Re:夜の剣士   作:graphite

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感謝

 

 

レイルの特技、システム外スキルのお披露目の後移動を開始してすぐに、最初とは入れ替わって先頭を歩くミト達が足を止める───

 

「待って」

 

ミトが突然そう言うので、俺達は訝しみながら進行を止め警戒をしていると、『キン、キン』と鋭い金属音が響いてくるのが聞こえてくる。

 

「剣と剣の戦闘か?」

 

俺はその音からそう推測した。とは言え、この森で湧くmobには武器を扱うタイプのmobは湧かない。となると考えられる候補は自ずと絞られる。

 

(森エルフと黒エルフの対立か...............PvP。だけどそれは...........)

 

考えられるのはおおよそその二択だ。だとしても後者の方はあまり考えたくない。フィールドで合意の下でのデュエルは考えにくいし、そうなるとPKの可能性もあるわけで───

 

「.............俺が確認に行く。キリトはミトとアスナを頼む」

 

「おいそれは───」

 

「わかってる。けど、万が一を考えれば俺が適任だ」

 

キリトを一先ずミト達とここに残しレイル一人で様子を探ることを提案する。仮にPKだったとした場合、もし戦闘となったら上手く対応できるのは恐らくレイルとキリト、そしてミトの誰かだ。しかし、ミトは確かに強いが鎌は懐に入られれば弱いところがあるし仮に複数人であれば危険だし、アスナに至っては知る限り対人戦経験はない筈だ。

 

だが、キリトならば隠密と索敵が、レイルなら高い敏捷があるため危険時にはよっぽどのことがなければ安全に離脱できるうえ、二人はβテスターでもあるため土地勘もある。

 

だが───

 

「ダメよ」

 

「ミト?」

 

ミトがレイルの発言を断固として拒絶をした。

 

「確かに、私は適任とは言えないし、アスナも同じ。とは言ってもキリトも行けば万が一の時に拙いのもわかってる。その点レイルだけなら離脱も戦闘もこの場合に考えられるケースでは最適.............けど、ダメ」

 

「それなら...........」

 

レイルの考えうることは当然ミトも想定済みだし、どう考えてもレイル一人の方がいいだろう。だが、感情は別だ。

 

「キリトはアスナをお願い.............私はレイルについていく。私もついてくならレイルが偵察するのを許可するわ」

 

「え......何?俺そんな要監視対象だったの?」

 

ミトは自分と二人ならとレイルの行動の許可を出す。そんなミトの自分に対する扱いにレイルは少々傷つく。だが、何が原因かは勿論............

 

「今までのこと.............まさか忘れたとは言わせないわよ」

 

「うぐぅ.............はい」

 

そう、もとはと言えばレイルのこれまでの行いが原因だ。1階層からこれまでかなりの心配をミトにかけ続けてきた。ならば、レイルのこの扱いも妥当であり反論の余地はない。

 

ただ、ミトからすればレイルの行いだけが反対した理由の全てではないが........

 

「.............それじゃあそう言う事で、様子を見に行ってくる」

 

こうしてレイルはミト共に木陰を利用して剣戟の音がする方へ移動を開始するのであった。

 

 

****************

 

 

「これは............《翡翠の秘鍵》のイベントバトルか」

 

「みたいね............はぁ........ムキになってた自分が恥ずかしいわ」

 

レイルとミトは木陰に隠れて様子を窺うと、そこでは五人のプレイヤーが陣形を取って森エルフ側について戦闘をしていた。

 

「まぁ、俺が言うのもアレだが原因は俺の行いだしな....でも........ぷっ.....っくく...」

 

確かにレイルからも先のミトが少々ムキになっていたようにも見え、ミトの言葉をきっかけにちょっと面白がって小さく笑みを零してしまうと、ミトは若干恥ずかしそうにしながら睨みつけて来た

 

「レイルのバカ..........あとで覚えておきなさいよ」

 

「(全く怖くない寧ろ───).....そう言えばあれって多分リンド達だよな?」

 

「はぁ............まぁ、あの髪色や装備からしてそうでしょうね」

 

藍色の長髪を結い束ねている細身の剣士の姿をみてその集団の所属を推察する。恐らく彼等はイベントクエスト報酬でギルドの強化を目論んでいるのだろう

 

(ん?そう言えばあの鎖頭布(コイフ)の男見たことある気が..............)

