「キリト!クライン!」
「レイル俺達はここだ!!」
少し離れた場所に2人はいたので俺はそっちへと移動する
「おいおい........一体何なんだよ?」
「わからない........レイルはどうだ?」
「俺にもさっぱり。考えられるとすればチュートリアルだろうが.........それにしたって.......」
それにしたってどうにもそうには思えない。館ではあるがこれからとんでもないことが起こるような嫌な予感があった。
俺達がそれぞれ考察をしていると誰かが上空にある物に気が付く
「おい!なんだよアレ!?」
「WORNING」と書かれた赤い文字パネルが空中にあり俺達もつられて目を向けた瞬間だった。それは勢いよく広がり空を夕焼けとは別に空を赤く染め上げる
すると今度は血のような赤い液体がパネルの間から漏れ出すとそれは徐々に形作り、顔なしローブの巨大な人型になる
「プレイヤー諸君、私の世界にようこそ」
私の世界だと......?つまりはゲームマスターってことか?
当たりは突如始まったことに困惑するがそいつはそんな騒ぎを無視して始める
「私の名前は茅場昌彦。今やこの世界をコントロール出来る唯一の人間だ。プレイヤー諸君はメニューからログアウトボタンが消滅している事に気づいてると思う。しかしこれはゲームの不具合ではない。繰り返す。不具合ではなく、ソードアート・オンライン本来の仕様である」
ある意味は予想されていた人物でもあり、場に言わせてる人間は半分は驚きはしているが半分はどこか納得しているようでもあったが.........今こいつは......いや、天才茅場昌彦は聞き捨てならないことをのたまった
(ログアウトボタンがないことが仕様.......だと?)
これは実質的な監禁にあたるだろう。そんな事を何故天才である彼が?と理解し始めた人間から順に波及し、パニック一歩手前になる
だが、それで終わりじゃなかった
「諸君は自発的にログアウトする事は出来ない。また、外部の人間によるナーブギアの停止、あるいは解除もありえない。もしそれが試みられた場合、ナーブギアの信号素子が発する高出力マイクロウエーブが諸君の脳を破壊し——
一瞬の間。されどその間は今から非情な現実を告げる前兆であった
「生命活動を停止させる」
周りの人間は「冗談だろ?」や「早くかえせぇよ!!」と喚く者たちがいる。俺達は........
「な、何言ってんだアイツ。頭おかしいんじゃね?なあ、キリト、レイル」
クラインがそう尋ねるが俺とキリトは知っている。その発言が眉唾なものではないと。
「いや、可能だよクライン」
「あぁ。信号阻止のマイクロウエーブは確かに電子レンジと同じだからリミッターさえ外せば脳を焼く事も可能だ。それに電源を切ればとかで解決できる問題じゃない」
「内臓のバッテリーがあるからレイルの言う通り手の打ちようは................」
俺とキリトの言葉にクラインは信じないぞと言うがいよいよ拙い事態だといやがおうにも理解する。
だが立て続けに茅場は冷淡にただ事実だけを告げていく
「残念ながら、現時点でプレイヤーの家族及び友人が警告を無視して、ナーブギアを強制的に解除しようとした例が少なからずある。その結果、213名のプレイヤーがアイングラッド及び現実世界からも永久退場している」
「んなッ......!?」
「213人........」
「信じねえ.........信じねえぞオレはッ........!」
俺達それぞれ驚きを隠せずに声を漏らす。だが、まだこんなものではなかった
「ご覧の通り、多数の死者が出た事を含め、この状況をあらゆるメディアが報道している。よってすでに強制的にナーブギアを解除される危険は低くなってると言っていいだろう。諸君らは安心してゲーム攻略に励んで欲しい」
(ゲーム攻略だと?監禁しといてどういうことだ........?)
レイルは天才の思考がわからず疑問を抱えていると........
「しかし、十分に留意してもらいたい。今後ゲームにおいてあらゆる蘇生手段は機能しない。HPがゼロになった瞬間、諸君らのアバターは永久に消滅し、同時に、君達の脳をナーブギアが破壊する」
(あぁ.......そうかよまさしくデスゲームってわけか.......)
デスゲーム。物語やなんかで命を賭けた賭け試合なんかよくあったが現実になるとこうも違うのかと息を吞む
ならば当然クリア条件があるはずだ。命をベットしてるがこれはゲーム.............だからその条件はあって然るべきだろう。そしてそれが今茅場から告げられる
「諸君らがこの世界から解放される方法はただ1つ。この始まりの街の存在するアインクラッド第1層から第100層までの迷宮を踏破し、その頂点に存在するボスを撃破してこのゲームをクリアすることだけだ」
たまらずクラインが声を上げる
「100層だと............?ふざけんなッ!?βじゃロクに上がれなかったんだろッ!?」
そう、俺やキリト達テスターは二か月かけて8層までしか攻略できなかった。そこから単純計算して1年と少し.........いや、当時とは違い安全マージンの要求も上がることを考えればその二倍以上は確実にかかると考えるべきだろう
それによく考えてみればこれはいきなりの発言の様でそうでもない。いつかの取材で天才茅場昌彦はこのゲームを『ゲームであっても遊びではない』そう断じていた。思えばその頃から..........いや、もっと前からこの事態を作り出そうとしていたのだろう
「それでは、最後に、諸君にとってこの世界が唯一の現実であるという証拠を見せよう。諸君のアイテムストレージに、私からのプレゼントが用意してある。確認してくれ給え」
俺達はそれに従い確認すると............
「手鏡.........?」
怪訝そうに俺たち三人はそれを見つめているとクラインを光が包み込む。そして次はキリト、そして俺にも同じ現象が起こりそれが治まった時には................
