。

 

「スピカに勝つにはここで止まってられないからね!今日は勝たせてもらうから!」

「私だって負けません。まだ勝ったことないですけど」

「自虐ネタ!?」

 

マチカネタンホイザといると、やっぱり笑えるんだよね…きちんとボケを拾ってくれるし。

 

 

『さぁ、大外18番がゲートに入り…今スタートしました。先行争いは―――』

 

『1番人気ハッピーシュガー、2番人気マチカネタンホイザ、並んで後団に控えます』

 

 

 

―――いいか、シュガーの脚質は自在だ。だが、気迫の問題から差しは微妙。だが、マーク屋としての差しならば…

 

 

『1番人気ハッピーシュガー、2番人気のマチカネタンホイザを完全にマークしています』

 

『ハッピーシュガーがマークするというのは珍しいですね。作戦なのか、はたまた挑発があったのか…』

 

『ナイスネイチャによりますと、ハッピーシュガーの紹介でマチカネタンホイザはカノープスに所属したという縁もあるようです』

 

『京都、淀の坂を登り第1コーナーへ』

 

『中団のポジション争いも今回は静かですね』

 

『誰もがハッピーシュガーもマチカネタンホイザを注視しています』

 

『これはスローペースです。前残りになると大荒れですよ!』

 

『さぁ、向正面に入ってハナに立ったのは3番』

 

『逃げウマ娘も自在のハッピーシュガー以外にいない今回は先行のウマ娘がハナに立っています。先行ウマ娘たちにとっては少し走りづらい上にスローペースは後ろの娘たちにもどう響くのか!』

 

『1000メートルを通過して、ラップタイムは中距離競走としては非常に遅い61秒台です』

 

『みんな菊花賞はまだ先ですよ!』

 

『マチカネタンホイザ、ここでマークを嫌って位置取りを下げます』

 

『ハッピーシュガー、これに続いて下がります』

 

『マチカネタンホイザ、焦っているか!?今度は仕掛け始めたぞ!』

 

『ハッピーシュガーは緩く加速して着いていきます』

 

『場内からブーイングが起きておりますが、審議ランプは点灯しておりません』

 

『マチカネタンホイザ、上がっていく』

 

『第3コーナーから第4コーナーへ』

 

『さぁ、仕掛けどころだ!』

 

『マチカネタンホイザ、ハッピーシュガー、先頭集団を躱して一騎打ちです!』

 

『マチカネタンホイザ、早仕掛けで足は残っているのか!?』

 

『残り100!』

 

『並んでいる!』

 

『並んで今ゴール!1着はハッピーシュガー!2着にはマチカネタンホイザ!3着には4番!』

 

 

『これは…1着入線はハッピーシュガー!ですが、審議ランプが点灯しています!』

 

 

 

……先頭集団を躱した時?

それともマチカネタンホイザの進路妨害を取られた?でもそっちはないと思うんだけど…

 

審議委員が私たちから聞き取りと映像による確認を行う。

 

『ただいま確定しました。4角出口付近で、ハッピーシュガーが4番の進路を塞ぐコース取りをしたとして、ハッピーシュガーは3着降着となりました。繰り上げて1着はマチカネタンホイザ。2着は4番となります』

 

10戦0勝。

 

 

 

 

 

 

 

私への風当たりも大分酷くなっていった。

それもそうだろう。条件クラスウマ娘の子たちの多くは1勝から3勝の経験を持っているというプライドが…未勝利とは違うというプライドがある。

未勝利のくせに…と言うやっかみもあって、事態の鎮静化に動こうとしている生徒会や理事長たちも動くに動けない状況なのだそう。

 

そもそもにして、桜花賞3着、オークス2着の私が菊花賞トライアルの神戸新聞杯に出走したことでさえも反感を食らってる。もうどうしようもないよね。

 

正直、今回のタイミングで降着するならマチカネタンホイザも同罪のはず。それを取られなかった時点で審議委員の中にも私への印象の悪い人が多かったのだと思う。あの程度なら、処分があっても降着処分にはならない。せいぜいが罰金くらい。

 

これは根が深いなぁ…

 

 

 

 

 

 

 

「というわけでだ。日本競バ界はほぼほぼ敵に回ってる。というか多くのマスメディアがそういう方面に煽ってる。せいぜいトレセンの理事長やルドルフくらいか、何とかしようとしてくれてるのはな。だが、奴らにいつまでも迷惑をかけるわけにゃいかない。だからこそ……菊花賞で文句無しに勝つ。そしてそのまま海外を飛び回るぞ」

 

 

 

……は!?

 

 

「最大目標はBCシリーズと凱旋門賞な」

 

 

無茶苦茶な…

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