 

PKではないので見つかって絡まれるよりかはましだと思いそろそろ戻ろうかとしてるときにふと妙に鎖頭布(コイフ)の男に引っ掛かりを覚えた。

 

「レイル?」

 

「........いや、なんか見覚えある奴がいたからな」

 

「見覚え?...........あれ?あの鎖頭布(コイフ)の男って今まで攻略に居たかしら?」

 

「ん~正直全員の顔は一致してないからな............」

 

ミトの言う通り攻略では見かけていない........はずの顔だ。にも関わらずどうして既視感を感じたのだろうか?仮に現実で関係がある人物として考えてもまずこのゲームをするような奴はユナの他は居ないはずだ。だとすれば顔を合わせているとすればこのデスゲームが開始されてからで..............

 

「でも意外ね」

 

「意外?なんで?」

 

「だって早くないかしら?ギルド結成クエならまだしもこのクエストって発生ポイントを見つけるのも情報なしじゃこの階層だとかなりしんどいし」

 

確かに言われてみればそうだ。森の中なんていくら事前にマップを頭に叩き込んでいても方位を失いやすいし、それが初見なら尚更だ。しかもデスゲームと言うリスクもあれば森の深くにクエスト発生ポイントのあるこのクエストに対してしり込みするなり、それなりの準備を設けるだろう。少なくとも同じ状況ならレイルは必ずそうする。

 

だからこそ、この階層が解放されて僅かな期間でこのクエストの存在をかぎつけ、実行に移すのは〝βテスター〟である自分達ならまだしも少しらしくないとさえ───

 

「..............もしかしなくてもリンド達は誰かβテスターの協力を得ているのか?」

 

「そうね...........それが一番考えられるものね。でも、キバオウに比べれば比較的偏見は薄い方だからありえなくはないわよね?」

 

「まぁ、ありえなくはないが..............なんかこう引っ掛かるんだよな...........」

 

レイルやキリトのこのクエストを挑戦する最大と言ってもいい理由は最終的に下賜される片手直剣だ。勿論、要所要所で貴重な装備アイテム等がもらえるが、リンド達が正直階層攻略ではなくこっちに素早く動きを見せるのは何かが引っ掛かるのだ。

 

「何が引っ掛かる訳?」

 

「まず違和感があるのは階層攻略じゃなくてこのキャンペーンクエの方に素早く動きを見せた事だ。確かに貴重な装備品なんかを入手できれば攻略で大きな戦力になるかもしれないけど、リンド達なら長く続くこのクエよりも先にまず階層攻略でキバオウたちより先にってなると思ったんだよ」

 

競り合っているリンドとキバオウの事を考えると、レイルにはこれは攻略における主導権を手放すようなものだとさえ思えてしまう。二層ではボス戦の指揮でもめたのにも拘らず、これでは既に三階層におけるボス戦指揮は放棄した様にさえ感じることに違和感を覚えるのだ。

 

「............でも、レイルが言った通り装備を整えることでの成果を踏まえている可能性もあるでしょ?考え過ぎじゃないかしら?」

 

「まぁ、俺も変に勘繰りすぎかもとは思うけどな」

 

だが、レイルの懸念は前回御ボス戦の事もあるがここまで割りにあたっていたりする分一抹の不安を感じながら二人はキリト達と合流し、移動を開始するのであった

 

 

 

***************

 

 

ダークエルフの野営地からしばらくして《ズムフト》の町に辿り着いた。

 

見晴らしのいい宿で一先ず休憩を取るという話になり暫く休憩を挟み攻略会議に臨んだわけなのだが..........