「は.......?俺の顔........?」
ただ、手鏡には〝自身〟の顔が映っていた。それ自体は不思議ではない、鏡なのだからそれは当然だ。だが、それは異常事態であった
なぜならメイキングされたアバターの顔ではなく〝現実〟での顔が映っていたからだ................
俺が顔を上げるとそこには髭面の恐らく年上の男と黒髪の年下に見える少年がいた
恐らくその二人は.........
「そっちの髭面がクラインで女顔みたいなそっちがキリトか?」
「お、女顔.........って、お前がもしかしてレイルか?」
「で、でもよぅ.....?一体どうしてだ?」
「ナーブギアは顔を高密度の信号阻止で覆っているし、体格もキャリブレーションでクリアしている............だが、わざわざそうしたのは...........」
技術的には何ら不思議がないというのは妙に冷静な考えで説明できる。ただ、意図はわからない。でも恐らくは...........
「諸君らは〝何故?〟と考えているだろう..........何故、SAO開発者の茅場昌彦はこんなことを、と...........私の目的は既に達している.........そして今達せられた」
身代金やそんな俗物的思考での事ではない...........茅場昌彦と言う男ならある意味では納得できる。メディアで取り上げられてきた彼の事はそれなりに追ってきたからわかる。だが、一体?
「それではプレイヤー諸君の健闘を祈る」
それを最後に茅場は姿を消した。それと同時に、この広場で上がった悲痛な一つの叫びが伝搬し大きな混乱になる。
だが、レイルは.......俺はなぜか不思議と落ち着いていた。だからこそ───
「........キリト、クラインこっちに」
これからを想定し、二人とともに始まりの街の裏道に向かっていく
******************
「いいか?まずは仲間を集めるぞ」
裏路地で二人に俺はそう提案する。
「え?だが、レイル。俺達なら安全あつぎの街までの道を知っている。次の街を目指すべきなんじゃ........」
ベータテスターの......ゲーマーであるキリトの疑問は当然だ。俺も最初にそれを考えたのだから不思議ではない。だが...........
「わかってる。キリトが考えている通り、この近辺の安全な狩場は直ぐに狩り尽くされる。間違いなくだ............だが、キリト。俺達が知っているルートが確実に安全な保障は?」
「ハッ!そうか..........ベータとの変更の可能性が........!」
ベータの情報が使えないということはない筈だ。しかし、変更点はないとは限らない..........いや、必ずあるはずだ。それが少しの事ならいい...........だが、命がかかっている以上は派手に動くのは愚策だ
「そうだ。それに今は夕方...........視界が悪くなる前の事も考慮すれば移動は避けるべきだ。それに、クラインは確か前のゲームをやってた連中とこれを遊ぶ予定だって言ってたよな?」
クラインは近場でレクチャーしているときにそう零していた。
「お、おう......それがどうしたんだ?」
「なら、当然ある程度のゲームの知識はあるはずだ。まずはその人たちと合流して、クラインをリーダーに町中のクエストをこなしてその情報の収集をしていく。街中でもクエストは沢山あったはずだから安全にある程度の資金と少ないけど経験値も獲得できる。その過程で得た資金と情報を今度は俺達が提供する側に回る」
ゲームの知識がある程度あるならクエストフラグなんかの知識などもあるはずだ。情報集めをするならずぶの素人よりもよっぽど効果的だ。
「その間俺とキリトはベータの情報と差異がないか探りつつ、戦闘系のクエストを慎重にこなしていく。こんな状況だ......情報は沢山あるにこしたことはない」
「「..........」」
後は、どうにかしてアイツ..........〝鼠〟を見つけて協力を仰ぎたいが..........
「ん?二人ともどうした?」
呆然と黙りこけて思案する俺を見ているのに気が付き、思考を中断させ問いかける
「い、いや............レイルは冷静だな.........こんな状況で的確に方針を立てられるなんてな」
「だな。俺の方がどう見ても年上なのに情けないぜ」
二人はレイルの方針に感心するほかなかった。レイルが立てた方針はリスクリターンの計算し尽くされていて反論の隙が無い。
「俺も不思議だよ............人間追い詰められたら案外、逆に頭が冷えるのかもな.......」
「それは何となくわかるかも...........でも、レイルがいてくれて........俺の相棒がレイルでよかった。サンキューな」
キリトはそう言って拳を突き出してくるので俺も笑みを浮かべこたえる
「こっちこそ。戦闘面でなら俺はお前の横に並ぶものは知らない.........頼りにしてるぜ相棒!」コツン
キリトは戦闘面においてこれ以上ない程に頼りになる。だからこそコイツとこの場に入れたことがとても幸運だと感じた
「仲間外れにしないでくれよ?...........絶対に生きてかえんぞ!」コツン
クラインも俺達の拳に合わせて、三人で不敵に笑う
そうして俺達は一旦広場に戻り、クラインの仲間を探しに行こうとしたのだが...........
(.............ん?)
戻る途中、二人の女性プレイヤーが町の外に向かっていくのを確認する。一人は唯手を引かれるままと言うようで.............
(移動しようって考えてるってことはゲーマーかベータテスター.............)
「.........二人とも悪い。少しよりたいところがあるからメッセで集合場所送ってくれ」
俺はその少女たちを追うことにした。もしベータテスターなら大きな戦力になる。接触はしておきたい。それに───
(............ベータテスターは遅かれ早かれ〝嫌われる〟可能性がある..........だからこそある程度助けておきたい)
キリトにはまだ話していないが、わざわざ大勢のプレイヤー支援に回るような提案したのには安全の他にもう一つ大きな訳がある。
(帰ったらある程度対策も考えないとな.........)
そうしてレイルは夕暮れ時の街を駆けるのであった
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