 

 

「───で、つまりウチのギルドを解散してほしいてことですか?」

 

「包み隠さず言えばそいうことになる」

 

何と理不尽な事か、レイル達《暁の旅人》の解散要求がされたのだ。

 

話の経緯をかいつまんで説明すると攻略会議最初の議題........と言うには少し変かもしれないが、まず最初の話題は現在攻略の二大看板であるリンド率いる《ドラゴンナイツ・ブリゲード(DKB)》とキバオウ率いる《アインクラッド解放隊(ALS)》の勧誘と加入条件の説明がなされた

 

そこまでは特に問題等はないため、加入条件等の詳細は省くが問題はここからだった。

 

問題と言うのは俺達..........レイル、キリト、ミト、アスナの4人パーティーについての扱いだ。仮に4人がキバオウらのギルドに加入する際は、二人ずつ分かれて所属してほしいと言うのが彼ら二つの派閥の総意らしい。

 

理由は俺達がここまですべてのボスのLAボーナスを持っていること、単純な実力から4人が一つのギルドにはいってしまえば二つのギルド間の戦力バランスが崩れてしまうと危惧したための要請だった。

 

だが、そこですでに俺達は第三勢力である《暁の旅人》を立ち上げていた。しかもこの要請の真意は第三勢力........それも俺達4人が立ち上げたソレをさせない為にこんな俺達限定のギルド加入条件を立てたのだろう

 

「理不尽な事を言っているのは重々承知している。だが、そちらにも理解してほしい」

 

「.................」

 

どこまで本気で言ってるのかわからないが、流石に理不尽どころか横暴だ。とは言え、それよりもミトとアスナ........特にミトが爆発寸前だ。現にキリトが二人の怒気を肌で感じびくびくしている

 

「...........結論から言って、その要求は吞みかねます。そもそも、俺達4人が突出していると言いますが、俺達がボス攻略に出せる最大戦力は今のところ4人...........無理をしても6人が限界です。仮に人数が増えたところで今後の階層攻略を踏まえた安全マージンも含めて考えれば早急に《DKB》や《ALS》のような大規模にできるわけがない」

 

そう、まずもって人数の差が違いすぎるうえ総合的な戦闘能力だけで言えば明らかに劣るのはレイル達の方だ。それに加え、攻略時のローテもリンドの平等な指揮もあって全パーティーに平等に攻撃機会が与えられている分、LAを取るのはむしろリンド達の方が確率は高いのだから解散する必要性は皆無だ

 

だからこそ、戦力差..........特に数の差はあるので解散する要請が如何に理不尽かがよくわかる。

 

それに───

 

「それに俺達のギルドの基本方針は俺達4人を除けば他プレイヤーの支援です。仮に今後人員を増やすとしても階層攻略にあてがう人員よりも、求めているのは他者を支援するのに適した人材です。現に皆さんがもってるガイドブックも俺達の資金援助や人員支援もしています。他にも一階層にとどまっているプレイヤーの戦闘支援も人数確保が難航していますが実施しています」

 

そう、この解散要請は同時に細々としたものではあるがプレイヤー支援を断ち切ると同義なのだ。

 

「確かに今まではギルドと言う態勢を持たずにいました。ですが、当然常に資金不足............人手も全くと言っていい程足りない。だからこそギルドという組織の存在が必要なんです。攻略に参加することだけがこのゲームに対する正解じゃない。それを証明するためにも俺達のギルドを解散するわけにはいきません」

 

そもそも《暁の旅人》による支援が成り立っているのは、クライン達大人の経験と知識にディアベルの手腕があってこそだ。

 

しかし、それだけではない。一番の理由はレイル自身が一番わかってはいなく、けれどもミト達が一番理解していること。

 

それは、偏にレイルがギルマスだからこそなのだ。このただ生きるだけでも辛い世界で率先して支援策を提案したレイル、命がけで他者を助けようと動くその行動力...........それらにどんな理由や思惑があったとしても、今までのレイルの全てが巡り巡って現状が成り立っているのだ。

 

「なので..........もし仮に俺達に..........いえ、我々のギルドに解散を要求するのであれば相応のプレイヤー支援の体勢を整えてもらう事が条件です」

 

レイルの強い意志の籠った視線がリンドを貫く。そして───

 

「.................わかった。理不尽な発言申し訳なかった」

 

リンドは仮に解散した際のデメリットが計り知れないと至りそれ以上はこの件に関しの口出しをやめた。キバオウの方は最初から最後まで黙って静観していたまま特に触れずにこの話題は幕を下ろすのであった

 

 

 

 

 

その後、攻略会議自体はつつがなく終わり解散と言う流れなのだが.................

 

「待てミト」

 

「何よ。止めないでくれる」

 

「いや止めるさ。いったん落ち着け」

 

ミトが終わるや否やすぐにとある人物へ歩いていこうとするのをレイルは呼び止める。キリトの方はキリトの方でアスナの方を説得しようとしている。

 

「今回の件は流石に許容範囲外よ。ただの我が儘...........彼らはそれがさも攻略の為、皆の為って勘違いしてる。誰が本当に人のために動いてるだなんて知りもしないでッ」

 

ミトは知っている。自分や自分の知る人達の為と言って...........誰よりもこのデスゲームで生きる人々の為に動いてる人をミトは知っている。

 

普段の攻略の合間にも支援策を練り、方々と相談し調整しているのをミトはちゃんと見ているのだ。だからこそ許せない。高圧的な発言は許せても、他人の努力をまるで見向きもしないような彼らの態度がミトは心底気に食わない。

 

だから例えどんな結果になろうと言わなくてはいけない。

例え、レイルが止めたとしても絶対に───

 

「...............ダメだ。ミト」

 

「なんでッ....「ミトが自分の身を削ってまで擁護されたくないからさ」.............ぁ」

 

二階層でのボス戦後の事。ミトはレイルの身を切るようなやり方を否定した。ミトはレイルの今の言葉であの瞬間の出来事を思い出した。

 

「...........ミトが何を考えてるかは何となく察してるつもりだ。だから、あの時ミトが俺のやり方を否定した様に俺も否定する。そもそも今回別に俺はばかにされたとも思ってなければ実害もない。なのにミトが危険な橋を渡る必要はあるのか?いや..........あるわけがない。違うか?」

 

「...............」

 

そう、ここでミトが抗議しようものなら彼らとの関係がこじれてしまう。今でさえ俺やキリトと言ったβテスターと組んでいる状況もいらぬリスクを背負っている部分がある。更に拙いのはミトが同じβテスターであるとバレる事。

 

同じタイミングならまだしもこのタイミングでバレようものなら何故隠していたと余計な疑念を生む可能性がある。ミトの事を守るためにもこの事は最後まで隠し通す必要がある。最もあの状況でミトが言い出せる状況ではないのは事実だが、それを冷静に受け止めてもらえるとはとわ思えない。

 

(それに懸念事項もある..............)

 

レイルの懸念してることは先の二階層の強化詐欺事件の黒幕。なぜわざわざあんな手法とは言え、稼げる手段を自分でするでなく他人にやらせたのか...........しかも聞いた話では報酬さえ要求していないらしい。

 

なら目的は恐らく攻略に関わる者同士争わせて.........『愉しむ』ため

 

金が目的じゃないとすれば、この仮想世界であることを考えればそれ以外の目的は考えられない。もっと言えば黒幕は攻略組に人を殺させるつもりだったのではないだろうか?

 

だとすれば、攻略に関わる人物間での不和は避けたい。そこをついて黒幕が誰かを煽動してこないとも限らない。もし本当に人殺しを目的にしているのなら尚更だ

 

(いや.........今は───)

 

だが今はミトをどうにかしなくてはいけない。

 

ミトは優しい。だから、少々今回の件を重く受け取りすぎている。

 

今回の件はただ戦力バランスと言うたったそれだけの話なのだ。そこに俺達のしてきたことへ対しての感情は皆無。ギルド解散要請に至った彼らの思惑や思想について深く考え過ぎなのだ。

 

「アスナも怒ってたみたいだが、ちょっと考えすぎなんだよ二人とも。でも.............」

 

「でも?」

 

そう、ミトの考えすぎ..........けれどもちゃんと伝えないといけないことは確かにある。

 

「..........今までのこと全部、高尚な理由があるわけじゃないが..........そうやって怒ってくれるミトがいるから俺はなんて言われても気にならないし............嬉しく思ってる。一層の時も.........今までの事も全部ありがとな」

 

「!」

 

感謝はその瞬間ごとに伝えなくてはいけない。ここまで思い返してもちゃんと伝えられていなかったようにも思える。だからミトにここまで気苦労をかけてしまったのもあるだろう。

 

「............ほら、エギル達に挨拶して解散するぞ」

 

「あっ、待ちなさいよレイル!」

 

だが、やはり気恥しくなりレイルは言うだけ言ってさっさと挨拶回りへと向かっていく。それをミトは先までの怒りはいつの間にか消え、どこか嬉しそうな表情でレイルの背中を追いかけていくのであった。

 

───そうだ、レイル。

 

───感謝を伝える事を忘れてはいけない。感謝できると言う事はとても幸せな事なのだから。

 

 

 

 

(ん?この声............まさか............)

 

後ろから呼びかけるミトの声とは別の聞き覚えのある声が聞こえたのは..............きっと気のせいだろう。

 

 

 

 

 

*******************

 

 

【おまけ】:とある日の様子

 

 

「戦闘支援..........ひとまずは街の練習場があったはずだからそこでソードスキルのコツなんかを見せながら練習してもらって............あとはフィールドでの実際の練習だけど............一層の事簡単なクエの方が幾分か安全か?」

 

日付が変わる直前の酒屋の一席でぶつぶつと独り言をつぶやきながら作業する一人の少年がいた。

 

もっとも言うまでもなく、レイルだ。レイルが悩んでるのはギルドの現在の主な方針であるプレイヤー支援について。そしてその中でも一番扱いが大変な戦闘系に関わる事だ

 

そこそこの人数を集めてソードスキルについて教えるのはまだいいのだが、武器によっては異なるところもある上、何より実戦としての戦闘における安全確保が困難を極める。

 

「クエストなら基本イレギュラーは起こりにくい.........いや、未知のクエストフラグもあるかもしれないしどっちにしろイレギュラー対策には................一層のこと戦闘支援は後回し..........でも、割りに希望人数いるらしんだよなぁ.......」

 

現状支援活動はディアベルとクラインに任せきりになっている。何故ならレイルやキリト達は攻略のためにもレベル上げや装備強化の素材集め、更には最前線のクエスト情報集め、資金繰りなどもあるため一人でもかけるとそれはそれで周りきらない。

 

「これ以上ディアベルに負担掛けるのもなぁ.........」

 

特にディアベル。彼の能力の高さは非常に助かっている。彼の交渉力や対話スキルがあるため自分たちの中まがいの協力者もちらほらでき始めている。だが、その分彼の仕事量はすさまじく、頼り切りになりかけている。

 

「相席いいかしら?」

 

「はいどうぞ............って、ミト?」

 

誰かが声をかけてきたと思い、適当に返したが覚えのある声に顔を上げるとややご立腹気味のミトが正面の席に座った。

 

「そろそろ寝なさい。もう日付が変わるわよ」

 

「あぁ。流石に日付またいでまではするつもりはないよ」

 

ジト目で睨まれ、すこしばつが悪くなるも元々日をまたぐまではするつもりはなかった。と言ううのも目の前の彼女にまた心配をかけてしまうからだ。

 

.........まぁ、手遅れではあった様ではあるのでかなり申し訳ない

 

「全く.............で、戦闘関係の支援策練ってるの?」

 

「まぁな。でもこれと言ったのがなぁ.........」

 

「そう」

 

ミトは机に広げられた攻略本やレイルが書いたと思われる紙切れをみる。紙切れの方は図や文字がびっしりと書きこまれており感心するような.............でもやはりどこか呆れたような感想を抱く

 

「............私は実戦の方は一先ず時間をおいてもいいと思うわよ」

 

「ミト?」

 

ミトが幾つかの走り書きしたようなメモなどを手に取りそう言い放った

 

「ソードスキルの方は街の練習場使えばいいのは当然だし、それでもある程度スキルはあげられる。勿論、mobとの戦闘経験が詰めないのは痛いところだけど安全にスキルのレベルを上げれば多少のステイタスも補える。それは後々のフィールドでの戦闘演習でも安全策として生きるわ。少し希望人数が増えてきてるからってすぐどうにかしないといないって焦りすぎ。他にも伝えられることなんかはあるでしょ?それを教えたりしてればこっちの準備が整うまでの時間も稼げるんじゃない?」

 

「..................」

 

「な、何よ?」

 

レイルが無言で見つめてくるのでミトがどこか恥ずかしそうに尋ねると、直ぐにレイルは笑顔になる

 

「それだ!そうだよな。確かに、スキルレベル上げは出来るし、後々にも役立つ。ありがとうなミト!」

 

「っ...........ま、全く。一人で考えてるから単純な事にも気づかないのよ!」

 

レイルに正面から笑顔で感謝を告げられ何故か咄嗟にミトは顔を逸らし少し口早にそんなことを伝える。

 

「...........それと、また悪いなミト」

 

「はぁ.......そんなに申し訳なさそうにするなら初めから私に聞きなさい。一緒に考えるくらいするわよ」

 

そして、今のミトの発言を意訳すれば即ち『頼れ』と言う事だ。ならばこそ謝罪もしなくてはいけない。

 

「折角だし少し飲んでいきましょ?どうせレイルの事だから最初に何か頼んでそれきりだったんでしょ?」

 

「正解。自分でやっといてあれだが中々迷惑な客だな俺」

 

「本当よ。(私が近くにいたことにも気が付かなかったしね)」

 

ミトは本当はついさっき酒場に来たわけではない。レイルが入店して少ししてから近くの席でずっとレイルの事を見守っていたのだ。敢えて声をかけなかったのは彼の悪い癖を治すためにもレイル自身から頼ませたかったからでもあり、集中しているレイルに水を差すのもためらわれたからだ。

 

他にもレイルを入店してから何も頼まず(・・・・・)にずっと見守っていたのには理由がありそうだが、彼女の名誉のためにそれは伏せておこう.........

 

「そう言えばなんだけど最近───」

 

そうして飲み物を頼んだ二人は面白いクエストがあったとかおもしろそうな効果を持つアイテムなんかがあったとただのゲーマーらしい話に花を咲かせるのであった

 

 

 

 

 





今回はここまでです。漸く最新話を更新できました!あまり進んではいませんが2巻の内容もおよそ半分は終えました。そろそろ山場なので自分のペースにはなりますが頑張っていこうともいます。

そう言えばですが、前回の話から漸くレイルがプレイヤーとしての高いスペックを書けている気がします。ここまで器用と敏捷がキリトよりはある程度みたいな感じでしたが、システム外スキルをだせて少しづつレイルのプレイヤーとしての強さも表現できてきています。二階層の個人的なテーマとしてはキリトやミト、アスナなどにも引けを取らない...........或いは凌駕するようなレイルの戦闘能力を書くつもりなので今後の〝彼〟との戦いを楽しみにしていただければ幸いです。

それではここまで読んでくださりありがとうございます。コメント、お気に入り登録、評価をしてくださりありがとうございます!
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